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今年の3歳牝馬クラシック路線は混沌の極み。阪神JFも一応ローブディサージュが勝つには勝ったがという内容で、来年不動の主役に決定と言えるほどのパフォーマンスでもなかった。それだけに、今年の冬からJF組を凌駕する馬が出てくるかどうかがポイントで、その意味では例年以上に注目される。フェアリーSでは2戦2勝無敗の素質馬がJFや牝馬重賞路線組で戦ってきた馬たちを相手にどう戦うかが最大の焦点も、脇を固める馬も多く、抽選の結果次第だが今年のクラシックを賑わしてきそうな雰囲気を持つ馬は多い。桜の季節で主役を張るために、まずは冬に地道に力をつけていけ。
中心は2戦2勝、どちらも完勝スズノネイロ。純和風の名が心地いいが、勝ちっぷりもまた気持ちいい。新馬戦では12.6 - 12.1 - 11.0 - 11.0と2F勝負でギアチェンジ能力が問われたレース。出はそこまで良くなく中団から運び、コーナーはインで出口で中目に持ち出す。直線序盤で外から仕掛けられてじわっと差を詰めてくるとL2で一気にトップスピードに入って突き抜ける。後は唯一追いすがってくるレッドオーヴァルを寄せ付けずに1馬身差保っての完勝。ちなみに2着のレッドオーヴァルも次走未勝利戦で完勝していて、この2頭の力が抜けていた形。トップスピードとギアチェンジ能力の高さを見せてきたと言っていい。そして2走目のつわぶき賞は中京1400mの舞台。新馬に比べるとやはり平均的な競馬になり12.2 - 12.2 - 11.6 - 11.8のラップ推移。ポテンシャルもそれなりには問われた展開。ここも出はそれほど良くなく中団からの競馬になる。3~4角で中目を通し中団で直線、序盤は進路も狭く苦労したが狭いところを割って抜け出してくると凄い脚。L1でもそのまま突き抜けての圧勝となった。ここも12.2-11.6の加速の流れが有って、ここで前が壁とスムーズさを欠きながら一瞬で加速してしまうギアチェンジ能力がきわめて目についた。もちろん新馬戦と違って今回はある程度のペースを進めてきた上でというおまけがつき、新馬戦以上に評価できる内容と言える。ただし、このレースの時計面での評価はそこまでできるものではない。この点で中山マイルという舞台、比較的良質なスピードが問われやすいコースで、前走以上にポテンシャルが問われる可能性は高い。前走である程度対応できたとはいえ、まだ淀みない厳しいペースでどこまでやれるかまでは未知数。今の所、最大の持ち味は要所ですぐに加速できる圧倒的なギアチェンジ能力。それが相殺されかねない舞台にはなるので、この馬の良さが出せない展開になってもどこまで頑張れるかが大きなポイントだろう。ここである程度対応してくれば今年の牝馬路線の主役になることは十分にありうるだろう。
相手筆頭にはJF組ではなく抽選待ちのセキショウをピックアップしたい。アスター賞では牡馬に交じって番手からしぶとく粘り込む競馬。超高速馬場で前傾ラップ、12.2 - 12.2 - 11.6 - 11.9の流れの中で要所で内ポケットに入り込んでしまい、追い出しを我慢させられてしまった。直線後半でジリジリとばてずに食らいついたがポジションを下げた分の3着となった感じだった。百日草特別ではこれもなかなかの強敵所を相手にスローから12.5 - 11.5 - 11.3 - 11.3のラップ推移。大外枠もあって出は良かったが下げて後方。レッドレイヴンの後ろから直線で仕掛ける形。直線序盤こそ少し反応鈍かったが、トップスピードに乗ってからはしぶとくジリジリと差を詰めてきた。ラップがラップだし、内有利の馬場状態だったことを考えれば強敵相手にこの内容は評価できる。それに持ち味のポジショニングを殺しての競馬になったこともある。そこまでトップスピードが高い馬ではないので致し方ない。前走はシンボリクリスエス産駒にありがちな2000mで少し距離が長いという形の競馬。12.6 - 12.1 - 11.7 - 12.1と前後半が少し早い中弛みの競馬になったこともあり、コーナーから直線入りの反応で見劣ってしまったのが大きかった。後は追われなかったし気にしなくていいか。もともとアスター賞の内容を見てもスピードに乗ってそれを意地というタイプのポテンシャルタイプの馬だとは思うし、前走のようにポジションを取りに行ってペースが緩んで再び上げてというような競馬だと苦しかったような気がする。基本的には基礎スピードの高さからポジショニングとポテンシャルを活かしてというタイプだと思うので、道中あまりペースアップがないコースが良さそうで、中山1600辺りは良いと思う。シンボリクリスエスの仔なのでベストは1800mなんだろうけど、これまで戦ってきた相手を考えればここでも十分中心の1頭になるはず。後は抽選をくぐれるかどうか。
