天皇賞(秋)2011予想
天皇賞秋 「老馬の法則」と充実の4歳馬。

軍神マルス
08期 予想歴13年

◎エイシンフラッシュ
  6着/3人気

○ダークシャドウ2着/2人
▲ローズキングダム10着/4人
×ブエナビスタ
×アーネストリー


★傾向分析★
2004年 タイム 1'58"9 (稍重) 1FAve=11.89 3FAve=35.67
テン35.8-中盤48.0(3F換算36.00)-上がり35.1 『加速・一貫』
1着ゼンノロブロイ・・・サンデーサイレンス×Mining=サンデーサイレンス×ミスプロ 〔2-b〕 8-9
2着ダンスインザムード・・・サンデーサイレンス×Nijinsky=サンデーサイレンス×ニジンスキー 〔7〕 3-3
3着アドマイヤグルーヴ・・・サンデーサイレンス×トニービン=サンデーサイレンス×グレイソヴリン 〔8-f〕 8-8

2005年 タイム 2'00"1 (良) 1FAve=12.01 3FAve=36.03
テン37.0-中盤49.5(3F換算37.13)-上がり33.6 『加速・中弛み』
1着ヘヴンリーロマンス・・・サンデーサイレンス×Sadler's Wells=サンデーサイレンス×サドラーズウェルズ 〔13-c〕 8-8
2着ゼンノロブロイ・・・サンデーサイレンス×Mining=サンデーサイレンス×ミスプロ 〔2-b〕 6-8
3着ダンスインザムード・・・サンデーサイレンス×Nijinsky=サンデーサイレンス×ニジンスキー 〔7〕 3-3

2006年 タイム 1'58"8 (良) 1FAve=11.88 3FAve=35.64
テン35.4-中盤47.8(3F換算35.85)-上がり35.6 『一貫』
1着ダイワメジャー・・・サンデーサイレンス×ノーザンテースト=サンデーサイレンス×ノーザンテースト 〔4-d〕 2-2
2着スウィフトカレント・・・サンデーサイレンス×Machiavellian=サンデーサイレンス×ミスプロ 〔8-d〕 7-6
3着アドマイヤムーン・・・エンドスウィープ×サンデーサイレンス=ミスプロ×サンデーサイレンス 〔7-f〕 10-10

2007年 タイム 1'58"4 (稍重) 1FAve=11.84 3FAve=35.52
テン36.1-中盤47.3(3F換算35.48)-上がり35.0 『加速』
1着メイショウサムソン・・・オペラハウス×ダンシングブレーヴ=サドラーズウェルズ×リファール 〔3-l〕 4-4
2着アグネスアーク・・・アグネスタキオン×ベリファ=サンデーサイレンス×リファール 〔4-r〕 7-7
3着カンパニー・・・ミラクルアドマイヤ×ノーザンテースト=グレイソヴリン×ノーザンテースト 〔9-a〕 10-10

2008年 タイム 1'57"2 (良) 1FAve=11.72 3FAve=35.16
テン35.2-中盤46.8(3F換算35.10)-上がり35.2 『一貫』
1着ウオッカ・・・タニノギムレット×ルション=ロベルト×ネヴァーベンド 〔3-l〕 7-7
2着ダイワスカーレット・・・アグネスタキオン×ノーザンテースト=サンデーサイレンス×ノーザンテースト 〔4-d〕 1-1
3着ディープスカイ・・・アグネスタキオン×Cheif's Crown=サンデーサイレンス×ダンチヒ 〔23-b〕 5-5

2009年 タイム 1'57"2 (良) 1FAve=11.72 3FAve=35.16
テン35.6-中盤47.9(3F換算35.93)-上がり33.7 『加速・中弛み』
1着カンパニー・・・ミラクルアドマイヤ×ノーザンテースト=グレイソヴリン×ノーザンテースト 〔9-a〕 9-9
2着スクリーンヒーロー・・・グラスワンダー×サンデーサイレンス=ロベルト×サンデーサイレンス 〔1-x〕 4-4
3着ウオッカ・・・タニノギムレット×ルション=ロベルト×ネヴァーベンド 〔3-l〕 14-14

2010年 タイム 1'58"2 (稍重) 1FAve=11.82 3FAve=35.46
テン35.3-中盤48.0(3F換算36.00)-上がり34.9 『一貫・中弛み』
1着ブエナビスタ・・・スペシャルウィーク×Caerleon=サンデーサイレンス×ニジンスキー 〔16-c〕 8-8
2着ペルーサ・・・ゼンノロブロイ×Candy Stripes=サンデーサイレンス×レッドゴッド 〔6-a〕 17-17
3着アーネストリー・・・グラスワンダー×トニービン=ロベルト×グレイソヴリン 〔3-n〕 4-4


