| 3連単 10-4-11番
23,420円的中 |
【予想】
◎10ゴールドシップ
〇03フェノーメノ
△04ダノンバラード
△08ナカヤマナイト
△11ジェンティルドンナ
×06トーセンラー07スマートギア
消02/09
3連複◎軸〇△BOX
3連単F◎〇→◎〇△→◎〇△×
馬場の回復がどこまで進むかが焦点だったけど、土曜でかなり回復している感じなので、日曜にはある程度高速状態には戻ってくると思う。それでも阪神2200mだからそれなりに厳しい競馬にはなるか。展開は言うまでもないのはシルポートの単騎逃げだけ。簡単なのはここまでで後は正直やってみないと難しい。外からジェンティルドンナがポジションを取りに行けば実質これが離れた2番手でハナという形も有り得る。逆に誰も行きたがらずの競馬になると団子で2番手以降固まってしまう恐れもある。いずれにせよこれは読めない。そのため、ある程度緩む展開と、厳しいペースになる展開両方を想定したうえで、外からゴールドシップが押し上げていくということを考える必要が出てくるので、非常に難解。今回は頭を絞ってヒモを幅広く拾いたい。
◎ゴールドシップは天皇賞で負けることは織り込んで、最初から宝塚記念ではそれなりに重い印を打つ予定だったんだけど、追い切りを見て本命に確定。馬場も多少高速状態だけど、高速馬場がどうこうというよりも後半のロンスパ戦になるか平均的な競馬になるかが大事なので、馬場が思ったより早くてもあまり気にしないで良い。天皇賞春の負けは展望で詳しく書いてあるので少ししか触れないが、ラップには見えない3角のフェノー、トーセンのペースアップで(恐らく)2列目以降にとっては最速地点で大外を回して負ける、昨年のオルフェーヴルの敗因に近い負け方。案の定3~4角で置かれてしまって、トップスピードが足りないのが原因。それでも最後までばてずに食らいつく内容だったし、ポテンシャルは非凡であることは間違いない。阪神2200mならば基本的にはごまかしのきかない一貫ペース~ロンスパ戦でポテンシャル勝負になりやすい舞台なので、ゴールドシップのように要所の反応が鈍い馬にとって、外から前を向いて押し上げやすい阪神内回りの舞台で、更に外差が利く今の馬場傾向は完全に追い風。スローならスローで他馬より早めに仕掛けてトップスピードに乗せてしまえば京都の外周りと違って3~4角で内からはすっと動きにくい舞台だし、早めにスピードに乗せて外からポジションを押し上げて前を向ければ崩れることは無いと思う。厳しいペースならそれはそれでこの馬のポテンシャルが活きてくる。このコースで怖かったのは超高速馬場で基礎スピードで押し切られちゃうケースだけだったけど、ジェンティルがそんな競馬をこのメンツ、シルポートの大逃げの展開でマークされる立場でできるとは思えないし、シルポートは持たないだろう。それに今は内が粘り込みにくい馬場。ならば結局は2列目との勝負になるので、ペースもそこまで上がらないしスピードで押し切られるダービーパターンは無いだろう。後はフェノーメノよりも仕掛けを早く、外から押し上げて行ければいい。京都と違って外から押し上げやすいので、素直に3角手前から動けばいい。ここは有馬で信じて乗れた内田博幸を信じることにする。
〇フェノーメノはゴールドシップが勝てない展開になればこれだと思う。天皇賞もそうだけど、この馬の良さは総合力にある。ある程度の位置につけて要所ですっとペースアップして出し抜いて粘り込む。前走天皇賞でも12.5 - 12.8 - 12.9 - 11.9 - 11.8 - 12.6の流れ。逃げ馬が失速して3角で2列目が急に詰めているが、ここでかなり手応えよく内目から突き放していて、それでいて最後までしぶとく粘っていた。ポテンシャル面ではまだそこまで高いものを見せていなかったのだが、天皇賞でそれを見せつけた。ある程度長くいい脚を使えるが、流石にルーラーシップを寄せ付けなかったゴールドシップより上とは思わない。それよりも瞬間のトップスピードとそこへ持って行くまでのギアチェンジの速さを活かしたいタイプ。加えて中山で結果が出ているようにコーナリングも上手いので3~4角の立ち回りが問われる阪神内2200mも望むところだろう。今回はシルポートの大逃げで2番手が実質の逃げになることを考えると、やはり想像以上に緩いペースになることも考えておく必要がある。そうなれば動き出しの良さでこの馬が抜けている。特にジェンティルドンナもゴールドシップもスローからのギアチェンジ戦は得意としていない。ゴールドシップの仕掛けがワンテンポ遅れてしまうと、この馬の出番だろう。総合力の高さはあるが抜け出すだけの武器が無かったのがネックだったのだが、今回はトップスピード型が非常に少ないので、これは大きな武器になる。ただし阪神2200mは基本的にはタフな競馬になりやすい舞台なので、本命にはしづらかった。
