10期 予想歴15年
◎ダノンシャーク
6着/6人気
○フラガラッハ17着/14人
▲レオアクティブ15着/7人
△アイムユアーズ10着/13人
【予想】
雨が降って道悪になったこともあり、シルポートが自分のペースでレースを作れる条件が整った。シルポートが出遅れたりしない限りこの馬がハナ。川田に替わってどこまでペースを刻めるかということはあるが、少なくとも緩むことはないだろう。平均ペース~ハイペースでタフな馬場でも維持できる平均的なスピード持続力と馬場をこなせるパワーが必要ではないか。
◎ダノンシャークはタフな展開なら確実に差しこんでくるポテンシャルタイプの実力馬。京都金杯では平均ペースから11.9 - 12.0 - 11.5 - 11.8のラップ推移で大外からグンと伸びての2着。タフな馬場でハイペースだったマイラーズCでも11.3 - 11.2 - 11.8 - 12.7のラップ推移で内をロスなく立ち回ったとはいえ最後までしぶとく伸びてきたただ1頭の馬だった。ペースが上がって追走に脚を使っても、それが後半のトップスピードを削がれることにはつながらないタイプなので、序盤からペースが上がった方が良い。反面でスワンSで見せたように緩い展開だと完璧に運んでもトップスピード負けしているように、質に関しては微妙な所がある。その点でもシルポートが引っ張ってくれる展開で道悪というのは歓迎材料。馬場が悪 かったエプソムCでも3列以降の集団からは唯一伸びてきているし、ポテンシャルはかなり高い。ここは高速馬場でのトップスピード勝負向きの馬がほとんどで、雨が降ると異常にタフになって求められる資質が変わってくる京都の芝外回り。馬場がある程度回復してもペースさえ緩まなければ問題ない。後はスムーズに運んで直線上手く進路を確保できるかだけ。
〇フラガラッハはこの馬場状態で大外枠を引けたというのはプラス。どちらにせよ最後方からだし、外に持ち出さないといけない馬なのでその作業をしなくていいというのは良い。タフな馬場の中京記念で12.1 - 11.7 - 11.4 - 12.9のL1でグンと伸びてきているように、トップスピードの持続力が高い。また米子Sでは12.1 - 11.4 - 10.4 - 11.8のラップ推移で最速10.4の地点で押し上げていて、トップスピードの質は相当高い。ただ、米子Sでは最後方から徐々に加速していく流れで外からスムーズに運べたし、中京記念はコーナーの下り坂で勢いに乗れたというのも大きい。富士Sでは最後方から11.7 - 11.3 - 11.6 - 11.9のラップ推移で伸びず。軽い馬場でペースが上がると序盤のポジショニングの悪さがもろにネックになっている感じ。その点で道悪の京都は大歓迎だろう。最後までしぶとく脚を使えるので、勝ち負けは展開次第だが、リードを大きく許していない馬に対しては確実に優位に立てるとみている。
▲レオアクティブはスワンSの完敗で評価を一気に落としすぎている印象。スワンSは11.5 - 11.0 - 11.2 - 11.6のラップ推移。超スローで序盤のポジショニングがそのまま大きく影響した形で、この馬のパフォーマンスを考えれば全く参考外で良い内容。それでも伸び自体は見せていたし、後はそれをどこから出すのかというだけの話だったはず。マイルに伸びれば序盤からペースも上がりやすいコース形態だし、この馬の持ち味は存分に活かされるはず。京成杯AHでは最内をロスなく立ち回ったと言っても、最後の伸びは急で11.1 - 11.2 - 11.5 - 11.8とポテンシャルを出し切る競馬でこそ良さが出る馬なのは間違いない。NHKマイルでは少し緩んでトップスピードを問われた形にもなっているが、雨でややトップスピードがそがれている印象もあり、ファルコンSの4着も休み明けが有ったので何とも言えないが、ベストは高速馬場なのかもしれないという点で単穴扱い。
△アイムユアーズは道悪適性が未知数ではあるが、オークスで見せたポテンシャルの高さに、フィリーズレビューで見せた基礎スピードの高さクイーンSで11.9 - 11.6 - 11.7 - 11.8のラップを外から押し上げて勝ちきる競馬からも平均的な競馬ならば恐らくかなり強い1頭。今回はシルポートが飛ばす競馬、これを外からスムーズに追走できそうだし、ある程度の位置で馬場も良い場所を選べそう。秋華賞はペースアップしてから外を回された形だし、その分のロスが大きかったと判断。今回先行勢がコスモセンサーレベルの馬しかいないし、人気馬もトップスピードを活かす差し馬ばかりなので、普通に通用するんじゃないかと思っているが。