流れは『加速』か『一貫』のなりやすく、ともに言えることは中盤からの持続型の流れになりやすいということ。その上で速い上がりを使う馬が好走し、近年はサンデーサイレンスの独壇場。逃げ馬は近年は壊滅的で、先行・差しの好走馬が多い。

血統の傾向は、まずサンデーサイレンス系のためのGⅠと思えるほど異常に強い傾向。特に1'58秒台の決着なら、ほぼサンデーサイレンス系が好走している。馬場悪化で2'00秒かかるようならサドラーズウェルズ系に向くレース質へと変貌するが、まずはサンデーサイレンスが筆頭。サンデーサイレンス向きからポストサンデーサイレンスのアグネスタキオンは向くはずだし(=過去2年07年・08年ではアグネスタキオン産駒は3頭出走で、全て3着内好走中。07年2着アグネスアーク、08年2着ダイワスカーレット・3着ディープスカイ)、母父サンデーサイレンスも要注意と思います。
そのほかに強い血統はトニービン系、ノーザンテースト系。サンデーサイレンス×トニービン配合やトニービン×ノーザンテースト配合、サンデーサイレンス×ノーザンテースト配合は好走馬も多い。

ステップは、近年は毎日王冠好走馬が天皇賞秋も好走する傾向。東京コース改修後に顕著になったステップで、ストレスが残りにくい臨戦過程になったと考えます。また良馬場の天皇賞秋はマイル寄りの中距離馬に向いていることの証明とも思えます。
対して京都大賞典好走馬は苦戦傾向。馬場が悪化すると好走するが、良馬場ならば差して届かずになりやすい(=07年ポップロックなど)。馬場悪化ならステイヤー寄りの中距離対応型の好走に変化することの証明と思います。
宝塚記念からの直行組は、宝塚記念好走馬なら好走可能。これは中距離持続型の証明と思えます。

牝系の傾向は、No.〔3〕〔4〕〔8〕の牝系の好走が多い。
No.〔3〕の牝系は、特に分枝記号lの〔3-l〕が好走。No.〔3-l〕は07年1着メイショウサムソン、08年1着→09年3着ウオッカ、古くは99年1着スペシャルウィークと特に4歳時の秋に東京コースで崩れない特性がある。
No.〔4〕の牝系は、00年以降では一番好走馬が多い牝系。00年1着テイエムオペラオー・2着メイショウドトウ・3着トゥナンテと上位独占した時もあり、02年2着テイエムオペラオー・3着メイショウドトウ、06年1着ダイワメジャー、07年2着アグネスアーク、08年2着ダイワスカーレットなど。この牝系の好走馬は、前走好走していた馬が(=休み明けでも)好走しているので、前走好走が必須条件。
No.〔8〕の牝系は、02年1着・03年1着シンボリクリスエス、04年3着アドマイヤグルーヴ、06年2着スウィフトカレントなど。古馬の本格化モードでの好走が多く、高速決着にも強い特性が活きやすいのだと思います。
分枝記号は、d記号が好走馬多し。d記号は、前哨戦好走だと本番でも好走しやすい特性があり、前走の勢いを活かしやすいので注目。

またサマー2000シリーズが始まってからは、サマー2000シリーズ最終戦の様相も傾向として現れています。2年連続して2着馬はサマー2000シリーズを好走していた馬(=06年スウィフトカレント、07年アグネスアーク)。夏を使った分動けること、別路線の鮮度の高さが好走要因になっていると思います。

また特注は、3歳路線からの転戦組。鮮度の高さを活かしての好走馬が多く、サンデーサイレンスの特性がある馬は特注(=042着ダンスインザムード、06年3着アドマイヤムーン)。古馬初対戦の鮮度の高さが活きるものと思います。

老馬の法則はここでも威力を発揮。リピーターの好走は多いのだが、前年好走馬は着順を下げる傾向にある。00年以降では、00年1着→01年2着テイエムオペラオー、00年2着→01年3着メイショウドトウ、04年1着→05年2着ゼンノロブロイ、04年2着→05年3着ダンスインザムード、06年1着→07年9着ダイワメジャー、06年3着→07年6着アドマイヤムーン、07年3着→08年4着→09年1着カンパニー(=09年は1着好走ですが、血統的にも好走しやすい配合で成長力があった馬なので例外事象かも)、08年1着→09年3着ウオッカなど(=例外は02年1着→03年1着シンボリクリスエスだが、02年は中山開催でコースが異なるので参考外とみてよいと思います)。中距離のスペシャリストが好走しやすいコースでもあり、馬が最高能力を維持できる期間は短いという証明が出来ると思います。

