阪神JF2021予想
完全実力主義を貫くレースで…

夏影
14期 予想歴38年

◎ラブリイユアアイズ
  2着/8人気

○ナミュール4着/1人
▲ベルクレスタ6着/5人
△スタティスティクス8着/9人
×ウォーターナビレラ
×ステルナティーア


・好走馬とその後

2020年
1着 ソダシ      桜花賞1着
2着 サトノレイナス  桜花賞2着
3着 ユーバーレーベン オークス1着

2019年
1着 レシステンシア  (1200㍍〜マイルG1レース2着4回)

2018年
1着 ダノンファンタジー(1400〜1800㍍G2レース4勝)
2着 クロノジェネシス (中長距離G1レース4勝)


2017年
1着 ラッキーライラック (中長距離G1レース3勝)
2着 リリーノーブル   (桜花賞3着、オークス2着)

2016年
1着 ソウルスターリング (オークス1着)
2着 リスグラシュー   (中長距離G1レース4勝)
3着 レーヌミノル    (桜花賞1着)

上記は過去5年の好走馬と、その後に活躍したレースを記してしる。

・レース傾向と今年の注目ステップレース

ここ5年のラップを見てみると、広いコースにも関わらずかなり緩急がはっきりとつく流れになっている。
「減速→加速」の流れに対する適応力が問われ、一本調子のスピード型が全く通用しない事が解る。
テンのダッシュ力だけで決まる下級条件の短距離指向のレースや、スローの流れからの上がり勝負に特化したタイプでは全く話にならない。
こういったタフな流れのレースが不利を受けにくい広いコースの根幹距離で行なわれる訳で、それ故に紛れの少ない完全実力主義のレースとなっており、勝馬は軒並み後のG1戦線でも中心的な活躍を見せている。
下記は、ここ5年のレースラップである。

2020年 
12.4→10.8→11.7(0.9down)→11.9→11.9→11.2(0.7up)→11.4→11.8

2019年 12.2→10.5→11.0(0.5down)→11.8(0.8down)→12.0→11.2(0.8up)→11.5→12.5

2018年 12.2→10.7→11.9(1.2down)→12.2→12.1→(1.1up)11.0→11.8→12.2

2017年 12.4→11.3→11.6→12.4(0.8down)→12.2→11.9→11.0(0.9up)→11.5

2016年 12.4→11.0→11.3→12.0(0.7down)→12.1→11.5(0.6up)→11.5→12.2

サンプルとして最も参考になるのは、ショウナンアデラの勝った2014年。
前走で緩急のつくレースを体験したショウナンアデラが1着。
超どスローの新馬戦で、33.2の末脚を披露したロカが1番人気に推されながら8着と凡走。
りんどう賞は、一方的にラップが落ちるレース。
そんなレースで2勝目を挙げたコートシャルマンが、3番人気に推されながら10着と馬群に沈んでいる。
単調な流れのレースでの激走が、いかに馬に悪影響を及ぼすかを物語ったレースだ。

1着 ショウナンアデラ(5番人気)
前走 からまつ賞
12.6→11.1→11.8(0.7down)→12.4→11.6(0.8up)→11.1(0.5up)→11.7

8着 ロカ(1番人気)
前走 新馬戦
13.0→12.2→12.7→13.2→13.0→12.5→11.8→11.0→11.0

10着 コートシャルマン(3番人気)
前走 りんどう賞
12.2→10.8→11.3→11.6→11.8→11.7→11.9

ステップレースとして最も重要視したいのは京王杯2歳Sで、府中の1400㍍で行われたレースにも関わらず、かなり緩急が付くタフなレースとなった。
1〜3着は距離短縮ステップ組が独占。
いかに体力補完が有利に働いたか窺い知る事が出来る。
体力補完が有利に働くという事は、いかにハードでレベルの高いレースである事を裏付けるものでもある。

京王杯2歳S

12.5→10.9→11.7(0.8down)→12.1→11.0(1.1up)→11.3→11.8

1着 キングエルメス
前走 「1200→1500㍍」距離延長凡走。
京王杯「1500→1400㍍」距離短縮激走。
2着 トウシンマカオ
京王杯「1600→1400㍍」距離短縮激走。
3着 ラブリイユアアイズ
前走 「1200→1500㍍」距離延長激走。
京王杯「1500→1400㍍」距離短縮凡走。

勝馬キングエルメスと3着馬ラブリイユアアイズは前走のクローバー賞でも対決しており、距離延長適性に秀たラブリイユアアイズが圧勝した。
そして、京王杯は距離短縮適性に秀たキングエルメスが勝利。

その次に注目するのは、アルテミスS。
こちらも、緩急の付くレースで、ラスト3ハロンは末脚の持続力も問われた。
勝馬サークルオブライフは、「捲り→追い込み」位置取りショックの体力補完が施されての激走。
やはり、体力補完馬が有利となった。

