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【最終予想】
先週の馬場が嘘のように今週は打って変わって高速馬場化。超高速とまでは行かないも、かなり早い時計が出ているし前も止まりづらくなってきた。展開はサトノシュレンがハナを狙える立場にあるが、行くなら行くしかないのでこれを見ながらトウカイパラダイスが単騎の2番手、3番手以降にカポーティスターやフフォゲッタブルあたりがつけて、フェノーメノがこれを見ながら好位という感じ。全体的にはやはりゴールドシップの動きを封じるためにペースは上がりにくいとみるが、同時に前がノーマークになる可能性も高い。
◎トウカイパラダイスはとにかく良い位置で競馬が出来て高いポテンシャルを活かしてばてないという競馬が魅力的の馬。この馬を舐めてはいけない最大のレースが金鯱賞で、12.7 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.7 - 11.5 - 12.0と超ロンスパ戦を2列目から進めて直線までばてずにしぶとく粘っていた。これ1~3着が相当なメンツでオーシャンブルー、ダイワマッジョーレ、アドマイヤラクティと後に高いパフォーマンスを示した馬ばかり。しかも明らかに差し有利の展開で先行勢で唯一粘っていたというのも大きな評価をすべきだと考えた要素。距離に関しては昨年のこのレースで中団からジリジリとしか伸びなかったがばてていないように問題ない。ここ数走は恵まれておらず、日経新春杯もラップ的にはスローでトップスピード勝負の中、2列目からジリジリ伸びずばてず。大阪杯も超スローで見せ場は有ったがトップスピードでは見劣った。どうしてもトップスピードは一線級と見劣る馬なので、ポテンシャルを活かす競馬が必要。今のトウカイトリックは昨年と違い前で運んで粘り込む競馬を身上としているし、今回はノーマークで前に行ける立場。金鯱賞でリードの無い中でのロンスパでもばてていないが、これを4~5馬身前からやれれば今の高速内有利馬場化した京都なら粘り込めるはず。
〇アドマイヤラクティはここまで高速馬場になるとは想定していなかったが、これも岩田なのである程度前目で競馬をしてくれそうという点は良い。この馬も金鯱賞を評価すべきで12.7 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.7 - 11.5 - 12.0と超ロンスパ戦を後方で進め、直線では外目に出しての競馬になったがL1まで一番いい脚を使って伸びてきたようにとにかくポテンシャルが高い。勝ったオーシャンブルーやダイワマッジョーレは内を上手くついていたし、その点でもロスが有りながら最後まで良い脚を使えていた点でポテンシャルに関してはこの2頭より上とみていいだろう。またダイヤモンドSでは距離延長によってポジションをそれなりに前につけることができたのも大きく、13.2 - 12.3 - 12.0 - 11.8 - 12.0 - 12.5のラップ推移で外から押し上げながら最後まで良い脚を使えていてジャガーメイルを完封。確実にパフォーマンスを上げてきた。岩田なのである程度前目、それも内目に拘ってくれそうだし、有力各馬がゴールドシップを意識する競馬にはなるだろうから、この馬とすれば絶好の展開と言える。昨年のトーセンジョーダンのような競馬が出来れば。
▲ジャガーメイルはこの馬場なのでどうしてもトップスピードの高さに惹かれての単穴評価に。前走でも中団からしっかり脚を使えているし、58.5kgを背負っての内容を考えれば遠征帰り初戦としては上々。昨年の天皇賞春は12.1 - 11.9 - 11.4 - 11.7 - 12.3 - 12.5のラップ推移で直線序盤は馬群を捌いて鋭い脚を繰り出していたし、トップスピードに関してはここでも最上位の1頭。トップスピードは高いがギアチェンジはそこまでではないので、JCや秋の天皇賞では苦しかったし、京都の下り坂を利して上手く加速しながら直線入りでトップスピードに入る展開になればこの馬の良さが出る。
△フェノーメノは高速馬場ならゴールドシップより優位に立てるため抑える必要がある。ダービーでは一貫ペースで厳しい流れになったがL1でしぶとく伸びてきているようにポテンシャルはある程度持っている。ここでゴールドシップを寄せ付けていないのは相当評価できる内容だが、高速馬場状態で基礎スピードが問われたときのゴールドシップはそこまで強くないので何とも。この馬は基礎スピードの高さ、ポジショニング、トップスピード、ポテンシャル、ギアチェンジの全ての要素を持ち合わせた総合力の高い馬だけに、特化したレースになると苦しくなる傾向がある。その点でこの馬としては偏った馬場状態になると勝ち切れるかどうかは不安もある。ただし、高速馬場でトップスピードが問われる展開になれば歓迎だし、ポテンシャルも持っている馬なので厳しい競馬になっても対応できるだろう。押さえておきたい。
