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先週の2歳限定重賞ファンタジーSでは、6番人気のレシステンシアが道中2番手の位置取りから抜け出し1着となった。
勝ち時計1.20.7は、ファンタジーS史上2番目に速い好時計。
同じ日に高速馬場の府中で行われた京王杯2歳Sよりもコンマ1秒速かった。
淀の馬場も、そろそろエアレーションやシャッタリングの "第2の効果" が出始めたのかなぁ…といった感じだろうか?
エアレーションやシャッタリングの効果は、開幕週は耕されてクッションの効いた馬場…これが「第1の効果」。
開催が進むにつれ、根切り効果により芝の根の成長が促されており、尚且つ地面が踏み固められていき、徐々に時計の出る馬場に変貌していく…これが「第2の効果」である。
下記は、ここ10年で良馬場で行われた時の開催年、勝ち時計、勝馬、勝馬の位置取り、上がり、及び勝馬とその位置取り、上がりを載せてみた。
2018年 2.13.1 リスグラシュー ⑤④④ 34.1(7位)
2016年 2.12.9 クイーンズリング ⑨⑨⑦ 33.2(1位)
2014年 2.12.3 ラキシス ⑦⑦⑦ 33.4(5位)
2011年 2.11.6 スノーフェアリー ⑭⑪⑩ 33.8(1位)
2010年 2.12.5 スノーフェアリー ⑤⑦⑦ 34.0(1位)
2009年 2.13.6 クィーンスプマンテ ①①① 36.8(17位)
これを見て気付く事は、時計が速くなればなるほど上がりの速さが決め手になっている事。
2014年のラキシスは上がり5位だが、それでも33秒台前半の脚を使っている。
2分13秒を切った勝ち馬3頭には共通点がある。
それは、スピード色の強い系統の血を保有しているところ。
クイーンズリング…ダンチヒ系統(母父)
ラキシス…ストームキャット系(母父)
スノーフェアリー…インテント系(母父)
今までステイヤー色の強いレースと言われて来たが、それも時計次第。
高速化すれば、府中同様のスピードと瞬発力が問われると考えられるが、その考えもちょっと微妙に違っているように感じている。
そこで、非常に参考になりやすいラキシスの生涯成績をざっくり振り返ってみたい。
父ディープインパクト × 母父ストームキャットという血統な割に、意外にも "道中のスピード資質に欠けている" のがラキシスの特色である。
陣営もその事を良く把握しての事か、デビュー戦から常に2000㍍以上の距離を使ってきている。
それ故に勝ち鞍は全て2000㍍以上で、唯一のマイル戦であるヴィクトリアマイルでは、15着に沈んでいる。
この手の血統の馬は得てして、高速マイルを得意としているが、この馬に関しては苦手としていた。
しかしながら、エリザベス女王杯では33. 4の速い上がりを繰り出している。
レースを勝利する時は、ほとんどが上がり1位もしくは2位をマークしている。
つまりが、道中のスピードはマイラーではなく中長距離質で、末脚だけはマイラーもしくはスプリンター並の脚が使えるという認識を私は持っている。
実はこれに非常に近い物理特性を持った3歳牡馬を皆さんは知っているはず。
ダービーや天皇賞(秋)では、道中の流れに苦しみ末脚が不発に終わるも、神戸新聞杯のようにゆったりと息の入れられる流れになると、とたんに鬼脚を繰り出して来る。
サートゥルナーリアである。
サートゥルナーリアのような物理特性を持った馬が、実はエリザベス女王杯に一番向くものと考えられるのだ。
そんな理由で、チェック項目は次の通り。
・"中長距離志向の血統馬 × スピード志向の血統馬" の配合の産駒である事で…中長距離志向のペースに対応出来る気の良さと体力、スプリント質の瞬発力の血統的な裏付け。
・道中息の入らないスプリントやマイル色の強いレースでパフォーマンスを落とし、息がしっかり入る中長距離志向の上級レースでしっかりパフォーマンスアップ出来る事…中長距離のペースに対する適応力と体力の実質的な裏付け。
・しっかり息の入るレースで脚を矯められれば、33秒台の鬼脚が使える事…スプリント質の瞬発力の実質的な裏付け。
この3点に注目すると思わぬ穴馬が浮上してしまった(汗)。
◎レッドランディーニ
父ディープインパクト × 母父ゴーンウエスト系で、れっきとした "中長距離色×スプリント色" の配合。
デビュー戦は1200㍍。
互角のスタートを切りながら、その後ダッシュ力不足でポジションを下げた。
持ち前の瞬発力をレース前半に使い3番手にポジションを押し上げるも、使えた脚はそこまで。
最後はアップアップとなり馬群に沈んだ。
2戦目はマイル戦。
