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「3強回避とその背景」
昨年はレース前半からアエロリットが暴走し、ラストは地獄絵のような消耗戦と化した。
ラスト5ハロンのラップは…
11.7−12.3−13.4−12.2−12.0
歴史的名馬アーモンドアイは道中は馬群中段を進んでいたが、残り800㍍地点から急変するラップ変動にリズムを狂わされて9着に沈んだ。
昨年のラップ変動は特に凄まじく、1ハロン当たり0.6秒→1.1秒という極端なブレーキが掛かった後、更に1.2秒という急加速が行なわれていた。
逆に府中の高速決着はラップ変動が少なく、有馬記念とは真逆の物理特性が問われるので、そういったレースを得意とする馬は、得てして有馬記念を苦手とするという話をして、アーモンドアイを無印にした事を記憶しているが、正にそれが現実となってしまった。
そして、昨年の結果を受けてアーモンドアイはこのレースを前に引退。
3歳三冠馬コンビもこのレースを回避する事になった。
「結論」
◎オーソリティ(単勝推奨馬、軸馬推奨馬)
モチベーションの高さを高く評価。
前走は大外枠からの好位に取り付き、抜け出しての完勝。
意欲溢れる内容で、若駒特有の勢い、精神的な躍動感を感じる。
父も母父もこのレースを2勝、しかも圧勝(オルフェーヴルは8馬身差、シンボリクリスエスは9馬身差)した経歴を持つ名馬だ。
正に「有馬血統」だろう。
格上げステップ、ペース激化による「先行→差し」位置取りショックは青葉賞でクリア済み。
今回は、多少馬体を絞っての出走となりそうで、位置取りを少し位置取りを下げての競馬で。
精神的アドバンテージが圧倒的優位と見て、この馬を軸に馬券を組み立ててみたい。
○ラヴズオンリーユー(ワイド紐筆頭評価)
距離延長に対する適性、及び「差し→先行」位置取りショックに対する適応力の高さ、タフな競馬に対する適性を評価。
オークスはスタート400㍍↟地点からの0.8秒のブレーキ、残り800㍍地点からの0.5秒の加速と、緩急の差のある競馬で、ラスト200㍍は12.3と止まる。
高速決着でありながら、タフさが求められたレース。
2着がアメリカンステイヤー色の強いカレンブーケドール、3着がクロノジェネシスだった事からも、レースのタフさを窺い知る事が出来る。
同じエリ女組でもラッキーライラックの欠点は、前向きな気性が仇になりそうなところ。
距離延長で「差し→先行」の位置取りショックを掛けてしまうと、末脚が甘くなる危険性が大きい。
対し、こちらは気の良さがありペースに合わせた位置取りが可能。
この馬が大きく崩れたタイミングは「タフさに欠ける競馬」のみ。
高速競馬適性の問われたヴィクトリアマイル、少頭数で行なわれた府中牝馬Sだ。
前走の3着も好走と言えば好走だが、「高速上がり」の適性が問われた1戦でタフさに欠ける。
あまり新鮮味は問われない非根幹距離レースだが、新鮮味が不利に働くという訳ではない。
牡馬混合レースのキャリアが浅く「新鮮味」を持っているのは良い事だ。
ヴィクトリアマイル→鳴尾記念、府中牝馬S→エリザベス女王杯…とよりタフさが求められるステップ&距離延長のタイミングでパフォーマンスアップを見せているのは心強い。
ヨーロッパ色の強いタイプで、距離延長で面白い。
今年の有馬記念は、この馬を中心に馬券を組み立ててみたい。
▲クレッシェンドラヴ(単穴推奨馬、連紐向き)
ジャパンCの全ラップは…
12.7−10.8−11.8−11.3−11.3−11.5−11.8−11.9−12.1−12.3−13.2−12.3
…これは、ほとんどキセキが叩き出したラップで、後続馬のラップはもっと上下動がなだらかになる。
スタート4ハロン目に0.5秒の加速が存在するが、それはあくまでキセキが暴走モードに入ったタイミング。
スタート4ハロン目以降、0.5秒以上の大きなラップ変動が無い。
道中のラップ変動の無いレースは「惰性」による追走適性が問われ、追走スピードに長けた気の良さのある馬が有利となる。
ステゴ産駒は、変化に乏しい単調な流れになると逆に退屈感を感じ、走りに集中出来なくなる欠点がある。
それ故に、ラップ変動の激しい小回りに実績が集中する。
有馬記念特有のペース変動はこの馬にはプラスに作用するはず。
クレッシェンドラヴは母父の欠点も受け継いでおり、器用さに欠ける側面も持つ。
この馬の出世が遅れたのは、父と母父双方が邪魔してのもの。
能力的には、両者の長所をしっかり受け継いでおり、かなり高いものを持っている。
欠点を解消する為にも、スタートは内側をやや開けるようにして、内側の馬に前を譲るような形が理想。
いつでも外目に持ち出せるコース取りを意識して欲しい。
「自分自身は揉まれず、視覚のみでペースのアップタウンを意識させる」競馬がキモとなっている。
かなり注文のつく馬なので、軸には出来ないが一発は期待出来る馬である。
☆カレンブーケドール
チリの女傑だった母の影響を非常に強く受けた馬で体力豊富なタイプ。
重馬場だった昨年のジャパンCを先行して2着に粘ったように、父 ✕ 母父だけでは説明がつかないところはキズナ産駒と共通しているところ。
この馬も母母の影響が強いアメリカンステイヤー的な馬である。
そんな理由から、有馬記念はこの馬の能力が発揮出来る絶好の舞台と見る。
100㍍の距離延長というのはプラスにはならないステップだが、そこはディープインパクト産駒特有の気の良さもありクリア出来るはずだ。
欲を言えば、もうちょっと内面の枠が欲しかった。
物理的には一番合うタイプだが。
△ラッキーライラック
前向きな性格が仇になりそうな環境なので、距離延長だが矯める競馬に徹して欲しいところ。
そういう意味でも、無理矢理抑え込んで位置取りを下げようとする福永騎手への乗り変わりはマイナス要因にならないはず。
ただ今回は大幅馬体増の出走となりそうで、好走条件は「捲り」に限定されるであろう。
矯め差しでは、おそらく苦しい。
評価を少し下げてみた。
△バビット
大幅に減っていた馬体は、この2か月でしっかり戻したようで、今回は前々走とほぼ同じ馬体重での出走となりそう。
極端な距離短縮は性格的には向くが、スピード的な難があって物理的に不向き、微妙なところだ。
馬場悪化のオプションが付加されれば面白味は増すが…
体力回復と斤量減で前走よりは頑張れるはずで。
✕クロノジェネシス
✕フィエールマン
共にヨーロッパ色の強いタイプ。
距離延長は良かったが、天皇賞(秋)の内容は、むしろマイナス要因となりかねない。
クロノジェネシスの宝塚記念制覇は、京都記念→大阪杯と先行策を取っていたところに大きな意味があった。
宝塚記念は小回りコースで行なわれ、前向きさが問われるレースだ。
しかし前走は、両者共超どスローの流れを後方で矯めに矯める競馬に徹してしまった。
ポジション争いや、後半のペースアップで後手を踏み易い精神状態。
タフなレースそのものは向いてはいるものの…
ワイド中心に馬券を組み立てるのであれば、外してみる手も。
「最後に」
今年は新型コロナで散々な年でしたが、来年は良い年であって欲しいですね。
それでは、良いお年を… 12/26 03:45
夏影 予想歴37年 回収率% | 予想のベースになっているのは、今井雅宏氏考案の『Mの法則』。 総拍手獲得数:1260 | |
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