★予想★
天皇賞秋のポイントは、
①流れは『加速』か『一貫』になりやすい。流れで好走馬のタイプが変わり、『加速』はキレ重視のタイプが好走しやすく、『一貫』は中距離持続型のスペシャリストが好走しやすい。
②基本はサンデーサイレンス系のGⅠ。トニービン系、レッドゴッド系など大系統ナスルーラ系とも相性が良い。ノーザンテースト系も相性よい。
③No.〔3〕〔4〕〔8〕の牝系が好走馬多し。
④宝塚記念好走馬を重視。休み明けでも好走率高し。
⑤3歳牝馬は鮮度を活かしての好走が可能。基本3歳馬は鮮度が活かせるかを重視すること。
⑥「老馬の法則」が活きやすい。

◎エイシンフラッシュ・・・King’s Best×Platini=ミスプロ×ハンプトン 〔8-a〕
前走宝塚記念3着(=阪神芝2200m:0.2秒差)。今年の春シーズンは復調していて、1着こそ取れなかったが毎回上位の上りを繰り出し能力の高さは確認できた。今回は約4か月の休み明けとなるが、休み明けは(1-1-2-0)とそれほど苦にしているわけではなく、僅差の好走はしていて展開一つで突き抜ける可能性は十分ある。また例年宝塚記念好走馬は天皇賞秋に直行のローテーションでも好走が多く、その傾向からも期待する。東京芝コースは(1-0-0-1)で、芝2000m戦は(3-0-2-0)と能力を出すには絶好の舞台。また余談だが、今回のJRAのCMはスペシャルウィークの復活劇でしたが、キーワードは『前年ダービー馬の復活』とみて、また今年の秋シーズン王道制覇を信じて期待する。
King's Best産駒はキングマンボ系で、全体的なスピードを武器に距離は問わず淀みないペース向きの自力勝負血統。キングマンボ系なので2歳戦から走れる仕上がりの早さを持ち合わせるが、3歳春クラシックシーズンまでは詰めの甘い点がある。ダービー時期は実が入る時期でもあり、それ以降に本格化を始め成長力は十分。キングマンボ系は、レコード決着のようなスピード競馬にも対応可能な上、道悪馬場も得意な進化系。距離の融通性も持ち合わせている。母父Platiniはハンプトン系で、重厚なドイツ血統でのスタミナ型のタイプ。ハンプトン系はスタミナの鬼。
No.〔8〕の牝系は、早い時期から走るが人気を背負うと少し信頼性に欠ける点がある。小回りコースよりは広いコース向き。3歳春シーズンよりも秋シーズンに期待が出来る成長力を秘めた牝系で古馬にて本格化する。また叩き良化型が多い。分枝記号aは、気性的には素直な産駒が多いが父親よりはスケールが小さくなる傾向。

○ダークシャドウ・・・ダンスインザダーク×Private Account=サンデーサイレンス×ダマスカス 〔A4〕
前走毎日王冠1着(=東京芝1800m)東京芝コースは5戦(5-0-0-0)と好相性で、芝2000m戦は(3-1-0-0)と能力発揮には絶好の舞台。一線級の馬との対戦成績が少ないが、春の大阪杯2着好走(=阪神芝2000m:0.0秒差)していてで次走天皇賞春1着ヒルノダムール・2着エイシンフラッシュと互角に戦える能力を秘めていることは証明。前走も11年安田記念1着馬リアルインパクトを差し切っての好走で、マイル~中距離では現役屈指の馬と考え評価する。
ダンスインザダーク産駒はスタミナ型サンデーサイレンス系で、大物を輩出するしスタミナ抜群なのだが器用さに欠け、ギアが入れば迫力満点の長い末脚を使う一方で、トップギアまでに時間がかかり瞬時に反応できないという弱点を併せ持つ。また条件戦では手間取るも能力が引き出される格上挑戦は好走のプラス要因で、産駒が好走していた重賞で産駒が好走することが多いのも特徴。母父Private Accountはダマスカス系で、速いペースから最後は力の勝負に持ち込むと強い粘っこいヤマイモ血統。斬れる脚はなく、惜敗も多いが、芝なら開催終盤の荒れた馬場や重馬場に向く信頼するならダートの1800~2100m。GⅠよりもGⅢ向きだが、高齢になっても侮れず、忘れた頃に一発もあるタイプ。
No.〔A4〕の牝系は、米国のファミリーで、高速決着は得意だが、メリハリある流れが苦手。体力はあり、シーズンオフは得意な牝系。

