富士ステークス2012予想

カタストロフィ
10期 予想歴15年

◎ミキノバンジョー
  15着/13人気

○セイクレットレーヴ10着/8人
△コスモセンサー8着/1人


【予想】
展開的には番手馬が多くガッチリとした逃げ馬はいない。このメンツだとツクバホクトオーかサトノタイガーが行って、コスモセンサーが番手を確保したいところだが、或いはハナの手に立つこともありうる範囲。それに外枠のミキノバンジョーがどのポジションを確保するかというのがポイントだが、ミキノは平均ペース実績もあるので、ペースが遅ければハナを狙う可能性もあり、正直誰が逃げるかはちょっと読めない。ツクバは比較的平均ペースを刻むタイプなので、この馬の出方がカギかなと。


◎ミキノバンジョーは枠こそ大外枠だが、番手でもハナでも行けるタイプなので、このややこしいハナ争いを見ながらポジションを確保できるという点は魅力的。前走ポートアイランドSは結構強い内容で、11.4-11.1-11.2-12.3とL3最速戦で先行馬にはちょっと辛い展開だったにもかかわらず、L1まではかなり余裕があったし高速馬場でトップスピードの高さも見せてきた形。加えて、福島テレビOPで見せた12.5 - 11.6 - 11.8 - 11.7 - 12.2のL5-4での加速地点でも楽に反応してペースアップにすっと対応できている。この血統にしては珍しいが、動き出しの良さも兼ね揃えた番手馬のようなので、意外と東京1600は合っているように感じる。ここは適性よりもはっきり言って力関係が全てになってくると思うのだが、前走はハイレベルだったし、福島テレビOPでは普通にトランスワープを撃破している。ポテンシャルでもここでは最上位に入ってくるというだけの実績もある。普通に人気がなさ過ぎで、このメンツ相手でも十分やれるはずだし、展開に対応できる能力も高いはず。


〇セイクレットレーヴは3歳馬では能力最上位とみているので。エプソムCではタフな馬場で比較的平均的な競馬になり、12.0 - 11.9 - 11.4 - 11.6 - 12.6とL1落ち込みL3最速とかなり厳しい中距離寄りの競馬になっていた。ここで中団からラストで伸びあぐねたのは持続力の差とみていいと思う。この馬の良いところはトップスピードの質とギアチェンジの早さ。クロッカスSで見せたキレ味と反応がこの馬の持ち味で、12.2 - 11.6 - 11.4 - 11.7と逃げ馬が離してラップを刻んだが、後半のこのラップを内から差し切っているというのはポテンシャルの高さの証明。高速馬場向きだと思うので、今回古馬に交じってどこまでやれるか楽しみではあるが、能力的に通用するとみている。


△コスモセンサーは中谷に変わるのはヤッパリすごい不安だけど、とりあえずかなり乗りやすい馬で展開次第で対応できる馬だし不安は少ないと思う。叩いて2走目で追い切りも上昇しているし、斤量も56kgで乗れて、先行争いもそれなりに激しそうだし、ハイペースになる可能瀬もある。ニューイヤーSや安田記念のパフォーマンスからも明らかに平均~ハイペース向きだが、スローでも東京新聞杯で見せた動き出しの良さも秘めているので、大きく崩れることは考えにくい馬。この相手ならやはり連下候補筆頭だろう。


【展望】
 マイルCSという秋の大本番を見据えて、前哨戦富士Sが東京で行われる。あまり本番に直結するようなレースではなかったが、ここ2年連続で富士S勝ち馬が本番で連対していて、昨年はマイルCS覇者エイシンアポロンも出した。今年も本番に直結しそうな豪華メンバーが勢ぞろい。菊花賞より長文になってしまいそうなぐらいだ。特に今年はハイレベル3歳世代のマイラーが古馬に殴り込んできた。連勝でラジニケ賞を制覇した馬から、エプソムCで見せ場を作った馬、小倉で古馬混合OPを制した馬。これに対抗する古馬は中京記念馬、安田記念3着馬を筆頭に、一昨年の富士S覇者、重賞善戦クラスの実力馬がひしめく。前哨戦ながら混戦マイル路線を象徴するかの如く群雄割拠の時代。戦国の時代に名を轟かせるのは果たしてどの馬になるか。


