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13.0 - 11.6 - 11.3 - 11.7 - 12.4 - 11.9 - 11.9 - 12.7 - 12.7 - 12.7 - 12.1 - 11.9 - 11.4 - 11.7 - 12.3 - 12.5
このラップ推移については、個人的に言いたいことはたくさんあって、ホントは最初色々原稿で書いていたんだけども、消した。またあとで書きます。あまり良い表現ではないかもしれませんが、ある種今の競馬の騎手の技量についてというか、そこに疑問を呈する形ですね。これはオルフェーヴルに限ったことではないのですが。
それは置いておいて、客観的に見てこのラップで押し上げる要素があったとすれば12.7-12.7-12.7の緩みだけ。あとはかなり厳しいラップを刻んでいて、緩急もほとんどなく、押し上げるのは難しかったと思います。上の段で言えなかったことを要約すれば「もう少し序盤のポジショニングの重要さを知れ」ということなんですけどね。こういうラップを逃げ馬に刻まれたらもう動けないでしょ。動くタイミングないんだもん。ラップ見る前はオルフェなんでこんな酷い負け方したんだろうと思ったけど、ラップ見りゃ一目瞭然だわ。あの位置で届くわけないし、ま、もう一つ思うことはあるけどそれはオルフェ欄で書かせてもらいます。
1着ビートブラックはまずまずのスタートから押して押してハナを奪う。しかしゴールデンハインドがかなり勢いをつけてハナを奪いに来るので、無理せずに単騎の2番手に下がる。1周目のホームストレッチでしっかりと折り合って番手追走と絶好位も1000通過は1分前後と速い流れ。2角過ぎで3番手ナムラクレセントを置き去ってゴールデンハインドを徹底マークも若干緩める。3角の上りで先に仕掛けたビートブラックがゴールデンを外からかわしてハナに。そのまま下り坂で更にゆったりと加速し、4角で仕掛けて大幅なリードを広げて直線。序盤でゴールデンを千切ると、L1でも脚色全く衰えずにそのまま粘りきっての圧勝。いや、長々と前置きを書いたけど、この馬と騎手石橋脩に対してケチをつけるつもりはさらさらないです。超高速淀の3200mという競馬をよく理解したパーフェクトな競馬ですね。個人的にナイス騎乗というか神業だなと思ったのはゴールデンハインドを交わしに行ったポイントですね。12.7-12.7-12.7と3F緩んだ最後のところで仕掛けて、そこからペースが12.1と上がってるんですが、これってちょうど上り坂に向かうところなんですよね。後方の騎手心理としては、ペースは早いと感じているはずなので、ここで仕掛けるとばてると思わせるのが一つと、ここで仕掛けては早いと思わせたことが一つ。とにかく前がばてない馬場なので、重要なのは直線でのセーフティリード。それを縮められないようにするには最高の仕掛けどころだったと思います。そして、ゴールデンハインドも下り坂から仕掛けようと思っての緩めだったと思うので、緩い地点でワンテンポ早く動くことで、割と無理なく押し上げられたという点が大きいと思います。平均ペースをしっかりと徹底して番手追走した決め打ちも光ったけど、個人的にはこの仕掛けは相当心臓が強くないとできないと思いますね。また、それに応えたビートブラック。ちょっと舐めてましたが、菊花賞のパフォーマンスよりもはるかに上げてきましたね。この馬は無尽蔵のスタミナの持ち主かもしれません。緩めなければ強い…スピードがないので長距離で花開いた感ですが、高速馬場で淀みない展開という舞台はなかなかないので、自分でそういう競馬を作れる長距離が結果的に良かったという感じですね。2200mの宝塚でそれを作れるほどのスピードがあるかどうか。それにしても、凄い競馬でした。人馬ともに最大級の賛辞を送りたいと思います。この馬が強いとわかっていたとしても今日の競馬で他の馬が潰しにこれたかどうかも分からないですしね。時計的にも素晴らしいですし、ステイヤーが勝つべくして勝った春の天皇賞に相応しい勝ち馬だと思いますよ。