10期 予想歴15年
◎リトルブリッジ
10着/5人気
○カレンチャン2着/1人
△フィフスペトル11着/12人
【予想】
天気が分からないのでできるだけ粘ったけど、とりあえず持ちそうと判断。悪くとも直前に雨が降ってのヤヤオモぐらいかなと。恐らく展開的にはパドトロワが引っ張るペースになるのではないかと予測。マジンが行き切る可能性もあるが、福永に替わって消極的に番手のポケットで満足する可能性は高い。そうなるとペースはせいぜい去年ぐらい。馬場を考えれば平均的な競馬になることも覚悟はしておく必要はありそう。かなり難しい予想が強いられる。
◎リトルブリッジは力を信じる。香港スプリントは平均ペースで、コーナーで押し上げた馬がそのままの勢いで押し切る競馬だった。そのコーナーで進路がなく押し上げられなかったのがこの馬。そのあともジリジリと伸びてはいたので、スピードに乗せていいタイプだと思う。キングズスタンドSでもラストにグンと伸びていたし、2走前のスプリントCでも番手から序盤は伸びなかったが、ラストでグンと伸びて前を捕え、後ろは寄せ付けなかった。基本的にはL1でしぶといタイプだと思うので、中山1200適性はある。高速決着にも香港で1:08.6の時計、1000mでは55.9と高い水準。純粋なスプリント戦になればこの馬の良さが出てきそう。テンはそこまで速くないので、序盤どこにつけるかがポイントだが、ラッキーナインよりは前で競馬ができる馬だし、この枠ならばポケットを確保するのもそう難しくはなさそう。ただ、内ポケットに入ると、前にマジンプロスパーがいて、高速1200ではスピード不足で要所で壁ができる可能性があるのは怖い。ここをうまく捌けるかどうか。下り坂でスピードに乗って要所さえ上手く捌ければ。多分パートン騎手とのほうが相性がいいと思うので、そのあたりに期待。
〇カレンチャンは昨年同様にパドトロワが引っ張るペースならばまず崩れないだろう。昨年同様本番では少し後ろ目から競馬をしてくると思うし、この馬の場合は平均ペースでも鋭い脚を使えるというオプションがあるし、前傾ラップでもかなり強い。外枠はあまり歓迎できないにせよ、この枠なら脚は出し切れるし、どういう展開になっても不安が小さい。前走は前にかなり厳しい阪神1200の前傾ラップで、唯一マジンプロスパーに追走していった。あれで0.1差は強いとしか言いようがない。中山1200mならばこの馬の抜群の安定感で。対海外馬に対しても、香港スプリントで日本馬としては恐らく唯一力負けしていない内容だった。要所でポジションを落とさなければかなり際どい戦いになっていたはずだと思っていて、勝ち馬がラッキーナインという所からも、皆が思っている以上に力関係でも負けていないはず。ホームで中山1200ならば負けられないところ。
△フィフスペトルは昨年スプリンターズSでうまく捌けなかった組の中で一番地味。ラッキーナインが分かりやすく詰まったのもあるが、この馬も馬群の中で要所で捌けずに外の各馬に出し抜かれる形となった。それでもL1ではジリジリ伸びてきていた。今回は相手関係も強敵だが、内枠を引けたというのは大きなアドバンテージ。マジンプロスパーの直後、好位ぐらいでうまく捌ければ、十分戦える。特にマイルCSの道悪実績や、超高速馬場中山の京成杯AHで31秒台を出したりと、適性が幅広い。その中でも本質的にはスピード持続戦向きの馬。流れに乗っての一発は警戒しておくべき。
ロードカナロアは一応高いレベルでスピード持続戦に結果を出してきたとはいえ、前走は内をうまく立ち回った。今回は大外枠で勝ちに行くなら積極的な競馬をしないといけないが、そうなると終いは少し甘くなるし、今回は相手も強敵。半端に拾うぐらいなら消したい。
