| ワイド 6-14番
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いよいよ今年最後の中央GI、グランプリ有馬記念。そして、史上7頭目の三冠馬にして2年連続凱旋門賞2着と涙を呑んできた記憶にも記録にも残る暴れ馬オルフェーヴルもいよいよこのレースを最後に引退する。2歳時には京王杯2歳Sの惨敗、3歳はスプリングS勝利まで勝ち切れずそこからは破竹の連勝。その勢いは4歳阪神大賞典まさかの逸走で途切れるとともに天皇賞春の惨敗。宝塚の復活から紆余曲折を経て挑んだ初の凱旋門賞では直線突き抜け圧勝の勢いから内にササってまさかの失速2着。勝ってきた以上に負けが伝説になる破天荒馬、それがオルフェーヴルだ。今年は良い意味でも悪い意味でもお利口さん。引退レースの有馬記念で良い意味で馬鹿になれるか?この馬の最後のレースを必ず見届けよ。
ここからはテクニカルな分析となるのだが、まず昨年の宝塚記念までのオルフェーヴルは明らかにポテンシャルが勝ったタイプの実力馬だったと言える。もちろんトップスピードの質も一級品のものは有ったと言えるが、例えば京王杯2歳Sのように東京1400のスローギアチェンジ戦では伸びなかったり、きさらぎ賞ではトーセンラーのキレ味の方が目立った。皐月賞では東京開催だったが良馬場発表でも直前の雨で渋ったのが良かったし、ダービーに関しては言わずもがなでウインバリアシオンと共に3着以下をぶっちぎった。高いパフォーマンスを見せているのは概ねロンスパ戦L1バテ差、或いは渋った馬場でトップスピードが問われないケースがほとんどと言っていい。神戸新聞杯でトップスピードを見せて突き抜けるパフォーマンス、菊花賞ではロンスパで早めに動いてウインバリアシオンの強襲をはるか先で尻目にしていたという形。有馬記念ではスローから12.0 - 11.9 - 11.4 - 11.3 - 11.3の流れでじわっと外から押し上げて、そのままジリジリ伸びてエイシンフラッシュに完勝。トップスピード勝負で勝ち切ったのだから、後半勝負なら非凡な性能を持っていたと言っていいだろう。ざっと3歳時を振り返ったが、最後までばてないポテンシャルの非凡さ、そしてトップスピードでも優位に立てる非常にタフな後半型タイプ。反面で、2、3歳時に苦戦していたのはペースアップでスッとは動けないギアチェンジ面で弱点が少しあったという点だろう。もっとも、ゴールドシップのような致命的なレベルのものでは当然なくて、トップクラスの瞬発力勝負で動き出しが大きな影響を及ぼす時にはこれが痛かったと見ている。
さて、阪神大賞典の逸走はもうみんな何度も見ているだろうから、割愛するとして、天皇賞春の負け方だ。個人的にはこれはユタカマジックにやられたと言っていいと思っている。これは今年の天皇賞春でもゴールドシップに対して豊がやっていた作戦の一つで、下り坂で各馬ペースを上げて行くのが分かっている中で、捲ってくる実力馬を外に外に振って、一気に脚を使わせる戦術だとみている。ビートブラックがロンスパ早仕掛けする中で、各馬も仕掛けが早くなり団子集団のペースが速くなったところで12.1 - 11.9 - 11.4 - 11.7 - 12.3 - 12.5の流れ。コーナー最速の競馬で大外からぶん回しというのは高速京都では御法度の競馬。後ろ過ぎて押し上げるのに脚を使ったしウインバリアシオンよりも外。その点からもあれはあのポジションにつけてしまった池添のミスであり、阪神大賞典で逸走したことで、自然に競馬が出来なかったことが痛かった。そしてそのミスを、タフな馬場のタフな展開となった宝塚記念で完勝というのはまさにこの血統らしい復活劇ともいえる。
そして最初の凱旋門賞。ここでは相手にも恵まれはしたが、大外から一気に突き抜け勝つだろうと誰もが思ったに違いない。それぐらい全馬の中で脚色が全く違った。しかし、抜け出した後、内に一気にササってしまい、最後はラチに接触しながら失速し、ソレミアの差し切り。これ以上ない程のオルフェーヴル劇場に日本の競馬ファンは何とも言えない気持ちを抱いたことも間違いないだろう。それでも合言葉は「まっすぐ走れば来年は勝てる」だった。その後日本に帰ってきてジャパンカップで鬱憤を晴らす予定が、外から捲ってジェンティルドンナを内に閉じ込めるも岩田タックルを食らい、そのまま競り合いを制せずまさかの2着連敗。今年は大阪杯から始動し、超スローからの12.2 - 11.6 - 11.3 - 10.9 - 11.5とトップスピード戦で外から押し上げ勝ち切るオルフェーヴルらしい捲り戦法をズバリと決めてショウナンマイティの追撃も振り切っての完勝。フォワ賞では圧倒的なパフォーマンスで凱旋門賞悲願達成を期待させるものの、今年の凱旋門賞は要所で上手く蓋をされたことも有るが、トレヴの圧巻のパフォーマンスに2着争いを何とか制することしかできなかった。