△ジェンティルドンナは馬は強いと思うけど、ドバイシーマCで勝ちに行って伸びあぐねていたり、秋華賞でスロー、苦しい展開でチェリーメドゥーサが押し上げてペースを引き上げてなんとか差し切れたと言ったように、基本的には自分で動いて勝つというようなタイプの馬ではないと思う。今回は3強の一番前のポジションで他馬の目標になってしまう形。スッとは動けないし、トップスピードに乗るまでに少し時間がかかるタイプ。乗ってからのトップスピードはまずまずのものはあるが、JCはかなり展開的にも恵まれていて、恐らく実質L3最速戦で最内を通して前にスペースがあってスピードに乗せやすい展開だった。最後はオルフェーヴルを弾いて捻じ伏せているし、地力は当然評価するのだが、こと勝ち負けにおいて考えれば、今回は勝ち切るには非常に難しい舞台だと思う。シーマCでは正直セントニコラスアビークラスに勝ちに行って突き放されるとは思わなかったので、これも個人的には評価を下げる材料。高速馬場向きなのは間違いないと思うし、阪神の回復次第ではある。土曜を見る限りだと日曜日には時計が出やすい状態に戻ってそうで、そこは心配ない。が、レースの展開を考えれば岩田が策を打ってこれるとも思えないし苦しい。個人的には勝つつもりならフェノーメノをマークする競馬をしてほしいんだけど。動き出しで遅れるし、フェノーが仕掛ける前にゴールドは仕掛けてくるだろうから、後手を踏むとゴールド、フェノーの仕掛けでバテ差組も来るだろうし、最悪複勝圏を外す可能性もあると思う。ただ、能力は評価するし無印にはできないので連下。
△ダノンバラードはポテンシャルタイプで今回は団子の状態が想定される。ゴールドシップが捲ってスイッチが入った状態での立ち回り次第では面白い1頭。ナカヤマナイトはフェノーメノにタイプが近いので、緩んで要所の動き出しが問われたときの立ち回り次第で2着ぐらいは。
×トーセンラーは前走はほぼ完璧。今回は団子になる可能性が高いので、ゴールドシップとのポジションの差を作りにくいだろうし、もう少し平均的な競馬になることを考えるとこの馬の良さであるトップスピードはやや削がれるだろうから、前走以上は望みにくい。それでも力で3着は十分にある。スマートギアはこのコースで結果が出ていないから難しいんだけど、ポテンシャルは良いものを持っていて平均ペースで無欲で突っ込む競馬ならこのクラスでも好走ぐらいはあっていい馬。最低人気になりそうなのだが、少なくともタニノエポレットやローゼンケーニッヒよりはポテンシャルで良いものを持っているので。
【展望】
四強対決と目されていた今年の宝塚記念。これに割って入るのも難しいと見たか、非常に登録馬数が少ない少数精鋭のレースが期待されていたが、ここにきてオルフェーヴルが肺出血により回避。三強対決に変わったが絶対的な本命馬の回避によってレース展開も大きく変わってくることが予想されるだろう。天皇賞春で敗北を喫したものの皐月賞、菊花賞の二冠に有馬記念とGI3勝の実力馬、牝馬三冠、JCでオルフェーヴルを破った女傑、そしてGI級と言われながらも善戦どまり、天皇賞春でようやく悲願の戴冠を果たした素質馬の三つ巴。これに天皇賞春で惜しい2着に入った才馬、中山GII横綱、孤高の逃げ馬など個性派が立ち向かう。頭数こそ少ないが、阪神2200mという非常にタフなコースでGI馬たちが激突する、春のGI総決算。3強の分析ももちろんだが、馬券的妙味も狙いたい。前半は3強を徹底分析、後半はそれ以外の馬から魅力的な穴馬を特に注目していきたい。
三強の筆頭はやはり負けはしても皐月、菊花、有馬のクラシック、王道のGI3勝馬ゴールドシップだ。天皇賞春での敗戦までは絶対的な存在と位置づけされてきたステイゴールド×メジロマックイーンの配合馬。その類まれなるポテンシャルで3角手前から仕掛けて他馬を押しつぶして行くようにジリジリと捲っていく競馬。これこそが彼の本領。ポテンシャル特化型のステイヤーだ。その最大のパフォーマンスはやはり有馬記念にある。割と平均的なペースから12.6 - 12.5 - 11.9 - 12.1 - 12.1 - 11.9 - 12.0と5Fのロンスパ戦。ほぼ最後方で向こう正面の下り坂を利してスピードにじわじわ乗せながら3角手前から仕掛ける。例のごとく反応は鈍いもののトップスピードに入ってしまえば3~4角を大外ぶん回しながらも徐々に押し上げて行き、直線ではその勢いを殺すことなく一気に突き抜けての圧勝だった。暮れの中山で時計が掛かる部類の芝の状態、そこで平均ペースから5Fのロンスパ戦に真っ先に動く展開になりながら最後まで脚色を衰えさせることがないパフォーマンス。まさに無尽蔵のポテンシャルを見せつける形だった。相手が共に出遅れながらも最後まで伸びてきた同じポテンシャルタイプのルーラーシップだったし、これを最後まで寄せ付けなかった点は非常に大きい。出てこれないがポテンシャルだけならばオルフェーヴルに互角か或いはそれ以上と言っても過言ではないものを見せている。この戦法は菊花賞で確立されたと言ってよい。かなりのハイペースで淀みない展開。12.3 - 12.2 - 12.5 - 12.2 - 11.9 - 11.8 - 12.4の流れで平均的な競馬となっている。ここもほぼ最後方からの競馬になったわけだが、少し緩んで馬群凝縮した向こう正面で一気に押し上げていく。3~4角でもそのままの手応えで先頭列に並びかけ、直線で先頭に立つと最後はスカイディグニティの強襲を退け再び突き放しての完勝。とにかくばてないのがこの馬最大の魅力だ。
