10期 予想歴15年
◎カラフルブラッサム
5着/7人気
○エイシンラトゥナ16着/9人
▲アユサン7着/4人
△クロフネサプライズ2着/15人
【予想】
展望を書いたときは先週の芝の想定で考えたんだけど、それよりも遥かに時計が掛かってしまっていて、予想外。これを含めて少し予想も修正。展開予想だが、ハナを主張したいのが行くしかないコウエイピース。これに外からディアマイベイビーが絡んでくるが、勝ち切っているのは逃げてのものばかりなので、割としつこくハナを主張するかもしれない。が、コウエイが行くしかないのでディアは恐らく諦めて番手になるだろう。隊形が決まってから距離不安のあるコウエイピースなので恐らく少し緩めに掛かってくるし、これが3角手前になることが多く、内枠の馬が窮屈になって下げていく可能性が高くなる。出来れば外からじわっと押し上げていきたい。中弛みはあるが極端ではなく、馬場を考えても終いに突っ込んでくるだけのポテンシャルが問われるレースになる。
◎カラフルブラッサムは上記から本命に格上げすることになった。この馬は新潟2歳Sでもそうだが12.0 - 11.7 - 10.8 - 12.1のL2、トップスピードとギアチェンジが要求されたところで良さが出なかった。L1はそれなりには来ていたので軽い馬場でトップスピード勝負になったのもある程度痛かったとみている。サウンドリアーナなんかとは一瞬のギアチェンジの差で一気に出し抜かれた形。牡馬と混じった黄菊賞では12.5-12.5-11.7-11.6と足を出し切らない競馬。内ポケットで4角まで進めて直線ヨーイドンになったが、12.5-11.7の地点でスペースなくトップスピードに乗せざるを得なくなり、ここで反応遅れた形。最後は詰めてきているので脚は出し切っていない。この通り、器用さは皆無だがトップスピードに乗ればしぶといのは小倉1800mの新馬戦でも見せていて、11.7 - 11.9 - 12.0 - 12.4 - 11.7と5F戦で中団から突き抜けL1加速してのものなのだから、確実にポテンシャルタイプだとみて良いだろう。ただ高速馬場だと多少なりとも中弛みからのギアチェンジ、L2のトップスピードが問われるので、信頼はできなかった。それがかなり時計が掛かる馬場になった土曜、これを見てもL1で食い込んでこれるポテンシャルタイプが上位を占めることが多く、これならばこの馬の出番だろう。ハーツクライの仔は比較的タフな馬場を好む馬が多いので、その辺も後押し。抽選をくぐった運を活かして混戦に断を下したい。
〇エイシンラトゥナは父ダンジグ系でパワー型のスピード色が強く阪神1600は少し不安もあったのだが、今のタフな馬場で状況は一転。この馬のポジショニングと、ポテンシャルの高さは活きてきそう。今回は2列目から先頭の2頭を見ながら中弛みにゆったりと対応できそうな枠だし、外からじわっと進めることで直線までに押し上げていける形になれば面白い。前走アルテミスSは12.3 - 11.6 - 11.6 - 11.7のラップ推移で先行勢には苦しい中弛みの展開になり、それも前半はハイペース気味だったことを考えれば評価を最大限にしたい1頭。単純な総合力だけならここでも最上位の1頭だし、通常の阪神1600mみたいに良質なトップスピードとポテンシャルが問われるというわけではなさそうなので、タフな馬場でトップスピードが相殺される条件ならこの馬のしぶとさを評価したい。
▲アユサンはタフな馬場状況になってしまったので一つ下げた。アルテミスSでは12.3 - 11.6 - 11.6 - 11.7のラップ推移、L2で一番いい脚を使っていたので、恐らくトップスピード型の馬だろう。反面で外をまわしたとはいえL1ではコレクターアイテムに粘られてしまったように、ポテンシャルに関しては抜けているとは思わない。その点で、軽い馬場を好む傾向が強いディープ産駒ということを考えても、評価を少し下げる必要があるだろうと判断した。ただ、この枠だし自分のタイミングで進めるのは大きい。何より前走は中弛みの緩んだ地点とはいえ大外をぶん回して最後までしっかりと伸びていて、本格派の印象強く、この条件でも当然怖い存在なのは間違いないので単穴という評価に。