グランプリボスはマイルで自身も平均的なペースを求められると良さが出るタイプには思えないし、シルポートが飛ばす展開では苦しいと思う。
リアルインパクトも同様。それにギアチェンジの良さを活かして粘り込みたいタイプの馬で、今の馬場で京都外だと単純なポテンシャル勝負になりそうでこの馬の良さが出ないとみる。
ストロングリターンは富士Sで不良馬場をこなしているし、他に比べればマシだけど、基本的にはトップスピードの質と持続力を活かすタイプだし、序盤から追走に脚を要す展開ではちょっと狙い辛い。
サダムパテックにマイルは短いと思うが、皐月賞を見てもある程度雨が残る馬場状態は悪くないと思う。それでもこの馬場で最内枠を与えられたのはつらい。
【展望】
秋のGI戦線もいよいよ中盤に突入。今週はマイラーの頂点を決める一戦、マイルチャンピオンシップ。NHKマイルの覇者にして無敗で挑んだ天皇賞で敗れたカレンブラックヒルが出走せずも、代わりに出てきた3歳勢が強力。それに迎え撃つ古豪たちという構図。今年の安田記念馬を筆頭に、スワンSで京都苦手を克服したGI2勝馬、昨年のマイルCS勝ち馬、昨年の安田記念馬など、実力馬は多数。対する3歳はカレンブラックヒルこそ出なかったが、京成杯AHで世界レコードを叩き出した強豪、富士Sでも2着のラジニケ賞勝ち馬、今年の3歳牝馬クラシック路線の中心を担ってきた1頭など、かなり豪華。出走順の関係で3歳勢で魅力的な馬が出られない可能性が高いのが残念だが、それでも高いレベルで混戦の中、今年のマイルチャンピオンに輝くのは果たしてどの馬か。前半は有力馬、後半は穴馬候補を中心に取り上げたい。
中心はスワンSを快勝して実に1年半ぶりに勝利の美酒を味わったグランプリボス。前走は11.5 - 11.0 - 11.2 - 11.6のラップ推移で中団、馬群の中で壁を作って進めると、直線で鋭く伸びてL1で差し切った形。京都ではこれまで縦長になってポジションの差で届かないケースが多かった印象だが、今回は序盤スローペースだった分、団子の競馬になったこともあり、しっかり届く範囲で競馬ができたことも好走要因の一つと言えるか。毎日王冠ではハイペースの苦しい展開を番手追走。11.8 - 11.5 - 11.7 - 12.2の最速地点のL3でシルポートに並びかけて先頭に立っていたが、流石に厳しくなってラストは甘くなった。もともと1800mは守備範囲ではあれどこのクラス相手では苦しかったし、展開も苦しい。安田記念でもハイペースで11.4 - 11.3 - 11.8 - 11.9、のラップ中団からの競馬で直線進路が狭くなりながらもしぶとく抜け出してくると、最後は一緒に抜け出したストロングリターンとの競り合いに屈しての2着惜敗。敗れた京王杯SCでは比較的平均ペースではあったが位置取りも悪く、大外からじわっと伸びてくるに留まった。昨年のスワンSで崩れた時も4角でややスムーズさを欠いたこともあるが、平均ペースで直線までにリードを許しすぎて物理的に届かなかったのもあるだろう。こうしてみているとなかなか判断をつけづらいところではあるが、恐らくマイラー色が強い馬なのだろう。1400mでペースが流れると序盤のポジション争いで不利になりやすい。逆にマイルの激しいペースでポテンシャル勝負になっている方が好走できている。実際ポテンシャル勝負になりやすい阪神1400では11.4 - 11.4 - 11.9 - 11.8のラップ推移でサンカルロと共にしっかり3着以下には差をつけて中団から抜け出している。折り合いにも多少難がある馬だし、あまり緩急がない方が折り合いという点では競馬がしやすいのだろう。
今回の京都マイルという舞台は2戦2惨敗だがいずれもタフな道悪の状態で崩れている。追走に脚を使って沈んでしまっているのが気がかり。この馬自身も平均ペースで進めてしまうと苦しいような印象を持っている。トップスピードの質、持続力を活かすような形が合っているようで、あまり追走しすぎると良くない。それと、負けパターンを見ても外枠で壁が作れず、要所で外を回して全く良さが出ないケースも当てはまる。この馬が崩れる時は様々な要素が絡まっていてどれと言い切るのは難しいのだが、内で壁を作ってという形が作れる方が良いか。馬場状態と枠順。この2つはこの馬にとっては大きな要素でもあるので、注意してみておきたい。京都マイルに実績はないが、前走で京都自体は克服した。毎日王冠でハイペースの東京1800の流れを先行して粘るこれまでにない形も見せてきて、成長を感じさせる内容。それでも今回は相手強化。前走の勝利で人気の中心になることは間違いない。今回もかなり取捨が悩ましい存在になりそうだ。