 中心は今の3歳世代の勢いに敬意を表して究極のトップスピードタイプ、セイクリットレーヴから。アドマイヤムーン産駒のファーストクロップ。既に代表はレオアクティブに譲っている形だが、これから巻き返しを期待できる一頭だろう。この馬の持ち味が最大限に出ているのがクロッカスS。12.2 - 11.6 - 11.4 - 11.7のラップ推移、中盤少し緩んだが、逃げ馬が引き離す流れで後方集団の最内というポジション。そこから加速していく流れのL2までで既に2列目までスイスイと押し上げていくと、L1でしっかり抜け出した。ただ、そこで遊んだのか突き抜けられずにキングオブローに迫られはしたものの何とか抑えきった。持ち味はこの素晴らしい程の動き出しの鋭さと、そしてトップスピードの質の高さ。実力馬が下位に沈んでいるのでレースレベルは難しいが、ニンジャやハクサンムーン、ビウイッチアスと言ったところが相手だったのだから能力は高い。高速馬場のニュージーランドTでは11.6 - 12.0 - 11.7 - 12.0 - 11.9のラップ推移で中団、カレンブラックヒルの直後から内でぴったりとマーク。しかし直線で手応えほどは伸びずに、カレンに突き放されてしまった。それでも何とか2着は死守。平均的なスピードの高さも見せたし、ペースが上がっても問題はなかったが、この馬の持ち味であるトップスピードや動き出しは封じられてしまった感じも受けた。NHKマイルでは直前の雨で時計が掛かる馬場。直線までは内で進めたが、12.6 - 11.6 - 11.3 - 11.7のラップ推移で直線序盤に進路がなく外に持ち出した分がワンテンポ遅れた仕掛けとなって圏内に届かなかった形。展開を考えても差し馬では一番評価できる内容だと言えるしポテンシャルは高い。エプソムCではタフな競馬になって中団から伸びきれず。ダノンシャークに完敗した形であまり評価はできない。これまでの傾向からは、タフな競馬向きの馬ではなさそうだ。ペースは緩めでトップスピードの高さとそこまでの加速力で勝負するタイプのように感じる。NHKマイルを物差しに考えれば古馬一線級相手でも通用するだけのものを見せているし、高速馬場でトップスピード勝負に持ち込めればこの相手でも最上位ではないかと思っている。自由に動ける方だし、序盤のポジションさえ後ろになりすぎなければ大崩れはなさそうなイメージだが。


 相手筆頭には古馬の壁となるか実績馬コスモセンサー。この馬のベストパフォーマンスは昨年のニューイヤーS。平均ペースを番手追走。11.7 - 11.9 - 11.7 - 11.9のラップ推移で直線序盤であっさり突き抜けて、ライバルのガルボを全く寄せ付けない完勝の内容だった。今までのパフォーマンスからも、幅広い適性の高さでバランスは良いものの、基本的にはこういった平均ペースでポテンシャルを出し切る競馬が最も合っているように感じる。東京新聞杯ではスローから11.7 - 11.1 - 11.3 - 11.8とL3で一気に出し抜きを図ったが、ここではガルボにぴったりマークされてL1の落ち込みで差されてしまった。トップスピードの持続力に関してはガルボに軍配が上がってしまった。安田記念ではペースが上がってこれを積極的に内ポケットで追走し、粘り込んでの3着でガルボに先着。ペースが上がればこちらが優位に立てる。その点で、前哨戦でどういう展開に持ち込めるかという所だろう。安定したポジショニング能力はここに入れば当然大きな武器となり、スローにも早仕掛けである程度対応できるタイプ。3歳勢の良い物差し相手となりそうではある。前走京成杯AHでは世界レコードになるほど良質なスピード比べとなり、内で脚を溜めた2頭に出し抜かれたのは仕方ない。が、スピリタスにまで先着を許したのをどうとるか。ハンデ57.5に対して相手は55kg。展開を考えれば決して力負けではないと判断したい。いずれにせよ、安定して幅広い適性の持ち主で、ペースが上がっても緩んでも対応できるタイプということでもあり、古馬勢では信頼できる1頭だろう。ただ、東京新聞杯の時は、内有利の馬場状態が比較的顕著に出ていたので、過信は禁物かもしれない。出来れば平均ペース寄りの競馬になってほしいだろう。


