10期 予想歴15年
◎トゥザグローリー
1着/2人気
○ナカヤマナイト4着/4人
▲ダンツホウテイ9着/7人
【最終予想】
トゥザグローリーは有馬記念でも見せたように、トップスピードがとにかく速い。勝負所での動き出しの良さが際立っている馬で、かつ4F戦ぐらいまでならそれを衰えさせることなく持続できる能力を持つ。GIIというか、前哨戦で強いのは、この能力を平均的なスピードで相殺されないからだと思う。崩れたJCはウインバリアシオンが早めに仕掛けて苦しいラップになった、天皇賞はペースが早すぎた。宝塚も天皇賞も基本的にこのトップスピードを活かせない展開で脚を使い切ってしまったから惨敗したと考えるのが妥当で、究極のバテ差破壊力をもつルーラーシップとは対を成す正反対の馬だという認識。つまりペースが上がらない競馬で、トップスピードを活かせる舞台なら戦える。それに有馬でも見せたようにコーナリングも問題ないので内回りはむしろ歓迎。前走は重馬場でこの持ち味を一切出せなかったし、そもそも後ろ過ぎで大外ぶん回し。内を回した馬ばかり上位で気にしなくていい。ショウナンマイティや劣化アーネストリー程度ならまとめてトップスピードで面倒見れる。
〇ナカヤマナイトは持続型なのはディセンバーS見ても明らかで、どちらかというと本番タイプではあると思うのだが、今回は追い切りの出来が良く見えたことと、軽い馬場の方が良い馬、更に前走よりは流石に流れるだろうという希望的観測も込めて、この相手なら十分やれると見た。AJCCの内容はかなり強い競馬だったし、積極的に押し上げるような競馬ができれば。勝ちきるならトゥザグローリーより先に直線に向かいたい。
△ダンツホウテイはこの枠なので行き切って先行できるというのが武器。この馬も軽い馬場なら二の脚で速い上がりを使えるタイプ。それでも本質的にはタフな緩急のない競馬向きで、今回は自分でレースを作れそうという点では大きい。今の内が止まらない馬場を考えれても先行力は大きな魅力。
ショウナンマイティは前走重い馬場で究極の瞬発力勝負。ここで急加速した内の馬がばててL1で外から強襲してきただけなので、見た目は派手でもそこまで評価はできない。スタミナ的なものより、スピード的なもので、ペースが上がって良いタイプではないので、内回り2000の高速馬場では狙いづらい。
【展望】
ころころと時期と条件が良く変わる鳴尾記念ではあるが、今年から宝塚記念の前哨戦という位置づけに。それに伴い、1800mから再び2000mに戻った。そして、その通りに、宝塚記念へ向けての有力馬が集まった。有馬記念2年連続善戦馬を筆頭に、大阪杯勝ち馬、宝塚記念馬、そして今年のローカル戦線で復活を遂げた馬など、近走冴えない実績馬VS今年に調子を上げてきた馬の戦いとなりそう。前哨戦という位置づけも加えて、どちらが優位に競馬を進めていけるか。
中心は有馬記念2年連続3着のトゥザグローリー。ヴィクトワールピサが勝った有馬記念ではヴィクトワールの向こう正面での捲りを見て、ヴィクトワールを目標に番手で3~4角。11.5 - 12.0 - 11.7 - 11.1 - 11.8というラップで最速地点でもしっかりついて行くと、L1のバテでしっかりと伸びてきての3着。ブエナビスタには交わされたものの、ヴィクトワールとの差は詰めていたし、先行力があって、長くいい脚を使えた点は大きい。オルフェーヴルの有馬では、逆に中団で進め、超スローの中12.0 - 11.9 - 11.4 - 11.3 - 11.3というラップ推移を窮屈な馬群の中で進める。直線でオルフェーヴルが突き抜けた後に進路が確保でき、そこからの伸びはオルフェーヴル以上で、かなりの器用さと瞬発力を見せたと言える。加速ラップだけに、勝負どころで置いて行かれたのは明らかに痛かった。この2走からも、末脚勝負なら実力はトップクラスであるということは確かなのだが、前走があまりにも不甲斐ない大惨敗。道悪が影響した可能性も高いが、それ以前に後ろから運びすぎたのと、各馬それなりに仕掛けが早くなったこと、更に上位は内を立ち回った馬ばかりということもあった。あの条件で大外ぶん回しでは苦しかったのだろう。天皇賞秋で見せたように、本来時計勝負にもある程度は対応できる馬で、JCの場合は内が圧倒的有利な馬場状態だったことを考えると0.8差なら着順ほど悪くない。どちらにせよ、この距離ならば言い訳が利かない舞台。これまでの内容からは強敵が揃ったとはいえ1枚以上上手の馬。しっかりとトップスピードとその持続力を引き出せれば。