相手筆頭には前走のスワンSで全く良さを活かせずの惨敗を喫した3歳馬レオアクティブ。ハイペースで世界レコード決着となった京成杯AHでは11.1 - 11.2 - 11.5 - 11.8のラップ推移で、最内を立ち回って直線インからズバッと突き抜けた。上手くロスなく運んだことも大きいが、高いポテンシャルを要求された競馬で力を出し切っての完勝。朱鷺Sでも11.3 - 11.4 - 11.5 - 11.5の流れで外からスピードに乗せることでラストに鋭く伸びて突き抜けた形。朝日杯FSでもハイペースの流れの中で外枠から終始外々を回して11.9 - 12.0 - 11.7 - 11.9で大外からグンと伸びていた。京王杯2歳Sではラップ推移こそ12.2 - 11.5 - 11.2 - 11.9の流れで少し緩みはあったが、この馬はほぼ最後方から直線で上手く外に出して押し上げる形で迎えている。それでも伸びてきたのはL1で、ここでグンと伸びて前を捕えた形。トップスピードもそれなりにはあるだろうが、基本的にはポテンシャルタイプなのは間違いないだろう。スワンSでは11.5 - 11.0 - 11.2 - 11.6のラップ推移。これで直線を向いて最後方なのだから最初から勝負になっていない。最後までジリジリとしか伸びなかったがラップ推移からも当たり前だろう。NHKマイルCでもタフな馬場で12.6 - 11.6 - 11.3 - 11.7と中弛みの後に加速を問われたレース。ここで馬群の中でコーナーを迎え、加速することができないまま直線を向いたことが大きかった。直線でも進路を確保してからの伸びがイマイチだったし、すっとトップスピードに乗れるタイプでないので、適性面で見劣ったと考えるのが良いだろう。
ここからも、イメージとしては馬場はあまり問わないが、淀みない展開でスピードを持続させ脚を出し切るポテンシャル型。そういう点で京都マイルでまず好ましいのはL4に下り坂が有ってこの馬がやや苦手としているギアチェンジ能力が補完されそうという点。次に3角上り坂までの距離が京都1400に比べて長く、ペースが上がりやすいという点も明らかな歓迎材料になる。タフな中京や高速新潟内回りも対応できているように、持続戦にさえなれば安定しているので、極端にスローにならなければ京都外1600mの舞台なら高い確率で力を出し切れるだろう。後は単純に相手関係が全てではないかと思われる。確かに今年の3歳世代はレベルは高いが、ここは古馬も一線級が揃った。カレンブラックヒルがいないとはいえ、3歳でもファイナルフォームやアイムユアーズと言った強敵がいるし、夏の新潟以降のパフォーマンスは評価できても、どこまで通用するかは未知数だろう。ただ、それでもスワンSは完全にポジション負けなので、前走の敗戦で評価が下がる今回は狙い目であることも事実。やや不器用な面は有れど、ポテンシャルの高さは魅力だ。
3番手には今年の安田記念の覇者ストロングリターン。故障が多い馬で本格化までには時間が掛かったが、昨年京王杯SCを制してからはかなり高いレベルで安定していたし、事実今年はGIに手が届いた。その安田記念ではハイペースから11.4 - 11.3 - 11.8 - 11.9の流れ。外から伸びを見せ、L2でグランプリボスと共に抜け出してくると、L1でしっかりとグランプリを捻じ伏せての勝利。この馬も高いトップスピード持続力を見せた形。2着に敗れた昨年の安田記念でもハイペースから11.6 - 11.2 - 11.6 - 12.2の流れ。最内をロスなく立ち回って直線しぶとく伸びてきて粘るリアルインパクトにクビまで迫った内容。ここからも、序盤は無理なく進めて後半のトップスピードの質、持続力を活かす展開がベストなのだろう。充実後の負けパターンは休み明けの今年の京王杯SC。11.7 - 11.3 - 11.3 - 11.6と割と平均的な競馬になっての決め脚勝負。後方のポジションから脚色も前と同じ。