サラブレ9月号が「社台グループの馬はなぜ走る!?」という特集を組んでいます。なかなかの好企画。
2点ほど。
1点目。照哉氏が父善哉氏について次のような発言をしています。
「親父は強いよ。馬から受ける感動をいっぱい持っていたからね。ほら、言葉や文字ではとても表現できない感動ってやつさ。ネアルコとかナスルーラを見て、ぐっと胸に迫ってくるもの。その感動につながる馬を、つまり感動買いしてどんどん買っちゃうんだから当たる馬も出るよ。セリに出る馬を全部見てるんだし、自然と馬の見方も身につく。真剣勝負なんだ。
(以下略)ノーザンダンサーの子をたくさん見ていて、どうしてこんないい子を出すのかって、親父さん、さかんに感動していた。そういう呟きがね、ぼくの耳に強く残っていて、ノーザンテーストを見たとき、ズキンと来たんだ。強いよね、あの人。自分の金で行って、見て、感動が自分のものになってるし、それもハンパな数じゃない。あれだけ一生懸命で、頭もあって、自分にムチを入れて、めったにいないなぁ、ああいう人は。」
この発言は善哉氏の本質を見事に語っていると思いますね。見抜いているというべきか。珍しいですよね、普通は自分の肉親を見る目というのは、肩入れしすぎるか、逆に突き放しすぎるか、なかなか間合いの取りにくいものだと思いますが、この照哉氏の善哉観は客観的であり、かつ正確だと思います。
善哉氏が偉大であることはもちろんですが、照哉氏侮れずという印象を改めて感じました。
善哉氏の相馬観の本質にあるのは、感動を享受する力。その力は数多くの馬を見るところから生まれたもので、いわば現場から得たものですね。そのことを照哉氏は的確に語っていると思います。
2点目。これが重要なところですが、マスコミがこういう特集を組んだときには、すでに凋落の芽が生まれているかもしれない、という逆説。
だれも指摘をしませんが、実はノーザンFの成績が落ちているんですよ。
8月15日現在の今年のノーザンFの1頭当たりの獲得賞金額のAEIは1.50です。平均より50%多いわけですから、十分と考えるかもしれませんが、ノーザンF生産馬の販売価格が平均より50%高い程度では済みませんからね。
2009年のAEIは1.82。さらに5年さかのぼると(なぜ5年かというと、同じ特集でノーザンFの秋田場長が「今の生産界は5年周期で見る必要がある。10年のデータは役に立たない」と言っているので。その発言に沿ったわけです)、2.22、1.95、1.96、2.52、2.43となります。
数字を並べてみると、今年の成績がかなり落ち込んでいることがわかります。
それはなぜなのか、今後どうなるのか、これはそう簡単には答えられません。今回は事実の指摘のみ。