セントウルS2013予想

カタストロフィ
10期 予想歴16年

◎ハクサンムーン
  1着/2人気

○マヤノリュウジン7着/7人
▲ローガンサファイア8着/4人
△ロードカナロア2着/1人


【予想】
◎13ハクサンムーン
〇07マヤノリュウジン
△05ローガンサファイア
△09ロードカナロア
×04ドリームバレンチノ08シュプリームギフト
3連複◎軸〇▲△BOX
3連単F◎〇▲→◎〇▲△→◎〇▲△×


展開は恐らくハクサンムーンが単騎で楽に進める形になる。これを行かせてからロードカナロアが2番手につけに行き、マヤノリュウジンやビウイッチアス辺りがこれに続く。ハクサンムーンのここ最近の流れからもまず飛ばすことは考えにくく、抑えるぐらいで平均ペースに持ち込みたいはず。ロードカナロアは昨年のイメージに58kgを考えると無理に突く可能性はあまり高くない。平均ペースで二の足を問われる競馬、多少馬場が渋ることも考えて昨年とは少し違う形になると想定する。


◎ハクサンムーンはGI制覇もあるだろうが個人馬主でサマースプリントの賞金を考えるとここがメイチと考える方が良いだろう。それだけでなく条件的にもポンとハナを切ればすぐに3角でペースを一気に落としやすい舞台でもあり、自分の競馬に持ち込めるというのはプラス材料。高松宮記念では11.4 - 11.2 - 11.0 - 11.6のラップ推移で直線出し抜いてしぶとく粘りあわやの場面を作っているし、CBC賞でも同じく出し抜いてマジンプロスパーには差されたものの際どいところまで踏ん張った。この要所で出し抜く二の足はペースが遅い程効果があるし、下り坂の影響がない程他に対して優位に立てる。その点ではやはり阪神1200でペースを落としやすく、かつL2最速戦に持ち込みやすいというのは大きな材料。ロードカナロアとは2kgの斤量差が有りこれなら逆転可能だ。逃げ馬が逃げ切るのは難しいレースだが、この馬の場合は明確に緩めて良さがある馬でかつここではテンの速さが圧倒的。まず楽にハナを切れ、大外枠なので内に切り込むまで他馬も積極的なポジショニングは難しくなるだろうし、マイペースに持ち込める可能性は極めて高い。


〇?はもともとかなり期待していたキングヘイロー産駒。まあ個人的な思い入れは抜きにしてもこの馬の良さはキングヘイロー産駒らしくないところにあって、要所でかなり反応が良い馬。心斎橋Sなんかは一貫ペースで11.6 - 11.5 - 11.8 - 12.2の流れ、これで中団から直線大外回して序盤から脚色違って追い出しを我慢するぐらい。L1で突き抜けて外からニンジャの強襲をしっかり封じての完勝だった。周防灘特別では小倉1200で11.0 - 11.3 - 11.4 - 11.8のラップ推移。ここで2列目外から直線楽に抜け出すが、外々によれて突き放せない。それでもL1で立て直してからは寄せ付けずにクビ差の勝利。抜け出す時を抜いたり遊んだりと子供な所が多いが、秘めた力はかなりのものを持っている。ディープCでは11.3-11.2-10.8-11.9で、京都外1400、速い地点で外々回されてと苦しい流れだったしトップスピードを問われて苦しくなった感じ。1200mでハクサンが多少緩めるとはいってもこれほど緩いペースにはならないだろうし、ロードカナロアを見ながらの競馬ができる位置にいるのでこの仕掛けに合わせて競馬が出来れば。こういう目標の後ろにつける時の福永は安定感があるのも良い。キングヘイローでやらかしまくった福永なので息子は何とかしてやってくれ。重賞の1つぐらいは取れていい馬。?とかしてるけどもうこ説明文だけで分かってしまうなあ。


△ローガンサファイアはセントウルSの傾向見ると追い込み馬は狙い辛いんだけど、もともと追い込み一辺倒の馬ではないので、今回はある程度の位置につけてくれないかなという願望もある。が、やはりマーガレットSのパフォーマンスが圧巻で、12.0 - 11.8 - 11.4 - 11.8と阪神1400にしてはそこまで一貫ペースではなく緩んでの加速戦でも大外からしっかり伸びてL1で突き抜けているので阪神1200でもポジション次第で怖い存在。特に加速戦に対応しているところから、緩んでもギアチェンジ能力高く対応できるので、阪神の内回りは安定してきそうな感じ。相手は強いが52kgと立ち回りひとつで。


