競馬史上最初のスーパーホースと偉大なるグランドマザー
競馬史上最初に出現したスーパーホースはフライングチルダーズだろう。
フライングチルダーズは、1714or1715年生。父ダーレーアラビアン、母ベティリーデズ
という血統で、生涯成績は5戦5勝とも8戦8勝ともいわれる。とにかく無敗。
驚くのは、4マイル1ハロン138ヤード(約6765m)を7分30秒で走破したとか、1マイル(約1608m)を1分で走破したという逸話が残されていることで、これらの逸話はもちろん事実ではないが、こうした逸話が残されるほど、当時の人々に強い印象を残したといえるのだろう。
フライングチルダーズの血筋は、残念ながら現代のサラブレッドには伝えられていない。だが、スタンダードブレッド種の祖として血脈は繋がっていて、スタンダードブレッド種の父系を遡るとすべてフライングチルダーズにたどり着くようだ。
注 スタンダードブレッド(Standardbred)とは、温血種・中間種に分類される馬の品種の1つ。別名アメリカントロッターとも。主な用途は競馬と乗馬であり、競走馬としての需要はサラブレッドに次ぐ規模にある。全速力ではサラブレッドにかなわないため平地競走に使われることは稀であるが、速歩が得意なため主に繋駕速歩競走に使用されている(Wikipediaより)。
フライングチルダーズには1歳年下の全弟、バトレットチルダーズがいる。バトレットチルダーズは競走馬としては不出走。種牡馬になれたのは兄の名声のおかげだろう。そのバトレットチルダースの曽孫からエクリプスが誕生し、エクリプス系と呼ばれるその系統は現在のサラブレッドの9割程度を占めている。
そうすると、この2頭の母ベティーリーデスBetty Leedesは、競馬史に現れた最初の偉大なるグランドマザーといえるのではないか。
血統
(父系)
父ケアレス 二代父スパンカー 三代父ダーシーズイエローターク(現存しない父系)
(母系)
母クリームチークス 二代母スパンカーメア 三代母オールドモロッコメアー
母系内、Spanker3×4=18.75%のインブリードである。つまり、現存しないダーシーズイエロタークの血を色濃く受けていることになる。
三代母オールドモロッコメアーはF-No[6]の祖。
二代母スパンカーメアはF-No[6-a]の祖である。
6号族についてはWikiの解説を参照・
「6号族(Family 6)はサラブレッドの牝系(母系)のひとつでフライングチルダーズ、ハイペリオン等を輩出した一族である。ファミリーナンバーの中でも最も古い一族で、牝祖オールド・ボールド・ペッグ(Old Bald Peg)は1635年には生まれていた。その娘オールド・モロッコ・メア(Old Morocco Mare)は、スパンカー・メア(Spanker Mare)を出した。初期のサラブレッドに与えた影響は絶大で、ダーレーアラビアンの系統を繋げたフライングチルダーズ・バトレットチルダーズ兄弟、ゴドルフィンアラビアンの系統を繋げたケードは何れも6号族牝馬から生まれている。そのほか17, 18世紀に活躍した馬はかなり多く、初代ダービーステークス馬ダイオメド、初のダービー・オークス両制覇のエリナー、各父系の形成に関わるキングファーガス、ソーサラー。その他スパンカー、ロクサーナ、シルバーロック、ラス等活躍馬は多い。
mtDNAのハプロタイプはD2系統が多いが、解析例が少なく不明瞭である。
その後やや勢力を落とすもののファントム、プリアム、パーソナルエンスン、カウントフリート、オレアンダー、ハイペリオン、サートリストラム、テネラニ、オールドマン、ビッグゲーム、グレイゾヴリン、ツルマルボーイ、ネーハイシーザー、トーシンブリザード、メイセイオペラ、ハーツクライ等を出している。」
ちなみに私の調査では、現在日本のサラブレッド中6号族に属するものは1.5%程度
好きなハーツクライが属している。