ゴールドシップはまさかここまで馬場高速化が進むと思わなかったので消しておきたい。昨年のオルフェーヴルでもあの位置で3角を迎えるとトップスピードが問われて押し上げられなかった。ゴールドシップの場合は早め捲りが確定的な競馬ではあるのだが、序盤スローになってしまうと要所で捲ろうと思ってもすっとトップスピードに乗せられない危険があるし、3角までにエンジンが掛からないと昨年のオルフェーヴルのように各馬トップスピードに入ってからの捲りが強いられる。また今回前2~3頭ぐらいはポツンポツンとした競馬になりそうで、リードを作られたときに対応できるかどうかも結構難しい。個人的には悪い材料が揃った中でこの抜けた人気なので切って妙味とみる。
トーセンラーは菊花賞を見る限りある程度やれそうではあるんだけど、今回ポテンシャルタイプもトップスピードタイプもなかなかいい馬が揃っていて、強調に欠けるかな。デスペラードもこの馬場で後方からの競馬ではちょっと難しいだろう。
【展望】
古馬の長距離GI、伝統のGIレース、淀の坂を2度越えるスタミナ勝負の天皇賞(春)が今年もやってきた。ただ、90年代には力勝負の舞台だったこのレースも2000年を境に高速馬場による逃げ馬の番狂わせが多くなった。それだけに、まず馬場状態を気にすることが増えてしまったが、今年は先週を見る限り雨を差し引いてもそこまで極端な高速馬場ではないという点は競馬ファンとしては歓迎だ。今年は現役3強の一角、有馬記念をロンスパで勝ち切り、圧倒的なパフォーマンスを見せている4歳馬が主役。これに同じ明け4歳、クラシックには手が届かず、3歳時は善戦どまりのGII大将が悲願のGIタイトル奪取を狙って立ちはだかる。他にも昨年の香港瓶勝ち馬がイギリスから参戦。5歳になって軌道に乗ってきた上がり馬、古豪が勢ぞろい。オルフェーヴルは出ないが、今年の長距離路線の頂点を決めるには十分すぎる豪華メンバーだ。これに極端な馬場ではなく力勝負ができる馬場状態なら好レースは必至だろう。前編は有力馬たち、そして後編は不気味な外国馬含め、伏兵馬たちをまとめて展望だ。ステイヤーたちのとてつもないポテンシャル勝負が淀の舞台で繰り広げられる。見逃せないレースだぞ。
不動の中心は昨年のクラシック二冠、それに有馬記念を勝った現役三強の一角、ゴールドシップ。もはやロングスパート戦では敵がいないと言っても過言ではないぶっちぎりのポテンシャルの持ち主だ。有馬記念ではルーラーシップほどではなかったが出遅れて後方からの競馬を強いられた。だが、向こう正面からのペースアップで12.5 - 11.9 - 12.1 - 12.1 - 11.9 - 12.0とロンスパ戦を大外ぶん回して一気に押し上げていくと、直線でもばてるどころか一番いい脚を使ってL1でグンと突き抜けての圧勝。ルーラーシップは更に出遅れたとはいえ、ポテンシャルタイプの強敵ルーラーシップに対してどの地点でもいい脚を使っていたように、とにかくポテンシャルでは敵がいないと言っても過言ではないほどだ。とにかくばてない。阪神大賞典でもタフな馬場で12.4 - 11.8 - 12.1 - 12.2 - 12.1 - 12.3 - 13.0とこれまた超ロンスパ戦。この流れで小細工なしの大外捲り。直線序盤で早々に先頭に躍り出たが、ここでは流石にL1落としてデスペラードにじわっと差を詰められているが問題としない完勝だった。このように、菊花賞や神戸新聞杯も同様にペースが上がる前に先に仕掛けて無尽蔵のスタミナを担保に一気に捲ってポジションを押し上げて捻じ伏せるというのが持ち味の馬なのはもう説明する必要はないだろう。それぐらい桁が違うパフォーマンスを見せてきているのだから。とにかくポテンシャルではオルフェーヴル以上のものを見せていると言っていい。
反面でこの馬は2つの弱点を持っている。1つ目はポジショニングの悪さ。近走益々拍車をかけているのだが、ゲートから1,2完歩目がとにかく遅い。かつ最近は発馬も悪い。特に衝撃だったのがコテコテのステイヤーが集まった阪神大賞典ですらゲート後手の後押しても反応できずに後方からの競馬になってしまったことだ。それにそもそも唯一先行できた共同通信杯でも枠が良かったし、ゲートも微妙だったがかなり激しく追われて漸くという感じだった。菊花賞以降は完全に追い込み馬と化しているように、もうポジショニングに関しては諦めるしかないだろう。もう一つはギアチェンジ能力が低いという点。どのレースでも捲る前に3コーナーでガシガシと追われているように、反応はかなり遅い。これも真正ステイヤーとなっている兆候だが、内田博幸の方が先にばてそうなほど鈍く、向こう正面で追われてようやく3角で押し上げていくと言った感じだ。とても近代競馬の馬とは思えないが、ポテンシャルが化け物じみているだけに、それぐらいのハンデは必要かもしれない。ポテンシャルが高いがポジショニングが悪くギアチェンジ能力がないということ、基本的には平均ペースでスピードで押し切られる競馬や、高速馬場で要所ですっと加速が問われる競馬には脆いとみていいだろう。この馬の武器であるポテンシャルを担保に、他の馬より真っ先に仕掛けてロンスパ戦に持ち込むことで安定してきた。京都の舞台なら更に勝負所に下り坂もあり、トップスピードが極端に問われなければ当然この馬が中心となるだろう。唯一の不安は昨年のような馬場状態になることだったが、先週を見る限りその不安は小さいと言っていい。ここは強力なライバルの2頭がいない以上は受けて立つ立場になるのは間違いないのだが、この馬が最大のパフォーマンスをした時にどこまで強烈なものを見せるのか、競馬ファンとしては興味が尽きない。競馬に絶対はない。この馬で勝利を限りなく絶対にするためには、鞍上内田博幸がこの馬を信じることができるかどうかだけだろう。迷わず上がって行け、3角の手前で。
