デビュー戦こそ2着に敗れたナリタトップロードではあったが、続く折り返しの新馬戦では1,9倍の圧倒的な1番人気に応えて快勝。どうにか今後へのメドは立った。
次走に陣営が選択したのは福寿草特別。トップロードはスタートで出遅れ、後方からの競馬を余儀なくされる。逃げたスリリングサンデーが作り出したペースはスローペース。完全に前に行く馬が有利の展開で、トップロードは唯一後方から3着まで押し上げた。上がり35,0秒はメンバー中最速。負けはしたが先に繋がる走りができた。ちなみにこの時勝ったのはダイワメジャーやダイワスカーレットの兄、スリリングサンデーで2着には後のG�T馬トゥザヴィクトリー。後のG�U馬ミッキーダンスもいた(8着)。トゥザヴィクトリーの活躍は語るまでないが、スリリングサンデーは怪我で出世できなかったが、無事だったらこの年のクラシックを賑わせる存在になっていたことは間違いなかっただろう。超良血馬たち相手にトップロードは頑張った。私はますますトップロードに惚れ込んでいった。跳びの大きい走り、綺麗な栗毛…走る姿を見ているだけで何か不思議な力を感じることができた。
−しかし、この跳びの大きい走りが後にこの馬の運命を変えることになろうとは、この時は知る由もなかった…。
福寿草特別で3着に敗れたトップロードだったが、沖調教師は悲観などせず、むしろ前向きだった。実はトップロードには掛かり癖があり、調教でもレースでも毎回折り合いに苦労していたのだ。しかし、この福寿草特別では出遅れてもしっかりと折り合い、最後鋭く伸びてきた。調教でも力強く動くようになっており、「この馬でクラシックを狙える!」沖調教師は確実に成長していくトップロードに手応えを感じていた。
陣営が次走に選んだのは当初予定していた梅花賞ではなく、格上挑戦のきさらぎ賞。相手にはデイリー杯勝ち、朝日杯2着のエイシンキャメロン。鞍上は武豊騎手で、1,3倍の圧倒的1番人気に推されていた。ほかにはシンザン記念2,3着のマルシゲファイター、ケイアイジョン、トップロードがデビュー戦で敗れたマイネルサクセスなどがいた。なかなかのメンバーが揃った中でトップロードは2番人気。実績では劣るが、それだけファンの期待も大きかったというところか。そんな私も親に頼んでトップロードの単勝を300円だけ買って応援していた。
クラシックを見据える上でこの相手にどこまでやれるのか…。まさに試金石で臨んだ1戦。沖調教師が鞍上の渡辺薫彦騎手に指示した作戦は
「なるべく好位につけろ、後は任せる」
これだけだった。そして、渡辺薫彦は師の指示に従い好位でレースをして、直線で抜け出した。「勝った!!」そう思った瞬間、外からエイシンキャメロンが襲い掛かってきた。脚色は確実にエイシンキャメロンの方が良い。「ここまでか…」そう思った瞬間、トップロードが内からグイと出た。
クビ差
僅かな差ではあったが、トップロードは勝ちきった。エイシンキャメロンを凌いでの勝利なのだから非常に価値ある内容であった。この勝利でトップロードは一躍クラシックの有力候補に躍り出た。私自身、デビュー時から応援していた馬なので、もう嬉しくて嬉しくて、画面に向かって「おめでと〜!」と叫んだ。傍から見れば中学生がテレビの前の馬に向かって叫んでいるのはとてもおかしな光景だっただろう。しかし、そんなことはおかまいなしだった。
きららぎ賞を勝った後、沖調教師と渡辺薫彦は泣いていたという。初重賞制覇を成し遂げた愛弟子が表彰台で祝福されている姿を見て、師は
「馬が勝ったことではなく、渡辺が勝ったことが嬉しい」
と声を震わせていたという。それだけ渡辺薫彦騎手を可愛がっていたということだろう。そう、ナリタトップロードを語る上で渡辺薫彦騎手はなくてはならない存在なのである。
つづく…。
応援クリックが更新の励みになります。よろしくお願い致しますm(_ _)m
1回目もそやったけど
たまごさんのトップロードへの想いがていねいに書かれててええなぁ (^O^)/
そいや ナリタ・オースミで有名な山路さんの馬は最近聞かんねぇ
>回サマ
ありがとうございますっぴ(^O^)/ トップロードはたまごの競馬の原点ですっぴから…。
最近はナリタの馬で活躍する馬がいないので残念ですっぴ・゚・(つД`)・゚・。是非渡辺騎手とのコンビで活躍してもらいたいですっぴm(_ _)m