△クロフネサプライズは最後の1頭悩みに悩んで総合的に判断した。本当は無難にポテンシャル型のコレクターアイテムでもいいとは思ったんだけど、やっぱりこの枠なので包まれて下げきってからだと難しいかなと。クロフネサプライズはまず追い切りが文句なしによかった。それと今のタフな馬場でクロフネ産駒というのも良さそうな条件。前走は12.0-11.8-11.1-11.6の流れで逃げ切り勝ちだが時計的には平凡。ただラップを緩めて再加速ができた点は評価したいし距離延長への目途もたてていると言える。一発ないか。
コレクターアイテムは前述の包まれる危険で消した。前走アルテミスSは強い競馬だったけど、同時に中弛みがあった中で、上手く押し上げてしかもロスなく進めることができたし、額面通りには受け取りたくない。ポテンシャル型なのは確かで、今回の条件自体は合っていると思うけど、ポジションを下げきってしまうと流石に届かないかなという気はする。3角までなら後方にいても良いけど、4角で前に向かって動いていないと厳しいので。その進路が確保できない危険がある以上1番人気では買いたくない。
サウンドリアーナは先週の馬場なら単穴ぐらいにしたかったけど、今のタフな馬場だと持ち味のギアチェンジ能力や軽いスピードよりも、ポテンシャルが問われそうで買いづらくなったという感じ。動き出しは良いし掛かる心配があるのでこの枠は歓迎できるけど、新潟2歳を見てもL1で踏ん張れる感じはないので。マイルは本質的にはちょっと長いはず。まして阪神マイルのタフな馬場では。
サンブルエミューズが一番取捨に困ったけど、前走は超高速馬場で時計も平凡。L1最速戦なのは確かだけど、ラップの緩い地点で押し上げて最速地点に入っているのも事実だし、他の馬もそれなりに脚は使っているので。それに新馬の福島1200mで普通に完敗していて、今のタフな時計が掛かる馬場は馬体重からも銅なのかなという感じ。
【展望】
いよいよ秋のGI戦線も佳境。ジャパンカップも終わり、残す大レースが有馬記念のみとなった。その前の2週間は2歳馬が、来年を占いマイル戦で火花を散らすことになる。まず今週は牝馬の2歳女王決定戦、阪神ジュベナイルフィリーズだ。コース改修後はクラシックと大いに直結するレースとなっており、このレースの上位が来年のクラシックの中心になることは例年の傾向からも間違いないだろう。今までと違い、本格派の馬が力を出し切れる、紛れの少ないレースになっている。今年は新設重賞で東京マイルのアルテミスSが行われ、いつもよりも事前の力関係がハッキリわかりやすい状態ではあるが、それでも絶対的存在がいないのも確か。混戦から来年の主役に躍り出るのはどの牝馬か。前編は賞金上位の実績馬、後編は出走当落線上の穴馬候補を中心にお届けしたい。
中心はマイル重賞、新設のアルテミスSで内から鮮やかに差し切ったコレクターアイテムだ。前走は前半3Fが34.5とこの時期の2歳戦、それも牝馬限定戦としてはかなりハイペースだったが、中盤で12.1-12.3と少し緩んで、12.3 - 11.6 - 11.6 - 11.7とかなりポテンシャル勝負にシフトした内容となっていた。コーナーで少し緩み、前後半が速いレースは基本的にはフラットに走れた差し馬有利とみていい。この流れで中団、3角の緩みの前にスペースがあったし、それを活かして置かれることなく追走し中団。直線でもハイペースで進路が作りやすい状況だった。序盤でかなり楽に進路があって最内伸びてくる。L2で少し外目に持ち出してからもしっかり伸びて2列目まで押し上げてくる。最後は迫ってきたアユサンを寄せ付けない内容で完勝だったと言える。これを見る限り、このメンツの中ではポテンシャルの高さを活かした形。