今回この馬を分析する上で最も重要なのが天皇賞春の敗因がどこにあるか、である。圧倒的1番人気に支持されながら伸びあぐね、不沈艦が本格化以降初めて5着に沈んでしまった。ここで三強の一角であるフェノーメノにあっさりあしらわれてしまったのだから、陣営やファンの動揺も大きいだろうと察するところ。しかし、個人的にはあの敗戦にはこの馬の弱点が明確に出ただけのことで、さほど悲観的になる必要はないと考えている。このレースはラップが少し変ではあるのだがこれは大逃げしたサトノシュレンの影響。12.5 - 12.8 - 12.9 - 11.9 - 11.8 - 12.6と3角手前で大きくペースが落ちている。ただトーセンラーやフェノーメノはここで仕掛けていって一気にポジションを上げている。実際3角でサトノシュレンとの差が一気に縮まっているように、後続はここで一気にペースアップしたとみるのが妥当だろう。4角でもその勢いでフェノーメノ、トーセンラーは楽な手応えだったのだが、ゴールドシップは恐らく最速地点である3~4角でトップスピードに勝るフェノーメノ、トーセンラーの外から捲らざるを得ない展開になった。その分4角でコーナーワークで置かれてしまい、直線までに出し抜かれたのが大きかった。実際そのあと外から出し抜かれたジャガーメイルは最後に交わしているようにこの馬自身がばてていたというわけではなかった。敗因としては本来もう少し早めにエンジンをかけてペースを上げてじわっと押し上げたいところだったのが、向こう正面で反応が鈍くなり3角手前でようやくスピードに乗ったが、ここでトーセンラーやフェノーメノが下り坂を使って楽にトップスピードに切り替え、ペースを引き上げたことが全てだろうとみている。これは昨年の天皇賞春でも武豊とウインバリアシオンがオルフェーヴルに対してやった必殺技でもあり、下り坂でペースが上がってコーナーが‐最速地点になる展開で、上手く外に弾いて捲らせないように、また捲り馬に対して脚を使わせるための武豊の戦術だろう。昨年のオルフェーヴルより無様な競馬にならなかっただけ、まだマシともいえる。
という点からも、ゴールドシップの長所は無尽蔵のポテンシャル、そして皐月賞や有馬記念で見せたようにタフな馬場適正が高いところであり、弱点が序盤のポジショニングの悪さ、そして道中の反応の悪さ、そしてトップスピードが遅いという点になる。こうしてみると弱点の方が多いようにも思うが、それをカバーできるだけのポテンシャルがこの馬の武器。出遅れても早めに仕掛けて最後までばてない。反応は悪いがそれを見越して向こう正面から仕掛けてもばてない。トップスピードは遅いが、そのため早めにポジションを押し上げてペースを引き上げてしまえば問題ない。弱点は多いのだが、どれもこの馬のポテンシャルを持ち出せば致命的とは言えない。天皇賞の負けは、反応があまりにも悪すぎたのと長距離特有の全体ラップからは見えない緩急が有ったことも大きいだろう。そして阪神2200mは屈指のポテンシャルコース。1角までの距離が長く、またペースも淀みにくく、そして3~4角で前を向いて押し上げやすいコースで、何より直線の坂でL1が落ち込みやすい。これらは全てこの馬の適性を大きく後押しすると言っていい。天皇賞春でも負けはしたが負けて強しの内容だった。トップスピードタイプの馬にトップスピードを使わせない早めに潰しに行く競馬に持ち込めれば、有馬記念のパフォーマンスからも三強の中でも一歩抜けた存在だとみている。このコースではもう言い訳は通用しないだろう。グランプリ連覇がかかるこの一戦、牝馬や同期生には負けられないぞ。今度こそ有馬記念馬の意地を見せてもらおう。
三強を担う女傑三冠牝馬ジェンティルドンナも参戦。オルフェーヴルを破って大金星を挙げたジャパンカップ。これに続いてゴールドシップ、フェノーメノとステイドール度産駒をこの舞台で打ち破ることができるか。勿論打ち破ったとしても今度は金星にはならないが。この馬の最高のパフォーマンスは悩ましいところだが個人的にはオークスだと思っている。平均ペースで11.9 - 12.4 - 12.3 - 12.2 - 12.1 - 11.8 - 11.8の流れ。3歳牝馬としてはかなり厳しいラップ推移になってしまっているのだが、L1が11.8とレースラップを全く落とさないというとんでもない内容。これはジェンティルドンナが他馬をぶっちぎってできたラップで、実際他馬は大きく落としていることになり、時計的にもそれが当たり前。ところがそこから更にばてずにグングン伸びてきちゃうんだから牝馬同士ではものが違うというのが本当の所だろう。強烈なポテンシャルと超高速馬場で厳しいペースを追走するだけの基礎スピードを持っているのは大きな武器。そしてジャパンカップでは現役最強と言っていい三冠馬オルフェーヴルとの三冠対決で見事に打ち破った。直線で進路を塞がれ、それをオルフェーヴルに体をぶち当てるという形で進路確保し叩き合いを制したと決してクリーンな競馬ではなかったが、少なくとも馬は悪くない。このレースでは12.0 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 11.5の流れでややスローからのトップスピード勝負となっている。またビートブラックが道中から引き離す逃げを打っていて、この流れと他馬の脚色からも恐らく2列目以降はL3最速戦だろう。ここで最内を通し前を向けたのは大きいし、序盤は外から捲ったオルフェーヴルの脚色が良かったが、徐々に盛り返して最後は差し返すという内容からもポテンシャル型なのは間違いない。弾いた影響がオルフェーヴルにあったかどうかは分からないし、遠征明けで万全ともいえなかっただろうからこれだけで勝負付けがついたとは思わないが、少なくとも3着以降を完封していることは高く評価できる。これだけ見ても牡馬相手でも全く引けを取らないということは優に証明できた。