道中9頭立ての7番手の位置でしっかり脚を矯めると、直線で上がり1位の末脚が炸裂。
インから突き抜け圧勝した。
しっかりと脚を矯めて、良さが生きる事をしっかり印象付けさせた。
チューリップ賞では、1位の上がりが炸裂も、位置取りが悪く5着。
高速決着となったローズS着、府中牝馬Sでは7着と、1400㍍質のスピードが問われる高速1800㍍戦では全く奮う事が出来ない。
しかし、マーメイドSのように2.00.3と時計の掛かる2000㍍だと、とたんに勝ち負けに加わる訳で、いかに中長距離志向のペースがこの馬に向くかをうかがわせる。
これまで、33秒台の上がりを駆使した回数は4回、32秒台の上がりをマークした経歴もある。
得て不得手がはっきりした馬で、それ故に環境がハマった時にしっかりした決め手を持つのも魅力。
この馬の魅力は、「しっかり息が入れば、しっかりキレる」というところ。
人気薄で、しかも酷い大外枠(笑)。
鞍上にしてもレースの雰囲気でも楽しむ気持ちで、この馬の末脚勝負に徹するしかないだろう。
枠順的には不利も、かえって気楽にこの馬の競馬がしやすい環境下でもある。
…そんな理由から、今回このレースで大化けする可能性を秘めていると見て、この馬を本命視してみたい。
○クロノジェネシス
父バゴ × 母父クロフネで、こちらも、"中長距離色×スプリント色" の配合。
阪神JF2着、桜花賞3着、オークス3着。
春シーズンまでは、マイル戦もしくはマイル質のスピードが問われた高速オークスで歯痒い思いをしてきた。
しかし秋華賞では、時計の掛かる中長距離質の物理特性が問われる舞台に変わり一変。
パフォーマンスアップを果たし、完勝で見事G1馬の仲間入りを果たした。
これまで、さんざん33秒台、32秒台の末脚を披露しており、メンバー中で最も本レースに対する信頼度が一番高い事は言うまでもない。
本命党向けの軸馬はこちらがオススメだ。
▲ラヴズオンリーユー
兄リアルスティールは本質的に1400㍍ベストの馬でありながら、高いレベルで万能性に富んだ馬だった。
皐月賞2着、ダービー4着、菊花賞2着、天皇賞(秋)は2着と4着。
三冠レースはドゥラメンテやキタサンブラックのスーパーホース級のライバルがいた関係で「仕方なかった」感が強いも、良馬場で行われた天皇賞(秋)ですら2着と万能であるが故の「決め手の中途半端さ」を露呈。
比較的高速決着となった毎日王冠は、この馬の本質である1400㍍の物理特性が問われたレース。
安田記念優勝馬サトノアラジンを抑え込み見事に勝ち切っている。
オークスの内容からも、ラヴズオンリーユーの本質はマイルがベストの物理特性で、アーモンドアイに似たタイプであろう。
兄同様、高レベルでの万能性も有しているようで、時計の掛かった忘れな草賞でも圧勝しているがメンバー的に小粒だった事も事実。
おそらく、今回のように同馬の物理特性からズレた環境で極限が問われた場合、兄同様に詰めが甘くなる事も考えられる。
一頓挫あり、調整の遅れでぶっつけ本番になった事も気掛かり。
追い切りでは両前肢の出が揃っているような動きを見せており、ちょっと違和感を感じている。
そんな事から「▲」に評価を落としてみる。
△クロコスミア
2年連続2着のレース適性馬。
決め手不足故に、今回も善戦までと見る。
極端に時計が掛かるようなら勝ち負けも。
連勝中のポンテザールは、速い上がりを使った経歴なく、時計が速くなってどうか?
鞍上強化のセンテリュオは、本レースに比較的近い物理特性が問われたマーメイドSや新潟記念でもっと際どい競馬を見せなければいけない。
力量的に疑問、ルメールマジックでどこまでパフォーマンスを上げられるか?…といった感じ。
最後に…
土曜日の京都最終レースは、エリザベス女王杯と同じ舞台2200㍍で行われた。
トーセンカンビーナが1着で、勝馬は父ディープインパクト(中距長離色) × 母父ウッドマン(スプリント色)の配合。
これまでの2勝は、時計の掛かった1800㍍でのもの。
過去に33秒台、32秒台の差し脚を披露した経歴を持っている。
今回は、道中離れた殿追走から大外から一気の差しを決めている。
勝ち時計は2.13.8。
これは2勝クラスのものなので、G1ならば1秒は時計を詰められるはず。
おそらくは、2分12秒台の比較的速い決着と見る。
レッドランディーニやクロノジェネシスには心強いデータが揃ったので、今回は自信度を劇的に引き上げてみる(笑)。 11/09 17:44
夏影 予想歴36年 回収率% | 予想のベースになっているのは、今井雅宏氏考案の『Mの法則』。 総拍手獲得数:1263 | |
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