NHKマイルC2016予想
紆余曲折を経て、本年の予想

スカイポット
14期 予想歴19年

◎メジャーエンブレム
  1着/1人気

○アーバンキッド16着/6人
▲イモータル11着/3人
△シュウジ12着/8人


 NHKマイルCの予想について、昨年は馬場差を分析するための指標であるTBI(トラックバイアスインデックス)を縦のバイアスと横のバイアスに分解し、過去10年分のデータを一定のルール(資料右下の概要にて記載)に基づいて抽出して作成して行いましたが、展開がスローペース(テン3F35.3、上がり3F34.2)となったことで想定以上の前残りが生じてしまいました。そこで、今年は一番初めに展開予想の要素から分析してみたいと思います。

★展開
 競馬は基本的に荒れる方向に動くものであることは常に留意しなければならないですが、その影響は展開に出やすいもの。簡単に言えば、人気馬が逃げ先行馬であれば前傾ラップに偏りやすく、人気馬が追い込み馬であれば後傾ラップに偏りやすいと考えれば、今年は逃げ馬のメジャーエンブレムが1番人気になるので、(相手は)差し追い込み馬を狙うべきだと思います。
 「NHKマイルC予想資料(展開分析)」(※)をご覧ください。指数が抜けた逃げ馬がいる1996年や2014年を参考にすれば、中距離組かOPで上がり最速経験のある差し追い込み馬が狙いであり、アーバンキッド、イモータル、ストーミーシー、トウショウドラフタ、レインボーライン、ロードクエストが候補になると考えます。
(※)http://baryutensei.com/report/1605bt-nhkTENdata.pdf

★指数
5月8日(日)東京11R NHKマイルC 東京1600m 軸4<3B>

1.シュウジ(キンシャサノキセキ) 58.5
2.エクラミレネール(マツリダゴッホ) 56.0
3.アーバンキッド(ハーツクライ) 58.5
4.メジャーエンブレム(ダイワメジャー) 64.1
5.ロードクエスト(マツリダゴッホ) 60.3↑
6.ティソーナ(ダイワメジャー) 55.9↓
7.トウショウドラフタ(アンライバルド) 60.4↓
8.イモータル(マンハッタンカフェ) 59.8≠
9.シャドウアプローチ(ジャングルポケット) 59.5≠
10.ダンツプリウス(ブライアンズタイム) 56.0
11.ペルソナリテ(ステイゴールド) 52.4
12.ハクサンルドルフ(アドマイヤムーン) 57.9
13.シゲルノコギリザメ(スーパーホーネット) 57.3
14.ブレイブスマッシュ(トーセンファントム) 58.0↓
15.ストーミーシー(アドマイヤムーン) 56.0
16.カネノイロ(パイロ) 53.9↓
17.ブランボヌール(ディープインパクト) 55.5
18.レインボーライン(ステイゴールド) 56.7

 指数を見るとメジャーエンブレムが抜けていて、調整指数圏内馬は2頭だけ。ミッキーアイルが逃げ切った2014年よりも2位との差が大きいくらいなので、極端な溜め逃げや暴走をしない限りは逃げ切れるように思います。しかしながら、同型のシゲルノコギリザメがおり、抜けた人気にもなればペースが速すぎて負けるリスクも忘れずに考えておきたいところですね。

★TBI
 ここからは、資料「NHKマイルC予想資料(Track Bias Index分析)」を見ながら読んでください。
→http://baryutensei.com/report/1605bt-nhkTBIdata.pdf

 過去11年の「予想時TBI(当日)」と「予想レースTBI」を見比べると、HTBIとVTBIのバイアスが2段階以上異なるのは、2007年のVTBI(フラット→極端な後方有利)、2009年のHTBI(外有利→極端な内有利)、VTBI(後方有利→極端な前方有利)、2013年のHTBI(デフォルト→極端な外有利)、2014年のVTBI(デフォルト→後方有利)の5箇所。他は1段階以内の誤差であり、更に、そのうち「予想時TBI(前日)」も2段階以上異なる箇所は2007年のVTBI、2009年のHTBI、VTBIだけ。このことから、基本的にバイアスは連動すると考えて予想を行います。

 2009年は連動していませんが、サンプルごとのTBIを見ていったときに、極端な有利バイアス(資料で着色している部分)が内有利と外有利の両方出ています。過去10年で同じTBIに両極の有利バイアスが出ていた年は2009年だけですので、このような場合には留意が必要かと思われます。2014年はNHKマイルCのHTBIが極端な内有利バイアスとなりましたが、サンプルごとのHTBIで極端な内有利が2レース検出されていました。2008年のHTBIは極端な外有利が3レース検出され、NHKマイルCのHTBIも極端な外有利となりました(外枠14番、14番人気のダノンゴーゴーが追い込んで3着に入った)。