むしろこの馬が東京2400mや中山2500mでも平均ペースを刻むような競馬でどういうことになるのか、アンチテーゼとしてやってみてほしい。この馬はこれだけ速い脚を持続させてもばてないのだから、緩める意味なんてないんですよ。ワンペースの馬なんだから。スローのキレ味勝負ではローズキングダムにも勝てないというのが本当のところのような気がします。ただ、この馬タフな馬場は実はあまり得意じゃないんですよね…。難しい馬だ…フロックと言われて終わってしまいそうで。フロックというよりは、ダイユウサクの謎の激走に近いかもしれないけど。
2着トーセンジョーダンはまずまずのスタートから中団やや前で競馬。3角の下りでじわっと押し上げていくような感じで7番手を進める。折り合いは全く苦にしていない。道中全くポジション動かず。2周目の向こう正面では有力各馬の中では一番前で競馬を進めるが、それでも7番手。3角で差をつけられるが、下りで一気に仕掛けて内目を押し上げていく。4角で中目に出し、ずいぶん離された5番手で直線。序盤で早めに3番手に押し上げるが苦しい位置。L1で流石にゴールデンはかわすものの、もう前とは勝負あった状態。外からウインバリアシオンが伸びてきたがこれは問題にせずの2着で格好はつけた。う~ん…ま、オルフェーヴル以外では最強だと思っていたので、2着は全然納得。勝ち馬に負けたのは位置取りと仕掛けでしょうな。ただ、これもまあ岩田に関して言えば同情の余地があって、まず3200mは初距離だったこと。これは折り合いがいくら大丈夫と言っても、積極的に出していくには不安が大きい。もう一つはやっぱり外枠。もう内の馬がガシガシ行っちゃって、あそこで押して押して先行したとしても、3角下りで少し緩められたら間違いなく引っかかってしまうので、そんなリスクは背負えない。それでも有力馬の中では一番前にいたんだし、結果的に押し上げるタイミングがなかったので岩田は仕方ないかな。与えられた条件下では最高の競馬をしたと思う。やっぱりこういう時の岩田ってのは絶対押さえておかないとダメだ。馬は…まあ説明不要かな。秋の天皇賞で見せたように高速馬場での(この馬は別に高速馬場じゃなくても強いが)持続力ってのは本当に凄い。JC含めて最高のパフォーマンスだったし、まあオルフェーヴルがまともなら分からないけど、現状古馬総合力NO.1確定だと思います。あとはウインバリアシオンがどこまで伸びてくるか。オルフェーヴルがどれだけ巻き返してくるか。多く語る必要はないですね。強い。3200までこなしてしまうとは脱帽です。
3着ウインバリアシオンは五分のスタートからいつもより少し前の中団やや後方で競馬。3角下りでもしっかりと折り合って進める。割と縦長でスタンド前には外目に出していたが折り合いは全く不安なし。向こう正面で先行各馬に離されるがオルフェーヴルを意識したか、追い出す気配はない。3角下りで流石にオルフェーヴルに見切りをつけて中目、仕掛けてポジションを上げていこうとするが、やはりなかなか詰まらずに4角で外に持ち出して後方で直線。序盤で後方から中団ぐらいまで押し上げると、L1でぐんぐん伸びてくるも、位置取りの差が大きくトーセンも捕えられずの3着に終わった。うむむ…オルフェが飛んだから言うわけではないけど、ここは勝っておきたかったと思う。これねえ、L1でグンと伸びてるんですよね。トーセンとの比較を見ればわかると思うけど、トーセンは出し切ってるんですよね。ウインはまだ伸びてた。オルフェを意識して追い出しを我慢したのが敗因だと思いますね。もちろん動いて行ってダメな可能性もあるわけだけど、結果的に他の馬に比べれば脚は余ってます。ただ、この馬本当に底知れなくて、今回のような淀みない平均ペースですら最後までばてないんですよね。それも勝負どころ最速地点で外を回しているのに。オルフェーヴルばかり怪物と言ってたんだけど、本当に底知れないのはこっちかもしれない。少なくとも高速馬場の長距離ではオルフェーヴルを超越できるはず。菊花賞も力負けではなかったと思いますよやっぱり。この馬はやっぱり3000超で真価を発揮するんだと思います。この次武豊が乗るかどうかは分からないんだけど、ディープインパクトの2度目の有馬記念のイメージぐらいで一度乗ってほしい。古馬の中心はオルフェ、トーセン、ウインの3頭に、個性派5歳世代の特殊能力を持つ面々というイメージになってきました。ウインは距離が短いと苦しいと思うけど。2400は最低欲しいね。