相手筆頭にはクラシックで無念の無冠、天皇賞秋で無念の惜敗、今度こそ戴冠だフェノーメノ。ステイゴールド×メジロマックイーンの黄金配合が世を席巻する中、それに待ったをかけるのもまたステイゴールド産駒だ。日経賞では格が違うと言わんばかりの完勝劇を見せた。スローペース気味の流れから12.3 - 12.3 - 12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.7と徐々に加速していく流れ。3角で3列目外目からじわっと進出、先に動いたカポーティスターを見ながら直線を向くと、序盤で楽に差を詰めてきてそのままL1で並ぶまもなく抜け出しての完勝だった。ここでは格が違ったという所だ。ダービー2着は勝ちに等しいパフォーマンスだったが、高速馬場で一貫ペースの流れ、12.4 - 12.3 - 11.7 - 12.0 - 12.4のラップ推移で離れた中団から直線半ばを過ぎて鋭く伸びてきた。最後に外に刺さり気味になって立て直してからも伸びていて着差はハナ。これは痛かったがこちらが勝っていてもおかしくなかった。また、評価すべきは後続のワールドエースやゴールドシップと言った追い込み勢をL1で寄せ付けていない点にある。この馬の持ち味はやはり要所のトップスピードとある程度のポテンシャル、ダービーの高速競馬にもある程度の位置につけて平均ペースを維持できる基礎スピードの高さ、そしてそれをある程度の位置から発揮できるという所にあり、ゴールドシップがポテンシャル特化型の化け物なら、この馬は総合力がきわめて高い秀才タイプと言える。ギアチェンジ能力はそこまでは見せていないものの、天皇賞秋でも3列目からしっかり反応できているように悪くないものは持っている。とにかく弱点がない。
しかしこちらも弱点は無いがこれと言った明確な武器がないというのも悩ましいところだ。例えばスロー気味でトップスピード勝負になればエイシンフラッシュのギアチェンジ、トップスピードで一瞬に出し抜かれてしまう。JCのように捲られて有力馬と差の無い位置からトップスピード勝負になっては適わない。ポテンシャルに関してはまだ未知数な部分もあるので何とも言えないし、長距離適性もどこまであるかは分からない。特にダービーは超高速馬場で基礎スピードが問われた一貫ペースでもあったし、JCのパフォーマンスはこれまでで一番低かった。この辺はゴールドシップとは違う点で不安材料と言えるだろう。とはいえ、ゴールドシップと比較する上で、ゴールドシップよりも明らかに前で競馬が出来て、トップスピードでは上という点は非常に大きな魅力。ゴールドシップが捲る競馬というのはほぼ確定的なので、ポイントはやはり3~4角だろう。ゴールドシップより前で、内で進めること、そして3~4角のゴールドシップの仕掛けに合わせてゴールドシップの内から併せて抵抗するような形になれば面白いかもしれない。後は未知の距離適性、ポテンシャルが高いことを信じてゴールドシップを出し抜く競馬が狙えれば面白いだろう。ちなみに何度も説明しているので内容は割愛するが、若いころの2度の馬券圏外は2度とも岩田で2度とも異次元の糞騎乗なので全く気にする必要はない。器用さが有りトップスピードとポテンシャルがそれなりにあるタイプだが、ギアチェンジがそこまで高いわけではないので外々から前を向いて競馬ができる方がいいタイプ。岩田がダメで蛯名と合っているのはその辺にあるのだろう。とにかくダービーでゴールドシップに先着した力は間違いなく本物。あとは適性面の問題だ。
3番手には芝に転向して持っているポテンシャルとトップスピードを引き出してきたデスペラード。本格化したゴールドシップを直線で唯一詰めた馬と言えばわかりやすいだろう。阪神大賞典では比較的タフな馬場で12.4 - 11.8 - 12.1 - 12.2 - 12.1 - 12.3 - 13.0と超ロンスパ戦。ゴールドシップでもL1が13.0となるほどかなり強烈な競馬になった。最後方でゴールドシップの動き出しを見ながら追走、3~4角で上手く内目を立ち回っていたがそれでもここではゴールドとの差は広がって直線。序盤こそ3~4馬身ほどあった差を詰め切れなかったがL1でジリジリ伸びてくると最後は何とか2馬身差まで詰め寄った。抜け出して少し遊び気味だったゴールドシップと比較するのは難しいにせよ、それでもこの馬を詰めたという点は評価されて良いし、この馬のポテンシャルの高さを改めて示した形。