ただし、この馬の場合は高いパフォーマンスが安定しないというちょっとした難しいところがある。例えば秋華賞ではヴィルシーナを捕えるのに四苦八苦。最後はぎりぎりの勝利になっている。12.3 - 11.6 - 11.4 - 11.3 - 11.5 - 12.4というラップでロンスパ戦になったことが功を奏して何とかトップスピードに乗せて脚を出しきりやすい展開になったので良かったが、道中でチェリーメドゥーサが捲ってくれなければかなり厳しい展開になっていたことはこの結果からも容易に想像がつく。ヴィルシーナに取ってはスローの出し抜けを狙ったレースがチェリーに邪魔され目標になってしまった。これでハナ差なので少なくとも2000mでは高速馬場でも絶対とは言えないだろう。トップスピードの質自体はアロマティコなんかとはそんなに変わらない。この馬の化け物じみているところは、トップスピードの持続力、ポテンシャルにあるわけだから。またドバイシーマクラシックではセントニコラスアビーに完敗してしまった。個人的には結構ショックな競馬で、欧州の善戦馬相手に正攻法で挑んで最後少し離される完敗になるとは正直思わなかった。これの敗因をどこに取るかという点が大きいが、個人的にはいくら時計が出やすかったとはいえ海外のタフな馬場が影響したと考えるべきかと思う。この馬の負けパターンは基本的には届かないケースだったり出し抜かれるケースだったりなので、L1で伸びきれなかったというのは正直この馬の競馬ではないと思う。勝ちに行ったとはいってもこれまでのパフォーマンスからもロスが有っても前を向いた方が良い馬なので、これで甘くなったのは日本の馬場ではなくタフな海外の芝が影響したと考えるのが妥当だろう。そもそも高いパフォーマンスは日本でも東京の2走で、どちらも超高速馬場だった。日本で唯一馬券圏外のチューリップ賞では前を向けなかったこととタフな馬場で時計が出にくい状態だったこともある。
これらからもこの馬の最大の持ち味は基礎スピードの高さとポテンシャル。またこれらを最大限に活かせるのが超高速馬場にあるとみるのが現状一番良さそう。反面でタフな馬場適性はチューリップ賞ぐらいしかないので判然としない。ドバイシーマクラシックも低レベルメンバーで勝ち切れなかったものの、決して悲観するほどのものではなかった。ある程度は対応できるだろうし今のの阪神ならばある程度高速馬場なので、問題なくこなせそうではある。一貫ペースもオークスで見せているように高いパフォーマンスで不安は小さいが、今回は流石に三強の中でも一番前での競馬になり、恐らく目標になる。フェノーメノが丁度直後ぐらいにつけるような展開になりそうだし、何より動いてくるゴールドシップというのは強敵。理想とすればフェノーメノの持ち味である総合力、とりわけトップスピードやギアチェンジを上手く封じるような競馬ができるかどうかがポイントだろう。秋華賞の内容と、JC、オークスの内容から、個人的には2200mは若干短いかもしれないと思っている。阪神2200mなのでそれはあまり気にならないが、オークスは平均ペースでも後方で脚を使わずの競馬になった事も事実。これが序盤から積極的にポジションを取りに行って厳しいペースになるとどうかという点は注意。あとは、岩田なのでペースを読めるかどうか。恐らくシルポート単騎で後はジェンティルドンナマークの競馬になるだろう。となるとジェンティルドンナの持ち味を生かすためにペースを上げていけば実質逃げの形になる可能性が高い。ジェンティルドンナはギアチェンジやトップスピードは並なので、ペースを引き上げられずに3~4角を迎えることになると総合力の高いフェノーメノが楽に外からプレッシャーをかけてくることになる。これだけは避けたいところ。団子状態で要所でのペースアップが要求されるとチューリップ賞の内容からも崩れる要因に成りうるだろう。まともな競馬ならばここでも勝ち負けできる馬だが、今回は相手や条件を考えると、競馬がしづらい立場に置かれるだろう。岩田の真価が問われるレースと言える。