 3番手には3歳勢から勢いなら最有力のファイナルフォーム。2走前の直線での斜行でいわくつきの馬ではあるのだが、前走ラジニケ賞では驚くほどに鮮やかな勝利で度肝を抜かされた。12.2 - 11.7 - 11.5 - 12.0のラップ推移で好位の内目、3角からのペースアップでも楽な手ごたえ、4角で仕掛けるとしっかり反応して2列目4番手、外に持ち出し、直線。序盤でジリッと詰めると、L1のバテでしっかりと突き抜けての完勝。文字通りの完勝で、後続の追い上げをも許さない競馬だった。レースレベル自体はこの路線ではまずまずと言ったところだが、少なくともこれらの馬よりは1枚も2枚も上手の内容だったと言っていい。これまでは比較的トップスピードの高さとその持続力で結果を出してきていた。2走前は斜行で問題になったとはいえ12.3 - 11.6 - 11.5 - 11.9のラップ推移で大外から伸びを見せると、L2-1の地点で一気に突き抜けた。最後は気を抜かせないように軽く右鞭を入れたところで大きく斜行してしまったが、何もなくても勝っていただろう。序盤のポジショニングセンスに関しては、前走で随分改善されたとは思うが、それでもこのメンツに入ればそこが不安材料であることに変わりはない。ラジニケの内容からは動き出しも悪くないが、トップスピードの高さよりはむしろその持続力の方が秀でている印象もあるので、緩むよりは比較的平均的な競馬の方が安定するかもしれない。いずれにせよ、まだ一線級のマイラー相手にどこまでやれるかを判定するだけの尺度が足りないのは事実。ラジニケ賞は良くも悪くも少し緩んで、比較的中距離的な競馬になっているし、メンバーも中距離馬が多い。スピードが問われるマイル戦でどこまでやれるか。期待と不安が入り乱れた形ではあるが。


 穴どころからはミキノバンジョーを挙げたい。前走ポートアイランドSでは阪神マイルにしては比較的仕掛けが早くなって序盤はややスローではあったが11.4 - 11.1 - 11.2 - 12.3のラップ推移でL1落ち込む形。ペースが上がった3~4コーナーで番手から楽な手ごたえで直線を向くと、L2の速い地点でも脚色見劣らず。L1のバテで後方にいた2頭に差されたが、この展開で先行勢で最先着というのは大いに評価したい。東京は初めてになるのだが、阪神マイルで切れ負けせずに要所でしっかりと脚を使えていたというのは非常に大きな材料。またテンのスピードも速く、逃げに拘らなくても結果が出せている今なら番手のポケットにでも入れればかなり面白い存在になってきそう。正直マイルで基礎スピードの不安もあったのだが、前走で問題ないところを見せられたとなると、もう本格化していると見た方が良いだろう。あまり厳しいペースで平均的な競馬になるよりは、ある程度の位置からしっかりとトップスピードを出せる競馬の方が合っているだろう。阪神よりもそういった適性が問われやすい東京の方が良いか。相手関係は強力だが、前走を見る限り侮ることはできないだろう。


 コスモセンサーとライバル関係にあるガルボも当然争覇圏内。今年はコスモと共に覚醒したかのように安定して上位に食い込んできている。特に久々の重賞制覇となった東京新聞杯では番手のポケットからコスモセンサーをマーク。出し抜けを図ったコスモを11.7 - 11.1 - 11.3 - 11.8のラップ推移、L1のバテでしぶとく差し込んできた。この馬はマイル戦に関しては、ある程度のペースから終いトップスピードの持続力を引き出してくるという感じはする。平均ペースになるとコスモセンサーには完敗で、少し緩んで終いが問われた方が先着できているというのが裏付けになるが。ダービー卿でも馬場の割にスローになって、11.4 - 11.6 - 11.8 - 11.3とL1最速戦となっているのに、中団からしっかり差し切っている。相手関係が楽だったこともあっただろうが、やはりこの馬はマイルに関してはある程度トップスピードを問われた方が良いのは確かだろう。ただ、これもコスモと比較して、動き出しではワンテンポ遅い感じで見劣る。それだけに東京新聞杯のようにペースアップを問われると、L3最速でL1バテの展開に持ち込んで初めて差せると思うし、ダービー卿はなんだかんだ言ってL4で11.4と全体がペースアップしていて、外から勢いをつけられたからこそL1最速戦でもトップスピードを引き出せたという印象。トップスピード自体は良いものがあっても、点火しきるまでに少し時間を要すので、やはりポジションと仕掛けがカギになってくるだろう。


