天皇賞(春)2020予想
頂点…それは消耗との戦い

夏影
14期 予想歴37年

◎シルヴァンシャー
  14着/9人気

○フィエールマン1着/1人
▲ダンビュライト9着/8人
△エタリオウ10着/6人
×ミッキースワロー
×ユーキャンスマイル


このレースで最も注目している点は「レースによる消耗」だ。
昨年の中長距離G1の勝馬を見て見ると…

大阪杯  アルアイン(1か月半)
皐月賞  サートゥルナーリア(3か月半)
天皇賞春 フィエールマン(3か月)
オークス ラヴズオンリーユー(1か月半)
ダービー ロジャーバローズ(中2週、前走2着)
宝塚記念 リスグラシュー(2か月)
秋華賞  クロノジェネシス(5か月)
菊花賞  ワールドプレミア(中3週、前走3着)
天皇賞秋 アーモンドアイ(4か月半)
エリザベ ラッキーライラック(中3週、前走3着)
ジャパン スワーヴリチャード(中3週、前走7着)
有馬記念 リスグラシュー(2か月)

ここ最近の傾向として目立つのは、とにかく「ぶっつけ本番」で挑んで来た勝馬が多い。
休養明けの馬が、半数にのぼるからびっくりだ。
レース間隔詰まった勝馬に関して言えば、前走勝っている馬は皆無。
いかに、勝つレースをする事が馬の消耗に繋がっているか? だ。
調教技術の向上で、休み明けでもしっかり勝てるよう仕上げるのだが、一戦毎の消耗が激しいのか?、使い込めない脆さを抱えているように思える。
その事を如実に示しているのが、中長距離G1勝馬の年間出走数だ。

アルアイン     6戦
サートゥルナーリア 5戦
フィエールマン   5戦
ラヴズオンリーユー 3戦
ロジャーバローズ  春に4戦して屈腱炎発症
リスグラシュー   5戦
クロノジェネシス  5戦
ワールドプレミア  5戦
アーモンドアイ   4戦
ラッキーライラック 6戦
スワーヴリチャード 6戦
  
全ての馬が6戦以内。
ロジャーバローズのように春だけで4戦使おうものなら、たちまち故障を発症し引退に追い込まれる。
かつてのマヤノトップガンのように年内13戦走ってG1を2勝、神戸新聞杯→京都新聞杯(中2週)→菊花賞(中2週)と過酷なローテーションを克服する頑丈でタフな馬は全く見なくなってしまった。

そこで、前走のレースの疲労が無さそうな馬をピックアップしてみた。

エタリオウ    …調子?
キセキ      …調子?
シルヴァンシャー …休み明け
タイセイトレイル …力量?
ダンビュライト  …休み明け
ハッピーグリン  …論外
フィエールマン  …休み明け
メロディーレーン …力量?

…といった感じなので、意外と解りやすく予想出来るのでは?
自信度『S』という事で。

◎⑫シルヴァンシャー

休養前の京都大賞典のレース内容を評価。
一完歩目の出が悪く、スタートは後方からの競馬。
前半は馬群のインでレースを進め、残り1000㍍辺りから追っ付け通しで、馬ゴミを縫いながら進出。
4角で大外に持ち出して追い込み3着に食い込んだ。
開幕週の前残りの競馬だっただけに、この内容は非常に評価出来る。
昨秋にかなり力を付けている。
開幕の2400㍍で後半追っ付け通しの競馬をクリアしている事からも、3200㍍への距離延長で変わり身を見せてもおかしくない。

宝塚記念狙いという話もちらほら聞くが、ここで賞金を加算させない事には出走は無理。
脚部不安で出走が叶わなかったが、昨年暮れのステイヤーズSの出走を目標に馬を仕上げに掛かっていた事を考えると、このレースに適性を見出だしている事が十分に考えられる。
調教内容は目立たなかったが、外厩先できっちり仕上げられている公算は高い。
宝塚狙いで仕上がり途上というなら、このレースをパスして目黒記念を使うはず。
脚部不安が常に付きまとう馬なら、「次は無い」という思いから、尚更数少ないチャンスを慎重で確実にモノにしようとするだろう。
名牝アゼリの仔、そしてディープインパクトの後継種牡馬として意地でも勲章が欲しいところ。
スピード重視の現代競馬で、種牡馬の価値を上げるほどのレースでも無いが、この馬の場合「脚元の不安でなかなかレースが使えない」という言い訳が使える。
母親の名前と、力のあるところを示せれば良い。

昨年は2戦、生涯9戦、重賞経験がまだ1戦と、全く消耗していないところがこの馬の魅力。
生涯発のチャンピオン戦で、精神的高揚効果が期待出来るタイミング。
意欲的に追えるデムーロへの乗り替わりで、願っても無いチャンスと見る。
この馬を打倒フィエールマン筆頭として本命に挙げておく。

○⑭フィエールマン

昨年5戦、生涯9戦、重賞7戦。
出走回数は9戦も一線級との競馬のキャリアはかなり長め。
シルヴァンシャーと比較すると、路線に対するフレッシュさの無さは否めない。
精神的高揚効果が期待出来ない分、2番手の評価。
他馬と違い力量的な保証もあるし、マイナス材料も見当たらない。
きっちり馬券で押さえておくべき馬だろう。
軸馬と考えるなら、こちらの方がベストか?

