解せなかったのは、断然人気のブエナビスタが負けたことでもなく、７番人気の伏兵ヤマニンキングリーの金星でもない。ブエナビスタ陣営がレース後早々に凱旋門賞挑戦を撤回したこと。

　確かに予想では「ここを突破できなければ、凱旋門賞なんて…」と書きましたが、敗れたとして勝ち馬と差のない２着というケースは、正直なところほとんど想定せず。個人的にも何とも微妙なオチを迎えてしまった。

　とはいえ、凱旋門賞はそもそも斤量の関係で３歳馬が有利なことに何ら変わりはなく、当初から本気で遠征を考えていれば、３歳馬で挑戦すること自体に最も大きな意義があったはず。冷静に結果を振り返っても、期待の域には届かずとも目標を即変更しなくてはならないほど悲観する内容と言い切るのもそれはそれで強引な話。

　遠征費とかナンとか裏には裏なりの事情があるのは承知だが、そう簡単に断念するような目標なら、最初からそんな話を表に持ち出さなかったほうが少なくともマシではなかったか。グリーンチャンネルを見ていたが柴山騎手の勝利騎手インタビューを放映しなかったことも含めて（もし放映してたら見落としなので、すみません）、予想は的中したにも関わらず、残ったものは後味の悪さばかり。そして、なぜかお金も手元には全く…。

　マイナス20キロ減の馬体が特別良かったとも思えないが、終始内々をうまくすくったヤマニンキングリーは小回りのお手本ともいうべき好騎乗。洋芝への適性もそうだが、思ったほど速い時計が出なかったのも結果的に良かった。パドックでふと一昨年のアグネスアークの大幅馬体減を思い出したが、何というか札幌記念に賭ける河内厩舎の執念には物凄いものがある。晴れてＧⅡウィナーとなったが、札幌もローカルであり、あまり強調できない走破タイムと今回の仕上げからの上積みを考慮すると、次走はあまり美味しくなさそう。

　ブエナビスタは上がり３ハロンで35秒を切れなかった点に不満が残るが、走れるだけの状況にあったことだけは確か。可能性があるとすれば、結果論だが鉄砲はあまり良くないタイプかもしれない。新馬が３着でチューリップ賞が１着とはいえ、２着馬とは比較的小差で当時の走破タイムも平凡。絶対的に近い能力があるだけに気付かれにくいが、ひと叩きで本番が理想的なのだろう。その点次走秋華賞なら、と言いたいところだが、京都芝2000は内回り。小回りが致命傷とは思えないが、大事を取って評価は保留に。

　サクラオリオンはローカルで洋芝、時計を要したことを追い風に３着に健闘。函館記念同様、この条件はよく走るが中京記念と北海道開催を除けば成績に特筆すべき点はそうない。賞味期限もそろそろ終わり。

08/24 16:53　回顧アクセス：4541