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「阪神JFの結果は当てになるのか?」
下記は、ここ3年の阪神JFの内容をまとめたもの。前半後半のラップ、勝馬やキー馬の3角4角の位置取りと上がりを記してみた。「キー馬」というのは、レース展開に大きな影響を与えた馬や、レースの特性を象徴する結果を残した馬である。
・2022年
前半45.2(12.1→10.5→11.1→11.5)
後半47.9(11.8→11.1→12.5→12.5)
勝馬 リバティアイランド 8→8(35.5)
2着 シンリョクカ 8→8(35.9)
キー馬 サンティーテソーロ 1→1(37.2)7着
サンティテソーロが最内枠からロケットスタートを決め、早々と先行馬の隊列は決まる展開。
サンティーはかなり前向きなタイプで、ハナを奪い切った後も2ハロン目も10.5秒、更に息を抜く事なく11秒台のラップを継続。更に直線入口から加速し後続を引き離したが、その直後力尽きた。
サンティーの作った激ペースのお陰で、後半の落差が2.7秒とかなり強烈な前傾ラップ。ラストは12.5→12.5と2ハロン脚が上がった状態での踏ん張り合い。リバティアイランドの強さが際立ったレースだったが、逆にオセアニア血統のリバティに向いた展開だったとも言えるし、主流色とは著しくズレた内容の競馬だったとも言える。
・2021年
前半46.4(12.2→10.4→11.5→12.3)
後半47.4(12.6→12.1→10.9→11.8)
勝馬 サークルオブライフ 11→10(33.9)
2着 ラブリイユアアイズ 6→6(34.2)
キー馬1 ダークペイジ 1→1(36.4)14着
キー馬2 ウォーターナビレラ 3→3(34.5)3着
スタートから先行争いが縺れて2ハロン目10.4と速くなるも、その後しっかり息の入り中弛みのラップとなる。
息が入った展開だった故、後半に10.9とワンアクセント伸びのあるラップが発生。4コーナから進出し先頭に躍り出たウォーターナビレラの積極策に目を奪われたが、結局最後はサークルオブライフラブリイユアアイズに差される結果になった。
中弛みが発生し、最後は直線でのスピードの伸びが問われたレース。イメージ的には中長距離のトライアルレースに似たラップ構造。
・2020年
前半46.8(12.4→10.8→11.7→11.9)
後半46.3(11.9→11.2→11.4→11.8)
勝馬 ソダシ 5→4(34.2)
2着 サトノレイナス 9→8(33.9)
キー馬1 ヨカヨカ 1→1(34.8)5着
キー馬2 メイケイエール 12→ 8(34.0)4着
キー馬3 ユーバーレーベン 15→14(33.6)3着
11秒台のラップが続き、マイルらしい総合スピードが問われたレース。
1着ソダシは好位、2着サトノレイナスは中段で流れに乗り、終いも伸びもしっかり見せた。
ステイヤー要素がやや強いユーバーレーベンは、最速上がりを見せたものの、道中で流れに乗れなかった事が致命的になり一歩足りない結果となる。
ヨカヨカは、テンのダッシュから良いスピードを見せた。メイケイエールも最後の直線で良い加速力を見せて一旦先頭に踊り出るシーンを見せている。
共にスプリント適性寄りの馬で、スピードが乗り切る前にレースを終えたいクチ。スピードの持続力やトップスピードの部分が問われて来ると苦しくなる。結果、差されて一歩足りない結果になった。
純粋にマイル適性が問われたレースで、ソダシとサトノレイナスは、その後桜花賞でも1、2着となる。
ここ3年の阪神JFの競馬を振り返ると、それぞれ個性の違った展開になり、問われる要素が異なる事が理解出来る。
一昨年の世代はしっかりマイル適性が問われていたので、2歳女王ソダシがそのまま桜の女王になった。
しかし、昨年の世代はマイル戦らしからぬ流れの競馬となった。勝馬サークルオブライフは、桜花賞では一歩足りない結果となった。逆に阪神JFで2着と一歩足りなかったウォーターナビレラは桜花賞でも2着。阪神JFで見せた追走スピードや、終いのスピードと持続力が桜花賞でも生かされたという事。
今年の世代の阪神JFは、消耗戦でゴール前でバタバタとなり、終いのスピードや持続力という要素が問われていない。
レース内容と血統背景から言える事は、2020年のような道悪開催であれば、リバティアイランドは最強だろうという事。
逆に、純粋にマイル適性が問われると「果たして?」という事でもある。
力量は確かなので、大崩れは考えにくいが、マイル適性の高い馬の決め手に屈する事は十分に考えられる。
注目はマイル適性の高い馬だ。
「結論」
◎ジューンオレンジ
(血統)
父ジャスタウェイ、母父シンボリクリスエス
(オプション)
多頭数、「G2→G1」格上げ、「1400→1600㍍」距離延長、「内回り→外回り」、生涯初のG1挑戦。
(解説)
母母母ツィンクルブライドはリファール直仔の桜花賞2着馬。母系はサンデーサイレンス、リファール、グレイソヴリンの血を持ち、マイル質のスピードと持続力に期待が持てる血統背景が魅力。
父の血より、キャリアを積んで徐々に実力を上げ、G1の舞台に漕ぎ着けたという臨戦過程も評価出来る。
ここ2戦は小回りの激ペースのスプリント戦。テン3F33秒台前半では、マイラーでも追走に苦しむ流れ。最速上がりを叩き出しての「一歩足りない結果」。いわゆる「スピードで勝って、加速力で負ける」の内容で、マイラーがスプリント戦で負ける典型的な形だ。
