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【最終予想】
◎サイレントメロディは前走後方から12.2 - 12.2 - 12.5 - 12.7のラップで4角外を回してポジションを上げられず、L1の落ち込みも12.7とそこまでではない中で、外から一気に伸びを見せた。休み明けで外からしっかりと脚を出し切ってのもの。上位が内をロスなく立ち回った馬で、これらを撫でぎった点は展開面からも1枚上手の競馬だった。今回は相手は強化されるものの、この馬の場合はタフな展開になる方が好ましいトップスピード持続馬。また、緩んでも東海Sで見せたようにトップスピードの質自体も高い馬なのである程度どんな展開にも対応してくれそう。相手関係からも強敵はエスポ君とローマンだけ。適性の幅広さを考えればサイレントメロディが一番信頼できそうで軸としてはちょうどいいか。
〇ヤマニンキングリーは追い切りが良く見えた。この馬は本質的にダート向きだと思うのだが、あまりスピードを問われずに動き出しの良さで出し抜く競馬が合ってそう。それだけに、エーシンモアオバー単騎の競馬が期待できる今回はやはり狙いやすい条件といえそう。セイリオスに前に入られるとポジションを一つ以上下げることになるので、この辺りがポイントになりそう。シリウスSで見せた反応の良さからも、ペースアップには強いタイプだと思うし、この頭数、エーシン単騎の中で、しっかりと内ポケットの番手を確保できれば要所で抜け出してくるはず。
△エーシンモアオバーはここは56kgで楽にハナを切れそうというのが非常に魅力的。この馬はある程度スピードも持った馬ではあるが、本質的には緩めて二の脚で出し抜く藤田作戦が最もフィットしている馬。近走は斤量が重く、ペースも上がってしまってこういったこの馬本来の良さが出し切れなかった。勝ち切れるかとなるとかなり恵まれないととは思うが、圏内までに残る可能性は低くないはず。
エスポワールシチーは今回展開的にはベストな条件ではあると思うけど、意外と強敵が揃ったと思うし、追い切りを見ても万全とは思えず。南部杯に向けての叩きだと思うので、この枠で59kgを甘く見ていたら圏内を外すことまで考えておいた方が良いかもしれない。
ローマンレジェンドは先行力がなく、ペースアップしてからの持続力に秀でた馬なので、こういった1700mで基礎スピードが高い馬たち相手、この枠だと自分の競馬をさせてもらえない可能性も高い。能力は高いと思うが、コース取りや仕掛け所が結構重要な札幌ではちょっと狙い辛いかも。
【展望】
秋へ向けて、いよいよ有力馬が指導してくる時期となっている重賞戦線。ダート中距離も例外に非ず、前哨戦の前哨戦としては非常に豪華なメンバーが集まった。特に長きにわたってダートGI戦線を引っ張ってきた実力馬を筆頭に、今年重賞を勝って台頭してきた馬、連勝街道の勢いそのままに挑戦してくる馬、札幌の鬼逃げ馬。脇を固める馬も多彩でかなり面白い一戦。土曜日なのがもったいないほどのメンバーだが。
中心はここ最近善戦マンだったがかしわ記念の圧勝で持ち直してきたGI馬エスポワールシチー。フェブラリーS、JCDを制覇し、地方重賞を荒らしまくった実績馬。意外と知られていないが、実はマイル実績が高い馬で、かしわ記念や南部杯を含めてマイルGI級5勝はすごい。一度スランプに陥った時に何度か圏内を外しているが。この馬としては極端なハイペースにならずに、楽に追走してそこからギアを上げて突き抜ける競馬が得意。勝ったフェブラリーSも12.2 - 12.1 - 11.6 - 12.0とある程度厳しい流れから直線で突き放しにかかる競馬でテスタマッタに完勝しているし、JCD勝ちもGIとしては1000通過60.7とそこまで早くない流れから11.9 - 12.1 - 12.4 - 11.8 - 12.9と後半要所で動く競馬で圧勝している。全盛期のこの馬の良いところは、ある程度早い流れでもスピードで見劣らず、そこからぐっと伸びて突き放すことができるところにあった。