▲ローズキングダム・・・キングカメハメハ×サンデーサイレンス=ミスプロ×サンデーサイレンス 〔1-w〕
前走京都大賞典1着(=京都芝2400m)。10年JC1着(=東京芝2400m:0.3秒差からの繰り上がり1着)以後、10年春シーズンは好走はするが今一つの成績だったが、休み明けの前走で復活。菊花賞2着好走→JC1着好走の蓄積疲労やダメージがあったと考える。東京芝コースは(2-1-0-0)と好走も多く、上がり特化の瞬発力勝負でサンデーサイレンス系の好走が多い舞台では能力を存分に発揮するため、今回条件は合うと考え期待して評価する。
キングカメハメハ産駒はキングマンボ系で、格の高いレースで究極のスピード競馬(=レコード決着)になるほど凄味をきかす血統。厳しい展開ほど持ち前の底力が活き、2歳から走れる完成度の高さと成長力がある。本格化前は詰め甘な点があることには注意が必要だが、ダービーの時期からは実が入る。距離に関しても融通性があり、やはり大レースに強く底力もある。母父サンデーサイレンスは、前走の勢いをそのまま活かして好走することの多い特性がある。前走重賞1着で勢いはあるので、好走に期待する。
No.〔1〕の牝系で、クラシックで好走が多く3歳春にはある程度完成する、完成度が高く仕上がりの早い牝系。3歳秋以降は緩やかに成長する。分枝記号wは、典型的なローカル巧者が多いが、中央なら固く時計の速い馬場での好走が多い。クラシック春シーズンが勝負の牝系なので、成長能力は他の牝系に比べると少し劣る部分が出てきたと思うが、それでも適性条件と完成度の高さでの好走を期待する。

△ブエナビスタ・・・スペシャルウィーク×Caerleon=サンデーサイレンス×ニジンスキー 〔16-c〕
前走宝塚記念2着(=阪神芝2200m:0.2秒差)。10年天皇賞秋1着馬で、その後10年JC2着(=東京芝2400m:1着好走後降着で2着)→10年有馬記念2着(=中山芝2500m:0.0秒差)→ヴィクトリアM2着(=東京芝1600m:0.0秒差)→宝塚記念2着(=阪神芝2200m:0.2秒差)と国内GⅠも連続好走中。この成績より今回も人気なのだが、「競走馬が最高の能力を維持できる期間は短い」ということが基本の「老馬の法則」から考えると、前年好走馬が翌年同じレースで同じように好走することは難しいと考えて、人気ほど信頼性は高くないと考える。しかし東京芝コースは(3-2-0-0)で、芝2000m戦は(1-1-1-0)と相性は良いので、1着はないが2・3着は十分ありえると考えて連下候補に。
スペャルウィーク産駒はスタミナ型サンデーサイレンス系で、本来はエンジンの掛かりが悪く末脚が不発に終わることも多いのが産駒の特徴なのだが、本馬は33秒台~34秒台の末脚を連発していて性能の良いエンジンを積んでいる様子。母父Caerleonは、種牡馬の持ち味を活かしつつ持続するスピードや豊富な成長力を伝える能力に優れている。現在は差し一辺倒ではなく、先行して押し切れる自在性も兼ね備え、イメージとしてはダイワスカーレットMk-Ⅱ。
No.〔16〕の牝系は、早い時期から走るのだが3歳秋以降に本格化する成長力があり、また叩き良化型のステイヤー特性がある。そのため距離延長で本領発揮のタイプが多い牝系。分枝記号cは、開幕週・最終週や重馬場での持久力勝負に強い傾向。

△トーセンジョーダン・・・ジャングルポケット×ノーザンテースト=グレイソヴリン×ノーザンテースト 〔9-a〕
前走札幌記念1着(=札幌芝2000m)。東京芝コースは(2-1-0-0)で、芝2000m戦は(5-1-0-3)と好走が多い。古馬になり再上昇している馬で、近親09年天皇賞秋1着馬カンパニー。そのため古馬の成長能力も侮れず、好走の可能性も高いと考えて評価する。ただし瞬時の加速ができるタイプではなく、長く良い脚を使う持続型のタイプと考えて、差して届かずを想定し連下候補に。
ジャングルポケット産駒はグレイソヴリン系で、小回りコースが得意なタイプと広いコースで末脚を繰り出すタイプとがいる。本馬は中山芝コースや函館芝コースなど小回りコースでも好走していて本質は小回りの持続型向きと思うが、速い上がりも繰り出せるので広いコースで末脚を活かすことも可能なタイプ。緩い流れで瞬発力勝負より、持続した流れでスタミナを活かす方が強さを発揮しやすい。ジャングルポケット産駒は菊花賞でも好走しているし、スタミナの豊富な馬が多くステイヤータイプも輩出する。母父ノーザンテーストはノーザンテースト系で、丈夫な体とミラクルな成長能力を有している。2歳や3歳時にも好走する仕上がりの早さはあるが、古馬にて本格化しさらにもう一段階進化する。母父ノーザンテースト天皇賞秋と相性はよく、この点には期待する。
No.〔9〕の牝系は、早い時期から好走できるが本格化前までは詰め甘なところがある牝系だが、3歳秋~古馬になり本格化する。小回りコースは鬼門だが、広いコースは好走が多い。分枝記号aは、気性的に素直なタイプが多く、また父親よりもスケールが小さくなる傾向。