相手筆頭には宝塚記念馬アーネストリー。阪神2000mなら負けられない…と挑んだ大阪杯でまさかの中団から見せ場もない競馬。ハナを切りたい馬ではないので、出方を見ながら進めたいのは確かだが、12.3 - 11.9 - 11.2 - 12.2のラップであの位置では如何せんどうにもならなかった。この馬のパフォーマンスは宝塚記念で見せたように、スピードの持続力でペースを上げて後方の差し馬の脚を削ってしまうというのが本領。早いペースで引っ張る馬を番手で追走しながらペースを緩めさせない。そのまま勝負どころでじわっとギアを上げて、トップスピード勝負に持ち込ませないことで、ブエナビスタやエイシンフラッシュと言った極上のキレ味を持つ馬を退けてきた。ただ、個人的には気になる点もあって、前走に限らず秋以降、この馬のパフォーマンスがやや低下している印象はある。天皇賞は大外枠で超ハイペースなので度外視しても良いだろうが、オールカマーはこの馬の得意条件ではあったが、超高速馬場で得意の平均ペース。ここでL1が12.3と落としているのが気に食わない。本来なら圧勝できるラップ推移で相手関係からも不満。もちろん6Fのロンスパ戦で先行馬にはある程度辛い展開ではあったが、かなり早い時計が出ていた中と、宝塚のパフォーマンスとで比較すると難しい。この馬の場合はただ単に平均ペース向きというだけでなく、本来ある程度速い脚を使える馬だけに、マイペースで逃げて沈んだ有馬記念や前走の反応負けという点も気がかりで、ロベルト系特有のスランプである可能性もある。これまで見せてきたパフォーマンスは相当高く、近走は不甲斐ないが、出来さえ戻って来ればという所だろう。それに高速馬場向きの馬でもあるので、前走のタフな馬場では推進するのに苦労したという可能性もある。とにかく宝塚記念へ向けて、ここは恥ずかしいレースは出来ないだけの条件が揃ったはず。
3番手には大阪杯で大外一気の凄い脚を決めてきたショウナンマイティ。前走は道悪が残ってタフな馬場だったこともあり、12.3 - 11.9 - 11.2 - 12.2とL2最速11.2からL1が大きく落ち込む競馬。3~4角で中目から出口で大外に持ち出し勢いに乗せると、そこからはトップスピードが違った。L2の地点でもしっかりと伸びてきていて、L1で前がばてると一気にグングン伸びてまとめて差し切った。これまであと少しが届かなかったのが嘘のような鮮やかな差し切り勝ちではあったが、ペースも上がらずに後方をちんたら追走できたこともこれだけの脚を使えたことの一つの要因だろう。末脚は良いものを持っているが、やはり課題は追走力。切れる脚は使えるし、持続力もあるが、トップスピードが特別に秀でているというわけではなかった。L1が落ち込まないと伸びきれないタイプでそういう意味でも近走の阪神という舞台がベストマッチしていた可能性は高い。青葉賞では積極的に外から押し上げて終い落としているし、菊花賞ではなだれ込んだだけ。神戸新聞杯でもトップスピードで上位に見劣った。路線を中距離に戻してパフォーマンスを上げてきたことも考えると本質的に距離が長かった可能性もある。今回は大阪杯と同じ舞台だが、これまでの夏の阪神の傾向からも高速化する可能性が高い。こうなってくると、追走力が課題となってきそう。前走のように超スローからキレ味とL1の落ち込みという内容から、平均的なラップを刻まれたときの不安は少なからずある。それでも昨年の鳴尾記念では平均ペースでも関係なく終い最後まで伸びていたことは考慮。内回り2000だと勝手は変わってくるので難しいところだ。相手も実力を発揮してくれば怖い馬が揃った。宝塚記念へ向けて、というより安田記念目標が除外でここという感じだが、それならばむしろ勝負気配という点では怖い。