なだれ込んでばてた内の馬たちを交わして4着に入ったという程度の内容。スタートがそんなにいい馬ではないし、出たなりでペースが上がりにくい東京1400でこのラップ推移では苦しかったという形。また、不良の富士Sでは馬場の割にはスローペースで12.1 - 11.5 - 11.2 - 12.7のラップ推移。意外と序盤は良い脚だったが、本来突っ込んでくるべきL1で前のエイシンアポロンらと脚色同じになってしまった。休み明けもあるしレース後判明の故障もあったし、敗因がどこにあるかは分からないが、いずれにせよタフな馬場で持ち味のトップスピード持続力が発揮できなかったことを見ると、やはり良馬場の方が好ましいか。
これまでの分析からはトップスピード持続力が売りなので、序盤はなるべく無理をせずに、後半のトップスピード持続戦で持ち味を出し切る競馬がベストだろう。これが京都外1600mでどういう競馬になるかだ。京都1600mは比較的ペースが上がりやすく縦長の展開にもなりやすい。また、その上で京都の坂の関係でL4で加速する流れにもなりやすく、平均的な競馬になって脚を出し切る展開になりやすいという点はこの馬にとっては良い材料だが、同時に厳しいペースでも序盤からある程度出して追走していかないと、前も府中程には止まってくれないのでポジションが課題になってくるだろう。京都の場合は内を回っても4角~直線の合流地点の関係でうまく捌きやすく、出来るだけ序盤無理をしたくないこの馬にとって、京都という舞台を考えるならば、やはり内目の枠は欲しいと思われる。安定感を見ても古馬の中ではこの馬が総合力で一番だとは思うので、馬場状態もあるがなるべくロスの無い競馬を心掛けたい。
4番手には3歳の注目株、ラジニケ賞を完勝して休み明けの富士Sでも2着と力をつけてきたファイナルフォーム。6戦して複勝圏内を外さない抜群の安定感だが、500万下でも取りこぼしたり、勝ち切っても若いところを見せての斜行などと、3歳春の時点ではイマイチだったが、ラジニケ賞で一皮むけた。今考えるとなかなかの豪華メンバーの中で、12.2 - 11.7 - 11.5 - 12.0のラップ推移。好位で競馬、3角で中目を通し、4角ですっと動いて2列目に押し上げて直線。直線序盤ではヤマニンファラオが先に抜け出しを図っていたが、L1でグンと伸びるとそのままきっちり突き放して0.3差の完勝。動き出しも良かったし、そこからの持続力が一枚上だった。休み明けの富士Sでは11.7 - 11.3 - 11.6 - 11.9とL3最速戦。ペースも比較的一貫していた高いポテンシャルを要求される展開だったが、直線序盤でしっかり進路を確保するとそこからはジリジリと伸びてきた。L1でもしっかりと前に迫ってクラレントを追撃したが、差し切れなかった。休み明けを考えれば悪くない一戦だが、展開が向いた馬たちの中で、レースレベルを考えるとやや不満も残る。休み明けのヒットジャポットやダローネガレベルの馬。勝ち切ったクラレントには完敗でもあり、現時点で上位の面々と通用するだけのものは見せていない印象もある。
高いパフォーマンスを見せたレースが富士Sとラジニケ賞で、富士Sは展開やレースレベルを考えるとやや疑問が残るところもある。ラジニケ賞は内容的には完勝の位置づけ、相手関係もそれなりには評価できる。これまでの好走からも、あまり時計勝負向きの印象ではなくて、不良馬場でポテンシャル勝負となった5走前中山マイルで勝ち切れなかったところからも、前掛かりのタフな競馬になった時に一流どころ相手にどこまでやれるかは正直微妙だろう。特に府中よりもよりポジションが重要になってきやすい京都のマイル。ある程度展開の恩恵、馬場の恩恵は必要になってくるか。ラジニケ賞のようにある程度前で運びたいところだが、厳しいペースを追走して脚が削がれないかどうかだ。3歳馬でまだ未知の面は多く、前走の休み明けからどこまで上昇があるかも含めて判断すべき1頭だろう。
