阪神JF2016予想
第四版

スカイポット
14期 予想歴19年

◎リスグラシュー
  2着/2人気

○ディーパワンサ4着/5人
▲レーヌミノル3着/3人
△ジャストザマリン16着/11人


 阪神競馬場が改装された2006年以降、このレースの勝ち馬はウオッカ、トールポピー、ブエナビスタ、アパパネと、牝馬クラシックはもちろん、中には古馬混合G1まで活躍するほどの馬を輩出し、名牝(女傑)の登竜門的な位置づけに様変わりした。

 好走する馬には、以前はスピードタイプもいたが、直線の長い外回りコースに条件が変わってからは、スタミナのない馬や末脚のない馬は厳しくなっている。

 スタミナに関しては、距離実績(とその内容)である程度の判断が可能である。
 改装(2006年)以降の阪神JFにおいて、ベストパフォーマンスレース(BPR)とセカンドパフォーマンスレース(SPR)の距離実績が1200m以下までの馬の結果は、(0.0.0.2.0.32)と全滅している。これは該当34頭全馬が6番人気以下なので順当と言えば順当ではあるが。

※BPRは一番近走の重賞3着以内、OP連対、条件戦以下勝利に該当するレースのことであり、SPRは二番目に近走のレースである

 更に、上記を除き、BPRとSPRがいずれも1400m以下の馬を調べてみると、人気が(2.1.3.2.3.43)のところ、(0.3.2.5.5.39)という結果となっている。

 1400m以下レースがBPR、SPRである馬の峻別データとしては以下のようなデータも作成している。A~Bに該当しない馬を消去できるというデータである。
A.血統系統(父及び母父)にGS系あり
B.外国人騎手

 なお、2006年以降、ファンタジーSを使って馬券に絡んだ馬は以下の7頭(馬名の右は、ファンタジーSでの着順と位置取り、好走要因)。

2006-2 アストンマーチャン 1着 5-3(指数1位)
2007-3 エイムアットビップ 2着 1-1(指数1位)
2009-3 ベストクルーズ   2着 5-5(マイル以上勝利経験あり)
2010-2 ホエールキャプチャ 3着 17-15(マイル以上勝利経験あり、差し追込脚質)
2011-2 アイムユアーズ   1着 9-10(差し追込脚質)
2012-1 ローブティサ-ジュ 1着 8-8(マイル以上勝利経験あり、差し追込脚質)
2015-3 ブランボヌール   3着 3-3(差し追込脚質)

 指数1位の実力馬か、マイル以上で勝利経験のある馬か、BPRまたはSPRが差し追込脚質(直近のレースがBPRに該当しない馬を除く)のいずれかがなければほぼ好走できないと見える。ファンタジーSは阪神JFの前哨戦として歴史があり、上位馬は人気になることも多いが期待値は高くない。

 なお、ファンタジーS以外で、2006年以降、前走が1400m以下から馬券に絡んだ馬も下記のとおり、マイル以上勝利や差し追込脚質タイプが多い。

2006-3 ルミナスハーバー  未勝利 1着 7-4(マイル以上勝利経験あり、差し追込脚質)
2009-2 アニメイトバイオ  京王杯 2着 17-17(マイル以上勝利経験あり、差し追込脚質)
2010-3 ライステラス    京王杯 4着 2-4(デムーロ?)
2012-2 クロフネサプライズ りんどう1着 1-1(※)
2013-3 フォーエバーモア  サフラン1着 8-7(マイル以上勝利経験あり、差し追込脚質)
2014-1 ショウナンアデラ  からまつ1着 4-3(マイル以上勝利経験あり)

※クロフネサプライズは1200mの未勝利戦でパリュールを差し返したり、小倉2歳Sで前が詰まらなければ3着には入れたと思える末脚をきらりと見せていた、この時点では持続SHPを評価できる馬だった