三強最後はGI1勝も抜群の安定感を誇る総合力タイプのフェノーメノ。この馬の良いところは外で前を向いて押し上げたい時にすっと動けるギアチェンジ能力、そこからのトップスピードだ。特に顕著なのが日経賞で、ややスローから12.3 - 12.3 - 12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.7と加速していく流れできっちり抜け出す強い競馬なのだが、好位で進めて3角でマイネルキッツが動き、それを見て押し上げていぷトップスピード型のカポーティスターを見ながらの競馬。直線で抜け出したカポーティスターを早い段階で並んでL1きっちり突き放す完勝。トップスピードの高さと要所の反応の良さで勝ち切るこの馬らしい競馬だった。これはセントライト記念も内容的に近い。天皇賞春でもこの武器は見せていて、厳しいペースではあったが12.4 - 12.5 - 12.8 - 12.9 - 11.9 - 11.8 - 12.6と大逃げのサトノシュレンが刻むラップ、序盤好位から進め、3角手前で離れた3列目ぐらいでゴールドシップの仕掛けを待つ。3角で押し上げてきたゴールドシップを見て一気に仕掛けると前にいたトウカイパラダイスに一気に並びかけて直線先頭にたつ。序盤で一気に出し抜いて、後はそれを保って押し切る完勝だった。ここからも、三強の中でも最も機動力に富む実力馬と言える。緩いペースで道中にペースアップが問われる展開になればこの馬の土俵と言っていい。天皇賞秋でもトップスピード勝負で引けを取らなかったが、それでもギアチェンジの申し子、特化型のエイシンフラッシュには及ばなかった。序盤のポジショニング、ある程度のペースを追走できる基礎スピード、そしてトップスピードまでスッと乗せられるギアチェンジ能力、トップスピードの速さ、そしてポテンシャルと全てにおいて高いレベルで持ち合わせている総合力タイプだ。
さて、では弱点は無いのか、というと無いわけではない。これまでGIに手が届いてこなかったように、この馬の良さは器用さはあるが特化した実力には欠けるという点だ。例えば日本ダービーでは僅差の2着まで迫ったものの勝ち切れなかった。このレースでは12.2 - 12.4 - 12.3 - 11.7 - 12.0 - 12.4と厳しいペースでL3最速戦。基礎スピードとポテンシャルの高さが問われる競馬だったのだが、ある程度の位置から最後にある程度伸びてきたが、差せない程度の脚だった。もちろんゴールドシップやワールドエースと言った基礎スピード不足の馬にはポジショニングで先着しているが、基礎スピードの高いディープブリランテは交わせなかった。また天皇賞秋では好位から鋭く伸びはしたものの、最内ロスなく立ち回ったとはいえ直線更に鋭い脚で一気にフェノーメノを出し抜いたエイシンフラッシュにはギアチェンジ面、トップスピードの質で及ばなかった。またJCでは12.0 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 11.5とビートブラックの3角手前からのペースアップもあり、各馬捲って前を向いてある程度加速した状態での直線ヨーイドンではトップスピードの質、ポテンシャルでオルフェーヴルやダークシャドウ、ジェンティルドンナ、ルーラーシップにも屈した。総合力は極めて高いのだが、GIでは比較的特化したレースになりやすく、総じてこの馬にとってはなかなか勝ち切れない苦しい競馬になりやすい天皇賞春では距離が合ったという可能性もあるが、圧倒的人気馬が超不器用なゴールドシップで、これを各馬意識することによってポジションの差を活かせたし、最速地点のコーナーで内目を立ち回って直線早い段階で出し抜けた事も大きかった。
それを踏まえたうえで、長所は前述のとおりかなり高いレベルで隙がない総合力。しかし特化したレースになると専門家には及ばないというケースが多い。今回の場合、阪神内回りの2200mという舞台なので、まず緩いペースになるかどうかがポイント。比較的タフな競馬になりやすい舞台でもあり、これまでの傾向、特に昨年なんかは分かりやすくポテンシャルタイプの馬が好走している。今年は雨がさほど降りそうにないというのと、シルポートを突きそうな馬もおらず、シルポート以外は実質スローになるという可能性もあるという点で、器用さを活かすチャンスは出てきそう。ただし、今回は明確に仕掛けのスイッチ役になるし、京都と違って阪神は外を押し上げるリスクがさほどない分、ゴールドシップに早い段階で押し上げられてしまうとL1の踏ん張りではゴールドシップのポテンシャルに軍配が上がる。ジェンティルドンナを目標に、ゴールドシップが捲り切る前に先にワンテンポ早く出し抜く天皇賞の再現ができるかどうか。逆に一貫ペースになるとこの馬の持ち味の一つであるギアチェンジ能力の高さを引き出すことが難しく、特に今回は三強の残り2頭がギアチェンジ能力が高くない馬なので、相対的に不利な状況になると言える。こういうタイプなのでいかに自分のペースで走ることができるかに掛かっている。特に一番怖いのはシルポート以外が団子になってしまい、ゴールドシップが一気に捲って3角までにポジションが入れ替わることだ。こうなってスピードに乗せてしまうとポテンシャルの化け物であるゴールドシップを後ろから差すというのはかなり苦しい状況になる。とはいえ、三強の中では最も器用に動けるというのは明確な武器。GI1勝馬に過ぎないが、実際ゴールドシップには2戦2勝していて、ここに入っても三強として互角以上の戦いが期待できる1頭だ。
後編はやや頼りなく映る伏兵陣から掘り出し物を見つけたい。もちろん天皇賞春2着の実績馬は当然として、GIでは今一つ良さが出せない中山GII横綱、1000万下を連勝で勢いで格上朝鮮の素質馬、AJCC勝ち馬など、三強の一角を崩せる馬が出てくるかどうかだ。