△ロードカナロアは頭からを嫌ってみた。昨年は確かに強い競馬をしたが勝ちに行って甘くなっての2着。一貫ペースで最内追走とロスは無かったし、一貫ペースでL1落ち込んで苦しくなってのものなので、今回58kgで外枠、ハクサンムーンが出し抜く競馬を想定すれば最速地点で外を回す形になる。L1甘くなる材料は揃っている感じ。追い切りは良く見えたし力は出せると思うが、思っているより高速馬場ではない阪神の状況、昨年のイメージで積極的な仕掛けが出来ないリスクを考えると案外騎手心理としては簡単ではないはず。そしてこの状況で簡単に勝てるほど岩田はメンタル強くないと思う。高速馬場ならとも思うんだけど、今年は雨が降った影響もあるかもしれんがそれを考慮に入れてもちょっとイメージより重いなあという感じ。この馬の良さはトップスピードにあるからそれが削がれる+58kgは決して楽観的な材料ではないと思うんだよなあ。強いとは思うが、あくまでトップスピード勝負で強い異端のスプリンターという認識だから。


×ドリームバレンチノはこの枠に入ってしまってちょっと辛いかな。トップスピードは良いものがあるし、シルクロードS見てもわかるように前が壁でもトップスピードを引き出してくる器用さは有るから押さえにはしたいけど、今回はハクサンペースで緩む可能性が高いので内枠でポジション下げざるを得ない展開となると競馬はかなり難しいと思う。シュプリームギフトは基本的には平均ペースに強く序盤楽なペースの方が良いというのとこれもロードカナロアを目標に競馬ができるので、前向いてL2最速戦とかなら外から最速地点で見せ場が有ってL1でちょっと甘くなるかなぐらいで3~5着争いというイメージ。



【展望】
 サマースプリントシリーズ最終戦にして、大一番スプリンターズSへ向けての前哨戦、阪神芝内1200mで行われるスプリント戦セントウルS。もちろんサマースプリントシリーズの最後ではあるのだが、その決着よりも注目されるのがやはり今年の短距離GIを2連勝してもはや伝説の域に達しつつあるあの馬だ。函館スプリントSで大敗したものの宮記念2着の実力馬、更にサマースプリントシリーズ制覇をかけてここに乗り込んでくる宮記念3着馬と春、夏の主役が勢ぞろい。3歳の実力馬も揃った。前編は王者含めた実績馬3頭にフォーカス、後編は魅力的な穴馬を探っていく。伝説の最終章の幕開けに期待しようではないか。
 不動の中心は何と言っても昨年のスプリンターズS、香港スプリント、そして今年の高松宮記念、安田記念とGI4勝を含めて5連勝中の世界のロードカナロア。何度も言ってきているが日本馬で香港スプリントを制覇するというのはある意味では凱旋門賞やドバイ制覇に匹敵する快挙と言っても過言ではなくて、これまで過去幾度となく名スプリンターが挑戦して弾き返された大いなる壁を軽々と乗り越えたという点でも既に歴史的な名馬であることは間違いない。そして更にマイルGIの安田記念を制したことでその地位は不動のものとなった。その名スプリンターも残すところあと数戦。まずはこの馬の走りを注目せざるを得ないだろう。


 さて、ポイントとなるのは阪神1200という距離だ。そもそも昨年はエピセアロームの強襲に屈しての2着に敗れている。今年もその阪神1200の舞台で相手はそこそこ揃った状態。ここできっちりと勝ち切れるかどうかが焦点となるだろう。 今更だがここまでの勝ちっぷりを本当に軽く振り返る。スプリンターズSでは10.6 - 11.2 - 11.3 - 11.5と超高速馬場の一貫ペースでL1そこまで落ち切らない流れ、やや後方の位置から外を回してコーナーで押し上げ先に抜け出したカレンチャンを直線鋭く伸びて捕えての完勝。香港スプリントは走破時計が1:08.5だが、3F通過が目視で34秒を切っていない平均的な流れで好位からいとも簡単にあっさりと抜け出しての快勝。阪急杯では11.2 - 11.6 - 11.6 - 12.2と一貫ペースに見えるが、前列が3角から必死に飛ばしてロードカナロアの前のスペースががっぽり。最短距離を通しながら4角出口で外に出すというスムーズな競馬で抜け出すもマジンプロスパーにはやや詰められての勝利。宮記念では11.4 - 11.2 - 11.0 - 11.6とペースが上がり切らずトップスピードが問われる競馬で中団外からじわっと仕掛けて直線でこれも鋭く伸びての完勝。最後に安田記念は11.4 - 11.7 - 11.5 - 11.3 - 11.7と一貫ペースを中団で競馬し、直線半ばで鋭く抜け出しショウナンマイティの強襲を何とか凌いだ。ただこれは直線でロードカナロアの岩田がかなりダノンシャークにぶつけていて、その煽りを食ったショウナンマイティがワンテンポ置かれる競馬になったのが大きい。これに関しては何もなければ負けていた可能性が高いだろう。ただし1200路線での実績は紛れもなく本物であるということは間違いない。


