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【予想】
今回のジャパンカップは展開が非常に難しい。それと、どうも土曜を見る限り少し時計が掛かってきている印象もある。当日にイジってくる可能性もあるので難しいが、超高速馬場では少なくともない。内からヴィルシーナがハナを主張、大外からジョシュアツリーも恐らくある程度主張してくるが枠もあるし是たい的な基礎スピードの差が有るのでこの馬場でハナを切るまで行くのは難しいだろう。トーセンジョーダンもハナを狙える馬だがビュイックだし今回はアシストするべき馬もいないのでこれはない。となるとこれと言ってハナを狙う馬もいないのでやはり序盤はスローになる可能性の方が高い。ヴィルシーナを突くのが恐らく外からルルーシュで、これが番手を確保しそう。序盤のスローよりもむしろ仕掛け所がどこになるかという方が大きいかな。
◎ルルーシュはこの枠でこのメンツなら本命だなとある程度は決めていた。前走のアルゼンチン共和国杯は坂スタートでそこそこのペースで序盤はポジション取りに行ったし、12.1 - 11.9 - 11.8 - 11.6 - 11.8と持ち味のトップスピードやギアチェンジをあまり活かせないような流れになってしまっていたのも大きい。叩いて2走目、ジャパンカップが最大目標は明らかだし、今回は逃げ馬がヴィルシーナぐらいしかいないというかなり難解なレースで、仮に道中出入りの激しい競馬になったとしてもインでしっかりと立ち回れる器用さがあるというのは大きな武器。昨年のアルゼンチン共和国杯のように12.6 - 12.1 - 12.1 - 11.5 - 11.2 - 11.8とある程度トップスピードが問われる競馬で2列目から一気に出し抜くようなギアチェンジを活かした競馬がこの馬の持ち味で、同型のエイシンフラッシュよりも前で競馬が出来るのも魅力的。昨年のメンバー構成ならかなり手ごわいし苦しかったと思うが、今年は前に行けないゴールドシップ、前に行けても今回はある程度後ろからの競馬となりそうなジェンティルドンナ、序盤無理をしたくないエイシンフラッシュならこの馬のペースで走れるはず。要所で一気に出し抜く競馬はジェンティルドンナやゴールドシップに対してはかなり有利な武器だし、2番手から直線序盤早々抜け出し粘り込む競馬を期待したい。
〇エイシンフラッシュは個人的には秋の天皇賞時の方が追い切りで走れていた感じがした。悪くはないけど、その点を考慮して対抗にした形。まあ言うまでもなくこの馬は緩いペースに強い馬で、要所のペースアップにしっかりと反応できる馬。要所で動ける馬なのでインで立ち回るのは要所までロスなく進めるという点で大歓迎。昨年のジャパンカップでは良さが出せなかったが、これはビートブラックが12.2 - 12.0 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 11.5と3角ぐらいからロンスパに持ち込み、オルフェーヴルも捲って2列目以降の仕掛けが早くなったのが大きい。他馬が早仕掛けをしてしまうとギアチェンジは活かせないので、伸びなかったのも仕方ない。今年の天皇賞秋ではそういう厳しい競馬でもしっかりと脚を使って3着には入り込んできたように地力は最上位。後は少しでもスローになってペースアップが問われる競馬になればジェンティルドンナを出し抜くことは難しくない。一貫ペースだと苦しいが、今回は展開を期待して。
【展望】