さて、これまでの経歴を軽く見ていったが、この中でオルフェーヴルのポイントとなるのが、他馬より早い仕掛けにある。これはゴールドシップにも言えることだが、オルフェーヴルの持ち味はトップスピードの質の高さと何よりポテンシャルの高さにある。個人的にはポテンシャルだけで見ればゴールドシップの方が上だと思っているが、ある程度のトップスピード戦に対応できるというのは非常に大きな魅力で、これはゴールドシップにはない能力だし、それ故安定する。ギアチェンジ能力だけが弱点としてある馬なので、基本スローで直線ヨーイドンが出来ない。ジャパンカップでも捲りながらの競馬でロスが有りながら、ロスなく立ち回ったジェンティルドンナ以外のポテンシャルタイプを最後まで寄せ付けず圧倒していた。トップスピード勝負でも対応できるが、この馬の場合もやはりポテンシャルを武器にする馬なので、有馬記念でもできればロンスパ戦になった方が競馬はしやすいし、そういう展開に自分で持って行けるというのもこの馬の強み。今の中山も適度に力のいる馬場となっており、その点でもこの馬の力を発揮できる舞台は十二分に整ったと言える。自分の競馬をして、後はその流れに乗じて誰が突っ込んでくるかというのが焦点。個人的にはゴールドシップとの最初で最後の戦いがマッチレースとなればと。もちろん有馬記念の主役はこの馬だ。
昨年の二冠馬、グランプリ連覇、不沈艦とまで謳われたゴールドシップが秋にまさかの惨敗を続けてしまった。今回は誰が見てもベスト条件となる有馬記念で相手は日本現役最強馬オルフェーヴル。秋2戦の不甲斐なさを勢いに乗る世界の剛腕ライアン・ムーアへの乗り替わりで払拭し、ゴールドシップここにありと高らかに宣言することができるか。
ゴールドシップに関してはこのブログはかなり取り上げてきている馬…。なので、これまでのパフォーマンスをざっと振り返る程度にしよう。皐月賞では馬場が悪く、皆が外々を進めて行く中、ただ1頭最内を突いて11.4 - 11.6 - 12.2 - 12.7 - 13.6 - 12.1のラップ推移で後方から一気にワープして直線一気に突き抜けた。極悪馬場をこなす非凡なパワーと最後まで脚を使えるポテンシャルの非凡さを見せたレース。菊花賞でも12.3 - 12.2 - 12.5 - 12.2 - 11.9 - 11.8 - 12.4と比較的緩急の無い流れで3角手前からのロングスパート。そのままポジションを外から押し上げて直線ジリジリと伸びて先頭に立ち、襲い掛かるスカイディグニティもL1ではジリッと引き離した。有馬記念では出負けしながらも12.5 - 11.9 - 12.1 - 12.1 - 11.9 - 12.0の流れでこれも3角手前から進出、後方から直線でジリジリと伸びてルーラーシップをもL1でジリジリと離す完勝。いずれも要所の手応えの割に最後まで全くばてないという、まさにコテコテのステイヤー的パフォーマンスを見せた。ポテンシャルは恐らく現役最強だろう。何せL1でばてないどころか、直線序盤に詰めてきた馬すら離してしまうのだから。
逆に、負けたレースを探っていく。まず日本ダービー。これはペースが早過ぎてポジションが後ろ過ぎ、基礎スピード不足で12.4 - 12.3 - 11.7 - 12.0 - 12.4とトップスピードはそんなに要求されなかったが、結局前との差が直線で致命的だった。今年の天皇賞春は12.8 - 12.9 - 11.9 - 11.8 - 12.6とペースアップを図った3角で外から押し上げるのだが、ここでトーセンラーがすっとペースを上げて外に張ったことで捲り切れずに一気に脚を使わされたという所にある。京都大賞典は馬場が超高速状態で、何とかポジションを上げてロンスパ戦にも乗って3~4角しっかりと内目を立ち回った結果、11秒台前半が続く競馬にも対応しての5着という印象。そしてその騎乗が叩かれ、後方からの競馬に徹したジャパンカップでは12.4 - 11.6 - 11.1 - 11.1 - 11.9の流れで後方から押し上げられずに沈没した。個人的にはジャパンカップの内容だけ不満で後は想定内の負け方である。特に京都大賞典はどう見てもベスト条件からは真逆にあったし、トップスピードが足りないこの馬としてはあれしか競馬が出来ない。ただし、ジャパンカップは負けても仕方ないが、レースレベルやラップ推移からもL1では伸びてほしい展開と言え、これで一足も使えなかったというのはただただ不満であり、状態面に不安要素もあったのではとみている。