 スタミナ判定の次に末脚の分析を行う。阪神マイルは、外回りコースができてから末脚が非常に重要となっているが、A.中団で折り合って、流れに乗った上で、B.速い末脚が使えること、が望ましい。Bについては、上がり連対経験がまず必要である。過去10年で、上がり連対なく馬券圏に入った馬はいない。特にファンタジーS組からは、5頭の馬券圏内馬が出現しているが、エイムアットビップ(ファンタジーS1番人気、当日2番人気、指数1位)とブランボヌール(ファンタジーS1番人気、当日3番人気)を除く4頭はファンタジーSでも上がり連対を記録していたことに注目。

 末脚力を測る具体的な判断基準としては、A.BPRまたはSPRにおいて、3角12番手以降または4角11番手以降の追い込みではなく(上がりが2位より0.8秒差以上速い場合を除く)、B.当該レースにおいて上がり2位以上経験がある(A.が1番手の場合は3位まで可)、としている。この条件は多くの馬が該当することから、末脚のないタイプや極端すぎる脚質の馬を軽視するツールとして使えば良いだろう。

 続いて、能力である。これは、指数1位のみを用いる。2006年以降の指数1位馬(距離調整後)は、アストンマーチャン(2着)、エイムアットビップ(3着)、ダノンベルベール(2着)、アパパネ(1着)、レーヴディソール(1着)、サウンドオブハート(3着)、サウンドリアーナ(17着)、ハープスター(2着)、レッツゴードンキ(2着)、メジャーエンブレム(1着)。ファンタジーSで上がり連対していない1頭を除けば、指数1位馬は全て馬券圏に来ている。1400m~1600mの高指数馬と、見どころのある未知馬との組み合わせを購入すれば良い。

 なお、ウオッカやトールポピーは1800mの黄菊賞からの臨戦で、指数はそれほど高くなかったものの好走していることから、1800m以上からの臨戦馬の指数基準は緩やかなものにしたほうが無難である。

 次に、マイル以上の未知馬や1800m以上での低指数馬の手応えを確認する。前走が条件戦以下で馬券に絡んだ馬は2006年以降13頭いるが、うち7頭は手応え◎以上に評価できる馬だった。例えば、ウオッカやトールポピーは、鞍上がいつでも抜けると安心して、追い出しを遅らせた結果、ウオッカは前を捕まえられず、トールポピーは自身よりも末脚の切れる馬に差し切られてしまった。

 なお、手応えが並み以下だった馬について、考慮すべきと思われる材料としては、ダノンベルベールとアパパネは指数1位、アパパネとレッドセシリアは中弛み超高速上がりラップの勝利、レーヴダムールは稍重馬場、ジョワドヴィーヴルはしっかり追えていなかったといった点が指摘できる。

 血統については、2006年以降の阪神JFで馬券に絡んでいる馬の多く(22/30)の種牡馬が、自身が2400mのG1(ダービーやJC)を優勝しているか、既に産駒が同条件を優勝しているクラシック血統であり、例外の8頭中3頭はこの時期完成されたスピードを有した指数1位馬(アストンマーチャン、エイムアットビップ、メジャーエンブレム)だった。

 さて、ここからは2016年のメンバーを上記の予想過程によって分析していきたい。

 まず、スタミナの土台として、BPRとSPRが1200mというまず消しで良い馬は、エムオービーナス、クインズサリナ、スズカゼ、ポンポン。

 BPRとSPRが1400m以下という馬に該当するのは、アリンナ、ショーウェイ、ジャストザマリン、フェルトベルク、レーヌミノル。このうち、GS系の血統系統又は外国人騎手という条件に該当がある馬はおらず、マイル以上勝利経験や差し追込脚質で拾える馬もいない。指数の高いレーヌミノル、中弛み超高速上がりラップ勝ちのジャストザマリンを残して、他の馬は消去とする。

 続いて、末脚を確認する。A.BPRまたはSPRにおいて、3角12番手以降または4角11番手以降の追い込みではなく(上がりが2位より0.8秒差以上速い場合を除く)、B.当該レースにおいて上がり2位以上経験がある(A.が1番手の場合は3位まで可)に該当しない、エムオービーナス、ショーウェイ、スズカゼ、フェルトベルク、ポンポンは消して良いだろう。