天皇賞秋でジャスタウェイの強襲に成す術なく敗退し、今年未だ勝てないでいる昨年の三冠牝馬ジェンティルドンナ。ドバイシーマクラシックでのセントニコラスアビーへ正攻法での完敗、宝塚記念でゴールドシップに横綱競馬で勝たれ、天皇賞秋ではジャスタウェイにも完敗。昨年は最強クラスの女傑との呼び声も高かったがその名声は地に落ちた。挽回するには昨年三冠馬対決でオルフェーヴルを弾き飛ばして主役となったこのジャパンカップの舞台しかあるまい。
大前提としてこの馬は超高速馬場とそれ以外ではパフォーマンスが変わってくるという点。分かりやすいように超高速馬場のオークスや、昨年のジャパンカップでは牡馬顔負けの圧倒的なパフォーマンスを見せている。反対に、3月のタフな馬場で行われたチューリップ賞や、雨で良発表でも時計が掛かっていた宝塚記念、またドバイシーマクラシックでも勝ちに行って甘くなる競馬。そして前走雨が残っていた天皇賞秋でも勝ちに行ったとはいってもジャスタウェイにぶっちぎられた。超高速馬場のジェンティルドンナとそれ以外のジェンティルドンナは同列に比較できないと感じている。
まず宝塚記念をどう評価するかなのだが、個人的にはそれほど悪い競馬はしていないと思っている。恐らく良馬場発表でも時計的に見て馬場は前走の天皇賞よりタフな馬場だったのではないかと思っている。その流れで積極的に2列目で競馬をしたのは良いが、馬場の重さで序盤の基礎スピード不足を解消してきたゴールドシップに終始マークされる展開。3角ではゴールドシップがゴリゴリに押して並びかけようとしてくるが、ここでじっとしていて動かなかった。4角で並ばれてからの仕掛けになったが12.3 - 12.4 - 12.7 - 12.7 - 12.6の流れでゴールドシップもトップスピードに乗った状態だったし、何よりジェンティルドンナ自体がすっと動けるタイプの馬ではない。結果的にゴールドシップに勢いがついて、リードが無いという状態が致命的だったと感じる。ラップ推移は完全な消耗戦になっているが、これはシルポートの大逃げによるもの。実質的にはコーナーでペースが上がっているはずなので、ここでワンテンポ早く捕まえに行くような競馬ならもう少し違っただろうとみている。いずれにせよ、岩田らしい自分でレースを支配できずに仕掛けが遅れてしまって相手に勢いがついてからの仕掛けになったのが痛かった。宝塚記念に関しては脚を出し切っているわけではないし、少なくともしっかり前を捕えに自分で動いていたら、2着は確保していただろう。対ゴールドシップに関しては、あの馬場のポテンシャル勝負では辛いのでそれほど気にする必要はない。
前走の天皇賞秋に関しては宝塚記念とは逆の意味で辛い展開だった。トウケイヘイローを突いて厳しい流れに持ち込むまでは良かったと思うが、11.9 - 11.9 - 11.9 - 11.6 - 11.5 - 12.2の流れで番手から4角軽く仕掛けているように明らかにしんどい競馬。それでも直線ではジリジリと伸びて最後までばてずに2着ならば悪くはない。基礎スピードの高さ、持ち味のポテンシャルを全面に行かしてトウケイを潰したという選択肢自体は悪くないと思うし、ジャスタウェイがまさかあそこまで突き抜けるとは、というのもある。そもそもジェンティルドンナは器用な競馬はあまり好まない馬。多少強引にでもペースを引き上げポテンシャルを出し切って勝てる相手だと思ったなら、前に行ってトウケイヘイローとエイシンフラッシュの持ち味を潰せばという戦術自体は良かったと思う。それと、やはり馬場もあるだろう。超高速馬場なら最後までばてないのだが、天皇賞はやはり雨が少し残っている馬場ではあった。ドバイシーマクラシックに関しては2列目からしっかりと前を向けていて4角の段階で正直勝つと思っていた。だが、まさかセントニコラスアビークラスに完敗を喫するのはちょっとショックだった。詰め切れずジリジリならまだしも、離されていたというのは残念。馬場差も有っただろうが、欧州でも一線級相手には苦しかった馬に正攻法で負けたということからも、やはり日本の特殊な高速馬場でこそ力を発揮できるタイプとみていいだろう。
