毎日王冠2018予想
力量のあるマイラーとスピードのある中距離馬…さあどっち?

夏影
14期 予想歴35年

◎ステルヴィオ
  2着/3人気

○アエロリット1着/1人
▲カツジ12着/9人


いよいよ競馬が府中に戻って来た。

いつも言っている事だが、府中コースの時計が速くなると実距離よりも200~400メートル短めのスピード適性が問われる。
マイルG1でも特に軽さが問われるNHKマイルCやマイルCSの激走馬の活躍が顕著で、カレンブラックヒル、スーパーホーネット、テレグノシス、ダイタクヘリオス辺りがその代表とも言えよう。
その理屈からいくと素直にケイアイノーテックから攻めたくなるところだが、ちょっと待っただ。

今年のNHKマイルCは例年とは違う。
ケイアイノーテックの勝ち方が、キレというよりは「力ずく」で差した感が強かった事に加え、2着馬が中距離路線からの距離短縮馬。
そして、明らかにスピード面で勝っていたと思われるタワーオブロンドンやカツジが、あっさり馬群に沈んだところを見ても、単純なスピードではなく力量がしっかりと問われた一戦だったように思われる。
おそらくダービーに出走しても、かなり良い勝負になっただろう。
わたし的には根幹距離系のチャンピオンホースとして高く評価しており、軽さの問われる毎日王冠よりも、むしろ本番である天皇賞(秋)が狙いだと考えている。

そのケイアイとは真逆の評価をしているのが、ステルヴィオである。
『この馬は中長距離路線のG1を勝つには、ちょっと体力が不足』と、春先の時点からクラッシック路線での評価を下していた通り…

朝日杯2着→皐月賞4着→ダービー8着

…と、案の定距離が延びるにしたがってパフォーマンスを落としていった。

この評価はわたし的には実に簡単で、評価のヒントは朝日杯の内容にある。
鞍上が馬の力量を信じて乗るのならば、まずはダノンプレミアムをマークするような乗り方をして、どれだけの競馬をしてくれるか見てみたいところだろう。
しかしながら、実際の内容は短距離馬タワーオブロンドンよりも後ろの位置取りで体力温存策を取る有り様。
3歳クラッシックは、2歳時よりも更に成長力を見せた馬が、勝負所で自身の体力を削りながら更に激しい攻防を繰り広げてくる。
その攻防に一緒混じって、射程内にポジションを押し上げらなければ、なかなか勝利する事は難しい。
これがガチの力勝負で負けたというならば、「もっとスピードの生きる環境なら逆転も…」という話にもなるが、自慢のスピードで勝負して一方的に負けたのであれば、更に体力色の強い環境では逆転も糞もない。
あのレースで見出だせる長所は力量ではなく、むしろスピード面。
短距離馬タワーオブロンドンよりも「末がキレる」という部分だ。
気の良さがありギリギリまで追い出しを待てば、末は確実に伸びてくる。
体力が問われない環境であれば、この距離はそんなステルヴィオの個性にピッタリな条件と見て、このレースでの本命としたい。
相手は、もう1頭のNHKマイルC優勝馬アエロリットだ。



話は変わって、フランスではいよいよ凱旋門賞が行われる。

日本からはクリンチャーが参戦。
フォワ賞の惨敗から人気は落としそうだが、菊花賞の内容からわたし的にはかなり好走を期待している。
フォワ賞は逃げたが、今回は差す競馬を期待したい。
菊花賞では泥んこ馬場を10ハロン以上追い通しの内容。
あれだけ踏ん張り切ったのだから、ここでパフォーマンスアップがあっても可笑しくないと見る。

最も注目しているのは、今年のセントレジャー優勝馬のキューガーデン。
セントレジャーとパリ大賞の映像を見たが、とにかく末の持続力には凄まじいもの感じる。
エネイブルの力量は素直に評価も、意外に同型が揃った感あり。
穴どころではヌフボッシュ。
かなりしぶといというか、しつこいというか、粘着質な競馬を見せてくれる。
2~3着狙いで面白そうだ。
愛オークス馬シーオブクラスも人気になりそうだ。鉈というよりはカミソリ系のキレ味で、終い2ハロンの末脚が鮮やかな馬だ。
日本のエリザベス女王杯あたりに出走したら面白そうな馬だ。

◎キューガーデンズ
○クリンチャー
▲エネイブル
△ヌフボッシュ


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毎日王冠2018回顧
高速府中のポイントは、前半59秒台の走破ラップ

夏影
14期 予想歴35年

次走狙い:ケイアイノーテック


今年の毎日王冠は、モレイラ騎乗の1番人気アエロリットが優勝。
スタートからハナに立ち、持ち前のスピードが衰える事なく、そのまま押し切る内容。
勝ちタイムは1.44.5と、開幕週らしい好時計となった。
Cルメール騎乗のステルヴィオが鮮やかな末脚を披露し2着に食い込み、3着には川田騎乗のキセキが入った。

前半59.0は実質スロー。
この59秒台というラップは、高速馬場で行われる府中1800㍍のキーワードとなる非常に重要なラップタイム。
スーパーホーネットが勝った2008年は前半59.3。
この時はウォッカの逃げをスーパーホーネットが好位でマークする形を取っていた。
私が競馬ナンデでデビューした2014年のこのレースでは、サンレイレーザーが前半59.1のペースで逃げて2着に粘り込んだ訳だが、過去マイラーズCで追い込む競馬を見せて激走した馬だ。
だいたい、一線級の短距離差し馬がこのペースで走破すると、実力を存分に発揮してくれるのが府中の高速1800㍍なのだ。

本来ステルヴィオも先行策を取っていたなら、おそらく楽に勝てただろう。
今までクラッシック路線歩んで来たので、中長距離路線のペースに慣れてしまった?
もしくは、鞍上が天皇賞(秋)を意識して後方に下げた?
…あの位置取りになってしまった理由は、おそらはそんなところだろう。
残念な結果となってしまったが、これも競馬である。
予想時、「タワーオブロンドンよりもキレる」と評したとおり、最後は他馬とはまるで次元の違う末脚を披露した。
あれこそがスプリント差し馬の末脚、中距離馬には決して真似出来ない芸当だ。

勝ったアエロリットはNHKマイルCの勝馬で、短距離レースに高い融通性を見せる馬。
前半59.0というラップはスプリント差し馬にはベストだが、短距離逃げ馬にとってはスロー。
道中スタミナロスの少ない高速馬場、このペースで走られたならば十分に余力が残されてしまう。
当たり前の話だが、スプリンターと中距離馬とではトップスピードに差がある。
スプリンターに終いを全開で走られては、中距離は決して追いては来られない。
道中、カツジやステルヴィオのようなスプリント色の強い馬にマークされなかった時点で勝ちは確定した。

2番人気だったサトノアーサーは6着に沈んだ。
デビュー以来中長距離路線で走り、2400㍍で行われる神戸新聞杯で3着好走と、中長距離馬らしいレース見せて来た馬。
血統的にも、ディープインパクト×デインヒル系の中長距離ヨーロピアン血統だ。
予想でも全く触れなかった通り、スプリント色の問われるレースでは用無しだ。

力量馬と評したケイアイノーテックにとって、やはりこのレースは軽過ぎる。
中段より差を詰めただけになったが、皐月賞馬が出走しようがダービー馬が出走しようがおそらくは似たような結果となったはず。
マイルCS直行と言わず、天皇賞(秋)にチャレンジして欲しい。
間違いなく勝ち負けになる。


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