ヴィクトリアM2012予想
昨年は特殊なハイペース、今年は?

KUROSHIMA
08期 予想歴17年

◎マイネイサベル
  6着/10人気

○オールザットジャズ16着/2人
▲ドナウブルー2着/7人
△アパパネ5着/1人
×フミノイマージン
×マルセリーナ


 昨年のローズSでホエールキャプチャに最速の上がりでクビ差2着まで迫ったマイネイサベル。詰め切れないレースが続いているが、新潟2歳Sの勝ち馬で、本質的にも直線が長めの設定でマイル戦というのが条件的にもベスト。内目の枠なら脚もうまくたまりそうな予感もある。対戦相手の比較から劣勢は否定しないが、コースや距離に好感が持てる今回は一発に期待したい。

 オールザットジャズはマイル戦への対応がカギだが、中山牝馬Sと福島牝馬Sの内容から脚質に幅もあり、広いコースで能力を出せることは条件時代の新潟外回りへの適性で証明済み。今回は前半の流れがあまり速くならないと思われるので、ある程度の位置取りで流れに乗れることが好走条件か。

 京都専用機とも噂されるドナウブルーだが、左回り・東京は未経験。京都以外で成績が振るわないのは急坂が原因とも思われるが、見方を変えれば東京でパンパンの良馬場なら意外とこなせるかもしれない。中山牝馬Sも敗因は急坂以上に雨で荒れた馬場とも。輸送後の馬体重と京都牝馬S勝ちの恵量がネックだが、鞍上はウィリアムスと同時に魅力もある。いかにもな単穴候補。

 前哨戦敗退で本番は好走、アパパネには一種独特のローテみたいな流れがあるのは確か。そういった観点からは前走の凡走は気にしなくても良いという見方もできる。あとは5歳で昨年までの勢いを維持できているか。昨年はハイペースの地力勝負だったが、今年上がり勝負の瞬発力比べになるとちょっと怪しい気もしなくはない。

 穴人気のフミノイマージンは乗り替りが不可解だが、それ以前にマイル戦だと流れに乗るのに若干忙しさが付きまとう。決め手は鋭いが前半に置かれてしまっては、いくら直線の長い東京でも果たして挽回が利くかと言われると疑問が。

 マルセリーナは内枠で脚をためられそうなのは良いが、そう器用な競馬ができるタイプでもなく、決め手を引き出すには位置取りが得てして極端になりがち。結果かつてオークスを取りこぼしたと言っても過言ではない。東京が向き不向き以前に、うまく立ち回れないとどうか。


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ヴィクトリアM2012回顧
マイラー決定戦らしい決着に

KUROSHIMA
08期 予想歴17年

次走狙い:ドナウブルー
次走狙い:マイネイサベル
次走危険:マルセリーナ
次走危険:アパパネ


 好位からレースを運んだ2頭による決着。上位2頭の位置取りだけで判断するとなんとなく単調な前残りにも見えるが、快調に逃げたクィーンズバーンや好位追走のエーシンハーバーはラストで失速しており、マイル前後半のラップでほとんど差がなく終始淀みなくレースが進んだことを考えると、脚質や展開による有利不利など案外さほど無かったように映った。つまり、本質的にマイラーと呼ぶに相応しい馬同士であっさりと上位決着をみた、というのがこのレースの評価とみて良いだろう。

 なかでも勝ったホエールキャプチャは、推進力と持続力に富んだそのスピード能力がいかにもクロフネ産駒らしい。今回の勝利でこの馬の距離適性が本質的にマイラーであることも改めて再認識できた。マイラーとしては決して瞬発力に秀でている部類ではないのだが、そこは仕掛けを僅かだけ遅らせた鞍上の細心を払った好騎乗とこの馬の本質に対する判断が実に絶妙だった。

 2着ドナウブルーは勝ち馬とは対照的に、同じマイラーでもディープ産駒らしく瞬発力の勝ったタイプで、スピードの持続力では勝ち馬に少しだけ劣った、という風にも映った。また、今回はラップそのものが淀みなく流れ、その分要求される能力も「持続力>瞬発力」となったことが上位2頭の明暗を分けたとも思う。しかし、輸送をクリアしつつ京都以外の競馬場で大きな結果を残したのが何よりの収穫。マイル前後で軽めの馬場設定なら能力を出せることも分かった。そして、馬の能力を余さずにキッチリ搾り出すウィリアムスの仕事ぶりには毎度ただ感服するのみ。

 昨年の桜花賞馬マルセリーナは、メンバー最速の上がりで3着に突っ込んだが、上位2頭を脅かすまでには至らず。予想段階で懸念した通り、ある程度以上に位置取りを下げて脚をためないことには今回のような派手な末脚を使えない。マイラー適性は確かでも、末脚一手になりがちな現状も事実。阪神牝馬Sと同様に前の馬を捕まえ切れずに終わる可能性が今後もチラホラ。

 キョウワジャンヌはレースの上がり3Fだけに着目するなら、本来もう少しスローで際立った瞬発力勝負になるか、反対に中盤からペースアップで上がりを要する展開になったほうがもっと良さを出せるはず。その点今回の流れで4着ならむしろ善戦の部類。ただ、好枠の影響も少なからずあった。

 昨年ハイペースを好タイムで差し切ったしんどい競馬を考えると、今年のほうが競馬としては体力的にまだ楽と思えたはずアパパネだが5着まで。今回大きく崩れていないとはいえ、雰囲気は確実に齢を重ねている印象。復調パフォーマンスが見えない現状では、去年以上の上積みを考えるのは難しい。

 予想で本命に据えていたマイネイサベルは直線これからという場面に前が塞がりジ・エンド。うまく抜け出したところで勝つまでどうかだが、盛り返した感触から少なくとも3着は十分あって不思議はなかった。一連の成績からどうも運のない1頭だが、東京でマイル前後の重賞になればまだまだチャンスはあっていい。

 フミノイマージン、オールザットジャズは2頭ともマイル戦だとペース的に忙しさが先行することを再確認。GⅠを抜きにして軽めの馬場で高速決着という条件もまた双方に不得手だった。ただ、大敗はそれだけ条件が合わなかった裏返しでもある。次走以降で距離延長やタフな馬場コンディションといった条件下で今回と真逆の競馬になると、案外簡単に巻き返すかもしれない。


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