 そんなロードカナロアが1200mで敗れたのがセントウルSだ。もちろん函館スプリントSも負けてはいるが、あれは福永のボーンヘッドであり力負けではなく気にする必要はない。内で包まれてまごまごしている内にドリームバレンチノに出し抜かれただけだ。問題は完璧に立ち回ってエピセアロームにL1で差されてしまったセントウルSにある。平均ペース気味だが直線坂の阪神らしく10.9 - 11.0 - 11.2 - 11.9とL1で落ち込む流れ。2列目ポケットで競馬して直線で外に出すと直線でしぶとく抜け出すが、L1でエピセアロームの強襲を受けて更にアンシェルブルーにまで食い込まれて僅差の2着。確かに差し馬がポテンシャルを発揮しやすい競馬にはなったものの、L1落ち込むタフな競馬でやや甘くなったところはこの馬のレベルの中では不安材料になる。この馬の良さが総合力の高さにある。基礎スピードも高くある程度のポジションにつけることができ、そこからすっと動けるギアチェンジ能力とトップスピードの質は1200路線では最強クラス。ただし、その高い総合力の中にして、唯一の不安がポテンシャルということにはなるかもしれない。もっともセントウルSで負けたと言っても展開を考えれば十分負けてなお強しの内容と言え、ここでは当然不動の中心であることは間違いない。ただし、昨年は56kgで多少厳しい流れになったとはいえ、L1甘くなっていたように適性面では京都や中京ほど高くはない。加えて今回は58kgと2kgの斤量増。58kg自体はこなしているので問題ないが、今回は昨年敗れた舞台であるということも考慮に入れるべきだろう。抜けた1番人気確実だとは思うのだが、個人的には今回は盤石の舞台とは思っていない。他馬に付け入る隙は十分にあると言える。


 相手筆頭にはハクサンムーンを挙げる。今年の高松宮記念では10番人気で逃げ残っての3着と波乱を演出した形となったが、その勢いそのままにサマースプリント戦線で活躍。CBC勝では強敵マジンプロスパーに交わされはしたものの、11.1 - 10.8 - 11.0 - 12.0と4角でペースアップして出し抜くこの馬らしい競馬であわやの場面を作った。L1では流石に甘くなってしまったが、中京の下り坂の競馬でポテンシャルを出しきりやすい舞台。ここでマジンプロスパーにひやりとさせるだけのパフォーマンスを見せたのは流石と言える。アイビスSDでは11.9 - 10.4 - 10.6 - 10.3 - 11.0というラップ推移で逃げ切った。新潟1000にしてはかなり遅い序盤の2Fで、ここで楽にハナを切ってペースをコントロールし、後半で更にペースアップしてL1が11.0とかなり高いレベルでまとめてきた。このラップを刻まれては後続は成す術もない。しかも2着のフォーエバーマークには基礎スピードの絶対値の差を見せつけての完勝だった。そのフォーエバーマークがキーンランドCを勝つに至った以上、もうこの馬も短距離界のポストロードカナロアの一角であることは疑う余地もないだろう。


