高松宮記念2024予想
鉄は熱いうちに打て

夏影
14期 予想歴41年

◎ルガル
  10着/1人気

○ビクターザウィナー3着/5人
▲シャンパンカラー17着/14人
△マッドクール1着/6人
×トウシンマカオ
×ウインカーネリアン


 近年の勝馬は、重賞初勝利から大抵の勝馬は13か月以内の馬である。
 例外なのは、昨年の勝馬ファストフォースとダノンスマッシュくらいだろう。

 基本スプリント向きの性格のキツい馬はほど良いテンションを維持し続ける事が難しい。一度気持ちが切れると立ち直れずに終わる、あるいはテンションが上り過ぎて暴走癖がついて終わるパターンもある。

 ファストフォースは、もともと闘志の高さを生かした逃げで活躍したが、すぐさまスランプに陥る。一般的なスプリンターならここで終わるのだが、「性格的に別馬」になって蘇った(笑)。差す競馬を覚え、集中力を生かす走りで復活を遂げたという、極めて稀な実例である。
 ダノンスマッシュは、血統的影響が大きい。母母父クリスエスの気の良さが、切れにくい精神構造を作り上げたのだろう。ナムラクレアは2歳の夏から今日まで、非常に長い活躍を見せているが、これもひとえに母母父クリスエスの血の成せる業である。

 下記は、近年の勝馬とその重賞初勝利の日、及び高松宮記念勝利の日を比較したものである(外国馬は除く)。先に述べた通り、勝馬は重賞初勝利から13か月以内がほとんどである。初重賞勝ちから時間が経っていない馬、もしくは重賞未勝利馬を狙って面白そうだ。

ファストフォース  2021.07.04→2023.03.26
ナランフレグ    2022.03.27※
ダノンスマッシュ  2018.11.25→2021.3.28
モズスーパーフレア 2019.03.02→2020.03.29
ミスターメロディー 2018.03.17→2019.03.24
ファインニードル  2017.09.10→2018.03.25
セイウンコウセイ  2017.03.26※
ビッグアーサー   2016.03.27※
コパノリチャード  2013.02.23→2014.03.30

※印は高松宮記念で重賞初勝利。

 非主流色の強いレースで、鮮度が問われないものだと思いきや、調べてみたら実はそんな事はなかった。
 リピーター好走馬が多いのがダートだったり、スプリントだったりするのだが、それでもやはり勝ち切るのは鮮度が高い馬だったという話に繋がりそうだ。
 振り返ってみれば、過去18回の開催で連覇を果たしたのはキンシャサノキセキただ1頭だったりする。

 血統面では、先行して押し切るなら非アメリカ色が強い馬、アメリカ色が強い馬なら差し馬か、「先行→差し、ちょい差し」といった体力補完が期待出来る馬でないと厳しい。ホームストレッチが長くヨーロッパ的なコースである為、純粋な体力勝負は分が悪い。2021年の勝馬ダノンスマッシュは4角9番手。2020年2着ロータスランドは8番手。2020年のモズスーパーフレアは逃げ切ったが、2着グランアレグリアは差し。ミスターメロディは好位差し、いつも以上に位置取りを下げていた。ママコチャは、北九州記念時くらいの位置取りで挑みたいところだ。ストームキャット系の血の活躍は目立つが、ヴァイスリージェント系の血の保有馬の活躍はカレンチャンとミスターメロディくらいであまり目立たない、ママコチャ陣営にはちょっと心細いデータだ。

 現在の中京競馬場の馬場状態は重、今後追加の降雨がありそうで更なる悪化も。5年連続の道悪開催は避けられないようだ。オセアニア産のビクターザウイナー、前走ダートを使ったシャンパンカラーには物理的な恩恵が付加されそう。

◎ルガル

(血統)
父ドゥラメンテ
母父ニューアプローチ

(オプション)
多頭数内枠、「G3→G1」格上げ、「差し→先行→差し」バウンド位置取りショック、生涯初G1、前走圧勝。

 臨戦過程申し分なく、オプション充実。
 格上げステップとなった葵Sで、インからモズメイメイに迫った内容。逆に格下げステップとなった朱鷺Sでパフォーマンスを落とした内容から、集中力の高さを感じる。おそらく、今回も更にパフォーマンスを上げて来ると考える。前走の圧勝振りからも、高揚感がひしひしと伝わる。オッズ的には微妙な1番人気だが、逆らわない方が良いだろう。
 圧勝後でストレス無く、初G1で高いモチベーションを維持している状態。ステップ完璧で正直重箱の隅をつつく事すら困難な状況だ。

