菊花賞2023予想
出走全馬にスタミナかあるのは当たり前、別要素が決め手になる

夏影
14期 予想歴40年

◎ノッキングポイント
  15着/10人気

○タスティエーラ2着/2人
▲ダノントルネード16着/14人
△ドゥレッツァ1着/4人
×サトノグランツ
×ファントムシーフ


 「馬場読み」

 土曜のレースを見る限り、明らかな外差し馬場。
 土曜10Rの鳴滝特別は4角で後方から3番手の位置から、大外から一気の追い上げで十分届いている。
 4R1400㍍新馬戦は、完全にナムラローズマリー逃げ切り濃厚のレースだったが、直線入口で1秒以上差があったであろう後方から、ケーブパールがやはり大外から差し切っている。
 外差しが決まるとはいえ、3−4角の下りを利して加速してのものではなく、直線だけで差すパターン。つまりが、「下りはゆっくり下る」という昔の菊花賞セオリーがそのまま当てはまりそうだ。
 イメージ的には、フィエールマンがやったような競馬が理想。序盤の位置取りが意外と重要で、中段より前目の位置取りをキープ出来るだけの追走スピードは欲しい。
 直線まで我慢させ、直線だけで差す競馬が理想なので、やはり加速力かトップスピードで勝負するタイプが良い。
 極力コースロスを無くす事も重要で、4角で外々を回されているようではアウト。馬場の2分どころ3分どころを回り、直線に出てから軽く外に持ち出すような競馬が理想だろう。
 
 先行馬も残れない訳ではなく、1R1400㍍未勝利戦では、人気の先行馬がワンツー。前出の4Rレースでは、13番人気のナムラローズマリーがあわや逃げ切りかと思わせるレースで穴を開けている。
 事前予想でも述べたとおり、先行馬ならイギリス色のような凌ぎ合いに強いタイプが良い。
 
 正直かなり悩んだが、そろそろ最終結論に入りたい。

◎ノッキングポイント

(血統)
父モーリス
母父キングカメハメハ

(オプション)
「2000→3000㍍」距離延長。

 一見距離に難のありそうな血統に見えるが、実はステイヤー色の強い血統背景を持つ。
 実は父モーリスそのものが極めて正統なメジロ血統で、母系を辿ると…メジロフランシス→メジロモントレー→メジロクインシー→メジロボサツ→メジロクインと「メジロ…」が5代も続く。
 また母チェッキーノはヨーロッパ牝系の影響を強く受けたオークス2着馬である。
 昨年2着のボルドグフーシュも、「グラスワンダー系+ヨーロッパ色」と血統的共通点が多い。

 モーリス産駒は本来スタミナ満載の血でありながら、気性的な前向きさがそれの邪魔をし、距離の壁を作ってしまっている馬が多い。
 しかし、この馬はある程度精神コントロールが効き、矯めが利くタイプだ。だから、距離延長に対応でき、差す競馬が可能なのだ。
 ダービーは600㍍の距離に加え、15番という外枠。
 掛かりやすい環境であったにもかかわらず、道中中段で脚を矯める競馬で、勝ち馬から0.2秒差と着差を詰めている。そんな内容からも、モーリスの気性的欠点から逃れた産駒で、しっかり矯めが利くタイプだと考える。

 前走の新潟記念は、かなりステイヤー色が問われたレースを勝っている。
2着のユーキャンスマイルは、阪神大賞典とダイヤモンドSの勝馬で菊花賞3着馬。3着に入った10番人気インプレスは、「キズナ✕イギリス血統」のステイヤー血統馬で、4勝中3勝が2400㍍という長距離巧者だ。スタミナ面、体力面共に問題は無いはずだ。

 この馬の最も注目すべき点は、何と言っても追走スピードもトップスピードもある事だ。2勝目を上げた府中マイルの平場戦で、1000㍍通過58.2と、若駒のマイル戦にしてはかなり流れたレース。中段で追走し、上がり最速の33.9の末脚を駆使して完勝している。
 2016年の2着馬レインボーラインは、NHKマイルCで3着。マイル質のスピードに対応できるステイヤーは、長距離戦でもそのスピードを遺憾なく発揮してくる。実際、2018年の天皇賞(春)では、馬群を縫って差し切っているのだ。
 
 枠順的にも、内過ぎず外過ぎず理想のポジションが取りやすい枠に入った。人気薄でノーマークなのも、出し抜けを食らわすには良いだろう。
 鞍上は、キタサンブラックでイン差しを決めた北村宏司騎手。一発に期待したい。

○タスティエーラ

(血統)
父サトノクラウン
母父マンハッタンカフェ

(オプション)
「2400→3000㍍」距離延長。

 ダービーは、先行策から直線半ばで抜け出し、しぶとく凌ぎ切っているように、かなり凌ぎ合いに強いタイプで、イギリス色を感じさせるタイプ。
 母父は2001年の菊花賞馬で、その影響も強いのだろう。