 指数について。まず、指数中位となる57.5のラインを割り込んでいるエムオービーナス、クインズサリナ、ゴールドケープ、シグルーン、サトノアリシア、ショーウェイ、スズカゼ、フェルトベルク、ブラックオニキス、ポンポンについて、指数が固定されていないサトノアリシアを除き消しとする。

 このレースの中心軸となる指数1位馬はリスグラシュー。脚質は先行から差しと不安はないし、血統的にも父ハーツクライは自身もドバイシーマクラシックを勝ち、産駒もワンアンドオンリーがダービーを、ヌーヴォレコルトがオークスを勝つなど2400mでのG1実績がある。

 データ上問題なく残った馬は、ヴゼットジョリー、ジューヌエコール、ソウルスターリング、ディーパワンサ、リスグラシュー(本命)。マイナス評価に抵触しながら保留とした馬は、ジャストザマリン、レーヌミノル、サトノアリシア。これらの馬についてコメントをしていく。

18.リスグラシュー(戸崎)
 このレースにおいて信頼度の高い指数1位馬。それも、抜けた指数(G1勝利水準)を持っており、先行~差しの脚質で距離実績もあり、血統的な距離不安もなく、速いペースへの対応、上がりへの対応いずれもクリアしているとなれば逆らう必要はない。

 負けるとすれば未知の要素のあるソウルスターリングと、ジャストザマリンくらいなものだが、ソウルスターリングの前走(アイビーS)時の上がり3Fは、スローペースの展開で目算11.5-11.0-11.4とラスト1Fで減速している。これに比べて、リスグラシューの前走(アルテミスS)時の上がり3Fは目算11.1-11.2-11.0と減速していない。ジャストザマリンにしても、流石にG1馬のパフォーマンスという程の末脚には見えなかったし、未知の要素が大きすぎる。単純比較はできないにしても、逆転されることはないのではないか。

 ちなみに、この馬の真価は2走前の未勝利戦であって、先行馬に厳しいハイペースを先行し、ほぼ持ったままの手応えでレコードの圧勝を披露した。もちろん、時計は高速馬場の恩恵によるものだが、例えば、2004年以降の阪神芝1600m以上の2歳戦で、前3F-後3Fが34.8以下(35.0以下でも)だったレースは、ウオッカの阪神JFとリオンディーズの朝日杯FSとこのレースだけ。

 調教時計も速く、タフ系の素質も持ちながら、速い末脚も使える馬である。大外枠を引いたが、無理に後方に下げなければ4角で楽な手応えで先団に取り付いて、そのまま突き放すレースを見せてくれるのではないだろうか。

2.ソウルスターリング(ルメール)
 メディアが持ち上げて、こちらが1番人気になる可能性が高くなっているように思うが、前走の内容からは2番手一線のうちの1頭という評価。前走は確かに追い出しを待てる手応えではあったが、◎を付けるほど楽ではなかったし、追い出してからの反応も加速、瞬発ともに目を瞠るレベルのものではなかった。また、新馬戦はテンが超スローで入った後、中盤から長く脚を使う展開となったが、この時の末脚にも迫力を感じられなかった。

 藤沢厩舎なので強い調教をしていないのでタフ系の素質は不明だが、これまでの調教時計を見ると、速い流れに対応できるのかという点はそれなりにリスクだと思う(このクラスでスピードや加速のある馬なら、馬なりでも12秒台前半をちょくちょく出してくるのが普通)。また、末脚勝負になったとして、走法が硬いタイプなので、どれだけ強い推進を出してこられるかも未知数なところがある。

 1800mからの臨戦は、過去10年で(3.0.0.0.0.12)と極端。勝ったのはウオッカ、トールポピー、レッドリヴェールであり、共通点は3角以降3番手以内の逃げ又は先行から上がり1位で勝利した経験があること。それがなかったロカ、カラフルブロッサム、アヴェンチュラ等は本番テンで置かれてしまって馬券圏外となっている。ソウルスターリングは4番手での勝利経験ならあるので、好走可能性は残していると思われる。

