ジャパンカップ2023予想
パンサラッサ効果を考える

夏影
14期 予想歴40年

◎タイトルホルダー
  5着/4人気

○リバティアイランド2着/2人
▲ディープボンド10着/8人
△スターズオンアース3着/5人


 今年のJCはパンサラッサ出走し、且つ高速馬場での開催。当然、高速決着を意識しなければいけないだろう。そして、中長距離戦の高速決着では、トニービンの血を無くして語れない。

 過去のJCの高速決着といえば、何と言っても2018年のレースだろう。勝ったアーモンドアイは非トニービンだったが、2〜5着馬は全てトニービンの血を有していた。

2018年ジャパンC
1着 アーモンドアイ(非トニービン) 2→2→2
2着 キセキ(父母父)        1→1→1
3着 スワーヴリチャード(父母父)  5→4→4
4着 シュヴァルグラン(父母父)   7→6→6
5着 ミッキースワロー(母父父)   13→13→13

「パンサラッサ効果を考える」

 ハイペース逃げが板に付き出した頃から、パンサラッサ参戦する重賞レースでは、「トニービン持ち」の馬が良く活躍するようになった。近走の国内戦を参考にすると…

2022年天皇賞(秋)
1着 イクイノックス(非トニービン) 10→10→9
2着 パンサラッサ (非トニービン) 1→1→1
3着 ダノンベルーガ(父母父)    11→11→11

2022年宝塚記念
1着 タイトルホルダー(父母母父)  2→2→2
2着 ヒシイグアス(父母父)     6→6→5

2021年有馬記念
1着 エフフォーリア(母父母父)   9→8→5

2021年福島記念
1着 パンサラッサ(非トニービン)  1→1→1
2着 ヒュミドール(母母父母父)   6→6→6
3着 アラタ   (母父母父)    9→10→9

2021年中山記念
1着 ヒシイグアス(父母父)     4→4→4
2着 ケイデンスコール(母父母父)  5→4→4  

「高速決着で求められるスピード」

 高速決着の場合、前半もしくは後半にハロン11.5前後、時にはそれより速いラップを交えた速度が6〜7ハロン継続する。縦長の展開になりやすく、後方からの差しが決まり難い状況になるので、マイル的な追走スピードが求められようになる。
 マイル重賞に実績のある馬、ハイペース競馬に実績のある馬は、特に注目したい。

 「イクイノックスを軽視する理由」

 この馬を軽視する理由は、血統的な問題ではない。前走の内容を見れば間違いなくアーモンドアイと同レベルかそれ以上の評価を与えるに等しい馬である。

 しかし、今回イクイノックスはレコード勝ちの疲労を残した状態での参戦となる。
 そもそも1走当たりの消耗が激しい馬で、これまでレース間隔を詰めて使う事が出来なかった同馬。これまでのG1戦線は全てぶっつけ本番で各シーズン2戦ずつという省エネローテで挑んでいる。最短のレース間隔が皐月賞→ダービー間の中5週で、そのダービーですら、8kgも馬体が減ってしまっているのだ。前走があまりに高次元のパフォーマンスだっただけに、その時の身体の消耗度は計り知れない。
 その反動を抱えながら今回は、「距離延長」による体力負荷の増大、「少頭数→多頭数」による精神的負荷の増大、実質「前走からのメンバー強化」などの「楽→苦」的要素が多数加わるタイミングとなる。
 そして、疲労や「楽→苦」要素の影響は、ハイペースになればなるほど大きくなる。

 逆を言えば、スローならばその影響は小さい。それ故に完全には捨て切れないのも事実である。

「ハイペースは主流特性を狂わす」

 今年のハイペース競馬の代表と言えば、やはり天皇賞(秋)であろう。勝馬イクイノックスは主流脚質ではあるものの、決して「主流オンリー」という訳ではない。有馬記念や宝塚記念、ドバイシーマCの逃げなど、最近では極めて非主流敵な競馬を続けて勝っている。そして、血統も極めて非主流である。