ただし、序盤のポジションでは内枠もあったがやはり少し苦戦したし、ペースが上がってもあまり追走できずに前にスペースがあった分だけ、緩みで対応できたともいえる。結局トータルで見れば脚を残す形で直線にもむけているので、ポテンシャルという点でもまだどこまで評価できるかは分からない。それでもこのペースでラストを11.7でまとめている点は評価できる。11.6-11.6の地点でもかなり詰めていたし、トップスピードに乗ればいいものを持っているのはデイリー杯の内容と同じと言えた。それがL1で少し落ち込む形でしっかり突き抜けられた。現時点で言えばやや粗削りな部分は有れど、ポテンシャルに関してはやはり一歩以上リードした存在だと言えるだろう。
ハーツクライ産駒ということで、基本的にはマイル以上に適性があると考えるべきだろう。牝馬はあまり活躍しない印象なのだが、デイリー杯でも12.5 - 11.7 - 10.9 - 11.7とトップスピードに乗ってからようやくしぶとさを引き出して鋭く伸びてきているように、牝馬らしからぬポテンシャルを持っているのは、牝馬とはいえハーツクライ産駒の傾向通りといえそう。ただし、京都はギアチェンジ能力が問われない下り坂からの競馬だし、アルテミスSではスペースを活かして詰まることなく仕掛けながら直線を向けたことも大きい。阪神マイルはL1が落ち込みやすい舞台で本格派が非常に強いので、この馬の不安は小さいとは思うが、直線までは割と平坦なコースでもあるので、ギアチェンジ能力があるかどうかは安定するかどうかに関わってきそうだ。特に内枠が窮屈になりやすい舞台でもあるので、内を引いたときは余計に重要だろう。阪神マイルの新馬戦では12.7 - 11.7 - 10.8 - 11.5のラップ推移。スローからトップスピード勝負、そして割と緩やかなギアチェンジが要求された競馬。最速地点では伸びなかったがL1で突き抜けた形でポテンシャルタイプなので当然。問題は加速している地点だが、ここではウインプリメーラがやや置かれ加減だったのに対して、こちらはしっかりと前に置かれずについていけていた。この点からもギアチェンジ能力自体もそれなりには持っていると思われる。今回の条件なら大きな不安はないだろう。ただ、トップスピードでそこまで凄いものは見せていないので、勝ち切るにはやはりしっかりと直線でトップスピードに持っていける競馬をすること。怖いのは内枠で包まれてポジションを落としながら4角を迎えることかな。脚を出し切る競馬ができれば争覇圏内に当然加わってくるべき馬だろう。デイリー杯でもついていくのに苦労するぐらいで、阪神マイルの緩いペースにも対応はできるはず。L1の落ち込みがあるこのコースなら。
相手筆頭にはそのアルテミスSで先行して4着に粘ったエイシンラトゥナ。コレクターアイテムの所でも触れたが再度。前半が34.5、中盤少し緩んで12.3 - 11.6 - 11.6 - 11.7のラップ推移。前後半で速い競馬を強いられた先行馬には辛い競馬で、3着のウインプリメーラとこの馬だけが掲示板圏内に残った形。好スタートで掛るのを恐れてそろっと乗っている感じでも番手の内ポケットを確保。コーナーでスペースを作れずに、少し抑えているような形になり、4角で前がペースアップして直線を向いた形。そのせいもあってか序盤の反応がかなり悪く、ここで置いていかれてL2では差し馬に一気に交わされた。ところが、そこからのしぶとさが意外で、最後は盛り返していて突き放されていたウインプリメーラにある程度迫っていっての4着だった。スピードが勝ってしまったのも大きいが、それよりも中弛みでリードが縮まったのと、ペースアップのギアチェンジでワンテンポ遅れたのが致命的だった印象。着順どうこうよりも、最後まで一番ばてていない先行馬だったという点が大きい。新潟の内1400mダリア賞ではハイペースで逃げて12.0 - 12.0 - 11.3 - 12.2のラップ推移。直線で先行勢をしっかり二の脚で突き放すと、L1でもしぶとく粘っての勝利。この内容からも、平均ペースで基礎スピードの高さを活かし、ポジションを取って粘り込む競馬が合っているのだろう。