前編最後は煮え切らない競馬が続くリアルインパクト。この馬の持ち味は序盤のポジショニング能力と、トップスピードの高さ、ギアチェンジ能力の高さにある。3歳時に制した安田記念では、出はそれほど良くなかったが楽に前に取り付いて、シルポートを見ながらの2番手。そこから上手く内に入り込んでロスなく進め、そこから11.6 - 11.2 - 11.6 - 12.2最速地点でも楽な手ごたえで進められ、最後は斤量差もあったが粘り通しての勝利。昨年の毎日王冠では超スローから12.0 - 10.9 - 11.1 - 11.6のラップ推移。3番手から直線序盤で一気に先頭に並びかけ、L2で抜け出した。L1で少し甘くなったところにポテンシャルタイプのダークシャドウに差された形だが、この馬の良さであるギアチェンジ能力を見せた形。要所での動き出しやペースが上がらずに序盤のポジショニングセンスが問われるケースで脚を溜めてトップスピードを活かす形が合っている印象。安田記念も勝つには勝ったがペースはそこまでは早くなかったし、L3最速地点で早めに抜け出してリードを保って何とか凌いだという形。ポテンシャル型というよりは、小足を活かしてというタイプとみる方が良いだろう。実際そういうポテンシャル勝負になりやすい阪神1400mの阪神Cで好位から競馬して大惨敗を喫しているし、今年のマイラーズCの殿負け、安田記念の負けを見ても、ペースを上げて平均的な競馬に持ち込んで良さが出るタイプではなさそう。今年の毎日王冠では頑張っていたし、これまでの傾向から考えてもペースが上がりきりやすいマイルよりも、少しは緩みやすい1800m向きの馬であると考える。
今回は京都の1600m。まずギアチェンジ能力の高さが結構な割合を占めるこの馬にとって、それを相殺される京都の下り坂は歓迎材料ではない。それに、ポテンシャルもそこまで高いというわけではないので、京都の平均的な競馬になりやすい舞台というのも好ましくないだろう。好走するなら内でとにかく溜めてという形を取りたい。トップスピード自体はかなり高いが、持続力はそれほどでもなくL1で甘くなることが多いので、今回はなかなか難しい競馬を強いられるかもしれない。ペースに合せて脚を残す形で無理なく運んだ方が良いように感じるが。いずれにせよ難しい展開が予想される。出来れば脚を溜められる内枠が欲しいが。
前半は人気の中心になるであろう実力馬を中心に展望。後半は決して盤石とは言えない実力馬たちが作るレースの中心に風穴を開けることを期待したい穴馬候補を展望したい。
穴馬候補の筆頭にはまず3歳牝馬路線の中心の一頭だったアイムユアーズ。ここ最近ではクイーンSで古馬を撃破した内容が記憶に新しい。12.3 - 11.9 - 11.6 - 11.7 - 11.8のラップ推移で好位集団。3コーナーで外目、3列目から2列目、4角で更に先頭列に並びかけて直線。序盤で一気に先頭に躍り出ると、L1でもしっかり踏ん張ってラブフールの急追を凌ぎ切った。タフな馬場でハイペースのポテンシャル勝負となったフィリーズレビューでも、序盤から先行策で内ポケットを確保。直線で早めに先頭に立つと、後は内からロスなく進めてきたビウイッチアスや外からプレノタート、イチオクノホシらを問題とせずに完勝。高い基礎スピードを見せていて、同時にそこからすっと動き出せるギアチェンジ能力の高さを持っている。また、厳しいペースを追走しても最後までばてない高いポテンシャルと高いバランスで幅広い適性を示していて、ヴィルシーナ同様大きく崩れない理由はここにありそう。ハイペースのオークスは展開的に厳しかったので仕方ないとして、それ以外で唯一崩れている秋華賞は、11.6 - 11.4 - 11.3 - 11.5 - 12.4のラップ推移。結果的に大逃げとなったチェリーメドゥーサが刻んだラップなので分析は難しいが、仕掛け所が早くなったのは間違いないし、恐らくペースアップしたであろう3~4角で外目をまわされたこともあるだろう。トップスピードの持続力はそれほど無くて、平均的な競馬になって序盤の基礎スピードの高さを活かせる競馬の方が合っている印象。距離はこなせるが、本質的にはマイル前後に良さがあるはずだ。その点で1600mという舞台はこの馬にとっては歓迎材料になるだろう。桜花賞でも12.2 - 12.1 - 11.0 - 12.2のラップ推移で好位から直線最速地点で一番いい脚を使えていた。最後の坂で甘くなったし、札幌クイーンSの内容からもL1が落ち込みやすい阪神よりも平均的な競馬でなだれ込みが可能な京都の外回りの方が面白そうだ。相手は強敵だが、絶対的な存在はない。3歳牝馬のレベルの高さを考えれば、穴馬筆頭はこの馬だろう。
