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【最終結論】
◎ニホンピロアワーズはダートでも決め手を活かすタイプの馬。その上で、ある程度のスピードも持っていて、ベスト距離は1900以上でペース自体が落ち着きやすい舞台が良いと思われる。前走でも12.1 - 12.2 - 12.1 - 13.0とL1落ち込む競馬の中で、最速地点のコーナーで一気に押し上げているように、トップスピードへの切り替えの早さと、そこからの切れ味が非凡。名古屋大賞典のレース内容を見直しても強烈。一鞭で反応して突き放しちゃう凄いパフォーマンス。やっぱり緩んで切れ味勝負になった方が良さが活かせる。また1800mのタフな平均ペースで崩れるというようなタイプでもなかったわけで、この距離に伸びればまず期待通りのパフォーマンスを見せてくれると思っている。
〇アイファーソングは前走の厳しいロンスパ戦でもしっかり粘れていた点を評価。強敵相手にしっかりと自分の競馬を貫いて時計勝負に持ち込んで2着なら重賞でも通用する目途を立てたと言って良い。桜島特別では緩めて12.9 - 12.0 - 12.1 - 11.8 - 11.8の流れで突き放す完勝を見せているように、1900の切れ味勝負にも対応できる競馬。前々走は道悪でスピード不足といった感じだしペース自体も厳しかった。この距離で緩めて良さがある逃げ馬は怖い。
△デスペラードも緩んだ時に無理なく脚を使って押し上げられそうという京都1900mの適性抜群の馬。ここ2走は3角で加速できずにポジションが絶望的だった。その点でも2角過ぎに緩めやすく、3角の上り坂でペースが上がりにくい、3角の下りでペースを上げやすい京都の舞台は良さそう。団子になれば良さが出る馬で。
【展望】
去年は中京競馬場が改修のために京都1900mで行われたわけだが、今年は正式に京都1900mで行われることになった。1800mと違って少し緩みやすいコースではあるものの、最近各騎手が1900mのペース配分に慣れてきたせいか、極端な前残りはあまり感じなくなってきている。ただ、1800mよりは割と終いのキレを問われやすいコースということは変わっていないようだ。ここはアンタレスSを連覇した重賞3勝馬を中心に、GIでも勝ち負けでレースを賑わすダート界の名優、ブリリアントSで圧勝の勢いに乗る馬、名古屋の交流重賞で2勝してきた実力馬、芝路線から再びダート路線に戻ってきた馬など、豪華なメンバー構成となっていて、流石はGII競走と言ったところ。この京都1900mの舞台で力を出し切れる馬はどの馬か。
◎中心は交流重賞で2勝、特に名古屋大賞典ではダイシンオレンジを千切ったニホンピロアワーズ。アンタレスSでは一番最初に仕掛けて外から押し上げていく競馬。 12.1 - 12.2 - 12.1 - 13.0と4Fの勝負、持続戦で速い地点で外から押し上げていく点で、やはりトップスピードのキレ味に魅力を感じる馬。最後は少し甘くなってしまったが、58kgの斤量もあったし阪神では少し最後が甘くなる傾向もあるので仕方ないか。この馬は地方交流重賞ではあるものの、距離延長によってパフォーマンスを上げてきていて、特に名古屋大賞典の勝ち方は圧巻。常に番手で競馬をし、4角で逃げ馬を捕えると、軽く一鞭でグンと反応し、既に一杯に追われていたダイシンオレンジをあざ笑うかのような加速力で突き抜けた。この馬の持ち味は、やはりある程度の先行力と、ペースアップの時の反応の良さだろう。番手から競馬し、逃げ馬を常に射程圏内に入れ、反応が良く切れる脚を使える、理想的な馬。1800mだと、基本的にハイペースになりやすい条件でもあり、この馬の持ち味を活かすには、多少なりともペースが緩んで勝負所での動き出しの良さを活かせる競馬になる方が良いだろう。そういう意味でも、やはり緩みやすい京都1900mという舞台はこの馬にとってはベストコースかもしれない。アンタレスSでは出負けしてポジションが少し後ろ過ぎたのもあるが、58kgの斤量でダート坂スタートということも影響しただろう。57kgで京都1900mならもう少し前目につけられそう。この100mの延長で勝ち切れるだけの条件は整ったか。
相手筆頭ははやはり連勝でアンタレスSを制覇したゴルトブリッツ。ニホンピロアワーズが早めに仕掛けた流れに乗ってニホンピロの後方から進め、12.1 - 12.2 - 12.1 - 13.0のL1で伸びてきて突き抜けたように、基本的にはスピード持続戦でこそ持ち味を活かせる本格派のダート馬。ただし、キレ味がないかというとそういうわけではなく、13.0 - 12.0 - 11.7 - 11.4 - 12.3となった仁川Sでは、中弛みから3角で抑えきれない手ごたえで先頭に立ち、そのまま徐々に加速してトップスピードに入っている。この内容で千切っているので、末脚勝負にも対応できる点が魅力。ただし、現時点では京都1900mで高いパフォーマンスは見せておらず、トップスピードに入ってしまえば速い脚を使えるが、反応という点ではアンタレスSを見てもやや見劣るので、この条件になってくるとやはり序盤の運び方が問われそうだ。ベストはニホンピロアワーズの前だろうが、この位置を確保できるかどうか。ワンテンポ仕掛けが遅れると致命的にもなりかねないコースでもあるので、今回は立ち回りをうまくできるかどうか。ここ数走ダートスタートではテンの速さがあまり感じられないという点でも不安はある。ただし、平均ペースになったり、割とロンスパ戦になるようなら地力という点では最上位の1頭。相手は強敵揃いでも、この馬の素質は流石に見逃せない。あとは、力を出し切れる競馬ができるかどうかだろう。