 前走は、「ドゥラメンテ産駒」という話だけでレース適性を疑問視。切り捨てて、痛いしっぺ返しを食らった。
 その反省を踏まえて、今回は5代までしっかり血統を見てみる。そうしていたならば、この馬のスプリント適性にも納得がいったかも知れない。
 牝系は、名牝ミエスクに通ずる名門。母母父はこのレースと相性の良いストームキャット。さらに母父ニューアプローチは、このレースの勝馬シンコウフォレストの半弟。プラス、ミエスク4✕4クロスで、パワーとスピード面をさり気なく強調している。ミエスクは、キングマンボの母であり、キングマンボ系に大きな影響を与えている。ファストフォースやダノンスマッシュはキングマンボ系のロードカナロア産駒、2016年のビッグアーサーの母父もキングマンボ、2018年の2着馬レッツゴードンキの父父もキングマンボ。実は、意外と高松宮記念に縁のある血統背景を持っていた。

 重賞初勝利からまだ2か月。明らかに、勢いのあるタイミング。「鉄は熱いうちに打て」である。

◎ビクターザウィナー

(血統)
父トロナド
母父ケープクロス

(オプション)
海外初出走

 昨年暮れの香港スプリントは、上位5頭がオセアニア産香港調教馬だった。イギリスからはスプリントG14勝のハイフィールドプリンセス、日本からはスプリンターズS2着のマッドクールが参戦。しかしながら、その両頭ともが酷い返り討ちに会ってしまった。
 オセアニアは世界トップレベルのスプリンター生産国であり、香港はオセアニア産の馬を名スプリンターに育て上げ、多数送り出している国である。「オセアニア産+香港調教」はスプリント界では最強タッグと言っても過言ではない。2015年のエアロヴェロシティもこの最強タッグによる勝利だ。
 そんな最強タッグが今回送り込んだ刺客が、ビクターザウイナーである。香港スプリントでは4着だったが、香港国外の馬がこの馬に先着する事すら出来なかった事もまた事実である。
 更にもう一つ話を付け加えると、唯一連覇を果たしたキンシャサノキセキもオセアニア産である。

 この馬の前走の映像を見たが、びっくりするほどのロケットスタートを切っており、その事が印象に強く残った。馬格はそれほどでもないが、かなりのパワーの持ち主だ。

 前走が初G1勝ちと勢いあるし、国外遠征初と鮮度も高い状態。G1連勝も十分あると考える。

 オセアニア産馬であり、プラスこの馬の特有のキツさのある心身構造して、おそらく道悪は鬼レベル。本命は2頭同評価としておく。

▲シャンパンカラー

(血統)
父ドゥラメンテ
母父レックレスアバンダン

(オプション)
「ダート→芝」、「1600→1200㍍」距離短縮、生涯初スプリント。

 惨敗続きも、安田記念はNHKマイルC接戦後のストレスと疲労を抱えた状態。
 フェブラリーSの前半3ハロン33.9は、ここ20年でも最速ラップ。出遅れ気味のスタートからすぐさま好位に取り付いて脚を使った挙げ句、道中馬群で砂を被り続けていた。初ダートの洗礼を直後だけに、今回は「苦→楽」ステップ。着順は最下位だったが、道中は前向きさが窺える内容で評価できる。最後は競馬を投げた形で、疲労の心配ない。かつては、キングヘイローが劇的な変わり身を見せたステップでもある。

 NHKマイルC好走歴のある馬は、意外と同レースとの相性が良い。ホームストレッチの長い左回りコースでの死闘で、激しい叩き合いを演じた経験や、マイルを走り切れる底力は、スプリントG1でも生きるという事だ。中にはミッキーアイルやキンシャサノキセキといったリピーターの存在もあり、シャンパンカラーにとっては非常に心強いデータとなっている。
 NHKマイルCで問われている要素が、このレースでも有利に働いているという事だ。

2021年2着馬 レシステンシア   マイルC2着
2016年2着馬 ミッキーアイル   マイルC1着
2016年3着馬 アルビアーノ    マイルC2着
2015年3着馬 ミッキーアイル   マイルC1着
2011年1着馬 キンシャサノキセキ マイルC3着
2010年1着馬 キンシャサノキセキ マイルC3着
2009年1着馬 ローレルゲレイロ  マイルC2着
2008年1着馬 ファイングレイン  マイルC2着
2008年2着馬 キンシャサノキセキ マイルC3着
2006年2着馬 ラインクラフト   マイルC1着