3歳牝馬に負けられない昨年の桜花賞馬、4歳牝馬のマルセリーナも鞍上にミルコ・デムーロを迎えて復権を誓う。前走の府中牝馬Sでは11.8 - 11.3 - 11.2 - 11.5のラップ推移で後方からしっかりと脚を使っての5着食い込み。馬群の中で直線を迎え、マイネイサベルの後方の進路を確保したが伸びきれなかった。休み明けも影響したし、叩き台としては悪くない内容だった。この馬は意外にもタフな競馬でそれなりの適性を見せていて、阪神Cでは11.4 - 11.4 - 11.9 - 11.8のラップで中団で追走、直線で上手く外目に持ち出すとそこからジリジリとばてずに伸びを見せた。グランプリボスやサンカルロには完敗のレベルではあったが、混合GIIの高い基礎スピードが問われるレースである程度追走してそこからもある程度は伸びたという点は評価。阪神牝馬Sではタフな馬場でタフな競馬、クィーンズバーンが逃げ残った形だが、何よりタフな馬場で前傾ラップ、11.5 - 11.4 - 11.6 - 12.5と厳しい流れで脚を使ってもばてずにむしろL1で差し込んできたポテンシャルの高さは魅力。相手もフミノイマージンや阪神1400巧者のスプリングサンダー、更に劣化していたとはいえアパパネらを完封している。ヴィクトリアマイルはややスローから11.8 - 11.5 - 11.2 - 11.5のラップ推移。最内から直線進路をしっかりホエールキャプチャの後方にとって上手く乗られたこともあるが、ある程度トップスピードの質勝負になっても対応しての3着。ポテンシャルもしっかり備えたうえで、トップスピードの質、持続力ともにある程度いいものを持っている。ただ、安田記念のように厳しいペースで終始大外を回された展開では厳しかったとはいえ大惨敗だし、ポテンシャル勝負のベストは1400なのかもしれない。トップスピードの質も持続力もある程度あるが、あくまで牝馬レベル。もちろん昨年のマイルCSを見ても十分戦えるだけのものは持っているが、上位に食い込むまでとなると何らかのプラスアルファは欲しいところだろう。それでも前走で良い負け方をし、今回は確実に人気の盲点になりそう。ヒモ穴としては面白い存在であることは間違いない。
大穴候補で若き獅子高倉稜とフラガラッハだ。もともと実力馬ではあったが煮え切らない競馬が続いていた馬。それでも阪神1400に適性があったように、基本的にはポテンシャルを出し切る競馬で勝ち切ってきた。それが今年に入ると、まず米子Sで最後方から12.1 - 11.4 - 10.4 - 11.8のラップでまとめて面倒を見る強い競馬。もちろんL1が11.8と落ち込んでいたが、ここよりも最速地点の10.4のところで押し上げている。かなりのトップスピードの高さを見せていて、L1でもこれまでの持ち味であるトップスピード持続力をしっかりと見せて捻じ伏せた。その後の中京記念でも最後方から12.1 - 11.7 - 11.4 - 12.9のラップ推移、タフな馬場でL1落ち込む展開だったがL2でジリジリ追い上げると、L1で各馬がばてる中で、ただ一頭ばてずにグンと伸びての完勝。ポテンシャルをしっかりと出し切って力を証明した形だった。この2戦を見る限り、序盤はそこまでペースが上がっていない中での差し切り勝ちということもあり、課題は序盤から厳しいペースになっての平均的な競馬になった時だろう。前が大きくはばてにくい京都外1600mの舞台だけに、良馬場で馬場しだいによってはやはり物理的に届かないというケースもありうる。序盤の追走力は皆無の馬なので、正直五分に戦うだけの力はあると思うが、展開次第の面は否めない。休み明けの富士Sがちょうどそういうような割と平均的な競馬になっていて、11.7 - 11.3 - 11.6 - 11.9のラップ推移、最速地点で大外をぶん回したにしても、最後は伸びなさすぎた。休み明けだし、ある程度内有利馬場でこの内容なので、見た目ほど悲観することはないだろうが。いずれにせよ今年の夏のパフォーマンスを重視すればここでは十分戦える馬。内外が上手く分かれやすい京都外も完全な追い込み一手の馬に取っては比較的乗りやすいコース。展開が嵌ればの条件付きだが、上位をまとめて打ち砕くだけのポテンシャルは不気味。
