08期 予想歴14年
◎ゼンノグッドウッド
11着/9人気
○トウカイトリック6着/15人
▲アサクサキングス9着/1人
×アルナスライン
×モンテクリスエス
おそらくは展開が10通りなら結果も10通りになるようなメンバー構成。一時期は比較的荒れないGⅠと言われていたが、それもマイルや中距離をもこなす万能型のGⅠ級が出走していればの話。長距離馬のための長距離GⅠとなれば、大波乱とは言わないまでも、そう平穏には収まらないだろう。
正直ここにコマを進めてくるとは全く思わなかったが、◎は3連勝中のゼンノグッドウッド。豊富なスタミナと展開を問わない決め手は近3走で既に証明済み。オープン勝ちで即GⅠというのは常識的にはかなり厳しいが、距離適性と充実度でどこまでやれるのか、この馬を何故か追っかけてきた個人的な立場も含めて見守りたいところ。位置取りはともかく、道中スムーズに追走して懸念材料である速い走破タイムに対応できれば、意外性はまだ十分残っている。他に気になる点としては、いまの京都芝は外差しがあまり利かないので、4角ではある程度のポジションにいる必要はあるだろう。直線でもあまり外を回らないで欲しいというのが本音、要は勝つつもりでしっかり乗って欲しいということ。
トウカイトリック、阪神大賞典で休み明け5着ならむしろ好発進の部類。長距離戦では常に意外性を秘めている1頭。2年前くらい走れば今年の対戦相手ならもっと通用してよい。直線で内を渋太く突く競馬なら理想的。
アサクサキングスは首の高い走法だが、ここに来て気性面が安定してきたか、厳しい展開や状況でも相応の結果を出してきている点は評価。2年前の菊花賞馬で京都も実績から望むところで、一見して大きな死角はない。ただ、昨年は上位2頭に完敗したうえに、今年は前々で大逃げを打ってくる馬の存在も気になる。自ら早めに仕掛けて前をつかまえ後続を完封できれば完璧なのだが、3角過ぎからマクリ合いで前がかりの展開になった場合は不安もある。一応、格を評価して▲まで。
消し評価は日経賞組から2頭。復調気配のアルナスラインだが、昨季はホクトスルタン、スクリーンヒーローに完敗。かりにピーク時であっても上位馬を逆転するまではいかがなものか。2年前の菊花賞にしても、アサクサとの僅差は結構致命的にも思えたものだが。GⅠ馬でない菊花賞2着がその後軒並み振るわない傾向からも、大舞台では足りない存在に映る。
モンテクリスエスも前走でマイネルキッツに最後追い負けていた点が気に入らず。あそこで連対を確保できなかったのは、依然として根の弱さを露呈してしまった感がある。
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08期 予想歴14年
次走狙い:スクリーンヒーロー
次走危険:アルナスライン
勝ったマイネルキッツは一部の方々が鋭く指摘されていたように、良くも悪くも相手なりに走れるタイプの馬。この辺はいかにもチーフベアハート産駒らしいが、道中は内枠を利して脚をため、自ら早めスパートで後続を完封した内容は、決して展開やメンバーに恵まれただけでは説明のつかない、むしろ然るべき評価のできる好内容に映った。
個人的にはノーマークとしたが、日経賞で最後モンテクリスエスを競り落としたあの渋太さと潜在的な長距離適性にもう少し注目できていれば、と自身もレース終了後に反省しきり。それに、波乱といっても馬連が100倍前半で済んだのだから、この馬に最初から注目していた競馬上手が相当数いたことは想像に難くない。
重賞未勝利馬が天皇賞を制したことで、日本競馬の質の地盤沈下を憂えるような意見が出てくるというのは十分に想定内。だが、今回の結末から競馬の質が果たして本当に低下してきているのだろうか。個人的な意見では全くそうは思わない。
ひと昔前の天皇賞・春といえば、長距離戦とはいえ総合力で雌雄を決するようなレースが多く、その点で割と成績の「格」に従った堅い決着が多かったかと推測できる。特殊な芝3200戦ながら長距離のスペシャリスト決戦ではなく、むしろ総合力で長距離を「こなす」ゼネラリストを求めるような色が強いレースだった。
ただ、競馬が進化するという前提に立つならば、昔よりも今のほうがより高いレベルの競走能力を要求されるというもの。その時に、各距離体系ごとに要求される専門性もこれまで以上に確実性と負荷が求められると仮定したらどうか。それなら、「格」や「強さ」を誇るGⅠ馬でも、「こなす」程度の長距離適性では天皇賞・春を簡単には勝てなくなった、という推測も成り立とう。時代が変わり、天皇賞・春も、ゼネラリストよりもスペシャリストを追求する位置付けのGⅠに変貌しつつあるのかもしれない。そういう理由で、天皇賞・春が今回のような結末となっても、勝ち馬の「格」を表向きの理由として一概に競馬のレベル低下を叫ぶことにはちょっと抵抗がある。
ただ、長距離戦はそもそもレース数が少なく、サンプル数の少なさと距離の長さにおける展開の多様性から、そもそも各馬の適性を正確に判断するのが難しい条件ではある。だから、長距離戦の勝ち馬にも「なんちゃって長距離馬」が潜んでいるケースもそれはそれで結構有り得る話。まあ、この辺の真贋を見極めるのが、ある種競馬の醍醐味なのかもしれないが。
また、生産界なども含めて、今の日本競馬自体、長距離軽視の傾向は明らか。そのツケが昨今の同レース波乱に表面化してきているのかもしれないが、この問題提起はあくまでも付け足し程度に考えておきたい。
閑話休題。次走狙いは2番人気で大敗したスクリーンヒーロー。アルゼンチン共和国杯・JCを連勝したように、淡々としたペースからの上がり勝負は得意だが、今回のようになし崩しに脚を使わされる展開への適性はからっきし。また、よく成績を確かめれば、とりわけ長距離に適性が傑出しているというタイプでもない。ベストはやはり2400M前後だろう。明らかに能力とは無関係の大敗で、今回の敗戦は度外視できる。次走もし目黒記念辺りに出走ならキッチリ反撃はできるはず。
アルナスラインは勝ちそうな勢いも最後マイネルキッツに差し返されてまたしても銀メダル。今回といい菊花賞といい、勝ち馬と僅差までは持ち込むが、取りこぼしというよりも着差以上に勝ち馬と決定力の差を感じる内容だったことには変わりない。今回の好走で次走人気は必至だが、成績の割に本質的な根の弱さが目立つ馬。日経賞から連戦で好立ち回りを演じているが、大名相撲ができるほどの地力は疑問。次走も距離短縮の可能性が濃厚で、これも同馬には向かい風。
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