△アーネストリー・・・グラスワンダー×トニービン=ロベルト×グレイソヴリン 〔3-n〕
前走オールカマー1着(=中山芝2200m)。前々走宝塚記念1着馬。芝2000m戦は(6-1-2-2)と好走が多いが、東京芝コースは(0-1-1-1)とやや物足りない成績。脚質的にも先行押し切り型で、溜めてキレるタイプというよりは持続した流れで突き放すタイプであるため、どちらかといえば宝塚記念や有馬記念向きの小回りコースに向くタイプ。古馬での上昇力や近走の内容から強さは評価するも、適性の違いから評価は下げ連下候補と考える。またブエナビスタ同様に「老馬の法則」の壁もある(=10年天皇賞秋3着馬なので)。
グラスワンダー産駒はロベルト系なのだが、グラスワンダー産駒には母父ダンチヒの特性も活かしやすい「ダンチヒ型」と父系そのままの「ロベルト型」とがいる。本馬は「ロベルト型」の特性をもち、叩き良化型で根幹距離の厳しい流れが向く。またグラスワンダー産駒は、2歳戦から走るタイプもいるが、叩き上げで一気に上り詰めるタイプが存在する(=08年JC1着スクリーンヒーロー)。本馬は叩き上げタイプ。スピードが豊かで、軽快な先行マイラーは時計勝負を苦にせず、ハイペースでの二枚腰が持ち味。このタイプは内枠や小回りの成績が良い。また中距離型は成長力に富み、若い時期はジリ脚で詰め甘だった馬が、切れ味を身に付けて上昇し力強さを感じさせる。母父トニービンはグレイソヴリン系でスタミナもあり、強敵相手に好走しやすい特性や連続好走しやすい特性を持っている。一度上昇して連続好走中なら、一定期間は期待出来る。叩き良化の父の特性や母父の特性から今回期待は出来ると思うが、やはりキレがポイントと考える。救いは母父トニービンで、天皇賞秋はサンデーサイレンスの血を持つ馬か、トニービンの血を持つ馬、ノーザンテーストの血を持つ馬が好走しやすい点に期待する。
No.〔3〕の牝系は、2歳戦から走れる仕上がりの早さとクラシックでも好走する成長能力を有した牝系。古馬での成長力も豊富で、東京コースなど広いコースでの好走が多い牝系。分枝記号nは、仕上がり早で素軽いスピードと立ち回りの上手さが持ち味。底力には欠けるが器用さでカバーする。また短距離向きの馬が多く、中距離馬は洋芝開催向き。


tipmonaとは?

天皇賞(秋)2011回顧
天皇賞秋 「老馬の法則」とトニービン系の特性。

軍神マルス
08期 予想歴13年

次走狙い:ダークシャドウ
次走狙い:エイシンフラッシュ
次走危険:ブエナビスタ


2011年 タイム 1’56”1 (良) 1FAve=11.61 3FAve=34.83

ラップ
①12.5-②11.0-③10.8-④10.8-⑤11.4-⑥11.8-⑦12.0-⑧11.9-⑨12.1-⑩11.8
1FAveとの誤差
①+0.9 ②-0.6 ③-0.8 ④-0.8 ⑤-0.2 ⑥+0.2 ⑦+0.4 ⑧+0.3 ⑨+0.5 ⑩+0.2
テン34.3-中盤46.0(3F換算34.50)-上がり35.8 『前傾』

『前傾』・・・逃げ× 先行△ 差し○ 追込◎

1着トーセンジョーダン・・・ジャングルポケット×サンデーサイレンス=グレイソヴリン×サンデーサイレンス 〔9-a〕 10-11
2着ダークシャドウ・・・ダンスインザダーク×Private Account=サンデーサイレンス×ダマスカス 〔A4〕 8-7
3着ペルーサ・・・ゼンノロブロイ×Candy Stripes=サンデーサイレンス×レッドゴッド 〔6-a〕 13-13
4着ブエナビスタ・・・スペシャルウィーク×Caerleon=サンデーサイレンス×ニジンスキー 〔16-c〕 9-9
5着トゥザグローリー・・・キングカメハメハ×サンデーサイレンス=ミスプロ×サンデーサイレンス 〔9-f〕 10-9