▲④ダンビュライト

スピード競馬に対する適性を他馬と比較して考えてみると、キセキに次ぐ実績を残しているのが実はこのダンビュライトである。
3年前の皐月賞で、1.57.9の時計で3着に入線している。
サウジRCでマイルの重賞を経験し2着。
実は、キセキに次ぐスピードの裏付けを持っていたのだ。

比較的高速決着となった昨秋の京都大賞典で逃げ粘って2着になっているが、実はこの馬は、「京都外回りの前残り」にゆかりの深いキーワードを持っている。
父母父の「トニービン」という血もそうだが、母母父の「リヴァーマン」もそうである。
大波乱になった2009年のエリザベス女王杯。
逃げ切ったのはトニービン系のクィーンスプマンテで、2番手追走から2着になったテイエムプリキュアはリヴァーマンの直系だ。
前残りの競馬になって、血統面で一番面白そうな馬である。

種牡馬としての未来は絶たれたが、このレースを目指す上で去勢で気性面の安定化を狙うのは間違いではないし、休養でしっかり体力充電出来たのも良い。

?②エタリオウ

昨年6戦、中4週で前走6着凡走。
昨秋から競馬っ振りが変化しているところに注目している。
これまではスタート時に非力感があって、どうしても位置取りが後ろになる嫌いがあったのだが、腰や後肢にしっかりと力が付いたのか?、ジャパンCから "まともな" (笑)スタートが切れるようになっている。
それまでの競馬はスタートで後手を踏み、レース後半で捲って一歩足りなかった。
普通にスタートが切れるのであれば、馬群の中で流れに乗り、普通に差して来る競馬が非常に面白い。
捲り競馬で足りなかった部分(体力面)を補う形になる。
最も本レースは捲る要素が問われやすいだけに物理特性的にはちょっと不向きも、複勝圏内に食い込む余地は十分。
次走宝塚記念ではその部分も向いてくるはず。
枠はこれ以上ない絶好枠だ。
大幅馬体増が予想され、精神的に臨戦態勢に入っているかどうか?に疑問が残る。
次走は大きく注目したい。

?⑧キセキ

前走凡走でステップ的には面白く映るが、明らかに昨秋の海外遠征を境に、リズムを崩している感じ。
明らかに、ここ3走の「スタートの悪化」が顕著だ。

凱旋門賞→普通に先手が取れない。
有馬記念→腰を落とした感じで出ない。
阪神大賞典→全く出られない(汗)。

スタートだけでなく、特に前走の内容全てが最悪。
正面スタンド前で掛かり、向正面で他馬2頭と馬体を併せるとら、更にヒートアップ。
その後、鞍上に御されてチグハグな競馬となった。
有馬記念からレース間隔が開いているにも関わらず、この馬本来の闘志とレース内容が上手く噛み合っていない。
キャリア21戦、この馬はレースを使われ続ける度にテンションを上げ続けている。
昔は差し馬だったが、先行脚質に変わったのも、燃え盛る闘志によるところが大きい。
おそらく現在、闘志が更にヒートアップ、空回りして自分を見失なっている上に、スタートに全く集中出来ていない感じなのではなかろうか?
同じルーラーシップ産駒のダンビュライトは去勢によって似た部分を解消しようとしているが、この馬もこれ以上競走生活を続けるつもりなら、同じような話が出てくるかも知れない。
馬の性格そのものは全く正反対なタイプだが、2012年のオルフェーヴルを思い出す。
あちらは集中出来ずにリズムを崩したが、こちらは精神が安定せずリズムを崩している感じ。
鞍上が武豊に変わり、自我を取り戻せるか?
位置取りというよりは、安定した精神状態でスムーズな競馬が出来るかどうか?…掛かっている。
スタートが悪ければ、以前のように前半はじっとして、後半に闘志を全開させる競馬でいい。
中途半端なタイミングで掛かってしまうのが一番マズい。
好走条件に「タラ」、「レバ」が付くだけに、重い印は付け難い。
ヒモ評価まで。

今の状態なら、極端な距離短縮の方がマシな結果が得られるかも?
少頭数なら宝塚記念、広いコース向きなので意表を突いて安田記念というのも面白い。
しばらく、広いコースでのスピード競馬を使って欲しいとも思う。

ユーキャンスマイルは捲り競馬で体力消耗、ミッキースワローは馬群を割って精神的にも消耗。
反動が心配だ。

37秒台で上がり2位、ひたすらスタミナのみが問われたダイヤモンドSで変わり身を見せたミライヘノツバサは、明らかにスピード不足。
そんなレースすら勝てず、スピード不足なステイヤーであるワールドプレミアが勝った菊花賞で惨敗したメイショウテンゲンは論外。
更には毎回G1ではね返されつづけている馬も多数。
「難解」という声も良く聞かれるが、消去法で消せる馬も多く、考え方一つで馬券は絞れる。

わたし的に難解だと思う事は、キセキの精神状態の判断が出来ない事と、大幅馬体増で出走して来そうなエタリオウの精神状態が臨戦態勢になっているのかどうか?という事だけだ。

意識したつもりは無かったが、結局上位3頭は「休み明け」。
「休み明けぶっつけ」主流の現代競馬に沿った予想となった。

単勝

ワイド
⑭流し→⑫②④
3連単
⑫→⑭→④②
⑫→④②→⑭


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