もう勘弁してください、と言いたくなるようなルメールの好騎乗でした。スタミナ量だけが問われたレースなので、本来ならカネヒキリは用なしの展開です。ヴァーミリアンの位置取りが後方になってしまったため、ハイペースにもかかわらず3コーナーから捲くるように上がって行き、カジノドライブやメイショウトウコン、サンライズバッカスも合わせるように外から進出を開始します。しかしルメールはひたすら内で待機。スタミナの少ないカネヒキリにとって、あのペースで早めに仕掛けるとスタミナ切れを起こします。内で脚をためて直線に賭け、なおかつ距離ロスなく回ることが勝つための唯一の手段でした。馬の特性を見抜いたのかは分かりませんが、1番人気の予想外の後方待機に惑わされることのない騎乗ができることこそ世界トップジョッキーたる所以なのでしょう。サンライズバッカスは内にいればもしかしたら、の内容でしたので、2周連続で騎手にやられた格好です。

さてヴァーミリアンですが、完璧な騎乗をしたカネヒキリはともかくメイショウトウコンに負けています。国内で勝ちっぱなしだったので適性についてはよく分かりませんでしたが、このレースを見る限りスタミナに関しては若干劣るということなのでしょう。特に東京に比べれば小回りということでハイペースでも捲くりにいかざるを得なくなったことが敗因です。スタミナ量に関しては現役のダート馬トップのメイショウトウコンに敗れたものの、4着以下を離していることからして、少なくとも東京では逆らわないのが無難かと思いました。

逆にメイショウトウコンにとっては理想的な展開でした。本来ヴァーミリアンがした競馬をしなければならないのですが、ヴァーミリアンがしてくれたおかげで有力所も脚を使わされてしまい、結果的に得意のスタミナ比べに持ち込むことができました。ただ各馬が外へ外へといったので距離ロスが大きくなり、カネヒキリには届きませんでしたが内容自体は勝ちに等しいと思っています。ただトップスピードに関してはG1でコンスタントに好走するには足りないので、スローのロングスパートの展開や直線の長い競馬場では嫌うのがいいでしょう。

このレースで負けた馬は基本的に2000以上走れるスタミナが足りなかったためであって、一番割りをくらったのはワイルドワンダーです。マイル以下の距離を得意とする同馬には少々厳しい展開だった一方で、サクセスブロッケンは得意の展開のはずなのに大敗しています。思ったほど強くなかった印象があるので、来年のフェブラリーＳではいいお客さんになることを期待しています。

ブルーコンコルドは想像以上に強い競馬をしました。マイルがベストの馬には厳しいだろうと思っていたのですが、外外回される展開にもかかわらず5着です。まだまだ衰えは見られないので、東京大賞典と川崎記念で負けて人気を落としフェブラリーSで狙うのが一番でしょう。

12/09 12:23　回顧アクセス：1866