 この馬の武器は絶対的な基礎スピードの高さにある。これまではこれをコントロールせずに行くだけ行かせてハイペースになると甘くなり、マイペースで進められると二の足で突き放すというような競馬を繰り返していた。CBC賞を見てもわかるが、基本的にはポテンシャルはあまりないタイプ。基礎スピードの高さを活かしつつも、どこかでコントロールして二の足を引き出すという競馬ができるようになってかなり安定してきたと言えるだろう。ポテンシャルはこのクラスでは見劣るのは間違いないので、この馬としてはやはりまず自分のペースに持ち込むことが大事だ。またギアチェンジ能力もある程度持っているので二の足で出し抜けるので、その点では中京や京都のような下り坂で各馬が脚を出しきりやすい舞台よりは、3角が窮屈になりやすく直線までは割とフラットな阪神の方がこの馬の良さである器用さが活きてくるように感じる。何よりスプリンターズSへの前哨戦というよりは、サマースプリントシリーズの最終戦としての重みの方がこの馬には大きいともいえ、悪くとも3着は外せない。それを考えると明らかに前哨戦、それも最大目標が香港となるロードカナロアと比べると、夏を使ってきた分も含めて状態的なプラスアルファは大きいと言える。これらを活かして、ロードカナロアを破って、宮記念から力をつけてきたということを証明したい。


 3番手には函館スプリントSでまさかの惨敗を喫したドリームバレンチノ。確かに7着は惨敗であることは間違いないが、着差は0.2差とそれほどではない。ただし、この馬のこれまでのパフォーマンスから考えると明らかに負けすぎではあった。ペースとしては平均ペースに近い流れだが11.4 - 11.6 - 11.0 - 11.8と3角手前ぐらいから徐々にラップを落として、4角~直線入りで急にペースアップする流れ。ここで外々を回していた分、コーナーワークで置かれたというのは間違いない。実際開幕週からかなり長く内有利が顕著だった函館を考えると、59kgを背負って要所で外々を回して脚を使いながら最後まで踏ん張っていたという点はそれなりに評価できるのかもしれない。ただし、このレースの走破時計は遅い。トラックバイアスやラップ面からも難しい競馬になったことは事実だが個人的な感覚で言えばもうちょっと頑張ってほしかったなというのが正直な感想だ。しかしこの一戦で大きく評価を落とすほどの馬ではない。今年の高松宮記念は唯一王者ロードカナロアを追いかけての2着。中団で進めて11.4 - 11.2 - 11.0 - 11.6のラップ推移。3~4角では大外から直線ではロードカナロアを目標に追われる。最速地点でも伸びていたが、ロードカナロアを詰めていたのはL1。ここでの伸びが良く、後半勝負でトップスピードを問われて良さが出たし、L1の落ち込みでもばてずに伸びてきたように、ポテンシャルに関してもある程度のものを見せてきたと言える。


 個人的な分析として、この馬の弱点は基礎スピードが1200の一線級では足りないという面にあると思う。函館で崩れたのは59kgも外々を回したのもあるかもしれないが、序盤に少し追い掛け過ぎたという印象も受けた。洋芝でタフな馬場条件では昨年のキーンランドCでも外々回して伸びを欠いていてこれだけが原因ではないとも思うが、 シルクロードSや宮記念のように早い上がりの決着、要するに序盤楽をしてある程度のポジションからトップスピードを活かして差し切るというような競馬が合っている。スプリンターズS3着の内容はハイペースだったが馬場がかなり軽く中団内目で追走して要所でロスなく立ち回っての競馬でもあり最後までジリジリと伸びを見せていたようにも思う。実際10.6 - 11.2 - 11.3 - 11.5とラップ推移的にもL1が落ち込んでいない。高速馬場で平均的な競馬になった方がこの馬のトップスピードをより活かせると言えるだろう。シルクロードSなんかは11.2 - 11.1 - 10.9 - 11.6と序盤スローからトップスピードを引き出す競馬。2列目ポケットで最速地点でも楽な手応えながら進路がなく閉められて、直線入り口ではトップスピード型の強敵ダッシャーゴーゴーに一旦は出し抜かれた。ただそこから進路が開くとしっかり伸びてL1で差し切る競馬。ここからも個人的には序盤はあまり無理せずに後半のトップスピードを引き出す競馬に徹した方が良いように感じる。それに一応前述で多少触れているが、洋芝適性が微妙な可能性もある。昨年の函館スプリントS勝ちはロードカナロアの自爆で勝ったが3着が条件馬ビスカヤだし、4着も不調期のパドトロワだった。メンツを見てもこれを勝ったからと言って評価できるほどではないように感じる。その点からも、阪神で高速馬場に替わるであろう条件は好材料。序盤楽に運んでしっかりと前を向いてトップスピードを引き出せれば、L1落ち込みやすい阪神1200ならポテンシャルも持っているこの馬にとってロードカナロアに一矢報いるチャンスといえそう。