流れは、テン-上がりのラップ差と中盤の締まった流れから『前傾』の流れ。近年で最も速い1’56”1のレコードタイムでの決着で、マイル~中距離向きの馬に向いた持続型の流れと考える。結果、東京芝2400m好走歴のある馬よりも、芝2000m前後での好走の多い馬が上位に好走。展開的には、追込が最も恵まれ、次いで差し、逃げ・先行には厳しい流れ。

1着トーセンジョーダンは、前走札幌記念1着(=札幌芝2000m)からの好走。東京芝コースは(2-1-0-0)で、芝2000m戦は(5-1-0-3)と好走が多い馬でした。古馬になり再上昇している馬で、近親09年天皇賞秋1着馬カンパニーと侮ってはいけない馬でした。瞬時の加速ができるタイプではなく、長く良い脚を使う持続型のタイプと考えて、差して届かずを想定し連下候補に考えましたが、『前傾』の流れも相まって好走。今回は展開に恵まれた点はあるかと思うが、それでもレコードタイムで好走した内容は評価したい。近親カンパニー同様に次走マイルCSに向かうようならまた面白いと思いますが、JCでも十分に戦えると考えます。次走にも期待。
ジャングルポケット産駒はグレイソヴリン系で、小回りコースが得意なタイプと広いコースで末脚を繰り出すタイプとがいる。本馬は中山芝コースや函館芝コースなど小回りコースでも好走していて本質は小回りの持続型向きと思うが、速い上がりも繰り出せるので広いコースで末脚を活かすことも可能なタイプ。緩い流れで瞬発力勝負より、持続した流れでスタミナを活かす方が強さを発揮しやすい。ジャングルポケット産駒は菊花賞でも好走しているし、スタミナの豊富な馬が多くステイヤータイプも輩出する。またトニービン系は、『前傾』や『一貫』の流れの厳しい流れのGⅠでの好走が多く、根幹距離ならなおさら気をつけるべき血統でした。天皇賞秋に関しても、古くは98年1着オフサイドトラップが好走した時にもサイレンススズカが逃げる速い流れ(=1000m通過時:57’4)でしたし、03年3着テンザンセイザが好走した時にもローエングリンの締まった逃げの流れ(=1000m通過時:56’9)、07年3着・09年1着カンパニーが好走時もスローではなく締まったペース(=1000m通過時は、07年は59’6、09年は59’8)。1000m通過時が1分を超えると上がり特化の瞬発力勝負になりやすくサンデーサイレンス系が好走しやすい流れなのだが、1分以内の場合は持続型の流れとなりトニービン系が好走しやすい傾向と反省する。母父ノーザンテーストはノーザンテースト系で、丈夫な体とミラクルな成長能力を有している。2歳や3歳時にも好走する仕上がりの早さはあるが、古馬にて本格化しさらにもう一段階進化する。母父ノーザンテーストも天皇賞秋と相性は良く、血統的にも父×母父ともに向いた血統でした。。
No.〔9〕の牝系は、早い時期から好走できるが本格化前までは詰め甘なところがある牝系だが、3歳秋~古馬になり本格化する。小回りコースは鬼門だが、広いコースは好走が多い。分枝記号aは、気性的に素直なタイプが多く、また父親よりもスケールが小さくなる傾向。今回は5番人気と伏兵としての立場で、牝系の特性を活かしやすい状態だったことも好走要因と考える。

2着ダークシャドウは、前走毎日王冠1着(=東京芝1800m)からの好走。近年毎日王冠好走馬は、連続して天皇賞秋でも好走することが多く(=毎日王冠→天皇賞秋:06年1着→1着ダイワメジャー、07年2着→2着アグネスアーク、08年2着→1着ウオッカ、09年1着→1着カンパニーなど)、最良のステップになりつつあると考えます。東京芝コースは5戦(5-0-0-0)と好相性で、芝2000m戦は(3-1-0-0)と能力発揮には絶好の舞台で、結果一線級の馬と互角に戦い2着好走。マイル~中距離では現役屈指の馬と証明し、次走マイルCSなら好走必至と考え、次走にも期待する。。
ダンスインザダーク産駒はスタミナ型サンデーサイレンス系で、大物を輩出するしスタミナ抜群なのだが器用さに欠け、ギアが入れば迫力満点の長い末脚を使う一方で、トップギアまでに時間がかかり瞬時に反応できないという弱点を併せ持つ。また条件戦では手間取るも能力が引き出される格上挑戦は好走のプラス要因で、産駒が好走していた重賞で産駒が好走することが多いのも特徴。母父Private Accountはダマスカス系で、速いペースから最後は力の勝負に持ち込むと強い粘っこいヤマイモ血統。斬れる脚はなく、惜敗も多いが、芝なら開催終盤の荒れた馬場や重馬場に向く信頼するならダートの1800~2100m。GⅠよりもGⅢ向きだが、高齢になっても侮れず、忘れた頃に一発もあるタイプ。
No.〔A4〕の牝系は、米国のファミリーで、高速決着は得意だが、メリハリある流れが苦手。体力はあり、シーズンオフは得意な牝系。