父エクスチェンジレートは父ダンジグ、母父シーキングザゴールド。また母父はキングマンボでもあり、比較的ミスプロの血が濃いが、5代血統表を眺めるとノーザンダンサーがちりばめられている印象。かなりパワー型のスピード色が強い血統背景だと思うので、阪神1600mのようにワンペースでは押し切れないコースだとちょっと苦戦しそうだなというのが第一印象。前走あのハイペースでも少し掛かりそうになっていて、その辺があまりうまくない内田ということを差し引いても、距離不安は出てくるかもしれない。京都と違って積極的にハナを切って展開だけで押し切れるほど楽なコースではない。ただ、それでもタイプ的に考えても序盤のスピードを活かさないことには勝ち負けに加わってくるにはなかなか難しいところもあるだろう。新馬戦の中京マイルではスローで最内、外からプレッシャーをかける形で2番手だったが、12.7 - 12.0 - 11.5 - 11.9のラップ推移でしっかり抜け出していて、相手もそこそこの実力馬ベルライン。新馬の内容だけできれば距離も問題なさそうなのだが。ダリア賞ではハナを切って二の脚使っているわけなので、マイルでも同じ競馬を貫いてみても良いかもしれない。ギアチェンジ能力は逃げればそれなりにありそう。中京マイルの内容からも緩めても問題はなさそうだし、アルテミスSの競馬を見てもポテンシャルはなかなかのものがあると思うので。先週の馬場を見ても例年の暮れの阪神のイメージにそぐわない高速馬場の印象で、高速馬場適性を示しているし、前走よりポジションを前にとって、4角でスムーズな競馬ができるようなら、かなり面白い1頭だと思うが。
3番手には芙蓉Sで外から捲って最後までしぶとく伸びて突き抜けたサンブルエミューズ。馬場を考えればややスローの競馬で多少中弛みがあった流れではあったが12.3 - 12.0 - 11.4 - 11.2というL1最速戦。超高速馬場で1:34.5自体は全然評価できないが、L1最速戦だったことは評価。出負けしたが道中スローで馬群凝縮の流れ。L4ぐらいから仕掛けていくと、3角で外から一気にエンジンが掛かる。が、ここで押し上げにはいかずに前の馬に合わせて中団のまま。4角でも大外を回して中団で直線。序盤で切れる脚を使って一気に先頭に立つと、L1でも脚色を衰えさせることなく他馬を完封。緩い地点で押し上げてゆったりとギアチェンジできていたし、ラップの流れに沿っていち早くトップスピードに乗せられたことがL2での鋭さにつながったと思う。なので、トップスピード自体はそこまで評価できないかなと。ただ、早めにスパートした割に、最後まで脚色を衰えさせずにL1最速戦で一応終えたことは大きい。L2でかなりいい脚を使っているのでこの馬自身は恐らく多少減速してはいるだろうが。この馬は2走前の新潟1400mでダリア賞よりも早い時計で逃げて圧勝している。ハイペースを刻んで12.0 - 12.1 - 11.6 - 11.8のラップ推移。完全なスピード勝負ではあったが、L1が11.8とそこまで落としていないし、まだまだ底を見せていない。ただ、ヤヤオモの福島では1200mだったとはいえ完敗の4着。番手競馬できっちりと競馬してものでもあり、少し引っかかる要素ではある。が、ここ2走の内容からも1600mぐらいが合ってそうなので、距離とタフな馬場に敗因を求めるべきか。