ステイヤーズSでもかなりタフな馬場でスローから13.0 - 12.5 - 12.0 - 12.2 - 12.1 - 12.6と3角からペースが上がる競馬。そこで向こう正面で押し上げ、3~4角で外から一気に捲って直線だったが内からトウカイトリックらに出し抜かれてしまう形。それでもL1では詰めているように、トップスピードタイプだと思っていたがかなりポテンシャルが高い。万葉Sでは内有利馬場の状態で12.2 - 12.2 - 11.8 - 11.7 - 11.5 - 12.3とこれまたロンスパ戦で3~4角が速い流れ。これも外目からじわっと押し上げて直線で大外強襲。L1で必ず伸びてくるというポテンシャルタイプで、まだ底を見せていないという点では非常に魅力的。
課題もある。一つはゴールドシップよりもポジションが悪いという点。これが解消しない限り、ゴールドシップの捲りに乗じた突っ込みバテ差し馬という枠組みからは出られないだろう。もう一つは長距離戦になってからトップスピードに陰りが見えている点だ。長距離にシフトしたことでポテンシャルの高さを引き出してきたが、反面として要所での反応という点ではちょっと物足りない。特に八坂Sでは準OPとはいえサクラアルディード、ジェントルマン、サトノパンサーと言ったかなり強力なメンツを11.7 - 11.9 - 11.0 - 11.3のラップで大外まとめて鋭く差し切っているように、本来トップスピードも高いものを持っているはずなのだが、長距離では要所での良さを見せられていない点は気がかりだ。まあ素直にゴールドシップがまとめて潰したところを突っ込んで2着狙いという戦略ならば問題ない馬なのだが、それ以上を目指すとなればやはり策を張り巡らさねばなるまい。ゴールドシップの捲りで内が仕掛けざるを得ない展開になり、そのスペースを押し上げて上手くつき、脚を残してトップスピードを引き出すことができれば面白いかもしれない。まだ底を見せていないのは間違いないので、この大一番でパフォーマンスを大きく上げてこれるかどうかがポイントだろう。番狂わせには運と戦術が必要だ。
4番手には対ゴールドシップ最終兵器のジャガーメイル。前走ダイヤモンドSではポテンシャル勝負に持ち込まれたが13.2 - 12.3 - 12.0 - 11.8 - 12.0 - 12.5のL3最速戦で58.5kgを背負って外からしっかりと伸びてきた。香港ヴァーズではレッドカドーに敗れはしたが、直線入りの鋭さは相当なもので、要所のトップスピード勝負で海外トップクラス相手に勝ち負けを演じられたように力自体は衰えていない。そして対ゴールドシップ最終兵器と言ったように、この馬の特性はゴールドシップは真逆な点にある。まず高速馬場に非常に強い。もともと春の天皇賞勝ちの時も超高速馬場でスローペースから12.5 - 11.8 - 11.3 - 11.4 - 11.5と4F勝負、L1落ち込まないトップスピード勝負で4角先頭に立ったマイネルキッツを鋭く差し切っての完勝。とにかく鋭く切れるトップスピードはメンバー屈指。ただギアチェンジ能力がそこまで高いというタイプではなく、このレースでもそうだが徐々に加速することでトップスピードに乗って軽い馬場で切れる脚を繰り出すという形だ。また昨年の天皇賞春でもビートブラックが早め先頭から12.1 - 11.9 - 11.4 - 11.7 - 12.3 - 12.5のラップで押し切る競馬になったが、離れた位置から中目馬群を縫って鋭く伸びた。L1でウインバリアシオンのポテンシャルに屈して惜しくも4着だったが、要所の鋭さは屈指の持ち主だ。
確かに齢を取って安定感は欠いているが、天皇賞秋では超高速馬場で基礎スピードが足りずにポジションも悪かったし、ジリジリとしか伸びなかったが距離を考えると悪くない競馬。JCでは有力各馬捲りの競馬の中で内でポジションを落としながらの競馬になって上り33.3でも10着まで押し上げるのがやっとの展開。ここ2走と含めても確実に昨年春以降は盛り返してきている。これならば、ゴールドシップとは真逆の武器を活かせる展開になれば番狂わせも十分にあり得ると言っていいだろう。昨年のパフォーマンスからも、ここで舐めていい馬ではない。ポジショニングが上手い戸崎とのコンビ、ゴールドシップを意識して各馬スローに落とし込む競馬になった時にはこの馬のトップスピードの破壊力には軽快すべきだろう。また決してポテンシャルが足りない馬でもない。上手く前を向いて脚を出し切れればここに入っても互角以上に戦えるだけのパフォーマンスを見せている。1週前の追い切りはかなり破格の時計を出してきていた。あとは直前追い切りで反応を確かめていい出来に持って行ければ3年ぶりの春の盾制覇も夢ではないだろう。出来れば高速馬場が望ましいが、当日の馬場状況を把握しておきたいところだ。