 強気の競馬で消耗戦に持ち込んで活路がありそう。鞍上が強気なタイプだけに、面白い競馬を見せてくれそうだ。

▲ダノントルネード

(血統)
父ハーツクライ
母父マンハッタンレイン

(オプション)
「2200→3000㍍」距離延長、「内回り→外回り」、生涯初G1。

 これまでの競馬の内容と、前走内回りコースで揉まれた経験、そして追い切り履歴を評価。

 前走のテンのポジション争いはあっさりと決着したかに見えたが、テン2ハロン目が10.9と実はかなり速かった。このタイミングで、好位に取り付き脚を使った上に、後半11秒台ラップが5ハロン続く展開に巻き込まれた。
 追走スピードに難のあるステイヤーには、ちょっと厳しい競馬だ。
 京都新聞杯では前半はゆったり流れ、終いの激しい叩き合いで際どい競馬に持ち込んでいるように、この馬は長距離的なリズムに向くイメージがある。

 追い切り履歴を見てみると、前走後1週間休ませた後、坂路で約2週ほど軽めの運動で体力維持。次の2週は週1で長めを追い、更に次の3週は週に長めを2本、その後は坂路2本連続追い…と3000㍍を想定し、バシバシきつく追うのではなく、じっくりと時間を掛けて、徐々にスタミナを強化する調教している事が窺える。
 精神依存タイプの馬だと、ヤル気スイッチを入れてやる必要がある為、何本か強い追い切りを必要とする馬も存在する。
 しかし気の良い体力依存系の場合、体力がきっちり充填され疲労が無い状態ならば、気持ち良く競馬をしてくれる。
 今週は本番を想定した追い切り。併せた馬の後ろに付き、直線に出てから交わして抜け出し、完璧な仕上りを披露している。強めの本数は少ないが、運動量の多さでしっかり馬体が出来上り、疲労もきっちり抜けている。
 流石は三冠牝馬を輩出したほどの厩舎。追い切りの強さではなく、スポーツ科学的見地に立って馬を作っていると感じた。

 新馬はシーズンリッチ(毎日杯勝馬)相手にデビュー勝ち、3戦目はフリームファクシ(きさらぎ賞勝馬)相手に2着、4戦目の京都新聞杯はサトノグランツ(重賞2勝)にクビ差2着。
 デビュー時から、強敵相手に好激走を続けている馬だが、前走の凡走だけを理由に14番人気にしてはいけない。反発に期待したい。

△ドゥレッツァ

 物理的に最右翼だが、いかんせん枠が大外過ぎた。
 前走は内回りの競馬ながら、他馬が4コーナーで手綱を扱いて追い出しに掛かる中、ワンテンポ遅らせ直線で追い出す競馬で菊花賞を想定しているかのような余裕のある騎乗が光った。
 菊花賞の乗り方を熟知しているジョッキーだし、上手く立ち回る事が出来ればという気も。ソールオリエンスよりも上の評価を与えたい。

▽ソールオリエンス

 皐月賞では、体力にモノを言わせて一気に外から飲み込む競馬で勝ったが、ダービーやセントライト記念のように終いのスピードが問われると、一方足りない競馬になる。
 10年以上前にステゴ産駒が活躍していた時代があったが、あの頃の競馬であるならソールオリエンスで良かった。
 しかし2018年競馬で、早めに仕掛けたステゴ産駒エタリオウが、ワンテンポ遅らせて仕掛けたフィエールマンに差し切られている。あの時点で、体力で押し切る菊花賞は終焉を迎えたと考えている。
 スピード寄りの馬は天皇賞(秋)を目指す選択する為、ほぼ全馬スタミナや体力のある馬が出走するようになった、今やスタミナや体力が全くアドバンテージには "ならなく" なっているのだ。
 だから最近では、菊花賞を勝ち切るには、スタミナや体力以外の部分で勝負が決まる傾向にある。
 力があるので好走するイメージは湧くが、正直勝ち切るイメージというのは湧かない。

✕サトノグランツ

 前走の反動が出る公算大。もともとエンジンの掛りの鈍いタイプ。4角から追い通しの展開から、5頭を相手に接戦を速い上がりで叩き合っている。多大なストレスを残したはず。
 京都新聞杯でも同じような接戦を繰り広げ勝ったものの、肝心のダービーでストレス疲労により惨敗を喫している。
 そもそも、「エンジンの掛かりが遅い→早仕掛け」になる訳で、現代の菊花賞ではマイナスになる要素。

✕ファントムシーフ
 
 最強の手札(生涯初の逃げ)を前走で切ってしまい、打つ手が無い状態。また、前走で最強の手札を使った事により、頑張り過ぎた反動の懸念もある。 
 血統背景から先行策で活路も、枠順悪く、コースロスを強いられるのは必至。いくら鞍上が名手と言えども…

馬券

単勝  9、4
ワイド 9、7、4ボックス
3連複 4−7−9
3連単 9、4→9、7、4→9、7、4


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