展望の後編はロードカナロア含めた高松宮記念1,2,3の3頭を穿つ事ができるか、穴馬を探りたい。特に昨年はエピセアロームがロードカナロア、カレンチャンを破ったように、やはり3歳馬が気になるところだ。他にも上がり馬、底を見せていない実力馬も多く、波乱を起こす馬はどの馬か、しっかりと掘り起こして行こう。
 まずは3歳の刺客、今度は昨年ロードカナロアを差し切った騎手武豊が駆るであろうティーハーフに注目。前走の葵Sでは11.0 - 11.2 - 11.4 - 12.2と京都1200にしては割と序盤からペースが上がってL1落ち込みきびしい流れになっている。この流れで後方から3~4角内で脚を溜め、直線大外に出し気持ちよく差し切っての勝利。L1でグンと伸びてきているようにかなり質の高いポテンシャルを見せたと言え、トップスピードの維持能力はかなり高いものがあるだろう。もともとL1強襲タイプでポテンシャルタイプではあったと思う。ただポジショニングが悪く、そこまでトップスピードの質が良いわけではないのでこれまでなかなか詰めが甘かったと言えるだろう。こういうタイプなのでペースが上がることは苦にしない。実際朝日杯FSではハイペースで後方からロスの有る競馬になりながらもしぶとく伸びてメンバー最速の上がり3Fを叩き出している。ここからも、ペースが上がってトップスピードが鈍るというタイプではなく、ポジショニングが悪いだけで基礎スピードが足りないというようなイメージは無い。今回は強敵相手になるがこの馬の持ち味であるポテンシャルを引き出せる競馬になると面白いだろう。ただポジショニングが悪いというのはネックで、開幕週の阪神1200だと基本的に大外後方一気はなかなか決まりづらい。昨年のようにある程度流れても、アンシェルブルーが3着に突っ込んできたぐらいなので、勝ち負けを考えるなら少なくとも3~4角で前を向いて押し上げているか、もしくは序盤からある程度のポジションにつけたいところだ。ポテンシャルは底を見せていないので通用するだけの下地は持っている。


 気になる3歳馬はローガンサファイアだ。昨年のエピセアロームと同じ父ダイワメジャーで北九州記念を追いこんでの善戦から、セントウルSへの殴り込みだ。前走は超高速馬場でハイペースに追走することすら難しかったが、最後方からの競馬で直線大外からジリジリと伸びを見せての4着だった。鋭く切れるというような感じではなかったが、10.6 - 11.1 - 11.5 - 11.9とL1減速するにつれてジリジリと差を詰めて行ったようにポテンシャルは良いものを見せたと言えるし、走破時計も大きく詰めてきた。この点は単純に評価できる材料と言えるだろう。マーガレットSでは12.0 - 11.8 - 11.4 - 11.8と阪神1400にしてはそこまでペースが上がり切らない流れではあったのだが、3~4角で外目、直線最後方から凄い脚でまとめて差し切る競馬になっている。このラップ推移でも直線序盤から良い脚を使えていて、トップスピードの質も高いものを見せてきていた。ここ数走は追込みに偏った競馬になっているが、もともとは前目で競馬が出来ていた馬。ききょうSでは先行していて、11.5 - 12.6 - 11.5 - 11.4 - 11.8の流れで中弛みに合わせる競馬になってしまい、プリンセスジャックが後方でフラットな競馬をすることで楽な競馬だったが、これにクビ差まで踏ん張っている。ここからも中弛みにも対応しているようにかなり適性面で幅広いものを見せている。という点で、正直言ってまだこの馬の本質はハッキリとは判別できていない。前にも行けるはずだが、抑えてトップスピードを引き出せているしポテンシャルもある程度のレベルを見せていて底をまだ見せていない。NHKマイルCの内容からも1600mで一貫ペースは長いのかなという印象もあるので、現段階でベストは1400mという気もしないでもないのだが北九州記念のパフォーマンスを考えればある程度の位置で競馬が出来れば十分戦えそうだ。


