ヴィクトリアM2016予想
中距離先行馬の力量VS短距離差し馬のキレ

夏影
14期 予想歴33年

◎クイーンズリング
  8着/5人気

○シャルール18着/9人
▲ストレイトガール1着/7人
△ウキヨノカゼ7着/15人
×ルージュバック
×ミッキークイーン


開催年 勝馬        タイム(前半-後半) 位置   (上り)
2015年 ストレイトガール  1.31.9(34.3-35.0) ④→⑤→⑤(33.0)
2014年 ヴィルシーナ    1.32.3(34.7-34.3) ①→①→①(34.3)
2013年 ヴィルシーナ    1.32.4(34.6-34.2) ①→②→②(34.0)
2012年 ホエールキャプチャ 1.32.4(34.4-34.2) ③→③→③(33.8)

ここ4年の前半3ハロンのラップは、34.5前後と高速馬場にしては特別激ペースになる事もない。
勝馬の位置取りは全て5番手以内で、全馬前半3ハロンを35.0以内で通過、上がりも軒並み34.0以内。
この事からも、勝ち馬のラップの刻み方が短距離差し馬のリズムに非常にに酷似しているし、高速馬場の前半34.5ならば中距離先行馬でも、追走が苦痛にならない範囲なのであろう。
逆にミッキークイーンやルージュバックのような走りのリズムや位置取りで競馬をしようものなら、おそらく32秒台前半か、それを切る上がりを駆使しなければならない、それがヴィクトリアマイルのが現状なのだ。

勝ち馬4頭は生粋のマイラーという訳ではなく、うち3頭は中距離路線で活躍していた一線級の先行馬で、残りの1頭は短距離路線で活躍していた差し馬である。
この傾向はひと昔前のマイルCSの傾向に非常に酷似している。
ダイワメジャーやジェニュインのような一流の中距離先行馬が勝つか、デュランダルのような一流短距離差し馬が勝つか…といった時代があった。

2009年~2011年には中距離の一線級の差し馬が勝っているが、ウォッカやブエナビスタ、アパパネといった歴史的名馬である。
ショウナンパンドラの実績ならこの馬達と同評価しても良さそうな感じも、実際昨年のレースでは惨敗している。
やはり、時代の傾向に沿って考えてレースを占ってみたい。

ミッキークイーン、ショウナンパンドラ、ルージュバックなどの実力馬は全て中距離路線の差し馬で、レースの指向からズレている感じだ。
そこで、注目しているのはクイーンズリング。
差し競馬の多い同馬だが、本質的にキレ味を生かすタイプでもない。
実際前走は先行策でレースを制しており、鞍上デムーロが今回のレース指向を意識している事も、同馬がキレ不足である事も重々理解している事もうかがえる。
秋華賞2着が示すように、力量的にも他の一流馬と比較しても何ら遜色はない。

相手はシャルール。
ゼンノロブロイ×カルドゥンの体力の豊富さをうかがわせる血統背景があり、持続力の高い先行力も魅力。
鞍上の横山典も馬の個性を尊重するジョッキー。
素直に内枠を生かして先行策に出ると見る。揉まれない競馬を心掛けるはずだ。
前走初重賞も人気を背負いながら2着。前残りだったレースを、小回りコースの大外枠発走という致命的なハンデを背負いながらあっさりクリアするあたり、相当の力量をうかがわせる。
前々走の勝ち時計が1.45.8。そんな高速レースで、離れた3番手追走ではあったが自身の上がりが33.6の速い上がりを駆使し後続を突き放す。
高速競馬に対する適応力をまざまざと見せ付けてくれた。

短距離差し馬なら、やはりストレイトガール。
戸崎圭も昨年と同じ感覚で乗ってくれるはずだ。
前走は、阪神外回りのレース。
先週のNHKマイルCは、桜花賞を凡走したメジャーエンブレムが快勝したように、阪神外回りと今の府中の高速マイルでは全く指向性が異なる。
更にストレイトガールは気の悪いタイプで、前半ダラダラと流れる阪神外回りの競馬では、道中あまりにも気持ちに余裕出来てしまう。
レース以外の事に目移りしてしまうのは必至で、結果レースに対する気持ちが切れてしまうのだ。
そんな訳で、前走の結果を馬の調子と受け止めて評価するのはいただけない。

