マイルCS2024予想
「サンデー」、「欧州」、「スピード」、「前向きさ」の4要素

夏影
14期 予想歴41年

◎フィアスプライド
  9着/11人気

○ニホンピロキーフ8着/16人
▲ナミュール17着/2人
×チャリン


 先月後半あたりは差しかバンバン決まるイメージがあったが、今月に入って様相が変わって来ている。
 現在Bコースを使用しているが、ペースはそれなりに流れても、意外と前が残る印象だ。
 血統的傾向としては、ヨーロッパ寄りではあるが、決してヨーロッパ一色でないところがミソで、微妙なアメリカ色で前向きさを与えたタイプが合っている。ヨーロッパ一色であっても、前向きさを補う為にスプリント色の味付けのされたタイプも面白い。「サンデー+ヨーロッパ寄り+スピード+前向きさ」のバランスがベストだろう。

 この傾向は何も、今シーズンのBコースに限った事ではない。
 昨年こそ差し競馬で決まったが、近年の京都開催マイルCSも同じような傾向にある。

 そもそも、この現象はごく自然のものである。現代の馬場管理ではシャタリングやらエアレーションを施す。路盤が柔らかくし、根が健やかに成長しビッシリと張り詰めた状態する事を目的としている。シャタリングが成功すると、根がびっしりと張り詰め、それがバネの役割りを果たす。その状態が「高速差し馬場」の状態である。シャタリングに失敗し根の成長が悪いと、路盤だけが柔らかくなり、開幕から「時計の掛かる馬場」となる。
 この両者は開催が進むと、路盤が踏み固められていき、やがて前が残りやすくなる。
 …これが、馬場の考えの基本である。
 たまに、含水率でクッション度合いを語る専門家がいるが、正直なところ、水分とクッション性との関係は小さい。土のやわらかさはむしろ、土中に含まれる「空気の量」よるところが大きい。園芸をやっている人間なら、基本中の基本の知識である。
 水分増やして土が柔らかくなるのであれば、わざわざ畑を耕す必要などない。水をぶち撒きさえすればいいのである(笑)。

 話は逸れたが、馬場の内側の伸びがかなり荒れていそうなので、馬場の良い部分を選べる中枠から外目の枠を引いた先行馬に注目したい。

11/3 12R 平場1勝クラス 1600㍍ 15頭

・ビップジーニー   14番人気 2→2
 父サトノアラジン 「サンデー」
 父母父ストームキャット 「スピード」+「アメリカ的前向きさ」
 母父シンダー 「ヨーロッパ色」
 母母父ザミンストレル 「アメリカ的前向きさ」
…全体的に欧米のバランスが取れたタイプ

・オーシャントライブ 6番人気 14→14
 父ルーラーシップ 「ヨーロッパ色」
 母父フジキセキ 「サンデー」+「アメリカ的前向きさ」+「スピード」
…全体的にヨーロッパ寄り

・アイキャンドゥイッ 12番人気 8→8
 父ディープインパクト 「サンデー」+「ヨーロッパ色」
 母父シャマルダル 「スピード」+「アメリカ的前向きさ」
…全体的にヨーロッパ寄り

11/10 12R ドンカスターC 1400㍍ 14頭

・フルメタルボディー 8番人気 2→2
 父マインドユアビスケッツ 「アメリカ的前向きさ」
 母父ダンスインザダーク 「サンデー」+「ヨーロッパ色」
 母母父ザフォニック 「ヨーロッパ色」+「スピード」
…全体的に欧米のバランスが取れたタイプ

・テラステラ     3番人気 5→6
 父モーリス 「ヨーロッパ色」+「スプリント的前向きさ」
 母父スペシャルウィーク 「サンデー」
 母母ザフォニック 「ヨーロッパ色」+「スピード」
…全体的にヨーロッパ寄り

近年の京都開催での勝馬。

2023年
ナミュール     5番人気 14→15
父ハービンジャー     「ヨーロッパ色」
母ダイワメジャー     「サンデー」、「アメリカ的前向きさ」+「スピード型」
…全体的に欧米のバランスが取れたタイプ

2019年
インディチャンプ  3番人気 4→5
父ステイゴールド     「サンデー」、「ヨーロッパ色」
母父キングカメハメハ   「ヨーロッパ色」
母母トキオリアリティー  「アメリカ的前向きさ」、「スピード型」
…全体的にヨーロッパ寄り

2018年
ステルヴィオ    5番人気 4→5
父ロードカナロア     「スピード型」
母父ファルブラヴ     「ヨーロッパ色」
母母アズサユミ      「サンデー」
…全体的にヨーロッパ寄り

2017年
ペルシアンナイト  4番人気 15→13
父ハービンジャー 「ヨーロッパ色」
母父サンデーサイレンス 「サンデー」
…全体的にヨーロッパ寄り

2016年
ミッキーアイル   3番人気 1→1
父ディープインパクト   「サンデー」
母父ロックオブジブラルタル「スピード」+「スプリント的前向きさ」
…全体的にヨーロッパ寄り