 思い切って嫌うのも手だと思うが、唯一にして強力な推奨材料が、フローレスマジックの手綱を取っていたルメール騎手が高く評価して手放していないこと(立場としてはジューヌエコールやディーパワンサにも乗ろうと思えば乗れたはずなので、ルメール騎手はこの2頭よりも上と判断しているということになる)。フローレスマジックへのコメントよりも良いものなので、アルテミスSにおいてリスグラシューとフローレスマジックにそれほど着差がなかったことを思えば逆転の目があるのかもしれないし、ジューヌエコールやディーパワンサを評価するならこの馬も同列には扱う必要がある。

11.ジューヌエコール(バルザローナ)
 重賞を含む3連勝、それも全て上がり最速となれば1番人気に推されても不思議はないところだが、クロフネ産駒という地味さからか3~4番人気が想定される。先に良いデータから紹介すると、過去10年、全キャリアが重賞を含む芝1400m以上で、その全てを上がり1位で勝利していたという馬は(2.1.0.0.0.0)となっている(該当馬はレーヴディソール、レッドリヴェール、ハープスターの3頭)。調教も動いているし、走法も投げ出し走法で悪くない。

 一方で、これまでのレースでこれは強いと思わせるパフォーマンスがないことも事実。デイリー杯の時点で、ルメール騎手がこちらではなく、ディーパワンサに騎乗したところを見ても、完成度は高いのかもしれないが、気性面や距離延長に問題を抱えていると思われる。

 さらに、京都マイル重賞を僅差で勝利した馬で、その後活躍した馬がほとんどいない。「0.3秒差以上で勝っている(1着馬)」、「2着から4着に0.6秒差以上つけている(2着馬)」、「上がり2位に0.3秒差以上つけている」のいずれの条件も満たせない、デイリー杯及びシンザン記念連対馬のダービーまでのG1成績は、2006年以降(0.3.3.2.2.31)で、条件クリア馬の成績(9.2.4.5.2.6)と大きく水を開けられている。このデータ、条件非クリア馬の成績は、デイリー杯時に差し(3角以降6番手以降あり)よりも後ろから競馬をしていた馬を除くと(0.1.1.1.1.20)となる(圏内はエイシンアポロン、アントニオバローズの2頭のみ)。阪神マイルのG1勝負であれば、京都マイル重賞で楽勝しているか、鋭い末脚を見せている必要がありそうである。指数2位で枠にも恵まれたが、ソウルスターリングよりもむしろこちらのほうが危険馬である可能性もあると見て、今回はおさえにまで評価を下げることとした。

1.ディーパワンサ(シュタルケ)
 デイリー杯では軽視方向で予想をしたが、スローの流れを徐々に後方に下がってしまったものの、ゴールにかけて末脚を伸ばしてくる持続SHPの光る内容は、思っていた以上のパフォーマンスだったと評価している。指数にしてもジューヌエコールと僅差なので、今回、人気が落ち着くのであれば、より厳しい流れになって持続系の末脚が活かせる展開を想定すれば(阪神JFは全体的にそれなりに流れやすいし、今年は先行馬が多いので流れると思われる)、ジューヌエコールを逆転できると思われ、相手本線とした。

 調教はあまり走らない馬だが、末脚持続系であることは証明しているのであまり気にしなくて良いだろう。前半部分で説明した血統にしても、父ディープブリランテは自身がダービー馬なので、メンバーで数少ない2400mG1に実績のある種牡馬の産駒としても面白さがあるのではないか。また、この馬も前3走は上がり最速であるが、過去10年、3戦以上して全キャリアが芝1400m以上で、その全てを上がり1位(3角二桁番手を除く)だった馬は(0.0.1.0.0.0)となっている(該当馬はルミナスハーバー)。

 鞍上のシュタルケ騎手については、以前、ティソーナとマイネルハニーをニシノジャーニーで負かしたレースを見たときに一流の外国人騎手という印象を受けているので、プラス評価をしている。

4.レーヌミノル(蛯名)
 小倉2歳S時の指数(1200m74.5)はアストンマーチャンのレコードを更新するもので、同馬が阪神JFを2着に好走したことを思い出せば、この馬にもそれくらいの可能性があると、その時点から考えていた馬。京王杯は2着に敗れたが、レース後の陣営の談話ではすぐに息が入ったとのことで、モンドキャンノの推進のある末脚の決め手に屈したものであり、これによって、とにかく厳しい流れへの対応力の高い馬(つまり、心肺能力の高いタフ系耐久SHP馬)であることが証明された。