昨年のジャパンカップはオルフェーヴルに一撃を食らわし議論が巻き起こるレースにはなったが個人的にはそれに対してはあまりなんとも思わない。コラムにも書いてあるが、あそこで弾く選択肢をとるのはどうかとは思うが、閉めにいって閉めきれない池添に問題がある。ただ、横の接触自体はよくあることだし、ロードカナロア安田記念の横暴に比べれば、進路が無かった外一頭分を確保するためのものなので、個人的にはそれほど気にしていない。少し脱線したが、パフォーマンス的には高い。3角でビートブラックが早めの仕掛けでリードを作っていく中で、12.2 - 12.0 - 11.9 - 11.7 - 11.5 - 11.5という流れにはなっているが、2列目以降は3~4角でオルフェーヴルが捲ったことでペースが上がっているはず。実際2列目のトーセンジョーダンは4角ぐらいからかなり押していた。ペースアップしていく流れで直線序盤に最内を通してここで抜け出しを図るが、前のビートブラックは下がり気味、外からオルフェーヴルが並びかけて合法的に進路を閉められた。本来ならこの時点でアウトなのだが弾いて開いたので上手く抜け出し最後はオルフェーヴルとの競り合いを制した。早い仕掛けで3~4角ロスなく回したとはいっても最後まで脚を維持させているように超高速馬場でのポテンシャルは非凡。長文化するので軽く触れる程度にするが、同じく超高速馬場のオークスでも後方からハイペースの消耗戦で12.4 - 12.3 - 12.2 - 12.1 - 11.8 - 11.8とL1落とさずぶっちぎっている。高速馬場でのポテンシャルに関しては良い意味でまだまだ未知数。トップスピードに乗るまでに少し時間がかかるのは秋華賞でなかなか伸びてこなかったことからも明らかなので、これも割愛する。いずれにせよトップスピードの質はそこそこ、しかしそれをかなり長く維持できるというのと、ポジショニングセンスがそこそこあってジャパンカップの舞台である2400mなら大きな武器になるということ。ギアチェンジ面で少し不安材料があり、できればある程度スピードに乗った状態で直線を迎えたい。
そこで、今回のジャパンカップがどうなのか、なのだが…個人的には高速馬場状態ならある程度信頼できるし、ポテンシャルを問われる競馬になればこの条件なら勝つのは難しくないだろうとみている。ポテンシャルという点ではゴールドシップももちろん強敵だが、ゴールドシップの場合は序盤の基礎スピードが致命的なので、仮に伸びてきたとしてもダービーのような形になるだろう。その点ジェンティルドンナはある程度の位置から最後までしぶとく粘れるというのが持ち味であり、高速馬場状態ならば適性面でまずゴールドシップよりは有利と言えるだろう。後は他との力関係だが、今年は昨年ジャパンカップ2~4着馬がごっそり出ない。特にオルフェーヴル有馬一本は当然のようにこの馬の勝利を後押ししてくれる材料になるだろう。むしろ不安なのは天皇賞秋のような積極的な競馬で甘くなったからと言って中団ぐらいで溜めだしてスローになった時。ギアチェンジに関しては優位に立てる馬ではなく、この点で内々で溜めながらギアチェンジ抜群のエイシンフラッシュあたりに出し抜かれるのが一番怖いんじゃないか、とみている。適性的に見てそこまで強敵はいないはずなので、この馬のポテンシャルを信じて勝ちに行く競馬ができるかどうかが焦点。その点でまだ日本の競馬に慣れていないライアン・ムーアに替わるというのがどう出るかだろう。もちろん、岩田でもこのリスクは大いにあるので、乗り替わり自体はそれほどマイナスに働くとは思わないが。