 3歳馬でも小倉2歳Sを制覇している1200に強いマイネルエテルネルが前走から巻き返しを誓う。前走北九州記念では中団につける競馬になったが3~4角で外々を回される羽目になった。ただそれにしても終いはジリジリと伸びることもできず、思った以上にイマイチな内容ではあった。この原因はもしかするとこのクラスの超高速馬場では基礎スピード面で苦しかったという面があるかもしれない。古馬混合戦で結果を出したバーデンバーデンCは52kgに加えて道悪で渋った状態。勝ち時計も1:10.5と遅いが、ここでは11.3 - 11.7 - 12.0 - 12.3と消耗戦で3~4角は内から出口で外に出すと直線しぶとく伸びての差し切り勝ち。レースレベルはやや低いかもしれないが、タフな馬場ならコーナーで減速する流れでしぶとく押し上げることが出来ている。この点で小倉の超高速馬場では分が悪かったとみるのが良いか。小倉2歳Sでは高速馬場状態ではあったが勝ち時計は1:07.9。2歳戦の事なのでこれだけで判断はできないだろう。いずれにせよ好走しているときはポテンシャルが問われるケースが多く、中団ぐらいにつけてL1でバテ差すという競馬が理想。阪神1200mというコースはペースが落ち着く場合も多いので、少し緩んだ時にしっかりと動き出すことができるかどうか。函館スプリントSの内容は悪くはないが、このメンバーで総合力が問われたときは少し苦しくなりそう。


 4頭目の3歳馬モグモグパクパクにも触れる。これまではファルコンSの善戦やクリスマスローズSの内容からも比較的時計が掛かるタフな馬場でのポテンシャル勝負で良さを見せてきたという印象だった。その点で前走新潟内回りの1400m朱鷺Sでどういう競馬をしてくるかなという点を個人的に興味を持って見ていた。3角までの距離が長い新潟1400で大外枠という条件もあったとは思うが思ったよりも好位で競馬が出来ていたのと、11.6 - 11.2 - 11.1 - 12.1のラップ推移で思った以上に置かれなかった。3~4角で内目を通し先頭列を見ながらの競馬で追走はしていたがここで加速する流れで置かれなかったし、直線少し窮屈ながらも捌いてきてL1でしっかり踏ん張って伸びてきた。ポテンシャルはもとから見せていたのでそれほど驚かないにせよ、ある程度の位置取りにつけることができたという点では評価できる材料なのかなと。ただしあくまで1400mの内容であり、高速馬場が予想される阪神の開幕週でメンバーもかなり手ごわくなった今回、前走同様の競馬ができるかどうかだろう。前走ほど前とは言わないまでも、中団ぐらいでレースを進めたい。後は高速馬場にどう対応できるかだ。だが、天気が崩れそうなので、その点ではこの馬にとってはありがたい材料だろう。朱鷺Sは2着のサクラゴスペルは1400mではあったがかなりの実力馬であり、これに肉薄しているのであればここでもある程度通用していい。


 古馬で面白いのがマヤノリュウジン。この馬はキングヘイロー産駒らしい波に乗れそうで波に乗り切れない馬。周防灘特別では冬の小倉で7秒台を出していて、11.0 - 11.3 - 11.4 - 11.8のラップ推移で2列目外から直線かなり外に持ち出して粘り込んでの勝利。ある程度外差馬場もあったがこの前傾ラップでしっかりと前を目標に自ら仕掛けて直線で捻じ伏せているように高い基礎スピードとポテンシャルを持ち合わせている。そして準OPの心斎橋Sではハイペースで11.6 - 11.5 - 11.8 - 12.2と完全な持久戦を中団から中目を通して直線序盤で驚くほど手応えが有ったので仕掛けを遅らせるぐらい。そこからL1のバテでグンと伸びて外から忍び寄るニンジャを退けての完勝。かなり強烈なパフォーマンスだったと感じている。基礎スピードの高さは良いものを持っていて、同時にキングヘイロー産駒らしいしっかりとしたポテンシャルを兼ね揃えている。前走のディープインパクトCでは京都外1400mでむしろ基礎スピード勝負に持ち込めずに序盤スロー気味から11.3 - 11.2 - 10.8 - 11.9とトップスピードが問われる競馬になってしまった。3~4角で外目を回され直線でトップスピード勝負になってしまいここで置かれた。L1ではばてずに差は保っていたが、この馬としては序盤スローで良さを発揮しきれなかった形。トップスピード勝負になるとやや不安が有り、この馬としては高い基礎スピードを活かす競馬をしたいところだろう。その点では阪神1200という条件は個人的にはあまり良くないのかなあとも思っている。阪神1400と違ってペースが上がりにくく、3角の急カーブで内が窮屈になってごちゃつきやすい。ハナ争いがスッと決まってコーナーの地点が長いコースになり、ペースアップのタイミングが少し遅れる傾向がある。昨年のように早い流れになればとも思うが、緩い流れに付き合うと4角のペースアップで出し抜かれてしまう危険は有るだろう。ニンジャの得意なポテンシャル勝負で破っていることを考えれば普通に重賞級は間違いないのだが、今回は条件的にどうだろうか。雨がどう転ぶかだが、一応重馬場での勝利実績は有る。