3番手には芙蓉Sでこれも強敵フラムドグロワールを撃破しているサンブルエミューズ。阪神JFではハイペースで11.9 - 12.2 - 11.5 - 12.7のラップ推移。序盤からある程度出して行ったが、3角までに前列が凝縮してしまい、阪神マイルで良くありがちな内が窮屈になった形。それでも割とスムーズに走れていて、コーナーでは内目を立ち回って競馬をしていたが直線での伸びにはつながらなかった。ペースも早かったがもしかすると福島新馬の負けを考えると重い馬場がプラスには足らなかった可能性はある。芙蓉Sでは逆に超高速馬場で12.3 - 12.0 - 11.4 - 11.2と加速ラップ。これを出遅れて外から追いこんでの勝利となっているが、緩い地点で押し上げて加速して直線に向かっていて、直線の序盤で早めに抜け出しての勝利。トップスピードに早めに乗り切ったことが勝因でL1が最速戦、ポテンシャル面でまだどこまでやれるかはまだわからない。この時はスプリンターズSで6秒台が出る超高速馬場(開催序盤ほどではないが)でもあり、芙蓉Sはラップ推移からも結果的には超スローの部類で、各馬が仕掛け遅れた形と分析しているので、これは少し嵌ったとみる方が良いだろう。新潟未勝利勝ちは内回り1400にありがちな前傾ラップのスピード押し切り圧勝だが12.0 - 12.1 - 11.6 - 11.8のラップ推移からも余力は残していた。基礎スピードやポテンシャルも高い馬だしポジショニングも本来は良い馬。ただ、芙蓉Sの内容だけでは正攻法でマイルが持つかどうかは少し微妙な所。ここは骨っぽい馬も多く、前走の内容からもJFのレースレベルがまだはっきりとはしないので、現時点でここで中心とは言い切れないかなというのが正直な所。ここは試金石の一戦だろう。
穴どころからはレッドオーヴァル。スズノネイロに新馬戦で負けた形ではあるのだが、この馬だけ唯一スズノネイロを詰めていた。12.6 - 12.1 - 11.0 - 11.0のラップ推移で後方からの競馬。4角出口ぐらいから押されていて、直線でその分しっかり反応できたともいえるのだが、L3-2の地点でスズノネイロのギアチェンジ能力の差で楽に差を広げられている。それでもL1詰めてきていて、ラップから考えればこの馬自身はL1の方が速い脚を使っていることになる。そう考えればこの馬の適性を一言で言えばトップスピードは速いが、そこまでのギアチェンジ能力が見劣るという所だろう。そしてそれを計らずも証明した形となったのが前走未勝利戦。中京1400mで平均的な競馬になった形。ここでも出は悪かったのだが前傾ラップで11.5 - 11.9 - 11.7 - 12.2のラップ推移、3~4角にかけてエンジンをかけてくれる下り坂があるコースで、大外からこれらを問題とせずぶっこ抜いての圧勝。時計面ではレコードではあるものの、そこまで極端に早いというわけではない。が、ポテンシャル勝負になり、ある程度スピードに乗ってしまえばそれを維持する能力は高いことが分かった。また、新馬戦でトップスピードの高さをはっきりと見せていて、弱点はポジショニングとギアチェンジ能力の低さだろう。中山マイルなのでポジショニングはやはり不安材料だが、下り坂が続くコースで一貫ペースになりやすいという性質からも、ギアチェンジ能力はここでは問われる可能性は低い。今回はスズノネイロに逆転できる要素は十分にあると言っていいだろう。あとはJF組との力関係ひとつだろう。
1戦1勝からはイリュミナンスが怖い。マンハッタンカフェ産駒は通常スピード持続戦向きのポテンシャル型が多い印象。その中で、前走新馬戦で圧巻のパフォーマンス。時計がかなり掛かっていた暮れの阪神でスローだったとはいえ12.3 - 11.9 - 10.7 - 11.5のラップ推移でぶっちぎったのはかなり破格のパフォーマンス。序盤もすっと先行争いに加わって番手の外。直線序盤の最速地点で一気にぶっちぎると、L1でもそのまま差を広げるだけの異次元の突き放し。時計も遅いが馬場やペースを考えるとかなり優秀。内外の差は有れど、同じ超スローのラジニケ杯が超スローから12.0 - 11.5 - 11.0 - 12.0のラップ推移だったことからも容易に凄さが測れる。それに古馬500万下が一貫ペースを刻んでも1:35.7という時計だったことを考えれば、これまたわかりやすい。もちろんポテンシャル勝負になった時の不安というのも現時点ではあるわけだが、それを含んでも相当面白い逸材であることは間違いない。現時点でベスト距離は2000ぐらいにありそうな感じはするのだが、ここに入っても全く見劣らないパフォーマンスをしてきている。軽視は禁物だ。