エピセアロームは消したけど来てもおかしくない馬。カレンチャンをマークしてその後方から進める作戦だと思うが、極端な前傾ラップにはならないと思うので、要所で外を回されるとポジションを落としそう。この馬はトップスピード型というよりは究極的には高いスピード持続力でL1バテ差し型だと思うので。ちょっと枠が外すぎるなあという印象。
ドリームバレンチノは適性的には面白いけど、前走はバッチリ嵌った展開だったのに一切伸びなかった点が気がかりでしょうがない。追い切りは悪くないと思うし、来ても不思議はないけど、函館SSはロードをうまく出し抜いた形で、力的に通用のめどは立ってない。難しいところ。
ダッシャーゴーゴーは一瞬しか脚がないので、スピードが問われる中山1200はそもそも不向きだし、外枠過ぎて勝つには動かないといけないという点は辛い。内枠ならなあというところ。
スプリングサンダーはこんなパンパンの良馬場ではスピード不足で辛い。道悪で渋ってくれれば急浮上すべき馬だけど。追い切りは良かったし、出来は良いはずなんだけど、もう少しいい位置取りを確保できないと辛かった。今回は外からポジションを上げていく馬が多いので、ポジションを前につけるのはつらいし、一か八か最後方ぐらいまで下げて、最内を突くしかないかなあ。
サンカルロは条件は良いけど、今回内枠に好位で競馬をする馬が多く、内が窮屈になるかもしれないので、サンカルロのポジションからだとちょっと苦しい競馬になりそう。ここ2走は追走しすぎて負けたし、本質的にスプリンターではないのでこの馬場で分かりやすいスプリント戦になると伸びる保証もない。昨年がイマイチだったし。
【展望】
いよいよ秋のGI戦線の開幕を告げる電撃スプリント戦、スプリンターズSが今週の日曜日に行われる。その前哨戦となったセントウルSでは前哨戦の位置づけとは思えないほどの激しい戦いとなり、その上位が今回も中心となる様相だ。ただし、新興勢力かなり台頭してきた中に、過去の実績馬も数多く、予想は一筋縄ではいかなそうだ。秋春スプリントGI連覇で、スプリントGI3連覇を目指す女傑を筆頭に、GI戦線で実績のある馬から今年の短距離重賞を沸かせてきた強者たち。まず前半は、このレースの中心を担うであろう有力馬たちから分析したい。
不動の中心はディフェンディングチャンピオンにしてスプリントGI連覇中のカレンチャン。前哨戦のセントウルSでは56kgという斤量に休み明け、更に阪神1200mでは珍しい前傾ラップを強気に番手で構えての内容。終いこそ甘くなったものの、休み明けということを考えれば内容は悪くない。それに思ったよりマジンプロスパーの行きっぷりが悪かったのもあり、外の番手というポジションを確保しきるために突いたらペースが上がったというような感じ。もともと今年のオーシャンSでも休み明けで少し甘くなったりしているし、過去を見ても基本的には叩き良化型だけに、前走の4着という字面を悲観的にみる必要はなさそうだ。香港Sでは23.6-22.3-23.1(小数点第2位切り捨て)のラップ推移で好位から競馬したのだが、ペースが上がらないのに動かなかったので、外から捲られて進路を塞がれた。結果直線の入りで一旦ブレーキをかける形となり、その間にラッキーナインなどをはじめ、各馬に交わされている。そこから盛り返しての5着だけ力負けではなく騎乗ミスだろう。ラストもあまり落ちていない感じなので、あそこでポジションを下げたのは致命的だった。さて、今回は昨年と比べると相手関係が少し変わってきている。昨年の2着馬パドトロワは夏に台頭し、しっかりと力をつけてきたが、マジンプロスパーやドリームバレンチノ、ロードカナロアといった実力馬も伸し上ってきた。更に昨年の中心だった馬たちまで逆襲の時を待っており、カレンチャンと言えども今回ばかりは強敵揃いにどこまで横綱競馬を貫けるかという点が焦点となりそう。ただし、昨年は前傾ラップで捻じ伏せるというよりは、どちらかというと平均的な競馬になっていて、11.2 - 11.5 - 11.7のラップで序盤からしっかり伸びを見せていたところからも、中山1200mならどんな競馬になってもそう大きな不安はなさそう。前走の厳しい展開でもあの相手で4着。大きく崩れるようなことは考えにくいだろう。香港Sのよう要所で進路を確保できないような事態にならなければ、まず好勝負できるはずだ。