 キーンランドC3着で新たな一面を引き出してきたシュプリームギフトがこの相手にどこまでやれるか。前走の3着は個人的にはあらゆる面で驚かされた。もともと追い切りを見てあまり良く見えなかったのもあるが、これまで緩めのペースである程度のポジションからトップスピードを活かして抜け出してくるというような競馬が得意だった馬。特に函館スプリントS2着のように、11.4 - 11.6 - 11.0 - 11.8と4角でペースアップする流れを2列目で前に馬を置きながらしっかり置かれず反応できているようにギアチェンジ面で良さがあった馬。反面でこれまで一貫ペース、タフな競馬では結果が出ていなかった。重馬場で11.4 - 11.6 - 11.5 - 12.2のラップ推移となった淀短距離Sでは12着に崩れているし、タフな馬場で11.6 - 11.7 - 11.7 - 11.8と平均的な脚が求められた2走前UHB賞でも崩れている。こういうタイプだけに消耗戦に弱いと思っていたのだが、前走でそれを払拭。11.8 - 12.3 - 12.0 - 12.5とL2で加速していて完全なる消耗戦ではないにせよ、3列目の最内から直線するする伸びて3着を確保した。この内容は正直どう消化したら良いか今でも悩ましい材料と言える。ただ、ストレイトガールには正攻法で完敗しているし、フォーエバーマークとの順序を考えても函館スプリントSの方がパフォーマンス的には上だったかなと。本質的にはトップスピードが武器だというのは確かだろう。今回はトップスピード型に強敵が多いので、その点では狙い辛いが、ここもある程度戦えるだけの武器は持っている。器用さは有るので外から動いていくよりは、多少窮屈になりやすい阪神でも内に拘った方が良いだろう。


 最後に強烈な追い込みサドンストームまで。とにかくトップスピードに乗りさえすれば質も良く、何より長くいい脚を使える。ただし、ポジショニングもだがスピードに乗るまでに非常に時間がかかるのと、ハイペースで縦長の展開になり、自分のペースから無理して序盤に追走するとそのキレ味が鈍るという点で厄介な馬。昨年のセントウルSでも後方から無理せず乗って10.9 - 11.0 - 11.2 - 11.9のラップ推移で外から伸びてくるものの、アンシェルブルー比較でも差はあったように、圏内までは遠い。この馬の本質はCBC賞にあると思っていて、自分のリズムを守れば終いは必ず伸びてくるが、前に何かがいるのでそれは交わせない。ラピスラズリSやオーシャンSの負け方からも、基本的に序盤からペースがゴリゴリに上がるタフな競馬は好んでおらず、軽い馬場でスピードに無理なく乗せることができる条件が欲しい。そういう点で要所に下り坂があるコースと非常に相性がいい。北九州記念は高速馬場でも超高速状態の小倉1200。下り坂は有っても流石に基礎スピードが足りない馬では追走するのも必死だったはず。これはあまり気にしなくていい。水無月Sの勝ち方を見ても、序盤ゆったり運べて、かつ3~4角で前を向いて押し上げて行くような競馬が出来れば面白いだろう。下り坂が京都や中京ほどないが3~4角外を回すことがそれほどマイナスにならない阪神内1200なら侮れないかもしれない。ただし、水無月Sのレースレベル自体は微妙なので、昨年のセントウルS5着のパフォーマンスの方が高いだろう。いずれにせよペースが上がらない展開になれば警戒は必要で、コース取りを選べるようなポジションではないので最初から外枠の方が競馬はしやすいだろう。嵌れば圏内に食い込んできても驚けないが、上位との力差は決して小さくはないだろう。


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