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今年の特徴は、確固たる「逃げ馬が不在」である事。逃げ馬がいてくれると、隊列が縦長になりやすいのが特徴。ハイペースなら、レース前半から縦長になり隊列がバラける。スローなら、残り1000㍍あたりから持続力戦に持ち込もうと動き出し、この地点から隊列が長くなり始める。そんな理由から、スピードと持続力が問われる。日本的なスピードも同時に問われる為に、外国馬は付いていけなくなり、レースはその時点で終わりを告げる事になる。
しかしながら、気の良い差し馬が逃げると仕掛けが遅れがちになり団子状態で直線に向かう形になりやすい。そして、「矯めの競馬」になっているので、それはヨーロッパ的な瞬発力競馬。外国馬でも入りうる余地が出来るという事にもなる。
そこで、今年は前半スロー、直線では団子状態になる事を想定し予想を進めてみたい。
最も参考となるのは一昨年のレース。ユニコーンライオンという逃げ馬の存在はあったが、ガツガツと逃げるタイプではなく、余力を残してレース終盤の体力勝負に持ち込むタイプ。そのお陰で、レースが動き始めたのは残り800㍍地点からとなり、馬群が団子状態になって直線を迎える事になった。
このレースで勝ったのは、ヴェラアズール。さらに、3着に入ったのはヴェルトライゼンデで。ドイツ血統馬の活躍が目立った。ドイツ血統馬の素晴らしいところは、叩き合いの中で「ここぞ」というタイミングでさらに「もうひと伸び」を見せるところにある。ヴェルトライゼンデは直線半ばで、馬場の内側でハーツイストワールとユニコーンライオンの間を突き抜ける時に「もうひと伸び」を見せ、ヴェラアズールは、ゴール手前でダノンベルーガとヴェルトライゼンデの間を割る時に「もうひと伸び」をみせている。
この年は、テュネスというドイツ馬が参戦していたが、ドイツ競馬の2400㍍を主戦にして来た馬で、スピード的に足りず9着という結果だった。
今回は、ハナを切る馬がはっきりしていない。チェルヴィニアは揉まれて良いタイプではないので、距離延長を生かして前目のポジションを確保してきそうだ。スターズオンアースも前目の競馬ができるタイプ。ドゥレッツァも菊花賞では逃げた。どの馬が行くにしても、矯め逃げ濃厚のメンバー構成。今年はこういった事を念頭に置き、今年はドイツ血統馬に注目する。スローで体力が問われないようであれば、2頭しかいない牝馬のワンツーというのも十分考えられる。
◎スターズオンアース
(血統)
父ドゥラメンテ
母父スマートストライク
(オプション)
休み明け、外枠、海外帰り、ひょっとしたら「生涯初の逃げ」があるかも!?
母はイギリス産もドイツ牝系。
父ドゥラメンテに、母父スマートストライクのスピードを付加した主流色豊かな血統背景を持つ。ドイツ的な部分よりも母父の主張がやや強く、スピードと持続力がある。
桜花賞を勝ち、ヴィクトリアマイル3着とマイルG1に適応できるスピードがあり、それが大きな武器だ。母方にドイツ色を持っており、瞬発力競馬にも十分に対応。汎用性が高い分、最近は決め手不足で泣くシーンが多いが、抜群の安定感を見せており、ワイド軸や三連複軸としては頼もしい。
前走ドバイでの凡走は、ルメール落馬により急遽乗り替わりになった事が全て。モタれ癖がある為、予め理解していないと対応出来ない。実際急遽乗り替わったデットーリは、「モタれ通しでまともに追えなかった」とコメントしている。今回は川田に乗り替わるが、共同インタビューでも述べていた通り、モタれ癖に関してはしっかり理解している。騎乗経験もあり、きっちり対応してくるはずだ。
この馬のスピードと持続力を生かすなら、思い切って逃げてみるのも一考だと考える。「生涯初の逃げ」により、精神的に新鮮味が出る上に、この馬の物理的長所も生かせる。思い切りの良い川田ならまんざらあり得ない話ではないだろう。
○チェルヴィニア
(血統)
父ハービンジャー
母父キングカメハメハ
(オプション)
「2400→2000→2400㍍」バウンド距離延長、「差し→先行」位置取りショック、「55→54kg」斤量減、外枠、生涯初古馬G1。
オプションが豊富であるように、ステップとしては最高。
前走の秋華賞は内回りのゴチャつく競馬ながら、揉まれ弱いところも見せずに馬群を割り圧勝、充実度を見せている。