三強打倒の最右翼はやはり天皇賞で2着に入り込み、実際に天皇賞春では一角のゴールドシップは崩しているトーセンラー。ダービーを制し、ようやく本調子を取り戻してきた天才武豊とのコンビで今度は悲願のGI制覇を目論む。まず前走の天皇賞春は中団からフェノーメノを見る形で競馬を進めていく。12.5 - 12.8 - 12.9 - 11.9 - 11.8 - 12.6のラップ推移で、3角で外からゴールドシップが押し上げてくるのを見ながら、フェノーメノを目標にじわっと追走する。4角でゴールドシップを見切って前のフェノーメノに並びかけるが、直線序盤でフェノーメノに出し抜かれてしまった。L1ではジリジリと差を詰めてきたものの、完敗の2着となった。フェノーメノをマークしながらも、直線序盤で上手く出し抜かれてしまった点は見劣る。外を回した分はあったかもしれないが、トップスピード面ではやはりフェノーメノの方が少し上にいるとみる方が良いだろう。ただ外目を回しながらもL1ではシッカリと詰めているように、ポテンシャル面はこの距離だとある程度高いものを見せてきたと言っていい。元々オルフェーヴルの菊花賞では3角からオルフェーヴルに勝ちに行く競馬で最後は離されながらも3着は確保しているように、長距離では意外とポテンシャルを見せてきていた馬。また京都記念で久々の勝利を味わったが、この時は11.9 - 12.2 - 12.0 - 11.8 - 11.3 - 11.5とある程度のロンスパ戦からL2最速11.3の流れで後方外から鋭く伸びた。3~4角でスムーズに押し上げて最速地点で鋭く伸びて粘るショウナンマイティを交わす内容。この中では高いトップスピードを見せていた。トップスピードとポテンシャルを高いレベルで持ち合わせた実力馬だ。
これまでは小倉記念や七夕賞では基礎スピードが問われる平均ペースでこの馬の良さが出しきれずに結果が伴わなかったとみている。実際に距離延長でゆったり運ばせて結果が出ているし、京都記念もスローからのロンスパ戦でトップスピードも問われる競馬で良さが出ている。本質的に2200m以上で序盤ペースが上がらない舞台が良いのだろう。ただ、それでもある程度は対応してきているように、この馬もフェノーメノ同様ある程度総合力が高いタイプと言っていいだろう。ただ、この馬の場合はどちらかというとトップスピードとポテンシャルに良さがある馬。フェノーメノにギアチェンジ面では見劣るだろう。実際この馬の好走実績は割と京都に偏っている。きさらぎ賞でオルフェーヴルを破ったり、京都記念の勝利、天皇賞春、菊花賞の好走など。割と軽い馬場の京都でトップスピードを引き出して出しきる形で好走している。ここからも、京都の下り坂でじわっとトップスピードに乗せてきたこれまでから、阪神の2200mの舞台がどう出るかだろう。それと、割と平均ペースになりやすいコースでもあり、この馬にとってはトップスピードを引き出しやすい京都外回りから阪神内回りに替わるというのはあまりプラスに作用しない印象もある。ただトップスピードだけという訳でなく、天皇賞ではフェノーメノを詰めているように、ポテンシャルもそれなりには持っている。3~4角、要所でどういう競馬をするかが重要になってくるだろう。展開次第では三強を穿つだけの武器は持っている。トップスピードとポテンシャルを引き出せる展開になれば。武豊の手腕が問われるレースだ。
大穴からはスマートギアを抜擢したい。既にもう8歳と高齢になってしまったが、前走鳴尾記念で健在をアピールした。トウケイヘイローがロンスパ逃げを打ったレースで、11.4 - 11.9 - 11.9 - 11.3 - 11.4 - 12.0の流れ。この馬の得意とする高速馬場でのロンスパ戦で最内から上手く捌いて直線しぶとく伸びてきた。ロンスパ戦とは言っても最速11.3-11.4をコーナーで問われてしまい、ここで前を向けなかったのはこの馬としては痛い展開ではあったが、それでも最後はしっかりと伸びてきていた。これなら復調に目途と言っていいだろう。もともとロンスパ戦でL1落ち込む厳しい競馬でパフォーマンスが高い馬で、昨年の中日新聞杯では雨で渋った馬場で、タフな状態。ここで12.7 - 12.0 - 11.9 - 12.2 - 11.4 - 12.1の流れで外差、L1グンと突き抜けた。相手がダンツホウテイではあったにせよ、ポテンシャルタイプのダノンバラードや、強敵ヒットザターゲットは打ち破っていて、ここでも展開次第では食い込んでこれるだけのポテンシャルは持っている。ただし、宝塚記念では意外と活躍できていない。平均ペースになりやすく、持ち味のポテンシャルを引き出しやすい舞台であるはずなのだが。2010年ではやや重馬場で12.3 - 12.3 - 11.9 - 12.1 - 11.9 - 12.5の流れ。L1落ち込み平均ペースになっているが、ナカヤマフェスタやブエナビスタには完敗の7着。最後方からジリジリも伸び切れなかった。2009年は高速馬場で中弛みが少しあった展開。12.3 - 12.1 - 11.5 - 11.7 - 12.0の流れで伸びきれずの8着。阪神の内回りは鬼門で、ポジショニングの差も結構大きなウエイトを占めているようだ。その点で、今回は割と2番手以降は団子になる可能性が高いという点では面白い。団子でロンスパ戦、特に仕掛けが早くなるような展開になればこの馬の良さが出てくるだろう。三強は強敵ではあるが、この馬もポテンシャルは通用していい。上手く脚を出しきれる展開になるようなら。ゴールドシップの捲りに合わせて動ければ。
