開幕週の札幌芝1800とくれば前が有利なのは明らかで、今回のクイーンＳは先行勢のワンツーで決着、素直過ぎるくらいにお約束の傾向に収まった。

　アプリコットフィズのレース内容自体にケチをつける気はないが、勝因は何と言ってもレース序盤で２番手の外につけた武豊Ｊのファインプレーに尽きる。この位置取りが結果的に道中の折り合いと直線の決め手に直結した。無理やりおさえて中団馬群での競馬を強いていたら、これほどまでうまく事が運んだかどうか。

　そんな快勝劇も実質はスローペースからの上がり勝負を番手からの競馬。しかも開幕週の札幌芝1800らしい前残り傾向がそれをアシスト。斤量も52キロと恵まれた辺り、春まで経験してきた実戦よりも非常に負荷の少ないレースになったことが好走につながったことは否めない。次走以降は真っ当に考えてもっとタフなレースになるのは濃厚で、今回の結果を実力としてまだ鵜呑みにすることはできないと思う。

　プロヴィナージュは瞬発力で劣った分アプリコットフィズをとらえきれなかったが、最後はこの馬らしい渋太さで何とか２着を確保。1800Ｍでは他馬と比較して切れ負けすることは予想で考えていた通りだったが、そこはやはり開幕週の札幌芝1800。前残りの傾向が味方した分のハナ差で連対につながった。本来はもっとスピードに乗って長く脚を使いたいタイプ。今回はちょっとお行儀が良過ぎるくらい綺麗に折り合った競馬だけに、次走はもっと積極策に出られる状況がベターか。

　２着に僅か届かなかった◎カウアイレーンは予想したイメージに近い末脚を直線で使ってくれた。小回りの競馬ということもあり、勝負所で多少小脚を使わざる得なかったことを思えば、これはこれでよく伸びていたか。脚のタメ方が違えば２着はあったと思うが、スローの展開で前残り必至の開幕週札幌芝1800ではこの結果も致し方ないところ。少なくとも牝馬同士なら重賞でも通用することは証明できたと判断したい。

　その他、内々でうまく立ち回りながらショウリュウムーンは直線で前が塞がる不利もあって５着。スムーズさを欠いた割に末脚は確か。ただ、個人的な期待からすると伸びがひと息なのは不利だけが原因でもなかったような。次走距離延長も歓迎できないうえ、距離短縮でもスピード勝負になるとどうか。

　８着に沈んだ１番人気ヒカルアマランサスは少し懸念していた鉄砲がひと息なのか。そしてスローペースはともかく小回りがやはり良いとは思えないレース振りで、終始馬群に揉まれて万事休す。過去の戦歴通りならひと叩きとコース替り次第で次走ガラッと一変する可能性があるのでそこは一応警戒しておきたい。

08/19 02:26　回顧アクセス：4832