本来ならウキヨノカゼを上位に取りたかった。
前走厳しい流れを体験しての距離延長ステップ。
性格的に揉まれ弱い同馬には非常に向いたステップ。
しかしながら、鞍上が鞍上なだけに、昨年の戸崎圭のようにレース指向に沿ったひと工夫の込められた騎乗が期待出来ないのも事実。
馬の脚質的なイメージのみで競馬をするジョッキーだ。
上手く位置取りを前目に持って行ければ勝ち負け期待も、こればかりは鞍上次第。流石に強気には推せない。
馬の走りのリズムを考慮に入れて騎乗するジョッキーだったら、おそらく◎評価だった。

予想からは漏れたが、内枠に入ったウインプリメーラ、性格的、物理的な側面から枠順に恵まれた感じで面白いと思う。


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ヴィクトリアM2016回顧
これこそ短距離差し馬と中長距離馬との差

夏影
14期 予想歴33年

次走狙い:シャルール
次走危険:スマートレイアー


今年のヴィクトリアマイルは、ストレイトガールが最後の直線半ばから馬群から突き抜け、見事連覇を果たした。

まず、賞賛したいのは戸崎圭の体内時計の正確さ。
今年の前半3ハロンの通過タイムは、33.8で昨年よりもコンマ5秒速い流れ。
ストレイトガールの位置取りは、先頭から6~7馬身差の馬群の中段、つまりが、先頭からちょうど1秒前後の通過。
予想の時点で述べた事だが、ここ4年の勝ち馬のうち3頭は前半3ハロンを34.5~35.0の範囲内で通過している。
この王道のラップタイムにしっかり当てはめて競馬をしていたのである。
ちなみに、2着に入ったミッキークイーン、3着に入ったショウナンパンドラ、および、デムーロ騎乗のクイーンズリングは、ストレイトガール付近の位置取りでしっかり前半3ハロンを通過していたのである。

このペースでの先行策狙いだった、クイーンズリングはこのペースで先行し、後続馬に追わせる競馬が理想。
差し馬と同じ位置取りになっては厳しい(笑)。
シャルールは厳しい流れに付き合わされる羽目になり、お陀仏となった(笑)。

物理的には◎も、『考えて騎乗出来ない鞍上』という事で、評価を下げたウキヨノカゼ。勝馬ストレイトガールと同じ最速上がりを見せてくれたが、案の定馬鹿の一つ覚えの如く『殿り強襲策狙い』で来た(笑)。
ラップを考えて、馬群中段の外目であたりで競馬が出来ていたら、おそらく違った結果が出来ていたはずだ。
馬の適性だけでなく、『鞍上の頭脳』も予想には不可欠な要素であると、改めて認識する事となった。

最後の直線では、人気馬2頭とは全く比較にならないほどの鋭い反応を見せて、ストレイトガールは突き抜けた。
この反応の鋭さの差こそ、『短距離差し馬と中長距離馬』との差である。

短距離競走の舞台の大半は直線の短いコースである。
小回りだったり、内回りだったり、外回りと言っても中山の直線は短い。
こういったコースで差すとなると、短距離レースの流れの中で、更にガツンと加速して一気にトップスピードに押し上げる必用がある。

対し中長距離路線の舞台の大半は府中や、阪神や京都の外回りコースで、じっくりと加速しても間に合うレースに適性を持つ馬が多いのだ。

その物理的特性の差が、今日のような場面ではっきりとした形になって出てしまうのだ。

ヴィクトリアマイルはスピード競馬になる以上、『短距離差し馬』の物理特性はやはり圧倒的な優位性をを持っていると改めて再認識させられた。

そう言えば2008年だったか、あのウォッカがエイジアンウインズの反応の鋭さに屈したんだっけな…歴史はしっかり物語っていたのである。

厳しい流れに巻き込まれたシャルール、次走は間違いなく『苦→楽』のステップになる。間違いなく狙い目だ。

スマートレイアーは、厳しい競馬を逆に頑張り過ぎた感が強い。次走は反動に注意。


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