 注目すべき部分は、ハービンジャー、ステイゴールド、ディープインパクトといった中長距離種牡馬の産駒が活躍している事。特にナミュールやステルヴィオはクラッシック路線を歩んでいた馬だった。
 おそらく、中長距離的な体力や底力が問われているのだろうと考える。それ故に「欧州」という要素が問われているのだろう。

 非サンデー系は、近年馬券に絡んでいない。特に2023年シュネルマイスターや2018年のモズアスコットに関しては実力と鞍上の双方が評価されての1番人気だったが、結果は悲惨。2015年アルビアーノ以外、掲示板に馬番を載せる事すらままならない。
 いかに、サンデー血統向きのレースであるかが理解出来る。

2023年
シュネルマイスター 16→15 7着ルメ
ダノンスコーピオン 6→5 13着

2019年
タイムトリップ   17→16 12着
フィアーノロマーノ 2→2 13着
モズアスコット   8→7 14着

2018年
ヒーズインラブ   12→12 8着
モズアスコット   12→12 13着ルメ

2017年
クルーガー     12→13 7着
マルターズアポジー 1→1 15着

2015年
アルビアーノ    5→4 5着
ケイアイエレガント 3→4 16着


 そんな訳で、穴馬として注目しているのはこの馬。

☆ニホンピロキーフ

(血統)
父キタサンブラック
母父スウェプトオーヴァーボード

(オプション)
「リステッド→G1」格上げ「1600→1800→1600㍍」バウンド距離短縮、多頭数内枠、生涯初G1。

父キタサンブラック    「サンデー+ヨーロッパ色」
父母父サクラバクシンオー 「スピード」+「スプリント的前向きさ」
母父スウェプトオーヴァーボード 「アメリカ的前向きさ」
…全体的に欧米のバランスが取れたタイプ

 中長距離種牡馬のキタサンブラック自信、実は既に「サンデー」+「欧州」+「スピード」の3要素を持っており、今後マイルCS御用達血統になるのでは?…と考えたりもする。
 同馬はニホンピロ血統であり、母母母はニホンピロの最高傑作と言われる「ニホンピロウイナー」産駒、ニホンピロウイナーは同レースの初代チャンピオンで、第1回、第2回と連覇を果たした歴史的名馬。種牡馬としても、ヤマニンゼファーやフラワーパークといったスピード路線でのG1馬を輩出し、その影響力は強い。母ニホンピロアンバーもフィリーズレビュー2着馬で、スピード路線で活躍した馬である。

 もう一つ注目すべきはレース履歴。初勝利は8→11頭立てとメンバーが増え、広い中京→小回り小倉、8kg馬体減というステップ。他の勝鞍を見ても、多頭数競馬や馬体減でのタイミングでの勝鞍が多く、この馬の精神力の高さを物語っている。
 極めつけはマイラーズC。「2000㍍スロー→1600㍍ハイ」というギャップの大きなペース激化、「3勝→G2」の大幅なメンバー強化、「14頭→17頭」という頭数増加。レースの流れや攻防が劇的に厳しくなるステップで3着と頑張った。逆に次の鳴尾記念は、「距離延長」、「メンバー弱化」、「頭数減」という気が緩むステップで競馬を投げている。
 つまりが、「気が張り詰める」環境で頑張り、「気が抜けると走らない」タイプ、一言で言うなら集中力依存タイプだという事。
 マイラーズCは、慣れないギャップに戸惑った部分もあっただろう。今回は、その経験がプラスになるはずだ。
 鞍上がアンチャンなのが気掛かりだが、先週のデイリー杯では、あと一歩いうところまで来ている。

☆フィアスプライド

(血統)
父ディープインパクト
母父キングマンボ

(オプション)
多頭数、「G2→G1」格上げ、「1600→1800→1600㍍」バウンド距離短縮

 ヴィクトリアマイル2着馬でありながら、前売り13番人気とフロック視されている模様。
 ヴィクトリアマイルは、「メンバー強化+ペース激化」の中での「捲り→先行」という逆位置取りショックでの激走な訳で、実は非常に強い内容だった。しかも、掲示板に載った他の4頭は全て差し馬。つまりが差し有利の競馬を先行して2着に粘った訳である。
 そんな大変な競馬すれば、当然反動は出る。そんな中、安田記念は0.5秒差の7着で、これはこれで基礎能力の高さを窺い知る事が出来る。前走の府中牝馬Sは完全なキレ負けで、能力で負けた訳ではない。馬場は今回の方が向く訳で、あっさり逆転があって良い。

 血統的には、母はイギリス産も母母は完全にアメリカ色。
 欧米のバランスが取れた…というよりは、日本主流の王道を行く血統だろう。

✕チャリン

 ヨーロッパ最強マイラーが、鳴り物入りで参戦。

 しかし、非サンデー系の悲惨な末路は先に述べた通りだ。
シュネルマイスターにしても、モズアスコットにしても日本で調教された馬であり、日本の競馬に馴染んだ挙句、日本のG1を勝利。そんな馬でさえ悲惨な末路を辿った。
 外国で調教された馬が、それ以上の結果を残すとは到底思えず。


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