相手筆頭には香港Sでカレンチャンを撃破しているラッキーナインだ。日本でもセントウルS2着、スプリンターズS5着とそれなりの実績はあるし、海外3頭の中では知名度では図抜けた存在と言える。ただ、スプリンターズSでは昨年馬券圏外となっていて、それの是非をもう一度見直したい。このレースでは番手のポケットと絶好の位置から直線最内を突いたがパドトロワに斜行されてしまい進路を塞がれた。結果的にそこから伸びを見せることはできなかったが、あそこでブレーキを掛けられたのは致命的だっただろう。その点で、5着という着順以上の評価は必要だろう。少なくともかなり楽に先行争いができていて、スピード面では疑う余地はない。そしてカレンチャンを破った香港スプリントでは中団からの競馬。3~4角外目から一気に押し上げて直線で前2頭を競り落とすと言った内容だった。23.6-22.3-23.1(小数点第2位切り捨て)のラップ推移で、一応一番速かったところで外から押し上げている形とみていい。このレースは香港のスプリント戦の割にはペースが上がりきらずに、割とフラットな競馬になった。その中で前半脚を使わずに後半で緩い地点から速い地点に向かって一足早く加速して捲った形ともいえそう。こういった競馬で世界最高峰のスプリント戦に結果を残したわけなので、本質的には純然たるスプリンターというような印象はない。むしろ、控えて後半勝負に賭けた方が良いような印象を受けた。昨年スプリンターズは内枠で前を意識したら思ったよりも楽に前に取り付けたのもあったのだろうが、むしろセントウルSで見せた11.3 - 11.0 - 12.1の最速地点で窮屈ながらも置かれずにL1で伸びてきた形の方が、この馬の良さを発揮できそう。今回はカレンチャンを目標に競馬ができる立場だし、昨年のような不利を受けなければ十分逆転できる。とはいえ、カレンチャンに香港Sで勝ったとはいえ、カレンチャンが全力を出し切った競馬をしたわけではない。昨年のスプリンターズSの内容も、不利が大きかったのは確かだが、あのカレンチャンに勝ち切れたとも思わない。それに加えて今回は調整過程に疑問もある。能力はカレンチャンと伍するとみて良いだけに、状態がどうかは非常に気になるところ。香港馬の底力をどう見るか。
3番手にはもはや押しも押されもせぬ、打倒カレンチャン国内筆頭のロードカナロア。前走はカレンチャンを見る形で横綱競馬。先に先頭に立ったカレンチャンを楽に捕えて交わしてしまうパフォーマンスで能力の高さを証明したが、エピセアロームの強襲を受けて惜しい2着となった。これこそ負けて強しの典型例と言える。高松宮記念では重い馬場でタフなスピードを問われたが、大崩れしなかった。前走は軽い馬場でタフな競馬になったが、ここでカレンチャンに逆転した。今回は斤量差がカレンチャンは-1kgに対してこちらは+1kgと2kgになる。この辺りを含めると、前走の0.1秒差がどうなるかは見もの。函館SSではタフな馬場でドリームバレンチノに完敗という形だが、11.9 - 11.4 - 11.8のラップで内ポケットで進路がなく、捌いている間に外からドリームバレンチノに交わされてしまった形。進路を作ってからはしっかり伸びてきたが、明らかにワンテンポ遅れた仕掛けのミス。