3着ペルーサは、前走天皇賞春8着(=京都芝3200m:0.9秒差)からの休み明けでの好走。10年天皇賞秋2着馬でしたが、さすがに天皇賞春からの休み明けでは好走は難しいと考えて軽視しましたが、得意の芝2000m(3-1-0-0)で能力全開にて好走。毎回出遅れが鍵となる本馬だが、今回は出遅れることはなく、後方にて脚を溜めて出走馬中最速上がりの33秒9にて追込も届かずの内容。休み明けでも3着好走から能力はさすがと考えるが、次走は取扱いが難しそう。更なる上昇を期待したいが、すべては出遅れなければの前提となる。今回の好走のストレスが影響しないことを願いつつ、次走にも期待する。
ゼンノロブロイ産駒はスタミナ型サンデーサイレンス系で、脚を溜めて鋭くキレるタイプが多いサンデーサイレンス系の中で、速いペースを追いかけて前で展開し踏ん張る競馬もこなせる適性の広さが持ち味。フジキセキ+マンハッタンカフェ的な特徴を有し、万能型のイメージ。人気馬がしっかり好走する比較的堅実なタイプが多い。産駒は中山芝コースでの好走が多く、東京芝コースでは3着になることが多いのが特徴で、コーナーワークが上手いということで小回りのローカルコースにも向くと考える。また産駒は道悪で馬場が悪くなっても好走可能なタイプが多く、10年オークス(=やや重)などからも馬場が渋って距離延長なら好走しやすい特徴を有している。また今回の本馬もそうだが、体力はあり、リフレッシュ効果が大きく、鮮度の活かせる休み明けで立ち直る馬が多い傾向にもある。今回この点を軽視してしまった点は反省します。母父Candy Stripesはブラッシンググルーム系で、器用さや一瞬の脚が求められる条件戦よりも、底力が要求される重賞に向いた本格派血統。条件戦にて惜敗を繰り返していても、大一番の重賞などでいきなり通用したりする爆発力を秘めている。距離適性は様々だが、1600m~2400mが守備範囲で、断然芝向き中長距離血統。重賞挑戦などで相手強化はプラス要因となる。
No.〔6〕の牝系は、直線の長いコース向きで、ハイペースの消耗戦に強い牝系。厳冬期や真夏などシーズンオフに強い特性をもつ。成長能力は早い時期から走るのだが、詰め甘にて人気を背負うと脆い傾向がある。3歳クラシックでは脇役の方が良い仕事をし、古馬になり本格化する。分枝記号aは、気性的には素直な産駒が多いが父親よりはスケールが小さくなる傾向。

4着ブエナビスタは、前走宝塚記念2着(=阪神芝2200m:0.2秒差)からの好走。10年天皇賞秋1着馬で、その後10年JC2着(=東京芝2400m:1着好走後降着で2着)→10年有馬記念2着(=中山芝2500m:0.0秒差)→ヴィクトリアM2着(=東京芝1600m:0.0秒差)→宝塚記念2着(=阪神芝2200m:0.2秒差)と国内GⅠも連続好走中。そのため今回も人気でしたが結果4着。「競走馬が最高の能力を維持できる期間は短い」ということが基本の「老馬の法則」の、前年好走馬が翌年同じレースで同じように好走することは難しいという内容を証明した結果に。東京芝コースは(3-2-0-0)で、芝2000m戦は(1-1-1-0)と相性は良い馬でしたが、昨年好走馬でもやはり着順は悪くなりやすいということで、次走JCも反撃を期待して評価されるようなら評価は下げたいと思います。
スペャルウィーク産駒はスタミナ型サンデーサイレンス系で、本来はエンジンの掛かりが悪く末脚が不発に終わることも多いのが産駒の特徴なのだが、本馬は33秒台~34秒台の末脚を連発していて性能の良いエンジンを積んでいる様子。母父Caerleonは、種牡馬の持ち味を活かしつつ持続するスピードや豊富な成長力を伝える能力に優れている。現在は差し一辺倒ではなく、先行して押し切れる自在性も兼ね備え、イメージとしてはダイワスカーレットMk-Ⅱ。
No.〔16〕の牝系は、早い時期から走るのだが3歳秋以降に本格化する成長力があり、また叩き良化型のステイヤー特性がある。そのため距離延長で本領発揮のタイプが多い牝系。分枝記号cは、開幕週・最終週や重馬場での持久力勝負に強い傾向。今回僅差好走にて状態は良くなると思いますが、次走は「老馬の法則」からは中心には据えられない馬と考えます。