父ダイワメジャーは今年カレンブラックヒルを産み出して大ブレークしたが、1600~2000mで結果を出している馬が多い印象。その点からもマイル以上の距離適性が求められがちな阪神マイルは歓迎材料だろう。母父フレンチデピュティなので、割とわかりやすい血統ではある。前走を見てもギアチェンジ能力がどこまであるかはともかく、スピードに乗ってしまえばトップスピードの質、持続力ともにいいものを見せた点はポテンシャルが問われる阪神マイルでは大きい。加えて高速馬場でもあるので、前走のように超高速馬場で切れる脚を使ってきたという点は単純に良い材料だろう。出負けしたことで幅も広がったし、前走の内容ならば多少緩いぐらいでもしっかりと折り合っていけそう。ただ、前走はラップに沿って上手く乗られたこともあるので、今回もしっかりと流れに沿って競馬ができるかどうかが重要だろう。まだ中団以降で競馬をしたことが一度しかなく、しかも外を回す競馬。内枠を引いたときに、半端に先行して3角で窮屈になってポジションを下げることだけは絶対に避けたい。
4番手にはファルコンSの覇者サウンドリアーナ。前走は平均ペース気味のレースで11.2 - 11.8 - 11.5 - 11.6と、L4最速と良質なスピードを要求されたレース。京都外1400mにありがちなスプリント適性を問われた形になったと言える。ここでまずまずのスタートから少し掛かって持っていかれるような形で2番手になる。逃げ馬が離して逃げていたので、最内を実質逃げの競馬で最速地点の3角からロスなく進め、直線序盤で一気に突き抜けて勝負あり。後は後続をも寄せ付けない完璧な競馬で圧勝だった。ただし、序盤でこのペースでも抑えるのに少し苦労していたし、阪神マイルに変わることは若干不安があるかもしれない。新潟2歳Sでは割と平均的な競馬の中で12.0 - 11.7 - 10.8 - 12.1のラップ推移。最内枠から好スタート、前に壁を置いて進める競馬だったが、ここで上手く折り合えていた形。直線では3列目の内ポケットから仕掛けがワンテンポ遅れていたのだが、後続がスピードに乗ってきてから仕掛けた割にグンと反応して伸びてL2で抜け出してきた。L1は少し甘くなったが牡馬相手に差のない3着なら大健闘の部類。また、馬群の中で脚を使わずに、直線ですっと加速することができたこのギアチェンジ能力は今回の上位所にはないものだろう。
父ケイムホームはゴーンウエスト産駒。割とダート向きの短距離志向の血統ではあるが、母父ダンシングブレーヴが入っていることで、ポテンシャル面で底上げされていればという所。マイルはこなせるとは思うが、新潟の内容を見てもL1が甘くなるところがあるのでこの辺りが課題。阪神外1600mは内枠の先行馬にはちょっと難しいコース形態ではあるが、この馬の持ち味であるギアチェンジ能力の高さを活かすならば内枠から上手く壁を作ってたちまわっていくことが重要か。気性面の問題もカバーできそうだが。トップスピードの高さは通用するし、ギアチェンジ能力はここでは最上位だろう。
ファンタジーSでは後方から追いこんでくるも4着となったプリンセスジャックも圏内。終始後方で構え、少し抑えるような形で直線まで仕掛けずに終いだけ伸ばす形。11.2 - 11.8 - 11.5 - 11.6のラップ推移で外からしぶとくは伸びてきたがポジションの差もあって詰められなかった。ただ、序盤ペースもそれなりに早かったし、底で無理をしなかった割には終い伸びきれなかったので、トップスピードの質という面ではやや不安が残る内容だったと言える。ききょうSでは中団から12.6 - 11.5 - 11.4 - 11.8のラップ推移、中弛みで労せず押し上げていく形で直線を迎えたし、展開的には恵まれた印象だった。ただ、序盤スピードが問われたファンタジーSではポジション負け、緩急があった方が良かったわけなので、そこを考えればマイル以上に適性がある可能性は十分にある。札幌1500mではなかなかハイレベルな一戦で、12.2 - 12.4 - 11.9 - 12.6のラップ推移でかなり厳しい平均ペースを番手で制している。接戦で2着馬のラストタキオンがどこまでの相手かは不明でも、その後勝ち上がっている馬が多いし、それらを大きく離しての勝利。1500mのおむすびコースでこのパフォーマンスを考えれば、マイルならとも思わせる要素はある。前走で一応目途は立ったと言えるので、後は展開次第で上位進出を目指したいところだ。