4着ジャガーメイルは五分のスタートから無理せず後方に下げる。ウインバリアシオンの後ろ、内という位置で競馬を進める。終始折り合っていて、この辺りは流石ステイヤーという感じ。2周目の向こう正面でウインより前に出て最内からレースを進める。3角で最内をうまく追走し、4角で馬群を縫うように内目を通って後方で直線。序盤で内目から一気に伸びてくるがトーセンに対してはさほど差を詰められない。L1で3番手に上がったところで脚色がトーセンジョーダンと同じになってしまい、最後に外からウインバリアシオンにクビだけ差されての4着となった。まあこの展開、この競馬で4着なら力負けでしょうね。ジャガーメイルにとっては馬場条件も良かったし、この展開でロスなく進めたのも大きかった。まあ強いて言えばもう少し前で競馬できていればという感じですが、そういう馬ではないし、押し上げるタイミングもなかった。ウインバリアシオンが一番速いところで外を回して最後までばてていないことを考えると少なくとも最後までばてていないウインバリアシオン、脚色一緒になったトーセンジョーダンには力負けだと言えます。ただまあトップスピードが売りの馬ではあるので、平均的な競馬になったので仕方ないかなと思いますね。もう少し緩急があって先に仕掛けたりとかそういった勝負所での要素があればもしかしたら勝ち負けあったんじゃないかとも思いますが、今回の展開では地力が問われたので仕方ない。今後も高速キレ勝負では注意したい一頭ですね。
5着ギュスターヴクライはやや出負けもしっかりポジションを上げて中団にはつける。1周目の3角下りでもしっかり折り合ってスタンド前。最内で問題なく進めて1~2角。2角過ぎでかなり差を広げられていたが、ポジションを上げずに最内で構える。3角下りで最内、ケイアイドウソジンが下がってしまい、外にトーセンが被せていたので大きくブレーキをかけるような形。ここで外に何とか出してトーセンジョーダンを外から追いかけるような形で4角を進めて中団で直線。序盤で外からジリジリ伸びているものの、L1で伸びを欠き、内からジャガー、外からウインに襲われて万事休すの5着。これラップ的にもL4最速なんですよね。これは坂の下りの関係からも、ほとんどの差し馬がL4かL3最速ラップを刻んでいるはずです。問題なのは、この加速した段階でブレーキを踏んでしまったことですよね。これは致命的なロスと言えます。勢いをつけて惰性で粘り込む競馬になっているのに、その勢いを削がれたわけで、更にトーセンよりも外を回す競馬になった。それでもトーセンと0.6差ならかなり怖い存在ですよね。ウインもばてていないし、本当に長距離のハーツクライの適性ってのは怖いですね。この馬もまだまだパフォーマンスを上げてこれるはず。まあ、あの位置からビートブラックを差していたということは流石にないと思いますけどね。トーセンがスムーズでもダメだったので。
11着同着ヒルノダムールは五分のスタートから後方に下げての競馬。3角下りでも折り合いはまずまず。道中も馬群雁行状態のポケットでしっかりと競馬。少し頭を上げるところが見えた。向こう正面で馬群密集の中にいて後方集団のまま3角。3角で内目を追走、4角でも動けずにウインバリアシオンの後ろを追走するもポジションを上げられずに後方で直線。序盤から終始じりじりとした脚で伸びきれずに11着に終わった。まあすっと動けなかった理由も、伸びなかった理由も基本的には淀の上がり勝負に対応できなかったということで落ち着くと思います。敗因的には菊花賞に近い。この馬はタフな競馬がベストなので今回条件としては良かったはずなんだけど、これ後方の馬はスローに近いわけなので、この馬としては脚を使っているけどキレ負けということだと思います。それと、内を立ち回れずに押し上げられずに直線で前も大きくばてないという競馬で来るような馬ではないので、結果的に言えば位置取りが後ろになりすぎたと思う。ただまあ外枠だったしこの馬の適性を考えると内でじっとしたかったのもわかるから、何とも。いずれにせよ適性外の競馬なのでそんなに気にしなくていいと思います。この馬は宝塚記念向きだと思うので、そこで頑張ってほしい。
