なんだか涙涙のスプリンターズSだった。
誰もが「上村おめでとう」と言う。
たしかにそれだけ上村洋行の初GⅠ制覇までの道は険しかった。
ほんとに今回は「降ろされなくて」よかったと思う。
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競馬というスポーツの面白いところは、
馬と人が一緒になってするというところだ。
当たり前だけど。
そして面白いのは、
これが非常に「脆弱なコンビ」だからだ。
お笑いのコンビとかって、大概ずっと一緒にやっていくものだろう。
歌手のデュオだって、大体基本的に一緒にやっていくもので。
コロコロこれが変わったりはしない。
馬術だって、もともとコンビが決まっていて、人馬一体で競技をしていくもの。
しかし、競馬はこれがほんとに
コロコロ変わる。
色んな力や思惑が働いて変えさせられて、引き裂かれたりする。
一流ジョッキーが、走らない馬を「捨てる」
二流ジョッキーが、強い馬から「降ろされる」
といった現象が起こる。日常茶飯事だ。
ファレノプシスを降ろされた石山繁や
ビワハヤヒデを降ろされた岸滋彦や
ドリームパスポートを降ろされた高田潤の
寂しそうな背中が今でも目に浮かぶようだ。
上村洋行もサイレンススズカを降ろされたことがある。
今回はそんなことがなくてよかった。
上村自身の努力もあるだろうが、
上村を信じた橋口調教師も素晴らしかった。
そういったものが全部重なったからこそ
涙涙のスプリンターズSになった。