京都大賞典で強引に捲って行きながらも要所で伸びあぐねて苦しくなったゴールドシップが復活を賭けてジャパンカップの舞台に挑む。天皇賞春でも外から押し上げて要所で押し上げきれずに外々回してロスの競馬から、タフな馬場の宝塚記念で積極競馬で突き抜ける。非常に個性派故に府中の2400mジャパンカップの舞台がどう転ぶかと言った所だ。
まず前走の京都大賞典の内容をもう一度見直しておこう。スローから12.4 - 11.7 - 11.4 - 11.1 - 11.6 - 11.3 - 12.0と後半のロンスパ戦でL1は流石に落としているが、それでも極端に落ち込んでいるわけではない。それよりも、このレースの特徴としてはL4が最速戦となっていて、坂の下りがある3角から一番速い脚を要求されている。向こう正面でスローを嫌ってニューダイナスティが番手から仕掛けてペースを引き上げたわけだが、ここで一気にゴールドシップも合わせて仕掛けて押し上げて行く。前が縦長になって結果的に3角で極端に外目を進めることなく追走できたので直線でも2列目で前を向いて進められた。直線序盤で溜めた馬に交わされてしまうがL1ではまた盛り返し気味に3着争いには踏みとどまっての5着。個人的にはこの騎乗は評価している。淀の長丁場の舞台だとどうしてもこのレースのように下り坂からのスパートでコーナー最速となってしまいがち。枠順的にもタイプ的にも内に潜り込むのは難しい条件だった。コーナーでいかにロスなく、かつ前を向いて進められるかが重要なので、個人的にはよくやった方の5着だと思っている。逆に言えば超高速馬場で京都の外周りはまず合わない。2400では基礎スピード面が不足してしまっていて距離が短いだろう。
そもそも論だが、トップスピードは並であると思っている。あまり刺激的な言葉を使ってしまっていたのは申し訳ないが、少なくともトップスピードは武器にはならない。天皇賞春でペースが上がったであろう3角でトーセンラーにすっと置かれてしまっていたり、古くは共同通信杯でも内ポケットから前のディープブリランテにさらっと出し抜かれてL1のバテでジリジリ伸びてきて差し切ったりと。最後までばてないポテンシャルで上り3F自体は早く見せてもハロン最速地点でトップスピードを見せたことはない。また、それ以上に難儀なのが、この馬はポジショニング能力、ギアチェンジ能力が皆無な所にある。これまでこのブログでは何度も触れてきているが、トップスピードがどうこう以前に、まずそこまで持って行くのに非常に時間がかかる。京都大賞典では外枠で序盤スローだったからこそかなり強引に行って好位にはつけられたが、そこまで持って行くまでにはかなり苦労していて、京都2400のように1角までの距離が長ければいいが、そうでなければポジショニングはあまり期待できない。また、要所での反応が鈍いというのも若いころから見せていたことで、共同通信杯でディープブリランテが12.5 - 12.1 - 10.9 - 11.0 - 11.7と一気に引き上げた時も序盤は同じ2列目勢にすら置かれてしまっていて、4角で鞭が入るレベル。それでもそこから徐々に徐々に盛り返すと減速ラップのL1でただ一頭ばてずに突き抜けた。ここからもトップスピードやそこまで持って行くギアチェンジ戦は苦手でL1のバテ差しタイプであったことは昔から間違いないだろう。