この敗戦は気にする必要はないだろう。それにロードバレンチノ自体もそれなりの実力馬であることは疑う余地もないので。前走でペースが上がった時に対応してきたこと、要所での脚の良さはこの路線でも屈指であることは証明できた。ただ、それでも中山の1200mは完全なる前傾ラップになる可能性が中央1200mで最も高いコース。それだけに、その実績がないというのは上位馬に比べると不安材料といえそう。それでも前走の内容なら、十分戦えるはずだ。持ち味がトップスピードであることは間違いないが、幅広さを見せてきた今なら、良質なスピード持続戦になっても。
4番手には完全に本格化したパドトロワ。個人的には春雷S以降の3戦は騎乗面で恵まれなかったと思っている。春雷Sでは中山1200とは思えないほどタルイ競馬で11.4 - 11.3 - 11.3のラップ推移。内で詰まって競馬にならなかった。福島民友Cでは圧倒的に内伸び馬場と化していて、かつこれまでとは一変して高速化。番手から競馬したが、終始外目で勝ち馬のキレ味に屈した形。ラップ推移も11.3 - 11.2 - 11.5とこんな感じなのでこの馬の良さは出なかった。この馬の良さと言えば、完全な前傾ラップでのしぶとさ。それに、ハナを切ってこその馬で、自分のペースに持ちこんでしまえば、確実に良さを引き出せる馬。前走はちょっと特殊だが、積極的にハナに行った結果、想像以上に馬場が軽くて、11.5 - 11.3 - 11.3のラップになってしまい、最後はダッシャーにキレ負けしかけたが、仕掛けが遅れた分助かったという感じ。いずれにせよ前に行ってリードをキープして押し切る競馬がこの馬には合っていて、それも前傾ラップでタフな競馬でより持ち味を発揮できる。昨年のスプリンターズSやキーンランドCで結果的に強敵相手に強い競馬。高速馬場適性も高い。一にも二にも先手を主張できるかだが、今回は同型がマジンプロスパーぐらいで、マジンはそこまでテンが速くない。もちろんパドトロワもテンの速さにはやや難がある馬であることは間違いないので、しっかりハナを取りきってしまいたいところ。能力を出し切れさえすれば、充実の今なら再度好勝負以上を期待しても良いのではないか。
実力馬から、個人的には一番買い時だと思えるのがダッシャーゴーゴー。ここ数走は明らかに展開不向きだった。もともとタフな馬場での競馬は苦手で、一瞬のトップスピードがこの馬の身上。ベストバウトは悲しいかな2位降着のスプリンターズS。11.2 - 11.1 - 11.8と、中山にしては珍しくL2最速でトップスピードを比較的問われた展開の中、最内からスルスルと伸びてきてL1で勝利まであとわずかのハナ差まで詰め寄ったが進路妨害で降着となった。こういったトップスピード戦でこそ良さが出る馬。逆にタフな馬場でスピードがある程度問われると、直近の宮記念、CBC賞でもそうだが、伸びるのは一瞬だけ。過去の実績からも高速馬場向きなのは明らか。そして直近のキーンランドCでは札幌にしては超高速馬場とかなり例外な馬場状態。その中で11.5 - 11.3 - 11.3と減速しない流れの中、進路確保して直線後半で伸びてきたように、トップスピード勝負なら不利な状況を打破できるだけの力の持ち主。前走は直線でしっかりと進路を確保できていれば間違いなく勝っていたレースだった。道中ロスなく乗って、最速地点で鋭い脚を使ってくるタイプなので、出来れば高速馬場で臨みたい。先週の大雨で馬場が緩んだのは間違いないだろうし、これまでの有り得ない超高速馬場からは一線を画した方が良いだろう。当日の馬場状態を確実に把握しておきたい。もちろん、道悪が全くダメというわけではないのだが、確実にトップスピードは相殺されるので。中山1200の道悪で前傾ラップだと苦しい競馬は覚悟しないといけないだろう。