前走はゴルトブリッツに完敗だが、12.5-12.4-12.9-11.8-11.8と中弛みがあって比較的緩いペースでL1が落ち込まない流れ。4角で早めに先頭に立ってゴルトの目標になったのと、最後の一伸びが足りなかったことからも、やっぱりこの馬にとって2000mは本質的に距離が長いように感じる。ただ、この安定感は、基礎的スピード能力、動き出しの良さ、トップスピードが高いレベルで備わっているからできる芸当なのかなと。ゴルトも高いレベルで適性を保ってはいるんだけど、仁川Sでも見せたようにトップスピードに入ってからの持続力が凄く高く、個人的にはダートでも長い距離の方が良いタイプだと思っているので、帝王賞に関しては適性の差ではないかと思っている。今回札幌の1700mと、総合力が非常に問われるコース。今回ハナを切るのが恐らくエーシンモアオバー。早めの仕掛けになるよりは、動き出しの良さを活かせる競馬の方がエスポワールシチーにとっては良いかもしれない。近走盛り返してきたとはいえ、トップスピード型が嵌りやすい札幌1700mというコースだけに、59kg背負ってしっかり勝ち切れるかどうかが焦点。圏内確保も油断できる相手、条件ではないと思っている。
相手筆頭にはマーチSで強敵撃破、東海Sで仕掛け遅れながら3着、そしてしらかばSで力を証明、サイレントメロディ。シンボリクリスエス産駒らしく、トップスピードの持続力がきわめて高く、トップスピード自体もかなりのものを持っている。前走はある程度のペースから12.2 - 12.2 - 12.5 - 12.7で4角外を回す。そこからは絶望的ともいえる位置だったがL1ばてずにぐんぐん伸びて前2頭を交わした。もちろん持続力を示したうえに、1700mの平均ペースで追走しても持ち味を消されなかった。この辺からもかなり走ってくるシンボリクリスエス産駒ではないかと思っている。もともとマーチSでは12.2 - 12.0 - 12.5 - 12.4 - 12.7のロンスパ戦でバーディバーディやナムラタイタンと言った持続戦の猛者たちを相手に勝ちきっているように、こういった舞台では本当に強い。またコーナーが緩い札幌でもロベルト系らしく高いパフォーマンスを見せている。今回1頭強い馬がいるのだが、斤量差と過程、適性という点で十分に逆転できる範囲というか、むしろ勝負掛かりはこちらの方だろう。力関係からも互角以上に戦えそう。
3番手には上位2頭に勝るとも劣らないパフォーマンスで重賞戦線に遂に殴り込みのローマンレジェンド。ゴルトブリッツと共にスペシャルウィーク産駒のダート馬として今年のダート界を席巻するかもしれない1頭だ。前走はトウショウフリークが刻んだ強烈なハイペースを好位で追走、直線半ばで突き抜ける圧巻の内容だった。これまで見せてこなかったスピード面での能力をこれで証明できたからにはもう適性面で怖いものはないだろう。この馬もスペシャルウィーク産駒らしく、緩いペースではトップスピードで戦えるし、前走のようにタフな持久戦でも重賞級を楽に退けている。初の1700mでもう少し良質なスピードが問われることになるのは確かだが、前走の持ち時計からも重賞はおろかGIでも戦える馬なのは間違いないので、相手関係だけが焦点だろう。
4番手にはヤマニンキングリー。昨年シリウスSで見せたキレ味は相当なものだった。何せ阪神のスペシャリストともいえるキングスエンブレムのお株を奪う勝負所での動き出しの良さ。12.8 - 12.1 - 11.7 - 12.8というラップ推移でしっかりと突き抜ける競馬ができたのは非常に大きい。それと、もう一点は中弛みに番手で対応したということ。芝では平均ペース向きだったのだが、ダートだといい位置につけて、緩んで動き出せるという別の馬に変わったような形。JCDでは平均ペースで外を回し、結局届かなかった。東京大賞典やフェブラリーSを見ても、確実にスピード勝負では見劣っている。シリウスSの内容からも、この馬は動き出しの良さを活かしたいタイプだと思うので、出来ればペースは緩んでスピード勝負にならない方が良いだろう。逆に言えば展開次第では上位を食うだけの素質は持っている馬。ただし、芝スタートの2000m戦だったシリウスS以外のダート戦では前に行けていないのでこの辺りが課題だろう。動き出しの良さを活かすにはある程度前で競馬しないとまずい。