さてジャパンカップと同じ舞台のダービーをもう一度見直しておこう。某通りすがりの方にコメントで指摘を頂いて、再度見直して少し修正する必要があるなと思ったのがダービーの内容。このレースは淡々とした平均ペースの流れで11.7 - 12.2 - 12.4 - 12.3 - 11.7 - 12.0 - 12.4とL3最速の消耗戦。ここで後方からの競馬になるのだが、3角手前では外目からじわっと手を動かしつつ追走。3~4角で外々から押し上げつつ鞭を打って直線を向くと、直線序盤では大外から良い脚を使って伸びてきていた。L1まで伸びを維持しているのはいつも通りだが、最後は少しフェノーメノの煽りを食らっていた面もあって、ワールドエースには差された形。ここから言えるのは、トップスピード戦にはならなかったにしても、最速地点ではそこそこいい脚を使えてきていたという点。これは恐らくペースが早く、緩急の無い流れで外々から鞭を打って早め早めの仕掛けが出来ていたので、直線を向くころにはエンジンが掛かっていたとみるのが良さそう。エンジンが掛かるのが遅い馬なのは間違いないが、掛かってしまえばそこそこのトップスピードは持っているとみることもできる。ただし、消耗戦の流れで好位につけた総合型のフェノーメノには完敗しているので、その点を考えると2400mでは基礎スピードの面で苦しいのは間違いない。
今年の宝塚記念の勝因は、雨が降ったことにより馬場が悪化し、基礎スピード面でそこまで良質なものを求められず、むしろパワーを求められた。これによって序盤割と楽に3列目につけられたのが大きい。また京都大賞典同様1角までの距離が長かったのも味方した。また、淡々とした流れでも、タフな馬場、タフなコースで12.3 - 12.4 - 12.7 - 12.7 - 12.6と後半で12秒台後半のトップスピードなど一切問われないポテンシャル特化の競馬になったのが大きい。超高速馬場で11秒台前半を連発するような競馬ではこの馬の持ち味は活きにくいし、それ以上にポジションや要所のペースアップに対応しないといけないので、その点でジャパンカップの舞台、東京2400mはジェンティルドンナと比較してもこの馬の良さを引き出しづらいコースなのは間違いない。そこでどうやってこの馬の良さを引き出しつつ、弱点を決定的にしないかが勝利には重要になってくる。府中にも下り坂は有るのだが通常そこから仕掛けると早仕掛けとなって目標になって差される。しかし、ゴールドシップは持ち味のポテンシャルを引きだすうえで、要所で置かれない選択肢が必要なので、序盤ポジションを取れないのであれば、3角までに捲ってしまうのも選択肢の一つだろう。イメージ的にはブエナの時のウインバリアシオンの競馬が出来れば面白い。ただし、ダービーの時のような淡々とした平均ペースとなると基礎スピード不足は明白で、これでは苦しい。どこかで緩みが生じることを信じ、そこでゴールドシップのポテンシャルを信じて捲ってポジションを上げきってしまいたい。個人的な見立てでは直線までに最低限中団までに押し上げきれなければ圏外に飛ぶ可能性の方が高いだろう。1角までの距離はそこまで長くないので、まずポジショニング、そして緩い所で脚を使わず押し上げられれば押し上げる。この2点を徹底してもらいたい。正攻法で後方待機になると良くて淡々ダービーのような感じ、スローでペースアップの流れだと要所で置かれて競馬にならないとみる。
連覇を目指した天皇賞秋では厳しい流れとなって持ち味のトップスピードを引き出し切れなかったエイシンフラッシュがジャパンカップの舞台で逆襲を狙う。毎日王冠を制し、6歳にしてまだまだ衰えを見せない同馬。今年は昨年と比べるとメンバー的にも楽なジャパンカップでダービー制覇以来の東京2400mでの勝利の美酒を味わうことができるか?