 ちなみに、サンプルレースのセルを灰色にしているのは、当日と前日とで馬場状態が異なる場合、参考としない対応を採っているためです。この場合、「予想時TBI(前日)」も参考としてのみの表示としています。

 好走馬BPRのセルの色づけは、BPRが1400m以下は薄い緑、1800m以上は薄い赤としています。1800mからの臨戦が優勢な印象がありますが、1600mからが最有力で15頭、1800以上は9頭、1400m以下は6頭となっています。また、BPR1(逃げ)は2頭、BPR3(番手)は7頭、BPR5(先行)は6頭、BPR差(差し)は8頭、BPR追(追込)は6頭となっていて、逃げ以外の出現率はほぼ同じです。

 過去11年の3着以内馬の枠別出現回数は、内枠(1~3枠)が13回、中枠(4~6枠)が10回、外枠(7~8枠)が10回。枠の有利不利はない状況です。

 土曜日の結果を受けて算出した「予想時TBI(前日)」は、HTBI=11.1、VTBI=30.3でした。この数値に基づき、予想レースTBIは「極端な内先行有利~デフォルト」、「前方有利~フラット」と想定します。

★データアート
 今年はTBI分析を踏まえ、バイアス不安定条件(内先行有利)のデータを用いることとします。消去法に該当する馬は下記のとおりです。

Z.前走の位置取りが追込の馬(トウショウドラフタ、ペルソナリテ、ハクサンルドルフ、ブレイブスマッシュ、ストーミーシー、カネノイロ、ブランボヌール、レインボーライン)

Y.BPRがダートの馬(カネノイロ)

X.BPRが差し、追込みの馬(前3走に1200m以下でBPR先行勝利実績ある馬を除く)(エクラミレネール、ロードクエスト、トウショウドラフタ、シャドウアプローチ、ペルソナリテ、ハクサンルドルフ、ブレイブスマッシュ、ストーミーシー、カネノイロ、ブランボヌール、レインボーライン)

V.今年の芝の重賞3着以内または条件戦以上勝ちのない馬(シュウジ、シャドウアプローチ、ペルソナリテ、カネノイロ、ブランボヌール)

残留馬…アーバンキッド、メジャーエンブレム、ティソーナ、イモータル、ダンツプリウス、シゲルノコギリザメ

★血統系統及び末脚順位
 過去11年の3着以内馬33頭のうち、SS系の血統系統を持たない馬の好走は9頭。降雨により重い馬場となった2007年は3頭ともSS系を持っておらず、また、かなりの外差し有利となった2008年の2頭も除くと、これらを例外とすれば、23/27がSS系を父か母父に持っていたこととなります。また、父が地味血統であっても母父がSSの馬が6頭絡んでいて、このパターンは注意したいですね。他の系統では、ND系が17頭、MP系10頭、GS系が4頭、RO系が3頭となっています。
 今年のメンバーでSS系のない馬は、シャドウアプローチ、ハクサンルドルフ、シゲルノコギリザメ、ストーミーシー。

 続いて、末脚順位を分析します。過去11年で上がり連対(2位以内)経験がなかった馬の馬券圏は1頭(フラムドグロワール)のみ。条件戦以上で上がり連対経験のない馬としても6頭のみで、うち展開によりイレギュラーな前残りが生じた2009年を除けば26/30。条件戦以上での上がり連対経験が欲しいところです。
 これを満たせないのは、エクラミレネール、シゲルノコギリザメ。条件戦以上での上がり連対経験がない馬は、イモータル、シャドウアプローチ、カネノイロ。

★結論
 指数が抜けており、バイアスにも恵まれたと思われるメジャーエンブレムに本命を打つ。相手には、そこそこの位置を取れ、内を取れそうなアーバンキッド、イモータル、シュウジを上位とした。シュウジはバイアス利を踏まえると、差し有利の朝日杯の条件で5着に粘れた内容を見直した(前走は不良馬場なので度外視した。調教内容を見る限り終わったと言い切れない)。おさえは、充実著しいトウショウドラフタ、内を捌いて来れれば無視できないロードクエスト、どの角度から見ても消すまではという評価のダンツプリウスまでとした。