前編最後は超距離延長のダイヤモンドSで一気に開花の感があるアドマイヤラクティ。ハーツクライ産駒の距離延長が見事に嵌った感じのレースぶりで、中弛みから13.2 - 12.3 - 12.0 - 11.8 - 12.0 - 12.5の流れ、外から押し上げながらだがコーナーでは加速している状況、L3最速戦とかなりタフな競馬。最速地点に向けて一番いい形だったが、そこではメイショウカドマツの抵抗にあう。それでも直線進んでいくにつれて徐々に差を開き、最後は後続を寄せ付けない完勝となった。距離延長で脚を出しきる競馬でポテンシャルの高さを爆発させた形と言っていいだろう。ハンデ差があったとはいえジャガーメイルを完封した内容はかなり評価すべきだろう。もともとポテンシャルの高さは2000mでも見せていたのだが、やはり基礎スピードの差が大きくどうしても届かない位置からしぶとく伸びてくる馬という枠は出られなかった。金鯱賞では後の有馬記念2着馬のオーシャンブルーに敗れた形だが、前半スローから12.7 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.7 - 11.5 - 12.0と超ロンスパ戦。直線で上手く内を突いたオーシャンブルーに対し外に出すロスが有りながら、L1では一番いい脚という競馬。中京のロンスパ戦でオーシャンブルーやダイワマッジョーレと言った強敵相手にポテンシャルを見せていたように、この時点でかなりのものは見せていたと言える。また、下り坂の中京で既にロンスパで加速していた状況でも要所では置かれているように、トップスピード面では少し物足りないところもある。
その点で3200m、それも京都の外周り下り坂でなだれ込む競馬というのは合うはずだ。前走ダイヤモンドSで距離適性はハッキリしたし、ゴールドシップよりも前で競馬ができる上でポテンシャルもかなり高い。ゴールドシップのエンジンが掛かる前に仕掛けてしまい、ゴールドシップの目標になるように内を立ち回って要所でゴールドシップに外を走らせることができれば非常に面白い。ゴールドシップより前で競馬できてかつポテンシャルがかなり高いというのは大きな武器になる。なかなか出世しなかった馬だが大器晩成という言葉もあり、なおかつそれが大成しやすい舞台がこの淀の長丁場。適度に時計が掛かる馬場ならトップスピード不足は気にならない。あとはゴールドシップよりも強いという意識で騎手がこの馬の脚を出しきることができれば脅威だろう。その点でも人気を背負わなければ積極的な競馬ができる岩田ならこの馬の力を余すところなく引き出してくれるのではないか。上位陣でゴールドシップが最も警戒すべき馬はこの馬化もしれない。
後編は香港瓶勝ち、ドバイWC2着の実績を持つ海外からの刺客、穴を期待できる伏兵を中心に展望を広げていきたい。
まず気になるのは何と言っても香港ヴァーズでジャガーメイルを競り落としたイングランドの刺客レッドカドー。日本では唯一昨年のジャパンカップに参戦。 スローで中団からの競馬になり12.2 - 12.0 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 11.5の流れ。直線ではジリジリとは伸びてきていて、L1で間に挟まれて諦めた形になったが日本の超高速馬場のトップスピード勝負にある程度の対応を見せてきた点は評価できる内容だ。ただこの馬の場合最大のパフォーマンスはやはり香港ヴァーズとドバイワールドカップの2着だろう。まず香港ヴァーズを振り返る。中団の内目でレースを進めていくと、1~2角のコーナーワークでポジションを好位まで押し上げ更に2角で外に出す。3~4角で中目を進め、3列目の中目で直線を迎える。直線序盤ではジャガーメイルのトップスピードに及ばず先に出られるがL1で巻き返してくると最後はハナだけ捻じ伏せての勝利をもぎ取った。2Fラップで見ると25.66-24.53-26.59-25.69-23.62-22.61とスローペースから4F~5Fの勝負にはなっている形。それでもラスト2Fのハロン平均は11.3、普通に考えればL1落ち込む競馬が普通なのでL2最速戦でトップスピードが問われる競馬だったとみて間違いなさそう。この競馬に最速地点では置かれてもL1で食い込んできたという点は評価できるしトップスピード勝負に対応できたのも良かった。また東京の超高速馬場よりも少し時計が掛かる香港で結果を出したという点も今の淀の馬場状態を考えればプラスに取りたいところ。ドバイワールドカップは芝ではなくAWのタペタコースだが、少し出負けしてやや後方からの競馬になる。3~4角でも内目前が壁になる競馬で直線を向く。序盤で鋭く伸びて先に抜け出していたアニマルキングダムを急追していた。アニマルを急追というがまさにその通りで、実際3着馬以降との差は離す一方でアニマルキングダムもレッドカドーがいなければとんでもないぶっちぎりレースだったと言える。レースラップが分からないので何とも言えないが、オールウェザーの基礎スピード競馬に対応して直線で伸びてきていることからもポテンシャルの高さは相当のものがあると考えてよさそうだ。