ナカヤマナイトがこの舞台でGI制覇を狙いたい。ナカヤマの冠名を持つ先輩でもあるナカヤマフェスタはこの舞台で名牝ブエナビスタを破って戴冠した。ナカヤマナイトも名牝ジェンティルドンナを破ってGI制覇と行きたいところだ。この馬の持ち味は総合力の高さにある。中山記念ではシルポートの大逃げを離れた好位で追走、11.3 - 11.1 - 11.4 - 12.0 - 12.0 - 13.3の流れで先に動いたダイワファルコンを目標にして直線で徐々に押し上げて行き、L1でしっかりととらえる競馬。重馬場のオールカマーでも同じで12.6 - 12.6 - 12.0 - 11.7 - 12.3の流れで中団、先に動いたダイワファルコンを目標にすっと動いて3角では2番手。そのまま直線で捕えての完勝。ペースが緩い段階でしっかりと動いて、直線で突き放すというような競馬が持ち味でいかにもな中山巧者ともいえる。一方で有馬記念では12.5 - 11.9 - 12.1 - 12.1 - 11.9 - 12.0の流れで中団から大外を押し上げようと頑張るもなかなか押し上げられず、最後は甘くなってしまった。ゴールドシップが早い段階で押し上げてくる厳しい展開ではあったが、それにしても甘くなってしまったように、GI級ではポテンシャル不足を露呈させてしまっている。昨年のAJCCでルーラーシップに負けた時も、12.5 - 12.4 - 12.3 - 12.1 - 12.0 - 12.2の流れで早めに動いて直線序盤で先頭に立ったところを、大外から気持ちよくルーラーシップに差されてしまっていた。GI級のポテンシャルタイプ相手に正攻法で勝ちきれるほど強くはないというのが個人的な感想だ。タフな馬場でも高速馬場でもある程度対応可能だが、同じ総合力タイプのフェノーメノに天皇賞秋で完敗しているところからも、難しいところが大きいだろう。中山GIIの好走はいずれも緩いペースで、早い段階でじわっと押し上げているという内容によるもので、実際同タイプで一つ前のポジションを取るダイワファルコンとのワンツーが多い。ポテンシャル勝負やトップスピード勝負に特化すると持ち味の総合力は武器にならないので、出来れば紛れてほしいところだろう。何とかGI制覇を成し遂げたいところだが。幸いシルポートの出方と2番手の出方次第では紛れる可能性は十分にあるので、緩んだタイミングがあればそこを上手く使ってポジションを押し上げたいところ。正直実績程には上位と戦えるだけの武器はあまり感じない馬だ。覆してもらいたい。
AJCCで斜行しながら勝ったイメージが強いダノンバラードだが、案の定その後は今までにましてイマイチ君になってしまっている印象。鳴尾記念では11.4 - 11.9 - 11.9 - 11.3 - 11.4 - 12.0のロンスパ戦でポテンシャルタイプのこの馬にはもってこいの展開になったのだが、同じポテンシャルタイプのエクスペディションに差されてしまっての3着。前列壁の流れだったが減速戦だったし割とスムーズに捌いていてL1で差されたのは個人的には少し不満が残る。とはいっても内有利馬場ではあったしそこまで悪い内容ではないのだが、流石に今回はGI、相手も強敵ということもあり、正攻法だと武器であるポテンシャルでも見劣る面は否めない。中山記念では11.3 - 11.1 - 11.4 - 12.0 - 12.0 - 13.3の流れで割と前目で競馬をしてジリジリと下がる内容。ここ数走は意識的にある程度前目で競馬している印象だが、正直個人的にはあまり良い方に作用していないように感じる。要所ですっと動けないタイプだけに、出来るだけ押し上げながら要所を迎えたいタイプ。AJCCは流石にやりすぎの感はあるが、12.2 - 12.4 - 12.5 - 12.1 - 11.5 - 12.7の流れで中団から押し上げて4角を迎えるような形がこの馬のポテンシャルを活かすには良いように感じる。斜行の是非は別にして、相手関係もそこそこ強敵だったしパフォーマンス的にはこの馬の中では最高の競馬だったと言える。前走にしてもスローである程度ポジションを取りに行ったが、結局3角では前が壁の流れになってしまった。基礎スピードはちょっと足りないし、ギアチェンジはハッキリ足りない。だからこそ序盤は無理せずに、要所でペースアップする一歩手前でしっかり進路を確保して前を向いてトップスピードに乗せていける競馬でポテンシャルを出し切れればという所。それでも正直このメンバーだと強気に離れないところだ。AJCC勝ちの2200mで番狂わせを起こしたいが。
