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【予想】
展開はハクサンムーンがまず逃げの手に出る。テンでかなわないテイエムオオタカ、パドトロワの2列目争いだが、テイエムは外から勝ちに行く競馬では甘くなることを藤田は分かっていると思うので、縦のポジションの意識よりも出来るだけ内目に入りたいはず。対してパドトロワは力で捻じ伏せていけるタイプなので、ハクサンとの差はできるだけ詰めておきたい。これと枠の差で、テイエムはもしかすると3列目にまで控える可能性がある。いずれにせよハクサン単騎、これを突くパドトロワの展開なら京都1200でも極端なスローにはならないとみる。いつもより追走力が欲しいのと、追走に脚を使わされないトップスピード型がベスト。
◎パドトロワは能力を信じる。昨年スプリンターズSの時は高速馬場で、前半33.0のラップでハナを切れていた。それに対して今年、前走のスプリンターズSではそれよいも速い32.7のペースで雁行状態の中目とかなり苦しい競馬になった。カレンチャンに早めの競馬をされ、更にそれを目標にロードカナロアが差す競馬を考えると強い競馬をしている。この馬はキーンランドCで新境地を開いていて、単騎逃げから11.5-11.3-11.3と加速ラップでそれなりに速い脚を使っている。これで実際番手競馬のテイエムオオタカを寄せ付けない競馬。トップスピード型のダッシャーゴーゴーには完全にキレ負けしていたが、京都1200への適性もそれなりに見せた点は大きい。加えて今回はハクサンムーンがある程度の飛ばしてくれて、番手競馬でもマークを外しやすい。時計が掛かる馬場状態も歓迎だし、道悪が少し残るようならなお競馬がしやすいだろう。58kgで人気を落としすぎている印象。単純なポテンシャルで考えればここで敵はいないはずで、トップスピード勝負にもめどを立てた前走、基礎スピードの高さを見せたアイビスSDの2列目からの抜け出しなど、普通に力が違うと思っているのだが。外目の番手である程度リードを確保できそうな今回は多少外差し馬場になったとしても上位争いなら期待できる。
〇エーシンホワイティの前走は正直不満。11.6-11.0-11.2-11.6とL3最速戦でそれなりにポテンシャルを問われたとはいえ、直線であまりにも伸びなかった。安土城Sの内容からも距離だとは思わないが、少し謎の残る敗戦。ただ、追い切りは今回時計をしっかり詰めたうえで良い動きをしているし、得意の京都1200mで持ち味のトップスピードが活かせる状態、加えて外差し傾向にそれなりになってきた馬場、道悪も多少残るかもという点でも狙い所には違いない。要所で外に出すことで仕掛けのタイミングが遅れながらもサドンストームより切れる脚を使った2走前を素直に評価したい。
▲スプリングサンダーは京都1200実績はないが、本質的には苦手ではないタイプ。序盤のポジション能力は足りないが、追走で脚を使わされる馬ではないので、京都1200なら序盤からある程度ペースが上がってくれる方がより早くエンジン点火されるという点で良い。3角からは下り坂が有ってここでしっかりとトップスピードに持っていけるので、前がばててくれるところを差し込むのが得意のこの馬なので、展開的には今回ピタリと嵌る可能性が高い。CBC賞でも見せたように、前傾ラップで脚を出し切る競馬にさえなれば、トップスピード持続力が火を噴く。雨で渋ってくれればなおのこと良いが、雨がそれほど残らなくても今回の展開なら手を出しやすい。人気もいい具合にない。