さて、このゴールドシップの場合はオルフェーヴルとは違い弱点が非常に多い。まずはギアチェンジ能力が皆無という点。内田が必死に追っている印象がかなり根強く競馬ファンの心に残っていると思われるが、とにかくかなり追わないと動いてくれないのだ。これは年々悪くなっている。ただ、3歳時の共同通信杯で見てもわかるように、12.1 - 10.9 - 11.0 - 11.7と一気のギアチェンジ戦となった直線序盤で2列目ポケットから置かれて必死に追走するもかなり苦戦している。一方でL1でラップが落ちたところで他の馬がアップアップしているところにばてずにグンと伸びての差し切り。ここからも、ペースアップに反応できない馬。そして、11秒台前半の競馬になると基本苦しくなるという点。33秒台上等になりがちな神戸新聞杯でも12.0 - 11.6 - 11.7 - 11.6 - 12.5とロンスパ戦での突き抜けだった。トップスピードも武器になるものではない。更に、もう一つ決定的なのがスタートが下手。最初のコーナーまでの距離があれば宝塚記念のように先行できるが、基本的には後方からの馬であるという認識が必要だろう。
以上から、今年の有馬記念を展望すると、まずコースや馬場状態はこの馬にとってかなり追い風となっている。特に馬場は11秒台前半を連発できるような高速馬場ではまずない。トップスピード面で他馬に見劣るこの馬にとって、この馬場状態は明らかに歓迎できる。加えてやはりコース形態。早仕掛けでポテンシャルを出し切る競馬を心掛けたいこの馬としては、向こう正面の下り坂を使って勢いに乗せてのロンスパ戦という明確な戦術が使える。この2つだけでもこれまでとは全く違うゴールドシップにとってのホームの舞台と言える。更に、今年に限って言えば、同型で強力なオルフェーヴルがいるという点。これまで意識もされてきただろうが、今回は確実にオルフェーヴル意識となるだろう。オルフェーヴルがスイッチを入れて捲るということはこの馬にとってもそういうタフなロンスパ戦の展開で戦える可能性が高いという点。これだけでもゴールドシップにとっては追い風で、一気に逆転できるだけの条件は揃ったと言える。後は、状態面で、正直1週前の動きは迫力を感じさせなかった。宝塚記念復活の時は追い切りも良く見えただけに、状態面での持ち直しが大きな要素になってくる。全てが揃えば、この条件ならオルフェーヴルともポテンシャル面だけなら互角以上にやれると思っている。今年最後のグランプリで華麗に復活となるか。個人的には最大限期待したい気持ちだが、やはり状態面がポイントだ。
最強世代と呼び声高かった日本ダービーを伏兵的立場で勝利し、場内を静まらせたのはもう3年前、エイシンフラッシュが今年の有馬記念で引退レースとなる。ダービー馬としてこれまで長く第一線を張り続けてきた馬は近年では類を見ない。6歳にして秋王道GI完走、今秋4戦目と厳しいローテーションではあるが、最後の一花を咲かせてもらいたい。
エイシンフラッシュと言えば、まさに名は体を表す。Flash、まさに閃光のような鋭い切れ味で、他馬を一閃差し切る。これこそがこの馬の真骨頂だ。実はトップスピード自体はそこまで滅茶苦茶速いというわけではないのは、今年の大阪杯や、昨年のジャパンカップからも確かで、各馬がトップスピードに乗せやすい条件になるとオルフェーヴルやショウナンマイティと言った馬相手には差しこまれている。4歳時の有馬記念でもじわっとしたトップスピード戦ではオルフェーヴルにやはり完敗している。ただし、この馬の場合はトップスピードへ乗せるまでに一気に加速することができる、まさにギアチェンジの申し子である。例えば、日本ダービーではスローで団子の真ん中にいながら12.9 - 12.4 - 11.3 - 10.8 - 11.3のラップ推移で直線急激な加速が問われる競馬で前に馬群が有りながらも鋭く反応して突き抜けてきた。また天皇賞秋では大逃げシルポートがいたのでラップで判断することが難しいのだが、11.6 - 11.8 - 12.0 - 12.8 - 11.8の流れで上り33.1を繰り出し最内からスパッとキレ味を見せた。しかし各馬がまだエンジンがかかっていない序盤の内にスルスル伸びてきているように、この馬の魅力は進路が開いた瞬間に一気にギュンとトップスピードに乗せることができることに尽きる。