 阪神JFの舞台である阪神外回りはタフ系よりも末脚系が優位のコースであり、この馬にとっては向かないし、中井助手が「今まではスピードの違いで前に行っていたけど、控えた方がしまいの脚を生かせると思う」との検討違いと思われるコメントをしており、出方は不明。蛯名騎手もガンガン行くタイプではないので、消極的に乗られてどこにもいないという結果になることも想定しておかなければならない。1200mから1400mでの指数下落幅が大きいのも、延長耐性のなさの表れともとれるためリスク要因となる。

 これを踏まえた上で、坂のあるコースに相性の良いダイワメジャー産駒であること、内枠を引けたので、前々のインで競馬ができそうなところ、今年は先行馬が揃っているため展開は向きそうだし、今開催はエアレーションを実施していないので比較的前残りも発生しやすい馬場条件になっているといった追い風もある。一度評価を下げたが、伏兵馬の蛯名騎手は怖い印象があり、アストンマーチャン級の評価を踏まえて、本線に復活させる。

9.ジャストザマリン(四位)
 人気薄から狙ってみたい馬としては、中弛み超高速上がりラップを勝利しているこの馬である。前走は1400mで先行していたということで、データでは軽視材料に該当しているのだが、上がり3Fが目算で12.1-11.0-11.1という急加速に対応できていた。それでいて、走法がストライド寄りなので、キレたというよりは持続系なのに対応してきたというような印象があった。調教時計は遅いのでタフ系の素質は微妙な感じがするが、中弛み超高速上がりレース勝ちである程度は対応できると考えられ、ちょうどこのレースにも出ているディーパワンサが同じ種牡馬で同じような特徴(調教が遅い末脚持続系)を持っているので、距離延長も含め、対応できる可能性もあると思われる。

 ただし、過去10年で1400mの新馬戦を勝っての直行馬は来たことがないし、初期指数は高くなく、前述の短距離臨戦馬のマイナスデータにも該当しているので、あくまでもお楽しみ馬券として購入するのが良いだろう。

17.ヴゼットジョリー(和田)
 新潟2歳S優勝からの臨戦となる。東スポ杯予想時にオーバースペックへのコメントにも書いたが、新潟2歳Sの連対馬はまずは信用しないほうが良いというのが過去の教訓であるため、一旦引いて考えてみる。そもそも、なぜ新潟2歳Sの連対馬が次走凡走することが多いのかというと、まずは長期休養明けによる状態面の変化や成長の有無が不明である点があげられる。成長の有無はどう考えてもわからないし、調教の動きが良いので状態は問題なさそうと思っていたが、馬体重が大きく減りそうなので不安もある。

 それから、コース条件的に長い直線からの条件変更という点。過去10年、新潟2歳Sを連対してから次走に馬券に絡んだ馬は20頭中、セイウンワンダー、ハープスター、イスラボニータ、アヴニールマルシェ、ロードクエストの5頭だけだが、不良馬場での開催だったセイウンワンダーを除く4頭に共通しているのは、新潟2歳Sのラップにおいてラスト2Fから1Fで1秒超減速していないラップを二桁番手から追い込んで連対していること。大きく減速しているレースでの差し込みはただ嵌っただけのおそれがあるのかもしれない。今年の新潟2歳Sはラップ型がラスト1Fに1.1秒減速しているので、好走パターンには該当しない。また、イスラボニータを除く4頭は上がり最速であったところ、この馬は上がり2位であることもマイナスか。

 新潟2歳Sでは走法を評価して本命を打ったが、ここでもその走法の良さを高評価に繋げるべきかは判断に迷うが、調教が動いている無敗馬なので一応おさえは必要。鞍上の和田騎手は先行馬で粘るイメージはあるが、キレのある差し馬を持ってくるイメージはないので、その点はマイナス。