△シュプリームギフトはやや勝ち身に遅い印象は拭えないが、オパールSでは勝負どころの4角で少し置かれて最後巻き返してきていた。11.1-10.9-11.5とコーナーでかなり速い脚を要求されていて、ここで良さが出なかった形だろう。ただ、この馬は追走に脚を使っても問題ないタイプで、4走前で最高の形で逃げたテイエムオオタカは捕えられなかったものの前傾ラップで10.9 - 11.5 - 11.7 - 11.8の推移で札幌の緩いコーナーで外からジリジリ伸びてきていたように、ポテンシャルは高い。キーンランドCでは11.5-11.3-11.3の流れではキレ負けしても仕方ないし、3着のテイエムオオタカとは0.1差しかないので、悲観する内容ではない。今回はハクサンムーンの逃げ、パドトロワが外目の番手を確保することで、恐らくガッポリ生まれるであろうスペースを最大限利用できる枠。内ポケットの番手で前にスペースを作りながら、3角の下りでじわっと押し上げて直線までにうまくパドトロワの進路を使えそうというのも良い。また捌く、進路取りが上手い秋山でその辺にも期待。同じ列で内を使えるならテイエムオオタカに逆転できる。
テイエムオオタカはまず今回は内にパドトロワがいるのがキツイ。お互いテンはそこまで速くないが、ハイペースでハナを取りきれなければテイエムオオタカは甘いのに対してパドトロワはそれでも戦える。こうなるとテイエムとしてはなかなかポジションを主張しにくいし、よしんば本気でハナを窺ったとしても、結局3番手の外と苦しいポジションになりそう。かといって内を確保しようと思うと、ある程度下げないといけないし、シュプリームよりも後方からでは難しい。今回はかなり難しい競馬になると思う。
ハナズゴールは追い切りは良かったと思う。2歳時だけど素晴らしいトップスピードを見せていて、ここをこなしてきても不思議はないけど、出来ればスローで団子想定の方が良かった。ただでさえそんなに出が良い方ではないのに、ポジションが致命的になりかねない。終いだけに徹すれば、ある程度上位には来ると思うけど、圏内までとなると同型で強力なライバルもいて、しかも結構人気薄が多い。わざわざリスクを背負って狙う必要はないか。
サドンストームはペースが上がるのは歓迎だけど、今回内枠を引いてしまったのが難しいところ。うまく捌ければいいけど、京都の内周りは結構難しいし、L1もそこまで落ち込まないので今の馬場なら外からトップスピードに乗っちゃった方が良いと思うけど、このメンツだと一旦下げきらないと競馬がしづらい印象。人気だし、多少リスクがある今回は狙いを下げる。
【展望】
雨に祟られたここ2週間、最終週の淀の芝がどういった状態になるかが重要になってきそうだ。メンバーはなかなかのメンバーが揃った。今年のキーンランドC勝ちでGIでも好走実績がある古豪を筆頭に、1200mの安定株、スワンS2着の実力馬、3歳からはテンのスピードは超一級品の快速馬、京都1200の京洛Sで末脚爆発させた3歳馬などなど。来年春の高松宮記念へ向けて主役の座へと駆け上がっていく馬はどの馬か。
中心はキーンランドCでダッシャーゴーゴーを抑えきっての勝利、実力は屈指のパドトロワ。キーンランドCでは楽にハナを切ると、11.5 - 11.3 - 11.3のラップ推移、二の脚でしっかり突き放す形で粘り込んだ。ダッシャーゴーゴーが進路確保で後手を踏んだとはいえ、こういったトップスピード勝負で凌いだという点は大きいし、正攻法のテイエムオオタカは問題にしなかった。もともとはスプリンターズS2着の実績があるように、ある程度前傾ラップで序盤からスピードに乗ってポテンシャルを活かし切る競馬がベスト。だが、その傾向をキーンランドCで覆した形。トップスピード勝負は決してベストではないにせよ、その競馬で逃げて結果を出してきたのは注意したい。京都1200mはフラットな馬場状態ならトップスピードは確実に問われるコース。これまでのパドトロワだと不安材料もあったが、今ならそれほど大きな問題にはならないだろう。ただ、それでも京都1200の特質上、下り坂で後続は加速をしやすくトップスピードを引き出しやすいコース。それだけに、馬場状態が外差に移行していたとしても、ある程度飛ばしてリードは広げておきたいのも事実。ここはハクサンムーンがある程度飛ばすだろうし、番手でこのペースに乗っかれそうな条件は良い。実力では1枚上なのは間違いない。後続の馬にキレ負けしないような位置を取ることが重要だろう。58kgの斤量はむしろ序盤のポジショニングに響いてくるかもしれないが、番手を確保できれば。
