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実に鮮やかな平均ラップと言えますね。ほとんど緩まず、速い脚を要求されることもない、
実に淡々としたレースだったことが分かります。レースラップと時計比較では単純には
言い切れないとも思いますが、前のレース準OPのアドマイヤメジャー芝2000と比べて、
GⅠとしてはやや不満な時計だったかなと。もっとも、アドマイヤメジャーが実は
GⅠ級の馬であると言う可能性は否定できないし、現時点では何とも。
1着ナカヤマフェスタは中団からの競馬。3~4角でアクシオンのちょうど後方、やや外目を
押し上げていく。ここでの反応はそれほどでもなく、アクシオンをぎりぎり追走できて直線へ。
直線入り口で既に脚色が良く、ドリームジャーニーとともに外から強襲かと思ったが、
ドリームジャーニーは4角で脚を使ってばててしまったのか、ナカヤマの方が圧倒的に
伸びてきた。内で出し抜いたブエナビスタ・アーネストリーを半馬身差し切っての快勝。
3~4角でもロスはそれなりにあったと思うし、うまく立ち回ったブエナビスタを差し切る
なんて芸当は力がなければできない。もともとセントライト記念で6F戦の超ロンスパ戦を
差し切っているわけで、力があったのは間違いなかろう。この条件ではフロックではない。
もちろん速い脚を全く要求されない展開で、この馬の適性がもろに活きた形になったので、
やはり秋GⅠでも秋天・JCへの適性となると正直微妙だと思う。凱旋門賞出走は間違ってない
選択じゃないかな。通用するかどうかは別にして。あと、時計面からはやはり平凡の域を
脱していないので、
2着ブエナビスタは割と押してきっちり先行策。2角でうまく内ポケットを確保でき、向こう正面でも
しっかり折り合ってレースを進める。3角で馬群が凝縮したところで前にスペースが作ってあり、
このスペースを活かして3~4角で最内を巧くじんわり押し上げていく。直線でも楽に内に進路を
切り開き、アーネストリーを目標にすることが出来た。だが、そこからはいつもの伸びを感じず、
逆に中団で控えていたナカヤマフェスタにまさかの強襲を受けてしまい半馬身差の2着に屈した。
個人的な感想としては、宝塚記念に限っては、特に道悪ということもあったし中団からの競馬に
戻してほしかったかな、と感じた。ブエナビスタの本領は切れでは無く圧倒的な末脚持続力で、
VMの時もそうだが、やはり追走に脚を使わされると終いの伸びに欠けるケースが多い。
シーマクラシックでは結果的に後方すぎたがありえないほどの末脚で2着まで食い込んできているし、
多少後ろからでも届く実力勝負の舞台に限っては後方からの方が持ち味を活かせたのではと思う。
タフな馬場でロスなく立ち回ったとはいえ、やはりこのペースを先行してきっちり2着に来ている
あたり、現役最強牝馬であることは間違いない。
3着アーネストリーは好スタートからナムラクレセントが押してハナに立つとこれを目標に2番手。
序盤は終始単騎2番手。3角でも手ごたえ十分にすっと押し上げてプレッシャーをかけ、4角先頭に
並びかけ直線。ここからが実にしぶとい。巧く立ち回ったブエナビスタが内を突くもこれに抵抗。
残り200を切ってもまだ分からないと言うほどの競馬をしたが、外から一気にナカヤマフェスタに
交わされると終戦。それでもこの展開で目標になりながら最後までしぶとい競馬を貫いたと言う点には
正直脱帽です。この馬はずっと追いかけてきた馬なんだけど、正直軽い馬場でこその馬で、タフな
競馬での実績が足りない馬だった。それをここで挑戦者では無く本当に受けて立つような強い競馬を
見せての0.2差3着。これならGⅠを十分に意識できるどころか、秋競馬の主役に一気に躍り出る程の
勢いを感じましたね。ベストは高速馬場でスピードを問われつつラストの速さも問われるケース
だとは思いますが、こういう競馬で結果を残したと言う点は評価すべきですね。
4着ドリームジャーニーも中団からの競馬。3角手前でナカヤマのちょうど後方につける。3角途中