今回は外回りのマイルに変わり、追走面では明らかに「苦→楽」となるステップ。前走、前々走とスピードが乗り切る前に競馬が終わるタイプのもので、能力を十分に発揮出来ていない内容から、疲労の度合いも少ないと考える。
今回は直線に出てからゴールまでしっかりと距離があり、この馬本来の「スピードの伸び」を生かせ、バケる環境が整った。
改めて、この馬の「真の実力」に期待してみたい。
○ライトクオンタム
(血統)
父ディープインパクト、母父クオリティロード
(オプション)
多頭数内枠、「G3→G1」格上げ、生涯初のG1挑戦。
(解説)
こちらはディープインパクトの王道配合で、ジューンオレンジとは逆に「競馬の鮮度」にシビアなタイプで、キャリアが少ない方が良い。
前走がシンザン記念という異端ローテーションや、G1初挑戦というフレッシュさが実感出来るタイミングに好感が持てる。
疲労面に対してもシビアなので、休み明けも評価。
前走は前傾気味のラップで後方から最速上がりを駆使、デビュー戦は61.1のスローの流れを逃げている。
前向きさも適度にあり、スピードにも乗れそうだが、揉まれる競馬の経験が無い点が不安材料。
▲リバティアイランド
(血統)
父ドゥラメンテ、母父オールアメリカン
(オプション)
休み明け、多頭数
(解説)
阪神JFで最高のパフォーマンスを見せたように、本来は上がりの掛かるタフな競馬がベスト。
前走もしっかり流れに乗れており追走面の不安はないが、レース後半でスピードの伸びが問われて果たしてといった不安あり。
実際アルテミスSでは、力で着差を詰めては来たものの、反応面やキレの面でラヴェルに負けていた。他馬に使える脚があるタイミングでは、進路を塞がれる不利を受けやすくなりやすい。
力量は確かなので、崩れる事は考えにくいが、マイルのスペシャリスト相手にスピードやキレで勝てるとも思えない。
△ドゥアイズ
(血統)
父ルーラーシップ、母父ディープインパクト
(オプション)
なし
(解説)
ハーパーとの比較で、こちらを上位に取った。
ハーパーは母方の影響が強く、前向きさがあり、スピードもあり、ペース激化に対する適応力が高い。
馬体減とは、筋力が落ちた分パワーや加速力が減り、体重が落ちた分スピードそのものは上がるという効果が期待出来る。
ハーパーは適性のある中、クイーンSで究極の仕上げを施しての勝利だという事であり、これ以上のパフォーマンスに疑問を感じている。
逆にドゥアイズは、中長距離適性の高い血統背景を持つ馬で。
マイル色の強いレースで、堂々の先行策と力勝負で挑んでのクビ差なら、こちらの方が内容的には断然に上である。
重賞4戦目でフレッシュさなく、オークス向きだが、力だけで掲示板に馬番を載せてくるくらいの事は容易く出来るはず。
▽トーセンローリエ
(血統)
父サトノクラウン、母父メイショウサムソン
(オプション)
生涯初のG1挑戦
(解説)
本来は1800㍍を先行して力で押し切る競馬がベストだが、リステッド競走とは言え、マイルの流れを先行して押し切るのだから力はかなりある。
掲示板に馬番を載せるくらいの事はあっても良い。
オークス出走なら面白い。
「その他人気馬」
・ハーパー
物理的にはベスト。前走もベスト条件だっただけに、それ以上のパフォーマンスとなると…
むしろ、マイルを力で押し切ろうとした2着ドゥアイズの強さが際立っていたレース内容。適性だけでリバティに勝てるとは思えない。
6番手評価。
・コナコースト
精神的な強さあり、スピードもありそう。しかし馬体が減り続けているあたり、体質の弱さを精神力でカバーしているような印象。
ここ3戦は緩い流れのお陰で流れに乗れているが、いきなりマイルらしいペースにを目の当たりにした時に、体力的に付いて行けなくなる可能性あり。馬体は戻して欲しいところだし、経験も欲しい。
8番手評価。
・ペリファーニア
エフフォーリアの半妹という事で人気になっているようだが、兄のような根幹距離適性はない。
スピードではなく力で捻じ伏せるタイプなので、1800㍍以上の非根幹距離レースで。
切り馬「✕」指定。
・シングザットソング
前走があまりにもスムーズ過ぎた事が返って不気味。スタートの御し方が難しそうな印象を抱いた。
これまでは外回りのマイル戦で、フワッとスタートを切らせようとしていたが故に、馬の過剰反応により出遅れているのではないか?…と考える。
前走はスタートの出し方云々よりも、権利取りを優先。
小回りの1400㍍故に出遅れたら負け、ガツンとスタートを切るよう仕向けたから、きれいにスタートが切れた…とも考える。
理想はガツンと出してから控える形だろうが、外枠でそれをやると、前に壁が作れず抑えが利かなくなる可能性も。
スピードあるし、適性も力量もあるが、今回はかなりスタートの難易度が高そう。力量の割に人気無さ過ぎで、手がでそうになるが我慢したい。
現状では高速前残り馬場が理想だろうが、今後の学習次第でかなり変わってくるだろう。
マイルCで注目、今回は7番手評価。 04/09 12:53
夏影 予想歴40年 回収率% | 予想のベースになっているのは、今井雅宏氏考案の『Mの法則』。 総拍手獲得数:1260 | |
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