相手筆頭には京洛Sで鋭く伸びた3歳馬サドンストーム。超高速馬場で行われたセントウルSでは11.0 - 11.2 - 11.9のラップ推移。前にいるか上手く内を立ち回ってポジションを上げた馬が上位だった中で、この馬は大外からグングン伸びてきた。トップスピードに乗ってから良いものを見せていて、質・持続力ともに一線級相手でも通用することが分かった。オパールSでは11.1 - 10.9 - 11.5のラップ推移、最速がコーナーになっていて、ここで外目をまわして少し置かれたのも大きかった。京洛Sでは逆に序盤ペースが上がったことで11.4 - 12.0 - 11.4のラップ推移。後方から脚を溜めたことで末脚を爆発させた。後方から序盤無理せずに、仕掛け所の下り坂でしっかりと加速させてやって直線を向くことで持ち味のトップスピードを全面に活かすのがベストだろう。また、今の少し外有利の状況を考えると、オパールSのようにスローで団子、コーナーで最速というような形になっても今の馬場ならトップスピードに乗った方が強いので、好勝負できるはずだ。セントウルSの内容からも、力は一線級相手に通用する目途は立てているので、この相手ならば好勝負以上を期待したいところだ。
3番手にはスワンSで逃げ粘ったテイエムオオタカ。京都外1400mらしいややスローからポジションの差をあまり作れなかったものの、11.5 - 11.0 - 11.2 - 11.6のラップ推移でコーナー~直線で加速して出し抜く競馬。トップスピードやギアチェンジ能力の高さに、ポジショニングを合わせた形で2着を確保した。今回は1200mということで、しかもハクサンムーンやパドトロワと言った強力な先行勢がいる今回、ポジショニングで苦戦する可能性は高い。トップスピード勝負でも2列目の外という舞台で挑んだキーンランドCではパドトロワに完敗していることからも、京都1200mは得意だとは思うが、ある程度条件が必要となってくるだろう。内枠でポケットからという競馬ができればそれが一番かもしれない。もちろんハナを切れれば言うことはないが、テンが速い馬ではないし恐らく難しいだろう。ここ2走はほぼ理想的な競馬でのものであり、外差し馬場にハクサンムーンがある程度飛ばす展開を考えるなら、少々苦しい条件になるかもしれないか。高い総合力はあるが、今の馬場状態でどこまでやれるか、強敵相手にGI戦線に乗っていく前に、まずは試金石の一戦だろう。
穴どころからは京洛Sでは届ききらなかったマコトナワラタナ。オパールSでは開幕週で内が有利の馬場状態。11.1 - 10.9 - 11.5のラップ推移からも外差には苦しいはずだったが、トップスピードの違いで一頭違う脚で伸びてきた。ここからも、持ち味はカミソリのようなキレ味であることは間違いないだろう。実際葵Sでも11.0 - 11.4 - 11.3 - 11.4のラップ推移で外から鋭く突き抜けていて、京都1200に問われるトップスピードの質と持続力どちらも高いレベルで備えていると言える。ただし、わかりやすい程ポジショニング能力が欠如していて、京都1200m以外のコースでは追走力不足で勝負になっていない。序盤の上り坂でペースが上がりにくく、馬群が団子状態でポジションの差が出にくい状況で持ち味を発揮できるタイプだ。それだけに、今回はハクサンムーンの出方がポイントになってきそうだ。適性的には京都1200でもスローで発揮してくるタイプ。オパールSのパフォーマンスからも、今の馬場でトップスピード勝負になってくれば勝ち負けにまで絡んでくる馬だとは思うので、後は展開次第だろう。
快速ハクサンムーンの激走に注意。前走京洛Sではかなり絡まれて、強烈な上り坂が3角手前にある京都1200mではありえない前半3F33.1。これでは終い甘くなっても仕方ない。道頓堀Sではハイペースを刻んで10.6 - 11.3 - 12.6のラップで押し切る競馬。縦長の展開を作り出して他馬には追走に脚を使わせて押し切る典型的なスピード強調タイプ。それだけに1200mでは特殊でトップスピードが重視される京都1200mだと競馬がしにくいのは間違いない。前走は度外視してかまわないし、今回マイペースで進めることも間違いないが、今の所一本調子の感はぬぐえないので、京都1200ではどうかの不安は依然付きまとうか。それでも見せているパフォーマンスは重賞でも勝ち負けできそうなものは見せているし、ここも番手勢は強力だが、前走ほど玉砕してきそうな馬はいないだろう。平均的に刻んでどこまでリードを作れるかがポイントか。