4番手には近走松山弘平の手によって蘇った実力馬スマートギア。前走新潟大賞典では伸びきれなかったのは気がかりだが、中日新聞杯ではエーシンジーラインが12.0 - 11.9 - 12.2 - 11.4 - 12.1と5Fから勝負してきたロンスパ戦の流れの中で突き抜けたように、基本的にはスピードの持続力こそが武器。鳴尾記念ではショウナンマイティに完敗しているものの、上がり勝負になってしまったのも大きい。松山に替わって何が大きいかというと、とにかく中団で運べるようになったということ。以前はほぼ最後方からの競馬で、脚を出し切れない、キレ負けというようなことばかりだった。この点に関しては松山は上手く馬の能力を引き出せていると思うし、もともとの素質という点では京都大賞典で得意条件のオウケンブルースリに匹敵するほどのもの。阪神ではややパフォーマンスが落ちる馬ではあるが、基本的に外回りでダメなケースが多く、ある程度平均的な競馬になって来ればこの条件でもと思わせる馬。とにかくキレ負けだけが最大の課題なので、あまり緩急がつかない競馬が理想。その点でも平均ペースか、序盤からスローのまま徐々にペースアップしていく阪神2000は案外良さそうだ。高速馬場で上手くペースが上がってギアを上げた状態で直線を迎えればしぶとさはここでも戦えるだけに。
トーセンラーが巻き返したいところだが、近走があまりに不甲斐ない。新潟大賞典では持ち味のキレ味を平均ペースで削がれたか、全く引き出せず。京都記念でもトレイルブレイザーの早仕掛けでロンスパ戦となったが伸びきれず。ここでは4角で少し不利があったのは確かで、今年に入ってからはこれが一番のパフォーマンス。日経賞では外から押し上げることもできないまま大惨敗。トップスピードを活かすタイプだけに、まず軽い馬場は必須だと思うので、ここ2走はある程度無視してもいいかと思われる。特に序盤の新潟は割と時計が掛かっていたし、外回りでも33秒台を出す馬があまり出なかった。大阪杯でも軽い馬場になればとは思うが、代わりにペースが上がりやすくなるという点では不安材料。菊花賞、セントライト記念の内容からも決してハイペースがダメとは思わないが、持ち味のトップスピードを活かせないとなると、この馬の魅力は半減する。ただ同時にやはり近走の内容で人気は下げてくることが予想され、馬券の取捨としては難しいところだろう。
ディセンバーSでロンスパ戦を圧勝したのがナカヤマナイト。AJCCでは後にクイーンエリザベス2世Cで圧勝したルーラーシップに完敗。しかし、持続力の化け物ルーラーシップを抜きにしてみれば完勝の内容で、それも勝負所での脚色は決してルーラーに引けを取らなかった。この辺りは流石。前走の大阪杯では勝負どころで内を追走しており、12.3 - 11.9 - 11.2 - 12.2と最速地点でやはりスムーズな加速がしにくかったというのも大きい。持続力勝負ならここでも通用するものを見せているし、相手関係を考えても高速馬場でペースが上がりやすくタフな持続戦になりやすそうな条件の方が良いだろう。4~5F戦になってくれば。
近走の内容で不気味さ漂うダンツホウテイ。この馬はスッと切れる脚がない分、長くいい脚を使える馬の1頭。そして、マンハッタンカフェ産駒でも、高速馬場の持続戦で持ち味を出してくるタイプの馬で、メイSのように4F戦、L3最速で脚を出し切る競馬で抜け出したり、平均ペースの大阪城Sで好位から抜け出したりと、極端な瞬発力を問われなければ力は上位の馬。実際近走で崩れたのはL2で急激なペースアップを要求されている大阪杯だけ。今回も同じような展開なら辛いが、この馬は自在に立ち回れるスピードも本来はある。近走の安定感と、自在性は今回の逃げ馬不在という舞台ではプラスに働く可能性が高い。スマートギアと仲良く一進一退しているが、条件的にはこちらも引けを取らないはず。
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