12.3→11.0→11.9(0.9down)→12.0→12.0→11.6(0.4up)→11.5→11.7


逆にステップレースとして最も軽視したいのが、ファンタジーSだ。
阪神内回りコースで行なわれたレースだが、勝負所でのペースアップが無く、徐々に減速しているだけの最下級条件の短距離レースでありがちなラップ推移。
前が減速しているにも関わらず、後ろが全く差して来れず、後続馬の力量の低さがただただ目立った競馬だった。
テンのダッシュ力さえあれば、後は惰性で何とでもなるレース内容。
逃げ馬は潰れたが、結局4角2番手、3番手、4番手の馬が、そのまま順位を一つ上げてのゴール。
上位2頭は2勝馬、その他は実力的に論外だったというだけの話だ。
2着のナムラクレアは「1200→1400㍍」距離延長ステップ。
短距離G3重賞勝馬レベルなら、体力補完無しで勝ち負けになるレベルという事を示唆している。
その程度のレベルのレースで、「1600→1400㍍」距離短縮という体力補完を得ての激走。
今回は「1400→1600㍍」距離延長と体力負荷の掛かるステップ。
これ以上のパフォーマンスアップは考え難い。
武兄弟の無敗G1制覇が話題となり、必要以上に人気になりそうなのは、穴党にとっては非常に有難い話だ。

ファンタジーS

12.3→11.0→11.1→11.5→11.5→11.7→12.0

もう1つ軽視に値するレースはサウジRC。
マイル重賞にも関わらず、前半が62.6という超どスロー。
完全に余力十分の状態での上がり勝負となった。
気の良さと末脚のスピードの高さだけが問われたレース。
ちなみにサウジRC組の出走馬ステルナティーアは、デビュー戦も超どスロー競馬。
テンの速さや、道中出入りの激しい展開に対する適応力に疑問を感じる。

サウジRC

12.9→12.0→12.8→12.3→12.6→11.4→10.9→11.5

・結論

◎ラブリイユアアイズ

父から、サドラーズウェルズ+ミルリーフ、母母からダンチヒ。
ヨーロッパ王道配合の血統背景に魅力、長い直線での力比べで本領を発揮しそうだ。
父母母スターバレリーナはボールドルーラー系。
スターバレリーナ自身は比較的奥手タイプだったが、父ロゴタイプはこの血の影響からかなり早い時期から活躍を見せ朝日杯を制している。
この馬の魅力は、1200㍍の経験と距離延長適性の高さ。
前走は「1500→1400㍍」距離短縮、「オープン→G2」格上げステップのペース激化ステップ。
位置取りを落とし、経験のない差し競馬でありながらも3着と好走出来ている。
2走前「1200→1500㍍」距離延長でパフォーマンスを上げているように、体力色の強いタイプで距離延長向き。
それでいて、厳しい流れの競馬をしっかりクリア出来ているのは心強い。
「1400→1600㍍」距離延長での変わり身に期待。
今回は、どうやら馬体減りが止まりそうなので何よりである。
先行策か、勝負所で捲り気味に進出する競馬で。

○ナミュール

母父は若駒限定マイルG1に滅法強いダイワメジャー。
レシステンシア、カレンブラックヒル、アドマイヤマーズ、メジャーエンブレム、レーヌミノルが代表産駒。
プラス、母母がフレンチデピュティ産駒。
この血を持つ牝馬は、高いスピードと完成度を誇るタイプが多い。
直線の長い中京、府中でキレのある末脚で圧勝しており、非常に高い完成度を感じる。
前評判では1番人気は譲っているみたいだが、おそらく2番人気には支持されるだろう。
3番人気以下ならご馳走と考えたい。
今回はマイナス体重での出走となりそうなので、しっかり差す競馬に徹して欲しい。

▲ベルクレスタ

前走は休み明けながらマイナス体重。
体力充填ままならぬ状態での出走。
「差し→先行」逆ショックながら、体力補完馬と全く差のない競馬となった。
内容的には、体力面で不利があったこちらの方に軍配が上がる。
ちょっと頑張り過ぎた感があり反動が気になるところだが、1週前追い切りでかなり速い時計を出しており、心配は無さそうだ。
今回もマイナス体重での出走となりそうなので、しっかり差す競馬をして欲しい。
大幅な馬体の増減があるようなら切りたい。

☆スタティスティックス

初勝利までに3戦を要したが、母はアメリカンクラッシック血統で、仕上りの速さと底力が期待出来る血統背景を持つ。
タフな流れの競馬を経験しクリアしたという意味では、この馬の前走が正にそれであろう。
下記は、前走の未勝利1800㍍戦のラップである。