長距離適性に関しては疑問もある。メルボルンCでは同じ距離の3200mの舞台で8着と完敗を喫している。ただ、この内容は4角でぶつけられたり、直線入りで更に大きくぶつけられて大外に振られたりとロスもあったし上位陣はある程度前目につけている馬が多く、差し届かない展開だったことを考えると終始外々でロスも多かった割に最後まで伸びてきたという点からも距離は気にする必要はなさそうだ。実際GIIとはいえヨーロッパのタフな馬場で2800mの重賞を勝っているのだから本質的に長距離で戦えるものは見せている。トップスピードは日本に対応できる程度でそこまで高いものはないが、ポテンシャルはドバイを見る限りかなりのものがある。ゴールドシップが潰しに行くような展開になった時、まだ底を見せていないポテンシャルを爆発させる可能性は十分にあるだろう。また京都の下り坂で要所の反応の悪さをカバーできるのも欧州馬らしく良いかもしれない。高速馬場も最低限に対応できているとはいえ、ポテンシャルを活かすにはある程度時計が掛かる馬場の方が望ましい。その点でも先週ぐらいある程度時計が掛かってくれればチャンスも十分にある。日本が誇る無尽蔵のスタミナ馬鹿ゴールドシップを差す馬となるかどうか。無視できない存在なのは間違いない。
クラシック候補制から善戦マンに成り下がったトーセンラーが前走で悩める天才武豊と出会い一変。スローから11.9 - 12.2 - 12.0 - 11.8 - 11.3 - 11.5の流れ、道中ペースアップして更にL2最速とトップスピードが問われる競馬で持ち味を発揮した。3~4角で外目を通し前を向くと、掛かって先頭に立ってしまったショウナンマイティを目標に序盤から鋭く伸びてくる。L1で鮮やかに並ぶまもなく交わし去ると最後は流す余裕があった。ベールドには少し詰められたが僅かで流した分ともいえるし、トップスピードに乗ってからの良さが出たのはこの馬らしいところだろう。スローペース気味、京都の下り坂で勢いに乗せてトップスピードで抜け出すというのはきさらぎ賞でオルフェーヴルを破ったレースと同じ内容。こういう競馬が合っているというのはここからも間違いのないところだろう。長距離適性にしても菊花賞の3着が有り、この時はオルフェーヴルに正攻法で挑んでの3着。平均ペースで12.1 - 12.9 - 12.1 - 11.5 - 11.6 - 12.0のラップ推移、ここでオルフェーヴルが外から捲ってエンジンが掛かった状態、その外を回してオルフェーヴルを目標に大外から押し上げていこうとする競馬を試みている。最後はどうしても甘くなっていたが、これはやはり厳しい競馬でポテンシャルを問われ余力がなかったからと言っていいだろう。ウインバリアシオンに差されたのは3~4角の差と言って差し支えない。菊花賞の内容からも、ペースに緩急なく高いポテンシャルが要求されたりトップスピードが問われない流れになると良さは削がれるが、それでも菊花賞の内容を考えればこの距離に適性があるのは間違いないだろう。ゴールドシップとは真逆の適性を持つだけに、そういったトップスピードが問われる競馬に持ち込めれば面白い。ポテンシャルも無いわけではなく、菊花賞のパフォーマンスはある程度高いポテンシャルがなければ3着にも残れない内容。この距離にデスペラードではなくこちらを選んだ武豊でゴールドシップを負かす策を練ってくるか。
ビートブラックの故障で番手の押切が狙えそうなのがトウカイパラダイス。前走大阪杯ではスローを番手で運んでキレ負けも超ハイレベル戦で大健闘の4着。スローから12.2 - 11.6 - 11.3 - 10.9 - 11.5と確実にトップスピードが問われる競馬になったのだが、4角先頭列に並びかけて直線で一旦は堂々先頭に立つなど見せ場を作る。ただ流石に外3頭の切れ味には屈してしまった。完敗だったがこれまで空考えると確実に相手強化の中でしっかりと自分の競馬を作れたのは評価していい。やはり最大の評価のポイントは金鯱賞で、結果的にハイレベル戦となった中京2000の超ロンスパ戦を2列目から競馬して4着に残ったというのは改めて再評価すべきことだと思う。スローから12.7 - 11.9 - 11.8 - 11.8 - 11.7 - 11.5 - 12.0の流れ。上位勢が差し追い込みで埋められる中、掲示板で唯一先行して残ったのがこの馬。直線序盤で前列の壁の外に上手く進路を確保してから追い出されるとしっかり反応、内から出し抜かれた2頭とは最後じわじわと差を詰めていたようにこれでもばてない強みは相当魅力。この金鯱賞は中京によくありがちな4角で内外に広がりやすく縦の差が生まれない展開だったこともあり、前で競馬したことが大したプラスに働かなかった。しかし、今回は京都の長丁場。誰もが知っているように逃げ馬が大きくリードを作りやすいコースで、かつ単騎の2~3番手でも運びやすい。今回は各馬ゴールドシップに意識が行きやすい条件でもあり、この馬が楽に昨年のビートブラックのようなポジションを確保できれば面白い。金鯱賞の内容からもポテンシャルは相当のものがあるので、後はポジショニングを活かせれば波乱の主役になるところまでありうるとみている。