からナカヤマの更に外をまわして一気に加速。しかし去年ほどの切れを感じず、4角~直線でも
前との差を縮められない。直線半ばでは逆にナカヤマに突き離されてしまい伸び脚を欠いた。
それでも意地で最後までばてずにじわじわと追い詰めてきたが馬券圏内に半馬身届かない4着。
敗因はやはり前後半で大きなラップの変動がない、いわゆる追走に脚を使わされたということ。
それと、3角で誰も積極的に動かなかったので、結果的に最後まで脚を使わず4角でまとめて
押し上げたいドリジャと、4角で皆外から押し上げたと言う展開がマッチしなかったというのも
あると思います。有馬のように3角ぐらいから出入りの激しい競馬になっていれば、4角でロスなく
すっと押し上げることが出来たと思いますし、そういう意味ではやはり展開に左右されないと
勝ち負けまでは厳しいということでしょう。
5着ネヴァブションは割と押していくがついていけない感じで中団の内。結果的にブエナの後方と言う
ベストポジションを確保できた。3角過ぎでブエナが押し上げるとやや遅れてから押し上げていき、
結構手ごたえ良く内内を通り直線。ただ、やはりここからの伸びが足りなかった。残り200からは
しぶとく食らいついていて、前の馬との差は縮めているので、しぶとさはやはり見せつけた形に。
かなりベストに近い競馬だったので、これで5着だとGⅠ戦線では厳しいのかなと。やはり中山
以外だと足りないと思いますね。
6着メイショウベルーガはやや押し気味だが後方からの競馬。3~4角では中目で鞭を飛ばしながら
激しく推されるもポジションは下げてしまう。4角~直線で遠心力をうまくスマートギアにぶつける
ことで相殺し、そこからはしぶとく伸びてくる。がドリジャやナカヤマの決め手には遠く及ばず。
タフな競馬で展開自体は向いたと思ったが、やはりエンジンが掛るまでに時間がかかり過ぎるのが
この馬の悪いところと言うか、3~4角でポジションを下げてしまうのがねえ。そういう意味では
3角からの下り坂で加速できる京都外周りがベストでしょうね。
7着スマートギアは最後方からの競馬。終始この位置から3~4角で出来るだけ内を立ち回って
押し上げた後に直線手前ですっと大外に持ちだす競馬。メイショウ同様展開自体は向いたのだけど、
メイショウよりも伸び脚が悪かった。う~ん、残念。4角はぶつけられたとはいえそこまで
大きな影響はなさそうだったし、タフな馬場は駄目なのかもしれない。軽い馬場での時計勝負が
良いのかな。次はそういう条件になりそうなレースを使ったときに狙ってみたいです。
単100倍は流石にと思ったけど、ナカヤマと比較してナカヤマの方が確かに買える材料は
揃ってました。反省です。
8着ジャガーメイルは中団からの競馬。向こう正面でちょうど馬群の中に。4角で少しずつ
ポジションを下げて直線へ。直線半ばまではそこまで悪くない脚だったが、残り200で失速し
外からの差し馬に差されての8着となった。追走に脚を使わされた上にタフな馬場状態が
もろに影響した感じですね。特に大きなロスの無い競馬でしたし、こういう舞台では。
10着フォゲッタブルは後方からの競馬。向こう正面で外を押し上げて3角へ。3角で大外を
まわす羽目になり、4角で手ごたえが怪しくなってドリジャに捲られる。直線でドリジャに
内に切りこまれ、進路が狭くなって騎手が体勢をやや崩して終了。まあ展開的にあそこで
押し上げるとしんどい競馬だったし、前半のポジションもそんなに良くは無かった。でも
4角で手ごたえ悪く、正直力負けが多分にありますね。
13着ロジユニヴァースは外目の3番手。3角でも馬なりで良い手ごたえだったが、いざ
勝負どころになって押されても全く反応せず伸びなかった。馬場も展開もスピードを問われない
持久力勝負の舞台だったのは間違いなく、ロジの十八番だった。にもかかわらず、この失速は
正直残念。体調が戻り切っていないのか、燃え尽きたのか分からないが…。しばらく静観ですね。
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06/30 23:32 回顧アクセス:3426 |