さて問題の11着オルフェーヴル。五分のスタートから今回は折り合い重視で最後方に近いところで競馬。3角でやや行きたがるそぶりは見せるがこの馬としては折り合っているぐらい。1~2角でも問題なく進めて向こう正面。向こう正面ですら折り合いに専心する形。勝負所でも動けずに3角へ。3角でウインが先に仕掛けたので、その後ろから坂の下りで一気に押して押して競馬を進めるが押し上げられず。4角でウインバリアシオンの外に持ち出そうとして大きく膨らんでしまい、ここで少しつんのめるような感じになって後方で直線。序盤で大外からジリジリと伸びきれずに完敗の11着。世間では謎の惨敗という形になっているし、競馬的にもかなり大きな問題ではあるので、あまり大きな声で個人的見解を述べるというのも気が引けるんだけど、個人的には全然納得できる負け方。騎乗面でのミスが非常に多いと思う。かつ、これはある程度予想できた人はいたかもしれない。俺もここまで酷いとは思わなかったし、展開もここまでこういうことになるとも思わなかったけど、一つはレース全体の仕掛けどころがかなり早かった。もう一つはオルフェーヴルは早仕掛けが難しい状況だった。これL4最速ラップでみんなL4坂の下りで押し上げてるんですよね。簡単な話、有馬記念ではオルフェーヴルが先に仕掛けてレースが動いた。ところが、天皇賞ではレースが仕掛けられてからオルフェーヴルが動いた。何度も言っている通り、オルフェーヴルはキレ味が突出した馬ではないわけですよ。レースが動いて、淀の外回りと瞬発力がなくともすぐに加速できる下り坂で、他馬が既にトップスピードに入っているであろうラップ推移の流れの中。そこでキレ味で引けを取らないウインバリアシオンでも押し上げられなかったというのに、その外から押し上げられるはずがないというのが1点。そして、やっぱり序盤の位置取り。折り合いに固執しすぎて、既にレースとしては勝負が終わっていたということ。あの位置では当然だけど届かない。これウインバリアシオンが33.5の上がりでちょうど1秒差。なので、32.5以上の脚を使わないと届かないわけですよ。当たり前だけど無理。ハナから勝ち目はない競馬だったんです。もちろんこういう展開になることを想定するとリスクが高いというのはわかってましたしね。なので何でもない、ただの負けです。きさらぎ賞でトーセンラーに負けたのと同様、こういう消極的な競馬をすればオルフェーヴルは一切強みがなくなってしまうというわけですよ。問題なのは、これトップスピードに入ってからウインバリアシオンを交わしに行ったときにかなり膨れていたんだけど、これ相当負担が掛かっているはずで、実際ここからフォームが少し崩れた感じ。何事もなかったらいいんだけどねえ。池添はかなり精神的に参ってると思う。まあ、これが圧倒的1番人気に乗るということですよ。これで精神が参るんなら、武にでも変わってもらった方が良い。逆に言えばこれぐらいで参ってもらっちゃ困るわけで。ただ、騎乗で負けたのは確か。阪神大賞典の逸走も含めてね。あれさえなければもっと積極的に運べたと思うんだし。それでも中団にいて仕掛けが遅けりゃ届かないとは思うけどね。菊花賞は平均ペースでもL5に12.9とちょっと緩んだしね。上がりもそれほど問われなかったし順々に加速できたからこの馬の持ち味が出た。この競馬で決して3200がダメとは思わない。今回に限れば馬の力を出し切れない状況にしてしまった池添と陣営のミスだね。阪神大賞典と天皇賞抱き合わせでのミス。
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