穴どころからやはり気になるのはカポーティスターだ。準OP馬の身で格上挑戦の日経新春杯で番狂わせの重賞制覇。平均ペースから12.5 - 12.1 - 11.9 - 11.6 - 11.7のラップ推移で3列目の最内からロスなく立ち回って直線抜け出す競馬と完璧なレース運びで勝ち切った。当時の内有利馬場を考えるとこれ自体は評価を大きくできるものではなかったし、実際その後京都記念では強敵相手にスローペースから11.9 - 12.2 - 12.0 - 11.8 - 11.3 - 11.5の流れで外目から動いて勝ちに行ったもののかなり甘くなっているようにポテンシャルはさほどでもない。日経賞ではフェノーメノ相手に善戦したともいえるが、12.3 - 12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.7のラップ推移でトップスピードが問われL1がそこまで落ちないこの馬の十八番の競馬だった。これで2列目外から早めの競馬で直線序盤に良い脚を使って抜け出しを図るもL1でまたも甘くなった形。直線平坦でなだれ込める京都は合いそうではあるが、やはり使える脚が短いのでゴールドシップにロンスパ戦を作られると厳しい戦いとなりそうだ。相手も強敵でどこまでやれるか試されるレースとなる。ハーツらしく距離が長い競馬でパフォーマンスを上げていて、そこに望みはある。
上がり馬だが重賞善戦マンのイメージの方が強いムスカテール。アルゼンチン共和国杯ではOP入りの勢いでハンデ戦に乗じて2着と賞金加算。平均ペースだが超高速馬場で12.1 - 12.1 - 11.5 - 11.2 - 11.8と加速していく流れ。3列目壁があるままで4角出口で上手く進路を作って直線に臨むと、そこから鋭く伸びてすぐに2番手まで押し上げた。L1でも詰めていたが内有利馬場で先に出し抜いていたルルーシュを捕えるまでには至らず2着に終わった。最速地点で良いトップスピードを見せていて、ロベルト系らしくL1でもきっちり詰めてきた。日経新春杯では最内中団から12.5 - 12.1 - 11.9 - 11.6 - 11.7の流れできっちり2着には食い込んだ。上手くカポーティスターが抜け出してくれたので、その後ろを通ったがジリッとしか伸びず、L1も落ちていない流れでは食い込めずという感じで2着ではあったがイマイチなパフォーマンスだった。日経賞では12.3 - 12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.7の流れ、スローからL1落ち込まない競馬だったので外差し馬場でもあり外から押し上げていく競馬が良かった流れ。これでフェノーメノを目標に外からしっかり押し上げて前を向いた競馬だったが直線序盤でカポーティ、フェノーに見劣った。L1ではカポーティとは差を詰めたがフェノーメノとは完敗。トップスピード面でもポテンシャル面でもちょっと足りないなというのが正直なところだ。個人的にはトップスピードが問われながらもL1落ち込むという競馬が合っているように感じるので、京都外回りの長丁場でロングスパート戦になると難しい競馬が強いられるのではないかと思っている。高速馬場でのパフォーマンスが高いので高速馬場なら面白いところもあったが、先週を見る限り雨を差し引いてもそこまで極端な高速馬場ではない。なかなか難しいところだ。
走るお爺さんトウカイトリックも同期の活躍を聞いてここで奮起するか。先日同期のドンクールが7年ぶりの勝利の美酒を味わった。ディープインパクト世代の現役馬と言えば当然このトウカイトリックが代表馬だ。ここで好走して健在ぶりをアピールしたいところ。この馬の持ち味は何と言っても3600mで丁度いいという生粋のステイヤー、ゴリゴリのポテンシャルだろう。ステイヤーズSでは得意の3600mで13.0 - 12.5 - 12.0 - 12.2 - 12.1 - 12.6のラップ推移で最内を上手く突いて出し抜いての勝利。ただデスペラードやファタモルガーナにL1では詰め寄られていたように、やはりペースアップしてからの要所を最内ロスなく通せたことが好結果に響いたともいえるだろう。京都の外3200mだとトップスピード面で足りないという点がどうしても気になる。昨年の天皇賞春でも好位で競馬しながらも同じ位置にいた馬とは明らかにトップスピードで見劣っていた。5着と好走した一昨年の天皇賞では道悪で12.0 - 12.2 - 11.7 - 11.4 - 12.1 - 12.5とL3最速戦。出入りの激しいかなり厳しい競馬になり、動かず後方で脚を溜めて結果的にバテ差が嵌った5着と言える。この点で京都3200mで好走するにはやはりある程度渋ってトップスピードが問われない厳しい競馬になる必要があるだろう。その点ではゴールドシップがスイッチを入れてくれる舞台は面白いと言える。ゴールドシップより後ろからではまず勝てないので、勝つなら前から早めに粘り込む競馬。ただしポジショニングがそんなに良くない馬なので、3角までの距離を考えてもできれば内枠が良いだろう。普通に考えれば勝ち切るのは厳しいか。上手く嵌らないと難しいが、嵌れば上位に顔を出してくるだけのポテンシャルは持っている。