大穴で再度タンスチョキン。これも抽選組で出られるかどうかは分からないが、ここまででハッキリしているのは確実にポテンシャル特化型だということ。白菊賞では平均ペースで12.0 - 12.1 - 12.0 - 12.0のラップ推移、出遅れ最後方から大外を回してジリジリ伸びずばてずの4着。このレースはラップを見ても平均的なスピード勝負になっていてL1もそこまで大きくは落ち込まない流れ。それにラップに緩急がなかったので押し上げるポイントがなく純粋に出遅れが響く形だったと言える。これまでの敗因は確実にポジショニングの悪さとトップスピードの足りなさからくるものなので、中山1600mで一貫ペースになった時にこの馬の持ち味であるポテンシャルの高さが活きてきそう。切れないが大きくは負けないという典型的なタイプで、内枠にでも入ってポジショニングの悪さをカバー出来たり、スペースがあって要所で要所で押し上げたりできる条件が整ってくると、まだ底を見せていないだけに怖い1頭だろう。
ツクバアラモードもレースセンスでどこまで粘れるか。前走はひいらぎ賞。相手もマイネルホウオウとなかなかの強敵相手にハナを切ってレースメイク。12.1 - 11.8 - 11.6 - 12.3のラップ推移でギアチェンジ能力の差でマイネルホウオウに早めに交わされ、L1の踏ん張りも少し足りずにクリノチョモランマにも交わされての3着。ただ、序盤すっとハナを取れるだけのポジショニングセンスは魅力で、4着に下したエールブリーズがシンザン記念でも7着とそこまで悪くない競馬。この馬自身も通用するだけの素質は持っていると言っていい。今回は強敵も多く脇役も骨っぽい相手揃いだが、抽選次第では自分のリズムで走れるというのは安定した武器になりそう。ただ、前走は時計面ではそこまで評価できるものではないので、一貫ペースでポテンシャルを問われた場合にどこまで抵抗できるかだろう。その点はまだ未知数だし、緩いペースでも前走の内容では勝ち負けまで来れるかとなるとまだちょっと足りない気はする。相手、展開次第だろう。
出てくればのオツウ。万両賞ではタフな阪神1600で12.6 - 12.2 - 11.0 - 12.1のラップ推移。好位で少し力んでいたようには見えたが、直線序盤、最速地点での脚は狭いところを通ったせいもあるかイマイチ。それでもL1で手応えの割にかなり伸びてきて、最後は詰めてきていた。これは評価できる内容。ただトップスピード面で物足りない面を見せた。ポジショニングは若干出負けしていたが押されるとすっと反応して掛かり気味になるぐらいだったし、ハーツの仔らしく比較的ポテンシャル型の馬なのではないかと思わせる。ただ、ハーツの仔なら序盤あまりペースが上がらない方が良い馬が多いので、その点で中山マイルはどうだろうか。
最後にウインプリメーラ。未勝利戦では京都マイルで逃げ切り勝ち。12.0 - 11.9 - 11.5 - 12.3のラップ推移で平均ペース。スピードで押し切った形だが、馬場を考えれば時計ラップ共にそこまで強調できるほどではない。前走アルテミスSでは番手から12.3 - 11.6 - 11.6 - 11.7のラップ推移。内有利馬場で少し中弛みがあった形ではあるが、番手からしっかり抜け出して直線序盤で早めに先頭に立つ勝ちに行く競馬。それでもL2では甘くなっていて、最後はバテ気味に突き放された。ラップ推移を考えても減速している内容で、ポテンシャル面で重賞勝ち負けまでは辛い印象を見せた。前走、前々走共に内が有利な馬場状態でもあり、これを考えると今回は相手も骨っぽく、前走のレースレベルも現時点で高いとは言えないので、強調材料はあまりないように思える。前に行ってどこまで粘れるかぐらい。
http://blog.livedoor.jp/catassan/ 01/10 13:57
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