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まずとりあえず、騎手分析にあたって出す用語を説明しときます。
「戦略力」・・・レースに挑む上での戦法の引き出し。位置取りだけではなく、動き出しのタイミングも含める。
「戦術理解度」・・・レースにおいて戦略を描く中、あるいは実際の展開の中でベストの選択を行えているか。動き出しやレースメイクに関して論理的に説明できるレベルかどうか。
今の競馬にはこの2つの要素が騎手分析においては不可欠だとは思っています。特に個人的には双方のギャップをうまく扱う事が重要かと。その上で今回はリーディング上位騎手+αの簡単な評価を。
戸崎圭太
・戦略力→安全運転での騎乗、戦法が多く、そういう馬を厳選しているかもだが高くはない。平均よりは下というレベル。
・戦術理解度→戦略力よりは高め。平均レベルがそのちょっと上というところ。基本フラットに乗りたい騎手なのでその範囲内では無駄が少ない騎乗をしている。
(能力は並なので、馬の質に助けられている勝ち星は多い。技術的な問題として捌きに関しては下手。腕っぷしというよりはセンスの問題)
福永祐一
・戦略力→平均よりは上。意外だが引き出し自体は多い騎手。逃げのバリエーションは持っているので。
・戦術理解度→低い。糞騎乗とよく言われるのはこの点に拠る。何故この馬でこの騎乗を?と思いたくなる選択肢のミスが多い。福永で厄介なのは、戦略力はある為正解が偶然噛み合うとベストの騎乗に跳ねる点。
(補足で言えば、流れる展開では戦術理解度はやや高くなる。イメージを持ちやすい競馬ならというとこ)
M.デムーロ
・戦略力・・・非常に高い。日本競馬界ではトップクラス。最終レースもルメールならこういう競馬は絶対に無理だなあという競馬。逃げに関しては唯一下がってしまう要素だがそれでも質は高い。
・戦術理解度・・・非常に高い。共に高バランスで持っている稀有な騎手。スローでの動き出し、後方からの無駄のない押し上げ方は随一。
(完全お任せともいえる存在の騎手。出負け癖は直らないのでこの癖がリスクになる条件では強く狙わない方が良いくらい)
C.ルメール
・戦略力・・・平均より下。厳しいが引き出しが多くない騎手としか判断できない。動く競馬を好まないというか、そういう戦法が頭にない騎手(これはだいたいの外国人騎手に当てはまる)
・戦術理解度・・・足し引きして平均レベル。先行競馬ではかなり高く、仕掛けを我慢したり早めに動いてコーナーでふるい落としたりと冴えている。反面、待機競馬では低め。動くタイミングの意識がないからスローで特に後手を踏むケースは目立つ
(3着以内率がずば抜けて高いが個人的には取りこぼしている方が高いと思う。馬の質・供給先もデムーロより明らかに恵まれているし、典型的な勝負弱い騎手と言わざるを得ない。重賞勝っているがアンビシャスとメジャーエンブレムのようなお膳立ての揃った競馬でしか1番人気で勝っていないので)
武豊
・戦略力・・・以前よりは低下して平均よりちょっと上というとこ。危機感があった時は引き出しも多く高めに評価していたが最近は幅が狭くなっている。
・戦術理解度・・・戦略力よりは平均よりは高め。馬の最大値を出し切る騎乗を模索しているし他の有力馬を潰す騎乗もできるのは相変わらずなので。
(ハングリーさがなくなって低下傾向なので来年もうかつに復活ブームに乗らないように)
岩田康誠
・戦略力・・・低い。締まった流れでは平均レベルに近づく事もあるが基本引き出しは狭い騎手と考えるべき。福永と比べると逃げに関して特に上手くない印象。
・戦術理解度・・・低い。動いてはいけないタイミングで動くケースが目立つ騎手。その辺を論理的にこなしてくると化ける可能性はあったがそれがなくなった。福永と比べてミスが目立たないのは共に低い値の為アンマッチ度が低い為。
川田将雅
・戦略力・・・平均よりは上。もともと極端な戦法や捲りもありなタイプで引き出しは少なくはない騎手。一時低かった頃よりは上昇傾向か。
・戦術理解度・・・戦略力よりは低め。ルメールと似た印象で前受けでは光るものの後ろからの動き出しが安定しない点はある。脚を出し切る競馬はまだ出来るのでルメールよりは高め。
浜中俊
・戦略力・・・平均レベル。戦法自体はオオーソドックスで高く取り立てるものは少なく動き出しがしっかりしているのは評価。
・戦術理解度・・・戦略力よりは高い。論理というよりは馬の力を信じる度合によって上下動するタイプ。脚を余すというケースもあまりないので。
蛯名正義
・戦略力・・・平均レベル。極端な脚質で脚を出し切る競馬は苦手なのであくまで正攻法での競馬という騎手。
・戦術理解度・・・非常に高い。動き出しのセンスに優れている騎手で好騎乗はこの能力に拠る。タイミングとコースの選択は素晴らしく勝ちきれる競馬の出来る騎手。
内田博幸
・戦略力・・・平均レベルよりは下。以前は引き出しは多かったが、動く競馬にまともに対応できずスローを好むようになって低下が続く状態。
・戦術理解度・・・低い。豪腕でズブいというよりはレースの動くタイミングを計り損ねているケースが目立つ(有馬のゴールドシップも然り)
(この内容でリーディング10位なのでいかに馬の質がいいかという事)
とりあえずリーディング上位10人を簡単に。
ちなみにこの評価の上でのランキングは・・・
1.M.デムーロ
2.横山典弘
3.田辺裕信
4.蛯名正義
5.浜中俊
6.池添謙一
7.武豊
8.藤岡康太
9.松田大作
10.北村宏司
12/27 19:22 回顧アクセス:3908 |