前哨戦のセントウルS勝ち馬エピセアロームも不気味。スプリント界の強敵、カレンチャン、ロードカナロアをまとめて差し切った実力は侮れない。11.0 - 11.2 - 11.9と阪神1200にしては珍しく前傾ラップとなった厳しい競馬であったが、楽に好位につけるだけのスピードを見せることができた点をまず評価。前がペースを作った分、内にできたスペースをうまく使えたという展開面での恩恵は大きかったとは思うが、持続戦で強敵を撃破してきたというのはかなりの自信になったのではないか。特に本番も前傾ラップの持続戦が濃厚な中山1200mという舞台。意外と侮れない存在だろう。北九州記念では外差し馬場で脚を図る意味もあってか後方からの競馬になったが決め手の鋭さを見せた。この2走で時計勝負への対応力、そして序盤のポジショニングと楽に課題をクリアしてきたのだから、GIで好走しても全く驚けない。この世代の牝馬はレベルが非常に高いとみていて、マイルこそこなしてきた感じはあったが、この2走で評価を大きく改める必要はあるだろう。ただ、流石に前走は色々恵まれたし、今回は強敵揃いで前回同様展開面での恩恵は欲しいところ。勝ちに行って押し切れるかどうかは今の段階ではまだちょっと微妙かなと思う。前走でもまだ底を見せていない勝ちっぷりだし、カレンチャンに逆転の一発に賭けるなら、十分魅力的な1頭だろう。壁があった方が良いタイプなのは有名なので、緩みにくい状況というのもあるし、出来れば内目の枠が良いと思うが、馬場状態が変わりつつあるので難しいところ。
スプリングサンダーもここ数走の実績を考えれば当然圏内に入る要素はある。CBC賞ではタフな馬場で淀みない競馬。それで大外から下り坂を利して勢いに乗り、直線でばてた馬たちをまとめて面倒見る形で2着。ダッシャーゴーゴーはハンデ差があったとはいえ破っているし、スプリント路線でそれなりの結果を出したという形になっている。キーンランドCは緩いペースで外から鋭く伸びてきたがポジションで負けた形。この馬の場合は基本的にバテ差し馬なので、前走のように11.5-11.3-11.3であの位置では辛い。それでも早めに仕掛けていた分、要所で置かれなかった形。スローで縦長にもならなかったし、その点で多少は恵まれただろう。本質的にフラットな馬場ではスプリント戦向きではないと思っている。ただし、バテ差し馬なので今の中山の芝の状態は歓迎材料ではなかろうか。スピードに乗ればトップスピードも決して見劣らない馬。実際それは前走で証明済みだろう。L1でジリジリ伸びているということは、一番いい脚を使っていたということ。問題はそれをどの位置から出すか、或いはどこの地点で使うか。中山1200ならペースは前傾ラップになりやすいと思うので、トップスピードに入る地点は前走よりも前になる。そこからの持続戦ならば、当然この馬の食い込みも想定できるということだ。戦ってきた相手はCBC賞やキーンランドCを考えると最上位相手とは未知数というのが正直なところだが、多少時計が掛かれば圏内に加わってくるだけの持続力は持っていて、その点で不気味な馬だろう。
展望の前半はセントウルS上位組をはじめ、実績馬たちを中心に取り上げた。後半はやや評価を落としている実績馬、上がり馬、更に外国馬や一発を警戒すべき馬たちを中心に取り上げたい。