アルテミスS2着のアユサンも再現を狙う。ディープインパクト産駒らしいトップスピードに乗ってからの良さが光る馬。アルテミスSでは12.3 - 11.6 - 11.6 - 11.7とハイペースで少し中弛みが有り、確かに差し追い込み有利の展開であったことは確かだろうが。出はよくなく後方から序盤からペースが早く、ほぼ最後方で追走している状態。3角で少し緩んだ時に外を回し、4角でも外を回し、仕掛けて後方で直線。序盤はそこまで速い脚とは思わなかったが、L2でグンと加速すると一気に前を飲み込む勢いで先頭列まで襲い掛かる。ただ、最後は上手くロスなく運んだコレクターアイテムにじわっと離されての2着。ペースも早かったし多少緩んだとはやはり外をまわしたことはペースを考えるとL1で少し苦しくなったのかなと。ただ、トップスピードの高さは屈指のものを見せた。新馬戦は東京1400らしい超スローからのギアチェンジ戦、2F勝負13.5 - 12.3 - 10.8 - 11.1というラップ推移。2列目の外で競馬し、直線序盤で外に出して先頭列に並びかけてくると、L2でのトップスピードが違った。この馬は恐らくトップスピードタイプの馬なのだろう。ただし、ギアチェンジ能力がどこまで高いかはまだちょっと未知数で、新馬戦を見る限りは少なくとも高い部類にはあると思われる。トップスピード時のキレ味はこのメンツでは出色のものがあるので、これをどう使えるかが焦点になってくるだろう。アルテミスSの時計も優秀だし、それをロスが有っての内容なら、勝ち馬と互角の内容だと思っても良さそうだが。後は課題となるのはポジショニングだろう。阪神1600mなら持ち味を活かせそうな印象だが。
前編最後はウォーエンブレム産駒ローブディサージュ。前走ファンタジーSでは中団からの競馬で、4角大外で仕掛けて直線も大外中団。序盤からそれなりには伸びてきているが急追というほどのキレ味はなかった。ただL1でもそれを維持させて結局4着のプリンセスジャックは寄せ付けない内容。ウォーエンブレムの仔らしい、軽い馬場で平均的なスピード持続力を活かしてきたなという印象だった。函館芝1800mの新馬戦では13.1 - 12.7 - 12.1 - 11.7と超スローからじわっと加速してL1最速戦。今年の函館はかなり重い芝の状態だったが、後方で競馬。3~4角で内から徐々に外に持ち出し2列目に押し上げて出口で大外。そこから鋭く伸びると、L1までしっかり伸びきって1馬身差の勝利。レースレベルが微妙ではあるが、加速戦でしっかりと結果を出しているのと、序盤ゆったり運べている点からも、距離に関しては延びた方が良いタイプだろう。前走で単純なポテンシャルは通用することを証明しているので、後は阪神芝外1600mでトップスピード勝負になった時に通用するかどうかだろう。ウォーエンブレム産駒でもあり、恐らく京都向きだとみているが。
後編では賞金的に際どい1勝馬を中心に焦点を当てていきたい。出られるかどうかかなり微妙な馬も多いので、出来るだけ数多く端的に展望していきたい。
まず気になるのはオツウ。ジャスタウェイと同じ銀魂の脚本家、大和屋暁氏が馬主ということで、注目度の高い1頭だったが、それを差し引いても前走の内容はなかなかインパクトが強かった。12.3 - 12.1 - 11.3 - 11.6のラップ推移で中団から4角で仕掛けて2列目に押し上げると直線では最速地点で楽な手ごたえで伸び、L1で突き抜け最後は馬なりでの圧勝だった。時計は馬場を考えると強調できるほどではないが、京都で3角の下りがあったとはいえ、4角の反応の良さ、トップスピード能力の高さを見せた点は大きく評価できる内容で、ハーツクライ産駒にしては比較的器用な印象を受けた。ただ、あくまで新馬戦のレベルでしかないし、これが強敵相手にどこまで発揮できるかというところ。ハーツクライの仔で緩急にここまで動けたなら、阪神外1600mはプラスに働くことは間違いない。L1の落ち込みで突き抜ける傾向が強いので、この馬もトップスピードの高さとL1の踏ん張りを活かせれば上位を崩すことも可能だろう。1戦1勝馬だが当然怖い1頭。門戸は狭いが、抽選さえ潜り抜ければ。
