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過去に何度か話したと思うが、このレースはマイルであるが1400㍍的な要素が問われるレースで、スプリントレース経験馬に有利なレース。
若駒のマイル戦は、通常スローになりやすい。しかし、このレースは直線の短い中山で行われる重賞なので、それなりに流れる。ペースのギャップに悩まされる馬が多いので、速い流れを経験した馬がアドバンテージを得るのである。逆に1000㍍通過60秒を切るペースを経験した事のない馬は全くといって良いくらい当てにはならない。大波乱となった昨年が、最も参考になる例だ。
2023年
1着 キタウイング(11番人気)
新馬 58.8(1200㍍戦)
阪神JF 57.0
2着 メイクアスナッチ(7番人気)
新馬 58.5(1200㍍)
3着 スピードオブライト(6番人気)
新馬 58.8(1200㍍)
京王杯2S 57.6(1400㍍)
ヒップホップソウル(1番人気11着)
新馬 64.1
ベゴニア賞 60.7
上記は上位入線馬と人気ゴケしたヒップホップソウルの比較である。
人気薄だった上位入線馬はいずれも1000㍍通過59秒を切るラップを経験していたのに対し、人気のヒップホップソウルはその経験が無かった。結果「60.7→58.2」という1.5秒差のペース激化に対応出来ず、「4角2番手→4角6番手」とポジションを落とし、上がりも36.3と不発に終わった。次走のフラワーCで2着になったように、人気になるだけの力量は確かにあったのにも関わらず、このような不甲斐無い結果になったのだ。
同じような事が言えるのがスティールブルーで、新馬が62.8、アルテミスSが60.0とスロー競馬の経験しかない。アルテミスSのは実に低レベルで1000㍍の通過ラップが60.0、新馬戦レベルの超どスローの上がり勝負。マイラーとしての追走スピードではなく、気の良さが問われたレースだ。デビュー戦、前走共に大外枠からのスロー競馬。速い流れの競馬だけでなく、揉まれる経験もなく、直線の短い中山の多頭数競馬でどんなアクションを見せるのか興味深い。
このレースへ向けて、最悪なステップを踏んでいるのはジークルーネだ。前走はスローの1400㍍戦で、1000㍍通過が60.3。これでは、ペース激化に加え、距離延長で体力負荷も前走よりも大きくなり二重苦。逆にこの苦境に耐えられるような馬なら化け物レベルの馬だと言うよう。
◎マスクオールウィン
(血統)
父ドレフォン
母父ハーツクライ
(オプション)
多頭数内枠、「1200→1600㍍」距離延長、生涯初重賞。
このレースとの相性が良い距離延長ステップ馬。集中力高く、格上げステップや内枠合う。
血統的には、父は本来超スピード色、母はフランス色が強い。集中力を生かしたいので、内枠を生かしてのインベタ、位置取りを下げて末を生かす競馬が面白いだろう。加速力、スピード共に高いレベルが期待出来る血統背景を持ち、1200〜1600㍍でトップクラスでの活躍に期待してみたい。
○キャプテンネキ
(血統)
父ダイワメジャー
母父キャプテンスティーヴ
(オプション)
「1400→1600㍍」距離延長、「G2→G3」格下げ、「先行→差し→先行」バウンド位置取りショック。
本命馬同等の評価を与えているのがこの馬。
前走は、1000㍍通過が56.7という激流。今回はペース緩化となり追走が楽になる可能性が非常大きい。アメリカ色主体の血統構成で、母系はステイヤー的要素も強い。前向きさを生かせるステップは向くし、終いはかなりしぶといはずで、急坂にもしっかり対応出来るはずだ。
1400㍍が3戦続き、マンネリ化しつつある状態での距離変更。新鮮味を取り入れるという意味でも、良いレース選択だろう。単勝も押さえておきたい。
▲テリオスサラ
(血統)
父ロジャーバローズ
母父シャマーダル
(オプション)
「1勝→G3」格上げ、生涯初重賞。
ステップは微妙も、ペース激化適性の高さを評価。
デビュー戦は64.3のどスローの流れで3着。2戦目の未勝利戦では「64.3→59.9」の急激なペース激化にも係わらず、「4角5番手→4角2番手」の逆位置取りショックでパフォーマンスアップ。ロジャーバローズ産駒らしいキツさのある闘志が窺える。
前走は「59.9→59.9」と全くペース変化は無かったが、マイルにしては、ゆったりした流れ。他馬に余力をもたせてしまう分、勝ち切れずに終わった内容。ヨーロッパ色が強い血統背景を持つ馬なので、タフな流れ向きなのだろう。レースのレベルが上がるのはプラスになるはず。
△メジャーデビュー
(血統)
父ガルボ
母父サウスヴィグラス
(オプション)
「未勝利→G3」格上げ、「ダート→芝」、生涯初重賞、多頭数。
マンハッタンカフェ産駒のスピード馬は、長距離的底力をゴール前のしぶとさや集中力に転化させたタイプに出やすい。その典型なのが、ジョーカプチーノ産駒だったりガルボ産駒だったりする。同馬の母父からしてダート馬っぽいイメージもあるが、馬体が小さい事や、3戦目の内容からも、当面は芝の方が良いかも知れない。
3戦目の芝1200㍍戦は「59.9→57.9」と2秒のペース激化でパフォーマンスアップ。前々走は58.5、前走は58.6と芝ダート問わずペースがしっかり流れてくれば自ずと集中して走りも安定してくる。
キレ味は期待出来ないが、「ダート→芝」によるパワー補完を上手く生かしたい。
先行してしぶとさを生かす競馬が理想。逃げても面白いだろう。
…キャットファイト
激流だった阪神JFを経験した事は評価出来るが、高速決着となった前々走の圧勝振りや、前走であっさりレースを投げてしまっている素振りなどから、レース適性に疑問に思える部分あり。
しぶとさを兼ね備えたディスクリートキャット産駒というよりは、その父父であるストームキャットの軽薄さをモロに受け継いだように見えるのが同馬の特徴だ。
2連勝は、共に少頭数でのもの。揉まれる事もなく、スローの流れになり余力十分でレース終盤を迎えられた事が、この馬にとってプラスに働いた。逆に阪神JFはフルゲート、激ペース。あまりに厳し過ぎたのでレースを投げものと思われる。
ストレス疲労はしっかり抜けているが、基本どの馬も賞金加算の為に必死に挑んでくるレースである。それなりに攻防は厳しいレースとなるはずだ。
ストームキャットの本質は、レース中に「辛い」と感じるとあっさりレースを投げるところにあり、激走時と凡走時の差が非常に激しいのが特徴。
高速馬場で少頭数だった前々走は、のびのびと競馬ができ、持ち前のスピードが存分に発揮出来ての圧勝劇。
一流のメンバーが揃い、激ペースとなった前走は、ポジションを悪くした時点でレースを諦めている。
「格下げ」といったプラス要素は評価できるが、その反面、他馬の本気度が高く、且つ多頭数という条件は攻防が激しくなり、絡まれたり、揉まれたりするリスクも高くなる。
消し馬には出来無いが、積極的に買える馬でもないと考える。 01/07 14:18
夏影 予想歴41年 回収率% | 予想のベースになっているのは、今井雅宏氏考案の『Mの法則』。 総拍手獲得数:1260 | |
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