まずエイシンフラッシュを語る上では日本ダービーで見せた究極のギアチェンジを確認せざるを得ない。空前のスローペースとなったダービーでは12.9 - 12.4 - 11.3 - 10.8 - 11.3と究極の4F勝負という極端なトップスピード戦、さらにそこに持って行くまでの反応速度が問われるギアチェンジ戦となっている。ここで中団馬群のなかでじっとしながら直線を向くと、外から先に仕掛けたローズキングダムが抜け出しを図る中、捌いて中目からグンと伸びてきたのがエイシンフラッシュ。最後は2頭の戦いだったがエイシンフラッシュがローズを制しての勝利となった。スローのトップスピード勝負で、先にトップスピードに乗せた馬が有利な展開。ローズキングダムは最高の競馬が出来ていたのだが、それでもエイシンフラッシュが勝てたのは、馬群の中で前が壁でも捌いてからすっと反応してトップスピードに切り替える速度がずば抜けていたからだと言っていいだろう。また、これは昨年の天皇賞秋でも見せていて、逃げ馬シルポートの大逃げで11.6 - 11.8 - 12.0 - 12.8 - 11.8とレースラップは変則だが、番手以降はややスローの展開。ここで後方最内で立ち回り、直線序盤からすっとトップスピードに乗って後は弾けた。トップスピードにも秀でた総合力タイプのフェノーメノを差し切るんだから大した馬である。
この馬を語る上でもう一つ欠かせないものがある。それは、意外と平均ペースでもやれる馬ということだ。例えば前走の天皇賞秋でもレースラップ的には11.9 - 11.9 - 11.9 - 11.6 - 11.5 - 12.2と淡々としていて雨が残った影響もあり平均ペースで基礎スピードとポテンシャルを問われる競馬になっている。それでも中団中目から直線しっかり外に持ち出すと、最後はジリジリと伸びを見せ3着を確保した。ギアチェンジ戦に強いのは確かで、これを活かしたことでGI2勝してきたわけだが、この馬の場合はギアチェンジが活かせない平均ペースの競馬でもなかなか崩れない。もっと言えばタフな馬場条件下でタフな競馬となった一昨年のヒルノダムールが勝った天皇賞春でも12.6 - 12.0 - 12.2 - 11.7 - 11.4 - 12.1 - 12.5のラップ推移で外々を回して直線で一瞬は抜け出すかというような脚を引きだしてきている。また一昨年の大阪杯でも淡々とした平均ペースで2着。2000以上の平均ペースならば、基礎スピード面でも見劣ることなく、一瞬はトップスピードを見せて伸びてくることができる。しかし、それでもL1でどうしても甘くなるので勝ち切れないという内容だ。
この馬の難儀な所は、スローだろうが平均ペースだろうが使える脚は一瞬。基礎スピードは2000以上なら通用するのだが、トップスピードに関しては質はかなり良くてもポテンシャル面でネックで、ペースに関わらず長くいい脚を使えないという印象。ポテンシャルと一括りにすると難しいが、別の言葉で言うのであればトップスピードの持続力があまりない。この点がこの馬がなかなか勝ち切れない所以の一つだろう。昨年の有馬記念でもタフなロンスパ戦ながら一瞬は内から抜け出し勝つのか?と思わせるものの、やはり一瞬。やはりこの馬はスローからのギアチェンジ能力の高さを問われて初めて他馬に対して圧倒的優位に立ち、勝ち切ることができるのだろう。その点ではそういう競馬になる可能性を秘めている府中の舞台が一番合っている。個人的には前述の天皇賞春がこの馬を語る上でかなりイレギュラーな存在になっていると思うのだが、恐らく本質的にはステイヤーの可能性すら見せていると思う。実際天皇賞秋や毎日王冠を見ても、平均的な競馬で基礎スピードを要求されると最上位の勝負の舞台に立てないことからも、昨年の有馬記念のロンスパ戦で途中までは結構良い勝負が出来ていたところからも。距離を伸ばして折り合いさえつけば案外3200の天皇賞春でもメンツ次第で勝てそうなイメージはある。少し逸れてしまったが、この馬の場合適性距離が判然としないのは、距離どうこうよりも展開に依存するところが多いからだと思う。どの距離でも嵌ってギアチェンジを要求される競馬になれば高いパフォーマンスを見せられるだろう。今回もそういう展開になれば、相手は不器用なゴールドシップ、要所でスッとは動けないジェンティルドンナ。自分の土俵に持ち込んで、スローからのギアチェンジ戦になればこの馬の圧倒的な加速力で出し抜ける。
その他の出走馬については↓競馬をやって何が悪い。にて載せております。よろしくお願いしますm(_ _)m 11/24 14:14
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