実績馬で鬼脚を持っているサンカルロ。セントウルSでは内枠を引いて序盤から積極的に出していって中団から進めたが、何の不利もなかったのにロスなく立ち回って直線伸びなかった。この馬は序盤に脚を使っていい馬ではないので、京王杯同様、いい位置にこだわった結果持ち味のトップスピードと持続力を削いでしまった形。1200mで中山となると、条件的にはあまりペースが上がらずに、かつロスなく進めるということが条件になってきそう。今年の宮記念2着時はタフな馬場でL1の落ち込みで強襲するこの馬らしさも見せていて、冬場の阪神1400mが得意というイメージそのままにL1の落ち込みで突っ込んでくるイメージは持っておきたい。特に先週の雨で馬場が悪化し、L1の落ち込みが更に大きくなるような展開になれば、一番怖いのはこの馬だろう。2年前のスプリンターズSでは不利はあったが最内をロスなく立ち回れたのは大きいし、高速馬場でペースが上がりきらずに平均気味のペースでは上手く乗らないと上位は難しいだろう。ただ、時計が掛かってL1落ち込むような競馬なら要注意。末脚のしぶとさはメンバー屈指は間違いない。叩き2走目で激変有れば。1200mのGIで好走実績が多いこの馬だけに、前哨戦で負けて人気を大きく落として来れば、積極的に狙っていきたいところだ。
前走セントウルSで逃げの一手も潰されて大惨敗を喫したマジンプロスパー。11着という着順は本格化以来初めてで、大きく崩れてしまったなあという印象。序盤からカレンチャンに競りかけられ、オーバーペースで逃げたこともあるし、前傾ラップだと逃げ馬には苦しい阪神1200mという条件も厳しかった。ただ、このセントウルSでの負けはあまり気にしなくていいという気はする。一つは、以前セントウルSで大惨敗し、本番で勝利した逃げ馬ローレルゲレイロという馬がいる。阪神1200mは3角までの距離が非常に短いトリッキーなコース。マジンプロスパーの場合は二の脚の速さの方が目立つ馬で、かつ高速馬場の1200mは少し短いというのが個人的なイメージ。タフな馬場で結果を残してきた馬でもあり、高速馬場で3角までの距離が短い阪神では器用さで見劣ったと考えるのが良さそう。潰しに来たカレンチャンですら4着なんだから、11着とはいえ0.6差ならそんなに気にする必要はない。ただし、やはり高速馬場でスピード勝負となると、どうしても見劣るところがあるので、先週降った雨の影響がどこまで残るかは結構大きな要素ではなかろうか。タフな馬場でタフな競馬がこの馬の好走条件なので、多少時計が掛かったほうが断然良いだろう。それにスピード持続馬大歓迎の中山1200mという舞台はこの馬にとっては阪神1200と比べると、より好ましい条件に変わるのは間違いない。下り坂でスピードに乗ってそれを維持するという競馬なら逆転の余地は十分に残されている。前走は追い切りでも絶好調時の動きはなかったし、明らかに叩き台の印象だった。追い切りの内容次第なら十分通用するはずだ。鞍上が福永に替わるのは個人的には解せないが。
こちらもセントウルSで結果を残せなかった実績馬エーシンヴァーゴウ。夏は3走してきたが、北九州記念は外差し馬場+殺人ペースで番手から厳しい競馬を強いられた。前走も前2頭を離れた位置から追走したが、伸びで見劣った。開幕週で11.3 - 11.6 - 11.8のラップ、要所で外をまわしたことも多少は影響したかもしれない。それでも、本来得意であるタフなペースでの持続戦で上位に見劣ってしまったというのは、ここではやや買い材料に乏しいと言わざるを得ない。要所ですっと動けるような器用さはあまりなく、番手からしぶとさを活かす競馬でこそ良さを出す馬ではあるが、昨年の出来には及んでいない印象だ。それでも、中山1200に合いそうなタフなスピード持続力と、何より新潟1000mで好勝負できるだけの良質なスピードを持ち合わせている馬。この辺りは警戒しておきたい。前述のマジンプロスパーよりも軽いスピードに勝ったタイプの馬だと思うので、先週に降った雨の影響がどこまで残るのかは気がかりの一つ。ここ2走は外目から強気の競馬で負けているだけに、逆転を願うなら、内でロスなく立ち回ってというのが必要になってくるかもしれない。そのあたりは内田博幸の手腕が問われることになるだろう。いずれにせよ、ここで圏内に入り込むには何か一つは恵まれないと苦しいように感じるが。それぐらいここはメンバーが揃った。