メイショウカンパクはここ3走展開に恵まれていない。JCは12.0 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 11.5の流れ。超高速馬場でトップスピード勝負になってしまい、位置取りも悪すぎて競馬にならず。日経新春杯は12.5 - 12.1 - 11.9 - 11.6 - 11.7とスローからの3F勝負。L1落ちずに前目にいないと苦しい競馬だったし、内にいてかつ4角~直線で進路マゴマゴで結局大外に持ち出してジリジリ伸びての8着。57.5kgを背負って内有利馬場3F勝負でこれなら悪い競馬ではない。前走日経賞も中山2500m、外差有利の馬場状態で12.3 - 12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.7と3F勝負。3~4角で馬場の悪い内目を通らされたし、ラップもL1落ちていないようにポテンシャルがあまり問われず、外から馬場の良いところを通ってトップスピードに乗せた馬が有利な展開だった。もちろん、こういった嵌らなければ弱いという所があるのは事実だが、ポテンシャルタイプのこの馬は嵌れば怖いのもまた事実。京都大賞典では平均ペースで12.5 - 12.1 - 11.4 - 11.6 - 12.3とL3最速ポテンシャル勝負。ここで大外から伸びてオウケンブルースリやギュスターヴクライと言った強敵を差し切っている。オウケンブルースリに勝つこと自体はそんなに難しいことではないが、ポテンシャルが強烈でなかなかばてないオウケンブルースリを外から差すというのは簡単なことではない。全盛期ではないとはいえこれは大いに評価できることだ。今回はポテンシャルタイプが多いので目立たないが、この馬もまだ底を見せていないということはいえる。ノーマークで内からするする抜け出すのが上手いヒルノダムールを勝たせた藤田が騎乗想定。一発あるか?
春の天皇賞馬に敬意を表してマイネルキッツにも。2009年天皇賞春の覇者で、内から押し上げていき、12.2 - 11.7 - 11.8 - 11.3 - 12.0のラップで2列目内ポケットから直線内に切り込んで出し抜く競馬で勝ち切った。2010年はジャガーメイルに敗れはしたが2番手から4角先頭に立ち12.5 - 11.8 - 11.3 - 11.4 - 11.5の流れで粘り込を図ったがキレ負け。と言ったポジショニングとポテンシャルを武器に京都の下り坂でなだれ込んで押し切る競馬が得意だった。近走は全く頑張れていないのが気がかり。日経賞では12.3 - 12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.7の流れ、緩い地点で押し上げて4角先頭と最高の形で迎えられたがばててしまった。流石にこれではちょっと狙い辛いだろう。このレースの覇者として頑張ってほしいが、現実的に馬券になるかどうかとなると、極めて悲観的な材料が並んでいる。
最後に長距離適性に望みを託すレッドデイヴィス。前走大阪ハンブルクCにて長い長いトンネルから遂に脱出。3歳時に重賞3勝を成し遂げた実力馬が5歳の4月まで丸々1年以上勝利から見放されていた。その前走だがタフな馬場でスローペースから徐々にペースアップしていく12.2 - 11.9 - 12.0 - 11.9 - 11.3 - 13.0の流れ。L1で13.0と大きく落ち込んでいるように厳しい競馬になったが、直線序盤の最速地点では2~3列目から伸びあぐねていた。ただ直線半ばから徐々にポジションを上げてくるとL1で内に切り込んでしぶとく伸びてきて先に抜け出していたカフナを捻じ伏せた。ここからもトップスピード型ではなくポテンシャルタイプなのは間違いなくて、しかも阪神2400mのスローロンスパ戦とかなり長距離適性が問われる競馬で結果を出してきた。ここからも実はステイヤーの可能性も秘めているのではないか。元々距離不安がささやかれながら出走した有馬記念で9着と惨敗だったが、あのレースは長距離適性というよりは13.0 - 12.0 - 11.9 - 11.4 - 11.3 - 11.3と極端なトップスピード勝負になってしまっていて、単にキレ負けしていただけとも受け取れる内容。大阪ハンブルクCの内容からもポテンシャル勝負に強いカフナを抑えての勝利は評価できる。流石に一気の延長3200mは未知数だが、厳しい競馬になれば好走する余地は残されている。鳴尾記念でショウナンマイティやサダムパテックを破った時も平均ペースで12.0 - 11.7 - 11.5 - 11.0 - 12.2とL1落ち込む厳しい競馬でL1で突き抜けて追い込んでくるショウナンマイティを退けた形。力を出しきれる競馬が合っているのは間違いないので3200mで真価を発揮できれば。
http://blog.livedoor.jp/catassan/ 04/28 10:37
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