5着トゥザグローリーは、前走宝塚記念13着(=阪神芝2200m:1.7秒差)からの好走。東京芝コースは(0-2-0-1)で、芝2000m戦は(1-1-0-0)と相性は良い馬でした。
キングカメハメハ産駒はミスプロ系だが、凱旋門賞での好走も多いキングマンボ系で欧州型の要素を兼ね備えている。格の高いレースでの究極のスピード競馬になると本領を発揮し、厳しい展開ほど持ち前の底力を活かす。ダンシングブレーヴ系に近い特性と考える。母父サンデーサイレンスは、前走の勢いをそのまま活かして好走することの多い特性がある。瞬発力を武器に上がり特化のレースで強く、勢いのあるときには重賞挑戦はプラス要因。今回は休み明けで、得意の距離へと鮮度を活かしての好走でした。
No.〔9〕の牝系は、早い時期から好走できるが本格化前までは詰め甘なところがある牝系。小回りコースは鬼門で、広いコース変わりはプラス要因。3歳秋以降は本格化が始まり、堅実に走るタイプとなる。分枝記号fは、休養明けは苦にしない反面叩いて一変が少ないタイプ。

6着エイシンフラッシュは、前走宝塚記念3着(=阪神芝2200m:0.2秒差)からの好走。今回は前走から約4か月の休み明けだったが、休み明けは(1-1-2-0)とそれほど苦にしているわけではなかったが、今回の流れでは前に位置してしまってはチャンスはなかったと考えるそれでも大崩れせずに6着に踏みとどまったことを評価したい。東京芝コースは(1-0-0-1)で、芝2000m戦は(3-0-2-0)と能力を出すには絶好の舞台だったので、残念でしたが次走JCでの反撃に期待する。
King's Best産駒はキングマンボ系で、全体的なスピードを武器に距離は問わず淀みないペース向きの自力勝負血統。キングマンボ系なので2歳戦から走れる仕上がりの早さを持ち合わせるが、3歳春クラシックシーズンまでは詰めの甘い点がある。ダービー時期は実が入る時期でもあり、それ以降に本格化を始め成長力は十分。キングマンボ系は、レコード決着のようなスピード競馬にも対応可能な上、道悪馬場も得意な進化系。距離の融通性も持ち合わせている。母父Platiniはハンプトン系で、重厚なドイツ血統でのスタミナ型のタイプ。ハンプトン系はスタミナの鬼。肉体的にも精神的にもタフで、2400mに強いが、マイラーも排出。使われながら成長し、一度強くなるとその能力を維持して安定する。
No.〔8〕の牝系は、早い時期から走るが人気を背負うと少し信頼性に欠ける点がある。小回りコースよりは広いコース向き。3歳春シーズンよりも秋シーズンに期待が出来る成長力を秘めた牝系で古馬にて本格化する。また叩き良化型が多い。分枝記号aは、気性的には素直な産駒が多いが父親よりはスケールが小さくなる傾向。

あらためて、天皇賞秋のポイントは、
①流れは『加速』か『一貫』になりやすい。流れで好走馬のタイプが変わり、『加速』はキレ重視のタイプが好走しやすく、『一貫』は中距離持続型のスペシャリストが好走しやすい。
②基本はサンデーサイレンス系のGⅠ。1000m通過時が1分をこえるならサンデーサイレンス系向きの流れ。1分以内ならトニービン系、レッドゴッド系など大系統ナスルーラ系が好走しやすい流れ。ノーザンテースト系も相性は良い。
③No.〔3〕〔4〕〔8〕〔9〕の牝系が好走馬多し。
④毎日王冠好走馬を中心に。
⑤宝塚記念好走馬も休み明けでも好走率高し。
⑥3歳牝馬は鮮度を活かしての好走が可能。基本3歳馬は鮮度が活かせるかを重視すること。
⑦「老馬の法則」が活きやすい。


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