 ここ数走力を取り戻しつつあるダノンヨーヨーも圏内。前走毎日王冠では11.8 - 11.8 - 11.5 - 11.7 - 12.2とハイペースで脚を出し切れる展開になっていながら伸びきれなかった点は不満。L1で思ったより伸びなかったし、前とはポジションの差で仕方ないにしても、同じような位置にいた馬を相手にL1出し切る競馬で伸びきれなかったのは個人的には不満。1800mは少し長いような印象も抱いた。安田記念ではハイペースでコーナーで内を突いたとはいえ11.4 - 11.3 - 11.8 - 11.9のラップ推移でL1にしっかりとこの馬らしい脚を見せてきた。このパフォーマンスがあれば、展開次第で上位にというレベルの馬ではある。ただし、序盤のポジションセンスが皆無であることと、そこまでトップスピードで抜けているわけでも、動き出しが早いわけでもないので、L1バテ込む展開にならないと苦しい立場であることは確かだろう。今回はハイレベル戦であることは間違いないと思うので、この馬のポテンシャルを出し切れるような競馬になれば一発あるだけの魅力は十分にある。が、どちらかというと坂で動き出しを問われにくく、スピードに乗って合流地点で進路を確保しやすい本番の方が面白い存在ではなかろうか。


 米子S、中京記念と連勝で勢いに乗るフラガラッハ。高倉とのコンビで一気に開花したように感じる。米子Sでは12.1 - 11.4 - 10.4 - 11.8のラップ推移で最後方グループの外からしっかり加速させ、勢いに乗せて直線。序盤でジリジリ詰めて中団にまで押し上げていくと、L1でもその脚を維持させてしっかり前に出て半馬身差の勝利。中京記念でも12.1 - 11.7 - 11.4 - 12.9のラップ推移。これも右左の違いは有れど、米子Sの再現を見ているかのようにコーナーで大外、下り坂で勢いをつけて直線に向かうとL1でぐんぐん伸びての完勝。阪神Cでも平均的な競馬で結果を出しているように、基本的にポテンシャル勝負向きの馬なのは間違いないだろう。トップスピードもそれなりに持ち合わせているが、すっと加速するだけの反応では見劣る部分があるし、東京マイルでもL3最速戦の実績しかないので、ある程度のペースからの動き出しと軽いトップスピードが問われた昨年の京王杯SCや平均的なスピードが問われるスワンSでは大きく崩れているのは不安材料。緩いペースで動き出しを問われたときは崩れる要素も孕んでいる。ペースに緩急がなければポテンシャルは高い馬だが、L1バテ差タイプであることは間違いないので、東京1600mの前哨戦では少し展開の味方が欲しいという印象だ。


 小倉日経オープンで古馬を撃破したダローネガも圏内。3歳勢の中ではやや実績的に見劣る感はあるのだが、小倉日経オープンでは11.5 - 11.6 - 11.6 - 11.7 - 11.9のラップ推移、平均ペースで好位から本当にジリジリと伸びて捻じ伏せ形。キレで言うならタガノエルシコに見劣っていたのだが、それでもL1までしぶとかったこの平均的な持続力が恐らく売りだろう。デイリー杯2着時でも12.5 - 11.4 - 12.0 - 11.8のL3最速で平均的な脚勝負になってジリジリ伸びてきた形。基本的に動き出しが問われたケースでは崩れがちだし、平均ペースだった朝日杯ではロスの多い競馬をしながらばてていない。ポテンシャルは高いものの、トップスピードや動き出しと言った能力に欠けている印象。それだけに東京マイルがどうかという点は不安の方が大きいだろう。小倉日経オープンではリルダヴァルやここにいるミキノバンジョーらを退けているし、レースレベルは高かった。マイルよりも1800~2000小回り向きという印象はしないでもないが、嵌れば面白い存在ではある。それでも個人的に買い時はここではないとみているが。


 最後にデイリー杯勝ち馬クラレント。全く安定しないが、前走は着順の割に差は0.3差と決して悲観する内容ではない。ゲートは良かったが、阪神の内枠ということで窮屈になり、どうしてもポジションを下げざるを得なくなる。スローの段階でポジションを落としてしまい、中団からの競馬。最後もジリジリとは来ていたが、外差の勢いに屈した。休み明けとしては悪くない内容だし、序盤前に行けそうな目途を立てたのも良かった。NHKマイルCではハイレベル戦で12.6 - 11.6 - 11.3 - 11.7のラップ推移、中団外から直線でしっかりと伸びを見せていたし、評価すべき一戦。この通りのパフォーマンスならばここでも最上位の1頭であることは間違いない。デイリー杯では12.5 - 11.4 - 12.0 - 11.8のラップ推移で直線入り口で少し詰まりながらもL1でしっかりダローネガを差し切っていて、トップスピードの持続力は高い。動き出しに関しては何とも言えないので、ある程度前目で運べるに越したことはないだろう。スローなら好位の外ぐらいで競馬ができれば面白い。朝日杯でも平均ペースで外からジリジリと伸びてはいたがダローネガには負けているので、ある程度トップスピード勝負になった方が良いようにも感じる。



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