 JC史上で最もハイペースだったと思われるのは、前半58.3というペース流れた2005年のレースであろう。当時はサンデーサイレンス産駒が猛威を振るっていた時期だったが、この年に勝ったのは何と外国馬のアルカセットだった。

 ハイペース逃げの代名詞といえばサイレンススズカだろう。
 サイレンススズカがハイペース逃げを実行した根幹距離G1は、1997年と1998年の天皇賞(秋)で、共にトニービン産駒がサンデーサイレンス産駒を押さえて勝っている。

 …このように、ハイペース競馬は主流特性を狂わす効果があるので、パンサラッサのような外連味のない逃げを見せる馬が出走する際には、注意が必要となる。

「JCは主流適性だけでは勝てない」

 JCは府中で行われる根幹距離レースではあるものの、馬が完成される前に行われるダービーとは違い、3歳馬も体力的に完成されたタイミングでの出走となる。従って、ダービーのようなスピード寄りの適性ではなく、より体力寄りにシフトした適性が問われるレースなのだ。
 つまりが、ダービーよりもかなり非主流側に傾いたレースだという事。ここ最近でも主流らしい主流はアーモンドアイやブエナビスタくらいなもので、コントレイルですら三冠…すなわち非主流レースである菊花賞を勝ち、非主流レースに対する融通性を見せている。昨年の勝馬ヴェラアズールは非主流血統。スワーブリチャードやショウナンパンドラは内回りコースのG1勝馬で、かなりズレのある主流色レースの勝馬。ジェンティルドンナは有馬記念を制している。
 キタサンブラックやエピファネイアは菊花賞勝馬。同距離であるダービー馬ではなく、菊花賞馬との相性の方が良いという不思議な傾向も出ている。
 コントレイル以前に、ダービー馬がJCを制したのは、その12年前のウォッカにまで遡る始末。ここ20年で純然たる主流脚質馬(非主流レースを苦手とする馬)はアーモンドアイ、ブエナビスタ、ウォッカくらいなもので、明らかに非主流脚質もしくは非主流レースに融通性のある馬に有利になる傾向にある。
 
「最終結論」

ハイペースの消耗戦にヤマを張る。

◎タイトルホルダー

(血統)
父ドゥラメンテ
母父モチベーター

(オプション)
「2200→2400㍍」距離延長。

 昨年の宝塚記念の内容を評価。実際パンサラッサが参戦したレースであり、高速決着となったレースである。
 道中は、1000㍍が57.6、1600㍍が1.33.4とマイル戦並の流れ。そんな流れを番手追走。ラストは12.0→12.4としぶとい粘り腰を見せ、後続2馬身突き離してみせた。

 脚質は違えど「ドゥラメンテ + イギリス血統」で、スターズオンアースと同じような血統背景を持つ。
 追走スピードがあり、持続力あり、粘り強さもあるタイプだ。

○リバティアイランド

(血統)
父ドゥラメンテ
母父オールアメリカン

(オプション)
「2400→2000→2400㍍」バウンド距離延長、「55→54kg」斤量減、生涯初古馬混合戦。

 阪神JFの内容を高く評価。1000㍍通過が57.0と、速い流れを中段で追走し、直線半ばで抜け出し、終わってみれば2馬身1/2をつける圧勝。
ハイペースの競馬らしく、ラスト2ハロンのラップは12.5→12.5と全馬脚が上がる競馬で強さを発揮している。
 それもそのはず、母はオーストラリアの名牝も、ボトムはイギリスーアイルランド色、加えて母父ザールはイギリス競馬に実績のあるロベルト系。
 マイル質のスピードに適応出来るし、持続力、粘り腰も抜群。勝ち負けになるだけの力は十分だし、今回は斤量が軽くなるのも魅力だ。

 G1レースの連戦になるが、牝馬三冠レースを余裕で制した訳で、それ則ち他馬とは能力差があり、楽勝だったという事でもある。疲労は考えなくても良いだろう。
 オプションだけなら、この馬が1番だ。


▲ディープボンド

(血統)
父キズナ
母父キングヘイロー

(オプション)
なし。

消耗戦向きで展開向きそう。


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