ヒットザターゲットも要注意だろう。小倉大賞典勝ち馬だが、12.0 - 11.7 - 11.2 - 11.5 - 11.8 - 11.9とL5最速のロンスパ戦となっていてここで最内を突いて上手く抜け出した形だ。かなりロスなくきれいに乗られていて、L4最速で前がペースアップした事もあり、追走するスペースがあったというのも大きい。直線序盤では3列目につけていたし、正直これに関しては展開面で恵まれたことが大きいのは間違いないだろう。相手関係もダコールやダローネガと、ここに入ればやはり2,3枚は見劣る相手だけに何とも。ただ、目黒記念では12.1 - 12.0 - 12.0 - 12.1 - 11.8 - 11.5 - 11.9の流れで後方からしっかり伸びてきての4着。3~4角は内目を回し、直線で外に持ち出す形だが、最速地点では見劣ったもののL1では差を詰めてきていてカフナあたりとは差のない4着。距離に若干不安があったのが、この距離でこの展開で最後まで詰めてきていてポテンシャル面である程度高いものを示せたのは大きく評価できる。今回は相手関係が一気に強化、更にタフな内回りの2200mということもあり、福島記念でダイワファルコンに完敗しているようでは正直厳しいとは思うのだが、前走でパフォーマンスを上げてきているし、2走前の大阪杯は超スローで最内ポジション下げながらの厳しい競馬。昨年は追走だけで脚をなくしてしまったが、今年は今の所高速馬場に近い状態。これがキープされれば展開ひとつで圏内に加わってきても面白い。力関係で考えれば東京2500mのルルーシュに対して恥ずかしくない競馬が出来ているし、伏兵陣の中では能力上位のはず。後は展開と馬場。
シルポートは今回も自身の結果以上にレースの展開を握る上で重要な役割を持つことになった。2200mに関してはハッキリ長い。近走のシルポートのイメージだと単純に飛ばすというだけでなく、マイルCS4着時に見せた溜め逃げでごまかしながら二の足で少し出し抜いているし、必ずしも最初から飛ばすかどうかは言い切れない所もある。中山記念での内容を見てもこのコースが一番この馬の逃げにとっては合っていて、坂スタートですっとハナを獲り切り、道中向こう正面の下り坂でペースアップしてリードを広げて押し切る。阪神内2200mだとスタートから1角までの距離が長いので、行き切ってから息を入れにくい条件。ソロッと出して中途半端な競馬になるぐらいなら厳しいペースを淡々と刻みそうだが。正直なところ、ベスト条件の中山記念でもナカヤマナイトに差されているぐらいでは、宝塚記念で圏内まで残れるとはとても思えないが、誰もがハイペースを刻むと思って、それを逆手にとってペースを落ち着かせる可能性はある。それに合わせて2列目の岩田が抑え込んだ場合はクィーンスプマンテのエリ女の二の舞になる可能性もあるので、これだけは警戒しておきたいところ。まともに競馬をしてはとても上位には敵わないだろうが、どこかでリードを広げてどこかで緩めるチャンスがあれば。
1000万下を勝ち上がったばかりだが勢いはあるローゼンケーニッヒ。1000万下を連勝の勢いで挑む初の大舞台。三木特別ではスローから12.6 - 12.0 - 11.1 - 11.2 - 11.7の流れでL1バテ差。この馬らしいロベルト系特有のL1バテ差しを炸裂させた。トップスピードはあくまでそれなりで、これまでの傾向からもL1落ち込んだ時に結果が出ているケースが多い。2200mでは中京500万下戦で勝ち切っていて12.3 - 12.3 - 12.1 - 11.8 - 12.2の流れで大外一気。トップスピードの持続力が高いタイプだろう。ただ、これまでの傾向からは、序盤スローで結果が出ている馬で、ロンスパ戦になったり平均ペースになると甘いというのは下級条件でも見せている。これは宝塚記念という舞台を考えると非常に痛いところだ。京都2200mの平均ペースでは500万下でも5着がやっと。神戸新聞杯では12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.6 - 12.5の流れで最後方から脚を溜めてL1ジリッと伸びたものの5着まで。ゴールドシップとは比べるまでもない。ここに入れば最後方から脚を使わずに直線どれだけ交わせるかという程度だろう。ウィリアムズなので2~3番手につけそうだが、正直厳しい。
最後にタニノエポレットまで。準OPの身ではあるが、万葉Sで2着という実績は光る。12.2 - 12.2 - 11.8 - 11.7 - 11.5 - 12.3の流れで中団からしぶとく抜け出し、逃げるエーシンジーラインを捕えて最後まで粘っての2着。デスペラードに敗れはしたが、重賞級相手にしっかりと2着は評価できる。ただし、これが示す通り、ベスト距離は恐らく3000mぐらいにあるのだろう。近走を見ても2400前後だとポジションを取れずに苦しむことが多い。阪神2200mだと1角までの距離が長くペースが上がりやすいので、ゲートが悪く序盤置かれても積極的に追走するぐらいの気持ちは必要だろう。ポジションを取ったとしても3走前のサンシャインSでは12.1 - 11.6 - 11.7 - 11.6 - 12.3の流れで好位から押し上げて甘くなってしまっている。このレース自体は決して悪いパフォーマンスではないのだが、あくまで準OPクラス。今回は相手がかなり厳しくなる。ポテンシャル面でも大きく強調できないとなると、やはり苦戦は必至だろう。
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