8.サトノアリシア(池添)
 コスモス賞の指数評価がマイネルザウバアの凡走によって下がってきたため、一度はノーマークにした馬だが、未勝利戦では直線で最内を抜け出してくる競馬で、しっかり追うことができなかったこと、アルテミスSでは道中完全に引っ掛かっている状態だったことから、指数を固定するのは危険と判断して、購入対象に残すこととした。

 ハービンジャー産駒は阪神マイルの相性が良いし(上のクラスでは厳しいデータもあるが)、調教時計水準が高いこと、ノーザンファーム生産馬、池添騎手が継続して手綱を握っているなど見逃せない点が多い。池添騎手のG1での勝負強さは言うまでもないが、時に指数を上昇させてくる「引き出し騎手」認定をしているので、今回のような上位2,3番手が混戦なレースでは一定の注意を払っておきたい。

結論
◎リスグラシュー(抜けた指数1位を信頼。大外で折り合いだけがリスク)
○ディーパワンサ(前走は多少見直せる内容で)
▲レーヌミノル(先行馬の中では指数が抜けている。急流で残るタイプ)
△ソウルスターリング(今回が試金石だが、鞍上の信頼と自信を踏まえて)
△ジャストザマリン(中弛み超高速上がりレース勝ちを評価)
注ジューヌエコール(京都マイル重賞連対経由の強い馬に該当せず)
注ヴゼットジョリー(馬体重減による状態面と位置を取らない騎手が不安)
注サトノアリシア(指数が未固定であり、池添騎手を評価して)

 参考になった方、予想に乗っかろうと思った方は拍手をいただけると嬉しいです。


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阪神JF2016回顧
やむを得ない敗戦

スカイポット
14期 予想歴19年

次走狙い:リスグラシュー


 阪神JFは自信があったのですが、結果は不的中でした。リスグラシューの持つ高指数ならG1でも圧倒できると思ったのですが、ソウルスターリングが想定以上にパフォーマンスを上げてきたことと、自身も出遅れてしまったことで距離ロスが大きくなり、直線一気の形になってしまったことが大きな敗因となります。

 上位は連対馬を含め、レーヌミノル、ディーパワンサと本線に上げていた馬でしたし、ルメール騎手の自信も予想文で指摘をしていたので、買い方を誤ったということはあっても、予想としては十分な内容を発信できたと思います。ソウルスターリングの阪神JFでの指数は64.5ですが、これを2戦目で59程度の馬が出してくるというのは感覚的にすごくレアケースであって、陣営や騎手の期待等だけで本命に推すことはまずできません。

 結果的には、リスグラシューを負かす可能性がある馬という認識はあったので、馬単か、1,2着固定の3連単流し馬券をおさえるという判断もできたかもしれませんが、ここはリスクを負ってよいと判断したので、割り切るしかないです。

 リスグラシューの結果指数は65.6ですので、内容的には勝っていました(ソウルスターリングにまだ余力があるかどうかは無視すると)。馬場差はデフォルトからフラットの中間でしたが、あれだけ外を回せば流石にロスが生じています。出遅れていなければ、競るところまでいったと思います。何となく、タイプ的にはオークス向きな感じがしますが、来年も引き続きクラシック路線で活躍してくれると期待できます。

 レーヌミノルは小倉2歳Sの最高級パフォーマンス勝利馬として、阪神JFで馬券に絡める例を増やしてくれました。次はフィリーズレビューを使って桜花賞、NHKマイルCという路線になるのでしょうか。比較をしてきたアストンマーチャンがスプリンターズSを優勝していますので、この馬も将来的には短距離馬として活躍することが期待されます。

 ジューヌエコールはやはり気性面に問題があり、距離が長かったとのコメントがありましたね。京都マイル重賞連対のデータについては、面白いものを提供できたと考えています。

 穴で狙ったジャストザマリンは3~4角で動いてきたので強いか!?と期待しましたが、直線を向いて逆噴射。1400m臨戦の中弛み超高速上がりレース勝ち馬は評価が難しいのかもしれません。

 次走期待馬はリスグラシュー。
 次走危険馬は特にいません。


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