続いてここ2走詰めが甘いところを見せているナンシーシャイン。こちらも1勝馬で抽選のハードルは高いが、面白い素質は見せている。アルテミスSでは五分のスタートから中団より少し後ろで競馬。インを突いて直線ジリジリとしか伸びなかったが12.3 - 11.6 - 11.6 - 11.7の流れでL1までしっかりそれを維持していた形は評価。ポテンシャルではまだ底を見せていない形。ただ、やはり直線序盤でトップスピードで見劣った部分もあり、勝負に加わるためにはやはり積極的な競馬が必要だろう。現時点では展開の恩恵が欲しい。サフラン賞もややスローにシフトしているとはいえ同じような形で、11.8 - 11.5 - 11.2 - 11.8の最速地点で詰められずにL1でジリジリ差を詰めたものの上位には差をつけられた形。L1バテ差戦になってくればヒモ穴としては面白いという所か。
賞金は足りるタガノミューチャンもここは警戒する必要がある。サフラン賞では東京1400mで比較的ギアチェンジとトップスピード勝負が問われ、それに東京1400にしては序盤もペースが早く、総合力を問われる競馬になっていた。そこである程度積極的に出して行って3列目の外、3~4角でも終始押し気味で手応えは悪かったが、直線に入るとしぶとく前に迫っていき、先頭に立つ。最後も甘くなりそうでならず、抜け出してきた外2頭に併せると、そこからは踏ん張って、L1では脚色同じに持ち込んでクビだけ粘った。1400mだとちょっとスピード不足なのかなという印象だったが、トップスピードに入ってからしぶといのはハーツクライ産駒らしい印象を受けた。ファンタジーSでは先行争いで少しスムーズさを欠いた感じで、ポジションを下げて3列目の中目。そこから4角で仕掛けて押し上げていくと直線序盤は悪くなかった。最後まで頑張っていたが、前は捕えきれず、後ろにはちょっと差されて5着という内容。従って着順ほど悪い印象ではなかった。東京と違って序盤スピードが問われる京都外1400は微妙だったのと、少し消極的な競馬になったのも大きかったと思う。阪神1600m自体は歓迎材料だが、トップスピード面ではここではちょっと足りないと思うので、番手の外ぐらいで積極的な競馬をしてどこまで頑張れるかという印象。その点でそういった競馬が想像できない藤岡では不安の方が大きいかな。確実に外目の枠が欲しい。
白菊賞を逃げて踏ん張り通したディアマイベイビー。ここはこの馬の出方が大きなウエイトを占めるだろう。前走はややハイペースで1:35.0。12.0 - 12.1 - 12.0 - 12.0と後半綺麗にハロン12.0で逃げ粘った。内外の差は有れど、同日古馬500万下の走破時計が1:34.6だから、時計的には十分評価できる内容ではあった。もともと阪神マイルでは超高速馬場ではあるが未勝利で1:33.6の時計で逃げ切っているし、ラップ推移も12.2 - 11.6 - 11.2 - 11.6。これも同日古馬500万下が1:33.5で、ラップ推移を考えれば勝るとも劣らない内容だった。ポテンシャルは高いし、まだ底を見せていない。1400ではこれまでも少しスピード不足で、1600mで積極的に競馬してちょうどいいぐらいなので、マイルは2戦2勝の内容を評価すべきではないかと思う。ここはかなり人気の盲点になる気配で、確かに他にも魅力的な馬はいっぱいいるが、安定した先行力とばてないポテンシャルは侮れない。要警戒の1頭だろう。