天皇賞でも割と好走、今年の京王杯SC勝ち馬サダムパテックも圏内。ある程度人気しそうな感じがするが、個人的にはこの位置づけ。同コースの京都金杯では11.9 - 12.0 - 11.5 - 11.8のラップ推移で大外から伸びあぐねた形。斤量差はあったがダノンシャークには完全に伸び負けして差されていたし、ショウリュウムーンやアスカトップレディにも完敗の内容では適性的になかなか強調できない競馬ともいえる。京王杯SCは東京1400の割には割と平均的だったとはいえ、脚を溜めてのトップスピード勝負に強い馬が上位に来たという点では例年と同じ傾向。安田記念の負け方からも基本的にペースが上がってポテンシャル勝負になると辛い印象だ。もともと2歳時に人気で挑んだ朝日杯FSでも12.0 - 11.7 - 11.6 - 12.0の平均的なポテンシャル勝負になって外をまわしたとはいえ伸びは平凡だったところからも、この馬の良さは序盤ゆったり運んで、トップスピードの質とある程度の持続力を使ってというところだろう。それに1600mという距離もこのクラスまで来ると短い印象。序盤に脚を使わないと良い位置は取れないし、脚を使うと今度は後半脚が残っていないというような感じ。1400mと距離は短くても序盤ペースが上がりにくく基礎スピードがそれほど必要なくトップスピードが問われる東京1400では善戦できているのもその辺の関係だろう。皐月賞の内容もタフな馬場で3F勝負で仕掛けが遅れても2番手には抜け出してこれたり、基本的には中距離馬だと思っている。今回京都マイルなので、やはり序盤いかに脚を使わないか。後はゆったり運んだうえで射程圏で競馬を進められるかどうか。展開に左右される部分が大きいと思われる。ただ、これも嵌れば上位に食い込めるだけの武器は持っている。それを今回の人気で積極的に買えるかどうかという点が馬券を買う側としての悩みだろう。ポテンシャルが高い馬ではないので平均ペース以上になるならうまく内を立ち回って競馬をしたいところ。武豊の真価が問われるレースだ。
妹は最強の三冠牝馬ジェンティルドンナ、姉もGIタイトルで巻き返したいドナウブルー。府中牝馬Sでは好位から直線ジリジリとは詰めての3着。1800mになったし、道中もかなりスローで折り合いに専心したこともあるが、11.8 - 11.3 - 11.2 - 11.5のラップ推移で緩やかなギアチェンジで後方の馬もトップスピードに乗りやすい展開でもあった。列もいつもより1列は後ろでの競馬になったし、マイネイサベルには完全にキレ負けしていた形。それでもL1ではジリジリ頑張っていて、決してばてていたわけではない。この馬はジェンティルドンナの姉という所からもわかりやすいが、本質的には基礎スピードが高いポテンシャルタイプ。それがヴィクトリアマイル、関屋記念、府中牝馬Sで力をつけてきて、ある程度ギアチェンジ能力、トップスピード勝負にも対応できるようになったとみるのが良いと思う。関屋記念でも11.7 - 11.1 - 10.4 - 11.3と高いレベルでギアチェンジとトップスピードを問われたが、府中牝馬Sと違って序盤もそこそこ早かったし、ポジションも2列前の番手。このポジションの差をできるだけ作りたいタイプなのは間違いない。平均的な競馬になった京都牝馬Sでは11.7 - 11.4 - 11.7 - 11.8のラップ推移で好位から速い地点で押し上げて先頭列に並びかけ、そのまましぶとさを活かして抜け出した形。ハンデ差2kgあったとはいえ、ショウリュウムーンやアスカトップレディを完封した内容を考えれば、普通にサダムパテックより上位のパフォーマンス。ポテンシャル勝負に適性が高い馬が、ここ数走である程度のトップスピード勝負に対応できるようになってきたことを考えれば、ここに入っても当然好勝負できる馬と認識すべきだろう。安田記念も厳しいペースを先行して崩れはしたが、展開を考えれば着順ほど悪くない。このメンバー相手でもある程度期待しても良いはずだ。
究極のポテンシャルタイプ、ダノンシャークが19番目の出走順。あと1頭回避馬が出ればというところだが、出てくればかなり面白い存在である。スワンSでは明らかに適性外だと思っていたのだが、中団から速い段階で押し上げていい位置をキープした分、直線ジリジリとではあったが押し上げてきわどい4着に入り込んだ。ただ、完璧に乗られてのものだし、これで4着ということからも、根本的にトップスピードの質で勝負するタイプではない。器用さが問われて良いタイプではないので、距離延長で平均的な競馬になりやすい京都外1600mは恐らくベストだろう。マイラーズCで少しタフな馬場の中、シルポートが逃げ残る前残りの展開を11.3 - 11.2 - 11.8 - 12.7のラップ推移でしぶとく伸びてきたことからも、脚を出し切って何ぼの馬。エプソムCでも同様にタフな展開の中で、前が早めに抜け出して粘って1,3着という流れで、後方の集団からただ1頭伸びてきたのがこの馬だった。11.9 - 11.4 - 11.6 - 12.6のラップ推移からもこの馬の適性を測るのは非常に容易だろう。強敵相手に休み明けで挑んだ毎日王冠でもタフな競馬で僅差の5着、前走スワンSでかなり厳しい展開でも4着。力は確実に通用するし、展開面でも京都マイルは大歓迎。後は、ただ1頭回避馬が出てくれればという点に尽きる。