今回は初古馬対戦で、フレッシュさもある。多少、馬群を割ったストレスはあるだろうが、スローな競馬なら問題ない。今回は、揉まれないポジションで競馬を進めて欲しい。
▲ファンタスティックムーン
(血統)
父シーザムーン
母父ジュークボックスジュリー
(オプション)
初来日。
ドイツ産、ドイツ調教馬。
この馬を評価した理由は、3走前に2000㍍を使われ、且つ度々2400㍍未満のレースに出走しており、ある程度のスピードに慣れている事。ドイツダービー、バーデン大賞、ニエル賞の勝ちっ振りが素晴らしい事にある。「ニエル賞勝ち→凱旋門賞コケ」はマカヒキやキズナといった日本ダービー馬も辿ったパターン。「バーデン大賞勝ち」はJC勝馬ピルサドスキーやランドにも共通している事だ。海外調教馬の中で全く評価されていないが、実は最も「日本適性馬っぽい」挙動を見せているのがこの馬なのである。
ドイツの馬場は内外の差が激しい事が多く、4コーナーを過ぎると内ラチから外ラチに馬群が移動する。ファンタスティックムーンの素晴らしいところは、このタイミングでの加速力だ。抜群の加速で外ラチ側に飛び込み、馬場に良い場所を確保して最後の伸びに繋げている。ニエル賞ではストレート入口からの加速が抜群で、大逃げを打つキングオブレコーズに一気に取り付き、抜け出して完勝している。
重苦しい母父父方モンジューのイメージではなく、末脚の破壊力からも父父父ケープクロスのスピードが良く出ている印象。
凱旋門賞では取り消し騒ぎが話題となるあたりからも、基本はスピードを生かしたいタイプなのだろう。
今回ペースが落ち着くようなら、追走に困るような事もないだろうし、展開が動くタイミングでも、あの抜群な加速力があれば対応出来ると考える。
バーデン大賞で見せた末脚は、推定で3ハロン33秒台だったという話も出ている。
△シュトルーヴェ
(血統)
父キングカメハメハ
母父ディープインパクト
(オプション)
休み明け
決して休み明けが良いタイプではないが、精神力主導で身を削って競馬をしてしまうタイプ。少しでも休ませて馬体を増やした方が良いだろう。そもそも、デビュー時494kgあった馬体が、前走の宝塚記念では470kgにまで落ちていた。そんな馬なだけに、体力が問われてしまう縦長の展開では厳しい。しかし、スローになり、馬群が詰まるような展開なら、体力不足を補う事が出来る。仕掛けをギリギリまで待つ競馬なら一発がある。
逆にペースアップのタイミングが早くなり、縦長になるようなら用無しという事で。
✕ドウデュース
前走は休み明けながらマイナス体重。スローとは言え、後方で矯めに矯めて上がり32.5の鬼脚を駆使。仕上げが目一であり、競馬内容も目一杯だったと考えられ、あれ以上の上がり目は考えにくい。むしろ、ストレスを残す内容で反動が気になる。
✕オーギュストロダン
✕ゴリアット
本場英ダービー馬、Kジョージ&QエリザベスS勝馬が来日という事で、今年のJCはかなりの盛り上がりを見せている。
基本イギリスのコースは起伏が激しく、パワーを要し、且つスタミナも問われる。逆に日本競馬的なスピードは二の次といった扱いとなる。そんな理由から、2400㍍の最高峰のレースを勝った馬よりは、1600〜2000㍍あたりで強い競馬をしている馬に触手が動く。イメージ的には、無敗のまま現役生活を退いたフランケルのような馬だ。フランケルはダービーにもKジョージにも出走しておらず、2000㍍以下のレースをひたすら使われ続けていたが、種牡馬としては、日本G1馬を輩出しているように、日本の競馬に対する高い適性を示した。
オーギュストロダンの勝ちパターンを見ていると、イギリス競馬にありがちな踏ん張り合いでの強さが武器になっているイメージ。時計が掛かり、上がりも遅くなる競馬でないと厳しい。
多数のサンデー系日本馬が活躍を見せるドバイシーマCで大敗しているあたりからも、この馬の適性には疑問視している。
ゴリアットのKジョージのゴール前のパフォーマンスは、まさに「馬力お化け」の内容。ここまでパワーがあるなら、JCよりも東京大賞典に出走してほしい。間違いなく「◎」に推すW。オメガパフュームも真っ青な末脚が炸裂するはずだ。
※枠順確定後に多少、予想の手直しがあるので、ご容赦を。 11/24 08:16
夏影 予想歴41年 回収率% | 予想のベースになっているのは、今井雅宏氏考案の『Mの法則』。 総拍手獲得数:1264 | |
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