ローレルゲレイロの半妹アメージングムーンも登録。本賞金的にはこれも足りないので抽選の枠が第一関門。前走ファンタジーSは上手く乗られたこともある。序盤は決していい位置ではなかったが、先行集団が消極的な中で、しっかりといい位置を確保して3角を迎えられた。3角からサウンドリアーナを目標に早仕掛けし、直線入りでは並びかける内容だったので、しっかり脚を出し切った形。逆に言えば、かなりスピードに偏った競馬だったし、最後も一杯だったので、ギアチェンジが要求されるのと、良質なトップスピードが必要な阪神外1600向きとはちょっと思えない。確かに前走は良い意味で評価を裏切る形となり、1200路線ならそれなりに戦っていけそうな印象はあったが、マイルはどうだろうか。
函館女王のストークアンドレイも登録。前走は序盤それなりに良い位置をつけていたのに途中で大きく下げてしまい、そこからはリカバーできずの10着大敗。全く競馬になっていない内容だったので、騎乗ミスの割合が多すぎて敗因もつかめず。距離を含め、色々な要素が判断できない状況で、正直難しい。事実上初距離みたいなものなので、これまでの実績からもマイルはどうだろうかというのが正直なところだが、血統的にはマイルは問題ないとは思う。特にクロフネ産駒はダートや1200で結果を出す馬が多いというのが一般的な印象だろうが、意外と一流馬は芝はマイル~中距離でトップスピードやギアチェンジを活かしてくる馬が多い。というより、ダートの一流馬が出てこない。イメージに捕らわれないことは重要だろう。ただ、函館2歳S自体はコーナーでごちゃついて力を出せなかった馬が多く、勝ったからとはいえ大きな評価は与えられない。現時点では他に魅力的な馬も多く、強調できる部分が少ないのは確かだろう。
クロフネサプライズも同じくクロフネ産駒。前走りんどう賞でハナを切って逃げ切ったのだが、内容的には12.0 - 11.8 - 11.1 - 11.6のラップ推移。最速地点の4角で早めに抜け出して、L1で踏ん張った形。スピードというよりは後半の動きだし、ギアチェンジで差を広げた形ではあり、距離に対してはある程度対応できそうな面は見せた。ただ、単純なギアチェンジ能力に関しては仕掛け所に下り坂がある京都なのでこれだけで判断はできないか。これまでは小倉1200mで前傾ラップでの勝負だったので、距離が延びて結果が出た点は好材料。クロフネ×トニービンと言えばカレンチャンと同じ配合。ゆくゆくは良いところまで期待できるかもしれないが、りんどう賞も同日の未勝利よりも走破時計は遅く、現時点で阪神1600mではまだちょっと足りない気もする。
最後にカラフルブラッサム。小倉の1800m新馬戦では11.7 - 11.9 - 12.0 - 12.4 - 11.7のラップ推移、スローで5Fのロンスパ戦、中団からL1最速戦で直線外から突き抜けた。このパフォーマンスはかなり高いと思っているし、普通にテイエムイナズマを問題なく退けていて、走破時計も優秀。ただ、新潟2歳Sでは思ったより伸びあぐねて、最後にジリジリきた程度。黄菊賞でも何とか3着には食い込んできたものの、12.6 - 12.5 - 11.7 - 11.6のラップ推移でキズナには完敗。ただ、このレースは2列目の中で前にスペースがない状態で4角を回っているし、その影響が直線序盤の反応の悪さに出ていた感じ。それでもトップスピードに乗ってからはしぶとさを引き出せているし、この反応の悪さが不安材料には挙げられてもポテンシャルはここでは上位の一頭と言って差し支えないだろう。トップスピードやギアチェンジでは上位には少し足りないものの、ここ2走は相手も強く、適性面でも合わなかったので悲観する必要はないだろう。L1最速戦になりやすく比較的本格派が勝ちやすい舞台なので、紛れれば上位進出も十分ありうるだろう。ただし、この馬も1勝馬。好走するよりもまず抽選の狭き門の方が高いハードルかもしれない。出てこれれば面白い。器用さはゼロなので出来れば外枠の方が競馬がしやすいだろう。
http://blog.livedoor.jp/catassan/
tipmonaとは?