12.8→10.8→11.4→11.6→12.2(0.6down)→12.3→12.2→11.8→11.9

ウインチャチャがハナを奪ったものの、レアレアが絡みに行ってしまったが為に、4ハロン過ぎまでラップが落ちず、前半が58.8というハイラップ。
やや縦長だった馬群が直線出てからすぐに横一線になった事を考えると、勝馬を含む後続馬は終い3ハロンないし、4ハロンは11秒台の脚をおそらく使い続けているだろう。
特にこの馬は、成績上位馬の中で最も早めに抜け出す強い競馬をしている。
タフな流れの競馬でしっかりとした末脚を繰り出し勝利し、適性を示した事を高く評価したい。
今回、唯一距離短縮による体力補完馬でもある。
△と言わず、それより高い評価をしたい。
こちらも、大幅な馬体の増減があるようなら切りたい。

✕ウォーターナビレラ

3連勝も、1〜2戦目はスローの上がり勝負、3戦目は惰性競馬で、緩急も無ければ、道中馬の出入りも無い競馬。
体力的にも精神的にも負荷の掛からないレース向きで、1400㍍かスローの1800㍍がベストだろう。
今回は、流石に精神的にも体力的にも辛い競馬になるはず。

✕ステルティアーナ

兄ステルヴィオは朝日杯FS2着も、ダノンプレミアムに0.6秒離されてのもの。
体力的に全く足りていなかった印象がある。
3歳の秋に馬体がひと回り大きくなって先行策でマイルCSを勝利したように、成長力を見せたタイプだ。
この馬も、スローの上がり勝負で体力面をカバーした内容の競馬を2戦したのみ。
タフな競馬になって疑問を感じる内容だ。
ペースにも戸惑いを感じるはず。
色々なレースを経験してから狙いたい馬だ。

✕サークルオブライフ

前走は位置取りショックによる体力補完を受けての激走。
今回は流石に反動必至と考える。


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阪神JF2021回顧
2歳牝馬の総決算なので…

夏影
14期 予想歴38年

次走狙い:ナミュール


2歳牝馬の総決算なので、たまにはレースを振り返ってみたい。

まず、1番人気で4着に敗れたのナミュールについて。
スタートで行き脚がつかなかったのは、10kgの馬体減が原因。
更にその大幅馬体減の原因は、中2週という詰まったレース間隔。
レース間隔をたっぷりと開けないと疲労が抜けない「今時の馬」なのかなぁ…といった感じだ。
そんな状態での4着なのでやはり力はある、まだまだ見限らない方が良い。
次走はたっぷりレース間隔を開けて馬体を戻して欲しい。
クラッシック権利が取れていないので、クイーンCを使って桜花賞を目指すのが理想だろう。
スピードがかなりありそうなので、桜花賞は十分に狙える馬。

勝馬サークルオブライフは、体力があり精神的にどっしりした感じの馬。
デアリングタクトに極めて近いイメージだ。
今のところ、オークスの最有力候補で良いだろう。
桜花賞は前残りの馬場だと辛い、時計が掛かり外伸びの馬場だったら…といった感じになるだろう。
位置取りショックを利しての差し接戦後だけにストレスが心配だったが、輸送があったにも関わらずしっかり馬体調整がなされていた。
体質がしっかりしたタイプなのだろう。
しばらくは、この馬中心に牝馬クラッシック路線は回っていきそうだ。

2着馬ラブリイユアアイズ。
馬体重を見た時は正直「終わった」と思ったが、思っていた以上にこの馬の集中力は高かった。
そして、団野ジョッキーの判断も素晴らしい。
無理に前に行くのではなく、前走よりも更に位置取りをさげ、中段で流れに乗せていた。
前目で競馬をさせていたら、間違いなく体力切れを起こしていたであろう。
ナミュール以上の馬体減を見せながら、体力的不利を精神面で補った形だ。
最後、馬体を併せたウォーターナビレラをしっかり競り落としている。
8日の時点の馬体重は447kg。
かなり神経質なのだろう、輸送で約20kg近く馬体を減らした事になる。
オープン勝ちと今回の2着賞金で、クラッシックは余裕で出走出来る。
今後はじっくり馬体回復に専念して欲しい。
輸送がかなりヤバそうなので桜花賞をパスした方が良い。
ただ精神依存型なので、ひと叩きはあった方が良い。
フラワーCからオークスに進むのがベスト。
意表を突いて、皐月賞を目指すというのもありだろう。
「厳しい状況を頑張ろう」とする気力が、この馬の走る原動力となっている。
今回のように対戦相手が強く見くびられているタイミングが最も狙えるチャンス、逆に相手が弱くなるタイミングではこの原動力が発揮され難いので注意が必要だ。

3着馬ウォーターナビレラは実力通り。
G1では足りないが、トライアル質のレースならまだ活躍出来るはず。
2番人気ステルティアーナは厳しい競馬の経験が無かった事が響いている。
ベルクレスタは完全に底が見えた感じ、極限ではあっさりレースを投げるタイプ。


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