何とか恰好をつけたい札幌の主エーシンモアオバー。ここ数走は好走と凡走を繰り返していて今回は単純に好走の番ではあるのだが、全盛期の安定した先行力は鞍上の勢いと共に影をひそめてしまっている。前走はハナを切ってL4から12.2 - 12.2 - 12.5 - 12.7と積極的にペースを上げていく競馬。この馬とすれば基本的には緩めて出し抜いて逃げ切る競馬がベストなので、ここ数走はペースが上がって苦しくなったという見方もできる。ただ今回は何気に56kgという斤量がミソ。ここ数走は57.5~58kgとダートでは酷な斤量だった。それが今回は56kgで挑めるという点は非常に大きい。出足と動き出しを武器にする馬なので、少しでも軽くなるのはプラス材料だろう。ここは馬券的にも狙いやすい条件で、相手関係も番手を確保しそうなエスポワールシチーは59kgでそう積極的ではないと考えれば楽な単騎逃げまでありうる。侮れない条件だ。
しらかばSでオープンにも目途を立てたセイリオス。前走は12.2 - 12.2 - 12.5 - 12.7のラップ、ペースが上がったところで緩いコーナーを最内最短距離で走れたのは札幌では非常に大きい。その分、ラストでしっかり脚を使えたが破壊力の差でサイレントメロディに屈していて実力的には見劣るのは確かだろう。今回も内枠なのでそれなりにロスなく進めそうな位置は取れそう。力的には少し足りなくてもそれを補うだけの総合的な適性は持っているので展開次第だろう。だが、何か一つ大きな武器があるわけではないので、上位と比べると。前走は最大限に恵まれたところもあり、前走ぐらいうまく嵌ってくれれば上位進出もあって良さそうだが、馬券的には狙い辛いところでは。
復調の兆しを見せてきているクリールパッション。札幌は本来庭のはずなのだが、前走では12.2 - 12.2 - 12.5 - 12.7のラップで捲り気味の馬を見ながら外目を追走してはいたが直線まだ本来の伸びを見せることはできなかったという感じ。今回は56kgで極端なスランプからは脱却してきている今なら、展開次第で圏内に加わってきても不思議はない。ただし、やはり追い切りなりなんなりでプラスアルファの条件が欲しいところだ。前走は休み明けもあっただろうが、今年の重賞2走は内容的にも決して悪くはない。叩き2走目で変わってくれば面白い1頭だ。
スピード勝負になりやすい1400mで結果を出しているサイオンが不気味。前走マリーンSでは12.0 - 12.2 - 12.3 - 12.7のラップ。3角一番速いところでは手応えも余裕があったが前が壁になり4角で一旦下げてスペースを作るロスがあった。そこからじわじわとは伸びていただけに、下げた分のロスは小さくなかっただろう。この馬はクロフネ産駒でも1400mで良質なスピード勝負でもある程度対応できているタイプで、これは珍しい。クロフネ産駒がダート重賞でなかなか勝てないのは、基本的にスピード不足の馬が多いからだと思っているので、こういった基礎スピードが高い馬、プラス東京1400mのように緩急がある程度あって動き出しも問われる舞台で戦える馬というのは面白い。マリーンSでも要所の手応えは良かったので、重賞戦線でも通用してくるのではないか。小回りの函館から緩い札幌で比較的トップスピードも問われる条件、更にある程度の緩急にも対応できるタイプという点からも、結果はともかくここでどこまでできるか非常に楽しみ。
http://blog.livedoor.jp/catassan/ 08/25 12:37
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