京洛Sで好位からしぶとく伸びてきたジュエルオブナイルも圏内。前走はハクサンムーンが刻むハイペースを離れた3列目の外で競馬。11.0 - 11.4 - 12.0 - 11.4のラップ推移で直線中目から直線でしぶとく伸びてきわどい2着争いを制した。ハンデ戦53kgでの内容とはいえ、ツルマルレオンとは斤量差なしで退けているし、休み明けでも走る方とはいえ、しっかりと結果を出せた点は評価したい。もともとアイビスサマーダッシュで5着。0.6差離されているとはいえ、基礎スピードは高い馬。京都1200mではかなり安定している馬だし、平均ペース向きの馬でポジションも常にある程度いい位置を確保できる馬。ただし、やはりこのクラスにまで入ると、後一歩上位に食い込んでくるだけの武器がないというのも事実。今回は中心馬もそれなりに強敵で、なおかつ穴馬にも魅力的な馬が多い。そう考えると、相対的に狙い辛い印象ではあるか。
オリービンが更に距離を短縮させてきた。前走スワンSではスローペースもあったが好位につけて外からジリジリ11.5 - 11.0 - 11.2 - 11.6のラップ推移で伸びきれなかった。ただ、特に押されることなく楽にポジションを取れていたし、距離も1200mになるとはいえ、ポジショニングに関してはそう大きな不安はないか。勝負どころで外を回して置かれていたことも大きかったし、最後までジリジリとは伸びていた。トップスピードに関しては少々足りない部分が有り、L1のバテ差しタイプではあると思うので、この辺りが京都1200mでどうなるか。それでも外差傾向の馬場であることは確かで、序盤好位を確保できるようであれば、ハクサンムーンがある程度飛ばす展開を考えれば面白い存在ではあるかもしれない。それよりも、先週GIを制した武豊に替わることで、人気面でどうなるかの方が心配材料ともいえそうで。
スワンS3着のアドマイヤセプターも更に距離短縮。序盤ペースがそこまで上がらない京都1200mだし、テンもそれなりに速い馬なので、これも好位3列目ぐらいまでにはつけられればというタイプだろう。東京1400の白秋Sで12.1 - 11.3 - 10.8 - 11.4のラップ推移で抜け出した内容からもトップスピードタイプの馬。ある程度の位置から高いトップスピードを使えるという点でも京都1200に替わる点は決してマイナスとは思わない。ただ、前走はテイエムオオタカを見る形で進めながら、意外と伸びきれずに、結局差し切れずの3着。ただ、平均ペースよりはスローの方が弾けるタイプなので、スワンS自体はスローだったとはいえ、序盤でそれなりに脚を要求され、L3最速という条件は良くなかったかもしれない。課題はやはりハクサンムーンがある程度のペースを作って平均的な競馬になった時だろうか。出来れば内目の枠で脚を溜めてという形が良いか。
スプリングサンダーも怖い。前走スワンSではある程度序盤からいい位置を確保したせいもあるだろうが、11.5 - 11.0 - 11.2 - 11.6の最速地点で外を回してしまったのが大きく、直線で伸びあぐねた要因ともいえそう。トップスピードはそこまで高い馬ではなく、これまでの傾向からも後方から構えて、トップスピードの持続力で勝負するタイプ。前走は軽い馬場で良質なトップスピードとポジショニングを問われたレース。それほど気にする必要はないだろう。スローの京都1200だと前も加速する流れなので差し切るのは難しいが、今の馬場で平均ペースの競馬になってくればこの馬の良さも出てきそうだが。ただ、勝ち切るまでとなると、展開面での後押しが欲しいタイプであるということは間違いない。一雨くれば面白い。
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