穴どころから警戒すべきなのはフィフスペトル。昨年のスプリンターズSでは3~4角で有力馬が動き出した時に窮屈で動けなかった。L1では意外と伸びてきていて、やや消化不良な競馬になった形。序盤にそれなりの位置で競馬ができていたし、この辺りを見ても1200mへの適性を感じさせる内容だった。マイルCSではヤヤオモ表記以上に時計が掛かる馬場状態。11.9 - 11.8 - 11.6 - 11.9と平均的なスピード持続戦でしぶとく2着に残った形。パンパンの高速馬場、タフな馬場で結果を残せている実力馬。今年はやや強調を欠く内容ではあるのだが、安田記念では後方から自分の脚を使えている点は評価したい。ギアチェンジをあまり得意としておらず、中山マイルの京成杯AHでは11.5 - 11.7 - 11.8 - 11.8のラップで突き抜ける完全に平均的なスピード勝負向き。当然休み明けぶっつけに相手関係は強化されて苦しい一戦であるのは確かだが、昨年のスプリンターズSは決して力負けというわけではないということを覚えておきたい。上手く内枠でも引いて流れに乗れる競馬ができれば波乱の片棒を担ぐこともあるかもしれないぞ。
スプリント路線の注目の1頭だったドリームバレンチノがこの舞台で巻き返したいところ。福島民友Cで見せたトップスピードの高さは衝撃的だった。11.3 - 11.2 - 11.5と落ち込まないラップ推移、Cコースで内有利の高速状態。ここで外から一閃伸びてきた。かなり高いトップスピードを見せていた。それは安土城Sでも証明され、11.4 - 11.4 - 11.2 - 11.4のラップを好位から鋭く伸びた。高速馬場でこの馬の良さであるトップスピードを活かす競馬で結果を出してきたと言える。函館スプリントSではタフな馬場でどうなるかという不安もあったが、11.4 - 11.9 - 11.4 - 11.8のラップ、11.9の緩んだところで楽に外から押し上げて、最速地点で上手くロードカナロアを封じ込めて、直線で突き抜けた。見た目は強烈だったが、内容を考えるとロードカナロアに勝ったとはいえ出し抜いてのものなので、ポテンシャルで通用するだけの目途は立てきれなかったというのが正直なところ。キーンランドCでは高速馬場でトップスピードを要求されるこの馬にはこの上ない展開になっていたのだが、終始外をまわしたとはいえ、要所で全く反応なく終わってしまった。スプリングサンダーは外から伸びてきていたことを考えると、勝ち負けは別として、この馬としての持ち味すら出せずに終わったというのは非常に大きな不安材料だろう。間隔をあけてどこまで立て直せるかがまず一番のポイントだ。その上で、やはり良質なスピードを問われる中山1200がどう出るか、更にタフな馬場になった時に持続力がどこまであるのか。この辺りを乗り越えてこないと苦しい気はする。高速馬場で去年のような展開ならば出番は十分にあると思うのだが。前走から変わってこないと難しい。乗り役は乗りなれた松山に替わり、この辺りは期待できそうだが。