3番手にはダート界を引っ張っている力の持ち主である古豪ワンダーアキュート。最強ダート6歳世代の番人というような位置づけで、GIこそ勝てていないが昨年の東海Sの覇者であり、去年から掲示板を外さない抜群の安定感の持ち主。ハイペースのフェブラリーSで中団からジリジリ伸びてきて、東京大賞典ではスマートファルコンが刻むハイペースを番手の内ポケットで追走して、最後の最後で並んできた。ここからも、持ち味はやはりタフな持続力。JCDでは最内に拘って12.7 - 12.3 - 12.2 - 12.0 - 13.2の流れ。緩んだ3角で凝縮した分、前との差は詰められたし、勝負どころで脚を使わずに済んだ。ただ、直線序盤でかなり窮屈になっており、ワンテンポ遅れる仕掛けにL1での伸びを考えると、惜しい競馬だったともいえる。基本的には持続戦が望ましい馬なのは確かで、昨年の京都1900mアルデバランSで格下のピイラニハイウェイに敗れた時も12.9 - 12.5 - 12.2 - 12.4という中弛みからの3F勝負という競馬だった。レースレベルを考えても、やはり敗因は脚を出し切れなかったことにあるか。1600~1800mではこのレベルだとややスピード不足、1900mはベスト条件だと思うし、本質的には2000mぐらいの平均~ハイペースで持続力を活かすのがベストのように感じる。ここは強敵揃いで、ここ数走安定しているとはいえ油断はできない相手。積極的に捕まえに行くぐらいの競馬が欲しい。昨年同様道悪で緩まない展開になるようだと不安は解消しそうだが。実力はここでは一番上のはずで。
▲穴どころからはデスペラードを推奨。もともとこの馬が勝ち上がってきた条件がこの京都1900mという舞台。この時に見せた素晴らしい切れ味は記憶に新しい人も多いと思われる。ただし、仁川Sでは後方過ぎて、良い脚を使ったところで勝負にならなかった。前走アンタレスSでは前半がそこまで早くなく、道中でペースが上がってしまう競馬で仕掛けで後手を踏んだ。もともと位置取りは最後方で競馬をする馬だけに、基本的には前よりも先にトップスピードに入れないことにはどうにもならないが、前走はニホンピロあたりが先に仕掛けてしまって位置取り的に苦しい競馬になった。京都1900mで浮上してくる可能性としては、やはり序盤それなりに早いペースになりやすいという所と、2角過ぎで1800mよりも緩みやすい傾向があり、ペースが落ちた向こう正面で無理なく差を詰めていけるという点。更にもう一つ言えば、緩めて再加速しないといけない前に対して、こちらは平均的な競馬をして前の馬と比べるとスピードを殺さずに仕掛け所に迎えるという点。この辺りが京都1900mでは恵まれやすい条件の一つにあるだろう。勝ち負けいずれのレースでも、脚を使い切ったレースというのは雅Sぐらい。重賞でも通用しているし、後は仕掛けひとつで上位に食い込んでくる余地は十分にある。そろそろ人気も落ち着いてくるころで、京都1900mに替わるなら積極的に狙いたいところ。平均的な競馬になった時は未知数ではあるが、アンタレスSで終い最後まで伸びていたところを見ても、まだ可能性はあるかなと思っている。いずれにせよ、現段階だと中弛みのある展開待ちの立場ではあるだろう。嵌れば。
芝路線からダート路線に再び舵を切ったトウショウフリークも圏内。1800mの舞台では道悪でスピードを活かす競馬。連勝の勢いで挑んだ昨年のみやこSでは平均ペースを刻んで古豪エスポワールシチーに完敗。しかし、ここで中心を担うニホンピロアワーズやワンダーアキュート、ゴルトブリッツと言った実力馬は完封していて、力は通用するものはあるはずだ。しかし、上位と違うのは、基本平均ペースでスピードの高さを活かして押し切ってきた馬。それだけに京都1900mという舞台で良馬場になったときに、これまでのように積極的にペースを緩めず進めるかどうかというのも一つのポイントだろう。ただ、良馬場で実績が乏しいのは確かだが、JCDで見せたテンのスピードはなかなかのもので、藤田トランセンドが無茶なことをしなければ、ハナを切っていたのはこの馬だったと思われる。良馬場でも十分やれるだけの要素は見せていることを考えれば、ここは面白い存在だろう。ここ数走芝を使ってきて、ここは出戻りのダート。人気も意外としていない印象で、このメンツならハナを切れても良い。緩めて良いかどうかはまだ分からない馬で、不気味な要素が多い。地力はここの中心馬にも引けを取らない。積極的に推せる要素がないだけで、全てがプラスに転じればパフォーマンスを上げてくるかもしれない厄介な馬だ。人気次第と言ったところか。