今年のマイル重賞路線を引っ張ってきたコスモセンサーがまたもGIで人気薄の状態が予想される。安田記念では31秒台の競馬になる厳しいラップを番手の内ポケットとはいえ追走して直線でしぶとく抜け出しを図る競馬。もともとニューイヤーSでハイペースを楽に追走して直線で千切り捨てると言った競馬を見せているように、高い基礎スピードと、それを維持するポテンシャルの高さが秀でている馬。ガルボとの適性の関係で順位が良く入れ替わって分かりやすいように、基本的には時計勝負でこそ良さが出るタイプ。タフな馬場でハイペースのマイラーズCでも追走してリードを活かして粘りきる形を見せた。こういったリードを活かせる競馬をするのが良い。富士Sはハイペースを刻んで差された形だが、2番手馬とのリードはそれなりにあっても、後続が団子になっていたため、全体的にはリードが足りなかった形。自身は35.2でまとめているし、11.7 - 11.3 - 11.6 - 11.9と厳しいペースでL3最速戦を考えれば決して悲観する必要はない。今回は京都の外回り1600m。番手のポケット競馬がベストのこの馬に取っては、4角~直線でリードを作りやすい舞台というのは歓迎材料。基礎スピードも高く、シルポートが作るハイペースの展開も良い。単騎の2~3番手の形で後続とのリードをどこまで広げていけるかがポイント。展開的には恐らく一番競馬がしやすい馬だろう。安田3着の実績を絶対に侮らない方が良い。
コスモセンサーとセットで良いライバルのガルボ。ガルボはある程度の基礎スピードを持ってはいるが、ポテンシャル面でコスモセンサーには見劣る。前傾ラップになると、ニューイヤーSや安田記念で先着を許し、ある程度緩んだ東京新聞杯、キャピタルSでは先着している。平均ペースが苦手というわけではないが、単純にコスモセンサーとの比較になると、多少緩んでトップスピード勝負にシフトした方が近走は結果が出ている。東京新聞杯では11.7 - 11.1 - 11.3 - 11.8とスローからL3最速でコスモが抜け出したところを追走。L1のバテでようやく捕えているように、ギアチェンジ能力が少し足りないところもあるので、京都の下り坂は良さそうで、ポテンシャルもコスモセンサーほどではないが安田記念を見ても一定以上のものは持っている。ただ、上位相手になるとやはり少し見劣るのは否めないので、この馬の武器である、ある程度のポジショニング能力を活かせる内枠は是非とも欲しいところ。外から正攻法で好走できるほどの武器は持ち合わせていないので。
最後に昨年の覇者エイシンアポロン。昨年はヤヤオモ表記だが実際は重に近いぐらい時計が掛かっていた状態。11.9 - 11.8 - 11.6 - 11.9のラップ推移でペースも大きく上がらず、追走が楽だった部分が大きいだろう。パンパンの良馬場マイルで追走できるほど基礎スピードが高い馬ではなく、もともと1800~2000で高いパフォーマンスを示していたように、基本的には中距離馬だと思っているし、その中でもギアチェンジやトップスピードを活かすタイプの馬なのは一昨年の毎日王冠で見せた瞬発力からも明らか。それだけに、マイル戦なら当然できるだけ脚を温存したいのだが、トップスピード自体も持続力がそこまでない馬。タフな馬場でパワーが問われれば序盤から楽にポジションを取れる馬だし、昨年同様雨が降ってくれることを祈るしかないだろう。無理せず楽にポジションを取れればしぶとく脚を使えるのは昨年で証明済み。近走は追走に脚を使わされたりパンパンの良馬場でスピード負けしたりという競馬で完全に崩れている印象。エイシンのフラッシュは復活を果たしたが、果たしてアポロンの方はどうか。前走はスローで追走が楽だったにもかかわらず、全く見せ場がなかった点はかなり不満だが。
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