香港馬で1000~1200mで実績を残しているリトルブリッジを。血統背景は父ファルタート、母父ゴールドブロース。ミスプロ系×ハビタット系。5代血統表を眺めても、ミスプロのインブリードがあるだけで、後はかなりマイナーな零細血統で構成されている感じ。まず直線競馬のキングズスタンドSの映像を見たが、番手ぐらいにつけて、後半鞭が入ってゴーサイン。恐らく持久戦になっていると思われるが、後続を突き放して差してきた馬たちとも脚色で見劣らない競馬だった。イギリスのタフな馬場で序盤のスピードと後半の持続力をしっかりと見せた形。かなり強い競馬だった。続いて昨年の香港スプリントを見てみる。出はそれほどでもなかったが、序盤で早いうちに押し上げて4番手のポケット3角。3~4角で進路がなく汲々としている形で2列目馬群の中で直線。序盤で進路もなかったが、開いてからの後半の伸びは微妙で、そのままなだれ込んでの4着。23.6-22.3-23.1(小数点第2位切り捨て)とスプリント戦にしては比較的緩い流れだったと思うし、要所で上手く押し上げた馬が上位にほとんど来ていて、流れに乗れなかったカレンチャンやこの馬があとからジリジリ来ている展開からも、ペースは平均的だったんじゃないかと予想する。特に前半2Fが23.6ってのはかなり遅いし、縦長にならなかった。この馬はキングズスタンドSの内容を見ても純粋なスプリンターだと思うし、ベストは1000mで1200だと綺麗な前傾ラップにならないと苦しいような印象を受けた。その点だけで考えると、日本のとりわけ中山1200mというのは合うのではないか。高速馬場適性に関しては字面だけでは何とも言えないが、1000mで55.9の持ち時計。通用しそうな下地はある。そもそも香港Sでは1番人気だった馬。侮ってはいけないだろう。
もう一頭不気味な雰囲気を醸し出すシンガポールが送り出す刺客キャプテンオブヴィアス。昨年はシンガポールの英雄ロケットマンを送り込んだが返り討ちにあってしまった。その雪辱を果たせるか。血統背景は父ヴェルグラに母父チロル。ヴェルグラの父はハイエストオナーでこれは日本でもそこそこ有名。母系はかなりマイナーだが、父ヴェルグラは主流血統で固められていて、ゼダーン系は日本の馬場でもそれなりに結果を残せているし、セクレトにミスプロ系とまあ対応できそうな気はする。ハイエストオナーはBMSとしてのイメージしかないが、割とスピードに乗ってからが良いイメージがあるので、意外と高速馬場は合うかもしれないなあという気はする。1400mではあるがジャンボジェットトロフィーの映像を分析すると、積極的に押してハナを何とかとりきる形。そのまま突き放して単騎で逃げる。そのまま直線で逃げて突き放しにかかるが、外からスーパーイージーの強襲を受けた形で敗れた。それでも3着馬は千切っている。24.0-11.4-11.6-11.9-11.3-12.3(小数点第2位四捨五入)のラップ推移で、個人的なイメージでは時計が掛かる新潟内1400mでL2突き放した形が一番イメージしやすいかも。直線入りまでに少し緩めて直線で突き放している競馬からも、距離に対応できるタイプのようには感じるが、これでゴリゴリのスプリント戦に対応できるかは分からない。勝ち馬のスーパーイージーという馬は強敵でシンガポールでは結構有名らしいんだけど、この馬にこれほど肉薄できたのは1400mで、実際1200mでは3走前で1秒差の完敗を喫している。個人的には1200mよりもマイルCSに出てきた方がチャンスがあるのではないかと思っているのだが。この血統なので、下り坂で勢いに乗ってというのは良いような気はするし、中山1200mもコース自体は悪くなさそう。ただ、前走でも行き切ってからは良かったがテンが特別速いタイプには見えなかった。好位~中団ぐらいで無理せずに流れに沿って競馬をした方が良い結果が出そう。今回日本馬でゴリゴリの逃げ馬はパドトロワとマジンプロスパーぐらいなので、これを見る形で外目の3番手とかだと面白いかもしれない。いずれにせよ、人気の出方を窺いたい。血統的にもレースぶりからも、条件次第では一発の魅力は秘めている。
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