 血統面では、ルガルに負けず劣らず優秀なスプリント要素がてんこ盛りで、母父父エクスチェンジレートはダンチヒ、シーキングザゴールドの血を持ち、母母父はこのレースと相性の良いストームキャット系。私個人的としては、母母母に入っているダンテ→デリングドゥの血も魅力に感じる。母父母側にも微量存在しており、母側の血はさり気なくクロスでデリングドゥを強調している。デリングドゥはマイナーながら日本の競馬で実績を残した血で、その産駒であるハンターコムから皐月賞馬ダイナコスモス→更にその産駒のトロットサンダーと活躍産駒が続いた。ダイナコスモスは、他にダートで活躍したホウエイコスモスを輩出。パワーのある産駒もスピードのある産駒も輩出している。

 せっかくの距離短縮。体力補完をしっかり生かしたいし、前走見せた前向きさは終いの脚として生かしたい。今回は、位置取りを下げて挑んで欲しい。

 馬場が悪化し、ダートでのハイペース経験はプラスに働くはず。

△マッドクール

(血統)
父ダークエンジェル
母父インディアンリッジ

(オプション)
海外帰り

 基本は前向きさと体力に依存した走りを見せるタイプ。

 知立Sのテン3Fは33.4、シルクロードSでは33.8とペースが落ちたが、その分「3角5番手→逃げ」と位置取りを上げる事により、前向きさを煽る形で頑張れた。
 春雷Sは、33.6のペース激化で勝ったが、続くCBC賞は33.7と微妙にペースダウンし、且つ鞍上が変な色気を出して前走より位置取りを下げた結果、9着と人気を裏切る。相手の強弱とは関係無しに、とにかく「一生懸命に走らせる」事が重要で、逆に楽をさせるとへそを曲げるタイプでもある。全開で走らせて何ぼの馬なので、当然体力ストックは重要な要素。凡走した香港スプリントは、馬体の10kg馬体減で体力が大幅に落ちていたタイミングだった。
 中間の馬体重を見る限り馬体は戻っており、しっかり体力充填が出来ていると判断したい、巻き返しに期待。
 心身構造から、道悪はプラス。

▽ママコチャ

(血統)
父クロフネ
母父キングカメハメハ

(オプション)
「1200→1400→1200㍍」バウンド距離短縮、「先行→差し」位置取りショック。

 アメリカ色が強く、ロータスランド同様血統的には異端の存在。
 スプリンターズSは中山ゆえこの馬の前向きさが十分生かされたが、今回は直線の長い中京。アメリカ競馬は直線の短いコースで前向きさを生かす事が基本。逆に言うと直線の長いコースで長時間叩き合う競馬は体力的な不利が伴う。今回は。しっかり差す競馬で。

✕トウシンマカオ

 朝日杯FS6着、NHKマイルC8着、2023年高松宮記念15着、スワンS9着…G1&G2「0,1,0,4」、G3「3,0,2,3」と、明らかに力量的な壁あり。G2の2着は2歳時のもの。完成度に物を言わせての好走であり、それでも勝ち切れず。古馬になってからはG3までの馬だ。

✕ウインカーネリアン

 重賞レベルでの格上げ、格下げに対するリアクションは明らか。

未勝利   1着 → 新潟2歳S  7着 格上げゴケ
新潟2歳S 7着 → 芙蓉S    2着 格下げ激走
弥生賞   8着 → 1勝クラス  1着 格下げ激走
1勝クラス 1着 → 皐月賞    4着 格上げゴケ
関谷記念  1着 → マイルCS  12着 格上げゴケ
マイルCS 12着 → 東京新聞杯  1着 格下げ激走
東京新聞杯 1着 → ゴドルフィン 6着 格上げゴケ
BCマイル 11着 → 東京新聞杯  2着 格下げ激走

 相手強化で頑張ろうとはせず、相手弱化で張り切るタイプ。今回は明らかな相手強化。初のスプリントに加え、テイエムスパーダ、ビクターザウイナーなど強力な同型の存在あり、明らかに「楽→苦」ステップ。
 皐月賞は若さゆえに4着と頑張れたが、馬だけに限らず、生き物のほとんどは歳を取ると気力が衰えてくる。この馬の充実期は2022の夏だった。それから1年半を経ており、いくら初距離で鮮度か与えられようとも…

他馬の評価

✕ビッグシーザー  位置取りショック後。前走は位置取りショックを用いても勝ち切れなかった訳で。
…ナムラクレア   前走位置取り下げ過ぎ。前向きさ引き出せないし、体力保管要素もなく。
✕ソーダズリング  加速力に難のあるハーツクライ産駒。1200㍍の重賞実績は、ツルマルレオンの北九州記念くらいで。基本的に1400㍍でギリギリ。
…メイケイエール  お疲れ様でした。
…ロータスランド  近走前向きさをみせておらず。
✕ディヴィーナ   馬体が小さくパワーに難あり。
…ウインマーベル  接戦後で。外枠?

単勝
10、9

ワイド
6流し→10、9、2


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