この馬は長い間見続けてきた1頭で、 天皇賞春の2着があったりと色々と皆判断が難しい所もあるかもしれないが、引退を迎える以上この考察に意味は持たないかもしれないけども、距離に関しては長距離の方が安定するのでは?と思っていた。この馬の変な所は、4歳時の大阪杯やタフな天皇賞春の2着からも、平均ペース自体は問題としないという所。ギアチェンジ馬なのに厳しい流れにも好走できている。逆に厳しい一貫ペースで1800mの毎日王冠の惨敗や超ハイペースの天皇賞秋の負けっぷりからも、どちらかというと基礎スピードは1800では本来足りない馬なんだろう。俺は少し前までマイルでやれると思っていたけど、これは恐らく間違いだったはず。ただし、それだと色々と説明ができないことが出てきて、そこで行きついた結論が、トップスピードは一瞬しか維持できないが、序盤さえゆったり運ばせることができれば、ポテンシャル自体は高くトップスピードが問われないロンスパ戦でも戦える、という解釈。ポテンシャルという概念とトップスピードの持続力をハッキリ分けるべきか、という葛藤(来年までに整理します)を作ってくれた名馬ともいえ、これまでの馬たちの中でも分かりにくさは屈指の馬だった。もっともギアチェンジ馬であることは間違いなくて、この馬としてのベスト条件はペースが緩いまま勝負所を迎え、そこで他馬より早くトップスピードに乗せる。これこそがこの馬の武器であることは疑う余地はない。
今年は安定してきてはいるが、ジャパンカップはまさかの逃げの手に。この馬にとっては最悪の展開と言え、なかなかペースアップしない流れでこそ良さが有った馬に対して12.4 - 11.6 - 11.1 - 11.1 - 11.9とL4から加速を強いられ、L1では11.9とかなり落とす競馬になっている。これで目標になってポテンシャル勝負になると、トップスピードの質が高く序盤は戦えてもL1で苦しくなる。ミルコには酷な展開ではあったと思うが、これははっきり駄騎乗だった。天皇賞秋はタフな馬場でトウケイヘイローをジェンティルドンナが潰すという非常に厳しい流れ。11.9 - 11.9 - 11.6 - 11.5 - 12.2とL1が12秒台に突入する珍しい形で、中団で脚を貯めつつも弾けないというのはこの馬の適性的には仕方ない。それでもこの流れで最低限伸びてきての3着に入るあたり、やはり2000なら基礎スピード面で対応できるのと、ポテンシャルも秘めているということの再確認になった。今年の毎日王冠のように12.6 - 11.1 - 10.9 - 11.3と4-3Fで1.5もの急加速が問われる、まさにギアチェンジ戦でこそ真価を発揮する馬。2列目ポケットから同じギアチェンジ型のクラレントが作るペースアップに置かれずに早い段階でトップスピードに乗せて、そのまま後半できっちり捕える。こういった緩急が有れば本当に強い馬だ。
有馬記念の舞台となる中山2500mがどうかだが、条件としては決して悪くない。昨年も内から一旦抜け出しあわやの場面を見せられているし、一昨年はオルフェーヴルの2着。昨年はタフな馬場でのロンスパ戦、一昨年はスローからのじわっとしたペースアップ、13.0 - 12.0 - 11.9 - 11.4 - 11.3 - 11.3という流れでトップスピード戦と、違う流れではあるが、やはり基本的にはギアチェンジやトップスピードを活かせる競馬の方がいい。また前が壁でも全く問題なく脚をすぐに使える馬なので、その点でも内内で上手く立ち回れる器用さはコーナー6つの有馬記念では大きな武器になる。その点で明らかに内枠が欲しい所だ。 ロンスパ戦に巻き込まれて各馬脚を出し切ってのL1バテ差を呼び込む競馬となると昨年のように一瞬は脚を使えても苦しくなるので、できれば仕掛け所は遅い方がいい。オルフェーヴルやゴールドシップが向こう正面から動いてくるとこの馬としては難しい競馬になるだろう。逆にオルフェーヴルやゴールドシップの仕掛けが遅れて前もゆったりと進められるような競馬になれば、仕掛け所も遅れこの馬の出番が有るとみていい。ソフトな馬場は天皇賞春2着の実績からも問題としていないし、条件は悪くない。これが引退レースとなり、個人的にも現役で1,2を争う好きな馬であるエイシンフラッシュ。最後にこの馬らしい一閃の末脚を中山のファンに披露してもらいたいし、できれば勝負に絡んでもらいたい。それだけの力はまだ持っているはずだ。
続きは↓ 12/17 01:21
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