◎メジャーエンブレム
○アーバンキッド
▲イモータル
△シュウジ
△トウショウドラフタ
△ロードクエスト
△ダンツプリウス

★一言コメント
1.シュウジ(前走は不良馬場で度外視可か。厳しい流れも予想されるが馬場差は有利)
2.エクラミレネール(クイーンCでメジャーエンブレムに完敗。指数が低い)
3.アーバンキッド(毎日杯好走からのローテは良い印象。内枠と外国人騎手のプラスαでどうか)
4.メジャーエンブレム(前走末脚勝負で指数を7も下げたのは不安材料だが馬場差は向く)
5.ロードクエスト(池添騎手は内を捌くだろうが頭はなさそう)
6.ティソーナ(通常は消せるタイプだが、馬場差は追い風。鞍上も怖いが指数は高くない)
7.トウショウドラフタ(過去のマイル戦で実績がないのは不安材料だが、近走充実で侮れない)
8.イモータル(5番人気程度なら前向きに評価する妙味はありそう)
9.シャドウアプローチ(NZT使えなかったのは不安材料。まず本線には不要か)
10.ダンツプリウス(レベルの低い相手と戦ってきただけで、末脚にもワンパンチがない印象)
11.ペルソナリテ(近走内容が評価できない)
12.ハクサンルドルフ(条件戦までの実績馬の好走例は僅かで脚質も極端。馬場差も逆の流れ)
13.シゲルノコギリザメ(馬場差は向きそうだが、前走非重賞で負けたので不要か)
14.ブレイブスマッシュ(東京向きの可能性はあるが、外枠が痛い印象)
15.ストーミーシー(前走指数が高くないためここは厳しい。大外一気になりそうなのもマイナス)
16.カネノイロ(不要だろう)
17.ブランボヌール(近走内容が評価できない)
18.レインボーライン(持続質の末脚を使うだけに大外枠の条件は過酷)

※条件が想定外に内有利という判定となったため、ツイキャスでお話した内容とはズレが生じていますのでご注意ください


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NHKマイルC2016回顧
馬場差と展開についての思索

スカイポット
14期 予想歴19年

次走狙い:シュウジ
次走危険:ロードクエスト


 本命を打ったメジャーエンブレムが快勝し、△のロードクエストが2着。馬連で元返し、単勝や馬単なら多少プラスといった状況ですが、これは1,2番人気だし、3着のレインボーラインを無印としてしまったので予想としてはちょっとズレてしまったという内容です。

 一見、TBI分析によるバイアス判断を失敗して内有利に決め打ちしてしまったのが失敗だったように思ったのですが、当日のTBIはHTBI=20.7、VTBI=49.4で、前日と同じく横内有利、縦デフォルトだったのです。それが、本番ではHTBI=67.2のフラットになってしまいました(VTBIは40.0で想定通り)。何が起こっているのか。

 予想文を見直すと、今回新しく採り入れていた「展開」の記述までは的を射ています。「指数」も、メジャーエンブレムを本命に推せたし、ロードクエストを軽視しなかった点等で機能しています。なお、レインボーラインは近走は指数を下げたまま安定していましたが、昨年はもう少し高い位置(指数58~59)にいたので、条件が合うのか調子が戻っていたのか。

 そして、「TBI」で内有利方向に舵を切り、「データアート」で誤解が進んだと。「血統系統及び末脚順位」は機能していますね。それでも、内先行有利バイアスと“メジャーエンブレムが他の先行馬を潰すタイプ”というところの折り合いをできるだけとりたかったことと、データアートに流されすぎないようにするため、「展開」でも残っていた中距離組を2,3番手にしているので、悪くはないように思うのですが(予想がズレた点はいまいち消化しきれていません)。

 ひとつ気が付いたのは、スピードのある逃げ馬は当然速い流れを作りますが、それが人気馬なら後続も無視することができないので縦長になります。今回、直線で外に出したロードクエストとレインボーラインも4角では外でも4頭分程度で済んでいましたが、縦長になるとコーナーロスが小さくなる可能性があります。そして、今回のような1番人気のような人気馬が前にいればそれだけ後続の仕掛けが速くなり、直線での攻防も早く展開します。今回も、残り100mまでは本線の馬が頑張っていました。ミッキーアイルと同様、指数が抜けていても僅差にまで詰め寄られるですから、少し強い程度の1番人気の逃げ馬は潰されるのだろうなという感覚も掴めました。

 結果的には、今日のレースでは「TBI(馬場差)」よりも「展開」の影響のほうが威力が大きかったということになります。いつもこうなるのかは更なる分析が必要ですので、今後の予想への採用も検討します。また、メジャーエンブレムのような“他の先行馬を潰すタイプ”というのは必ずそうなるのものか(今回は馬場差によってこれが破られる可能性に期待してみたのですが)も注目していきたいと思います。

 次走狙い馬には、先行馬が潰れる中で結構頑張ったシュウジ。短い距離なら。
 次走危険馬には、馬柱的に挽回を見せたが不器用さに常に危険の伴うロードクエスト。


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