〇そのトウショウフリークとハナ争いを演じそうなのがアンタレスSで逃げて2着のアイファーソング。前走は3角で仕掛けられた分、苦しい展開となったが想像以上にしぶとく、むしろ直線序盤で先行勢は突き放す競馬。ゴルトブリッツには敗れたものの、確実に力をつけてきている印象だ。そして、馬柱を見ると一見ただのスピードタイプに見えがちなのだが、3走前桜島特別がなかなかのもの。中弛みがあって12.9 - 12.0 - 12.1 - 11.8 - 11.8の流れを逃げて突き放すという圧巻の競馬。4Fの勝負で早めに仕掛けてそのままラップも落とさず突き放す内容は、京都1900mでも面白そう。少なくとも緩めてペースを上げると言った作業を苦にしない逃げ馬であり、これはこの条件下では重要な要素。前走も相手関係を考えるとフロックの一言で片づけてはいけないレベル。ここはトウショウフリークという厄介な同型はいるのだが、桜島特別ではテン0.5Fで6.8という速さの中で大外枠から行き切れるだけのスピードなら戦えるだろう。できれば内枠を引きたいところ。川須もこの馬の脚の使いどころを分かっている感じで、京都なら怖い。また同時にデスペラードの結果を左右する馬ともいえそう。ここに入っても見劣ることは一切ない。
偉大なる善戦マンのバーディバーディも登録。おそらく出られるだろうが、賞金が足りずに除外対象ではある。何とか賞金を加算してもらいたい馬なのだが、前走オアシスSでは伸びきれずにナムラタイタンに完敗。持ち場である3着争いもクビ・ハナで届かないという、自分らしさも見せなかった。しかし、マーチSでは12.2 - 12.0 - 12.5 - 12.4 - 12.7とL4最速苦しい流れで押し上げて勝ちに行く競馬。58kgのハンデとラップ推移からも一番強い競馬ができているので、調子自体は一時期の不調は確実に脱しているはず。実力的にもここで上位に連ねておかしくない馬。何かが一つかみ合えば変わってきてもいいのだが…。スピード勝負でもキレ味勝負でもあと一歩が何かが足りない。
ブリリアントSで驚くほどの圧勝を見せたソリタリーキング。ヴァーミリアン、キングスエンブレム、古くはサカラートと言ったダートの一流どころを生み出してきた血統だけに驚きはしないが、それにしても圧巻で唐突な印象。ただし、要素は今までも見せていて、JCDでもしぶとく脚を使って粘っていたし、仁川Sでは位置取り負けで底は見せていない。前走はラップ的にも平均ペースで突き抜けていることになり、12.1 - 12.3 - 12.6 - 12.2 - 12.8とL5最速の持続戦でもある。ここで好位から抜け出し圧勝というのはちょっとすごい。それでもレースレベルを考えるとここでまだ勝ち負けというほどのものは見せていないし、京都の1900mで器用さが問われた時の不安もある。人気次第ではあるだろうが、脚を出し切りたい馬だけに、そういったロンスパ戦になってくるかどうかだろう。良馬場では少し物足りなかった馬が前走で激走しているわけであり、今までの傾向を鵜呑みにはしない方が良いだろうが、やはり緩いペースからすっと動けるかどうかが問われやすい舞台でもあるので、前走のパフォーマンスが持続戦によるものであれば、過大評価だけは避けたいところ。
△最後に南関東で勢いに乗って中央重賞へ再びのミラクルレジェンド。今回はクレイグ・ウィリアムズ騎乗ということで必要以上に人気をしそうな感はあるのだが、マリーンCではクラーベセクレタを抑え込んでいて力はある。マリーンCはラップタイムがないので難しいところだが、4角ですっと反応して直線序盤で一気に捕えているだけに、反応とそこからの加速力はなかなかのものがあるかもしれない。ただ、ややハイペース気味であったことも確かで、この辺りはあまり参考にならないか。JCDは平均ペースで差し馬有利の流れではあったが、上位の顔ぶれをみると決してフロックというわけでもなさそうで、窮屈な競馬、最後は外を回したが、脚色的には最後のワンダーアキュートと差のない競馬。うまく捌けていれば、更に上の着順は十分にあったと言える内容。基本的にはL5-4あたりから仕掛けられてペースアップしてのバテ差しという印象があり、この辺りが京都1900mの条件に合うかどうかだろう。能力的には通用するだけのものはある。あとは適性だろう。ウィリアムズがこの馬で序盤をどこで運ぶかも一つの見どころ。
http://blog.livedoor.jp/catassan/ 05/19 12:28
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