2センチ。
親指と人差し指でもすぐに測れてしまうぐらいの僅かな差。その僅か2センチが明暗を分けたのが今年の天皇賞・秋であった。
昨年のクラシック戦線を盛り上げた2頭がここでワンツーを成し遂げるとは、正直誰が思ったであろうか。ウオッカとダイワスカーレット、間違いなく歴史的名牝である。半世紀ぶりの牝馬のワンツーとなった今年の天皇賞・秋は久しぶりに「熱い」レースを観ることができた。
正直、最近の競馬に冷めているところがあった。「昔は良かった」年をとれば必ず誰もが言う言葉であり、人間必ず1度はいつか口にする言葉ではないだろうか。それは競馬にも言えることで、ある程度競馬歴も長くなっていくと「昔は○○って馬がいてな…」とか「あの頃は良かったんだぞ」と、若い競馬ファンに対して遠い目をしながら話す人が増えていくと思う。自分もそんな一人で、過去のレースを見ながら「最近はこんな熱くなれるレース観ないなあ」なんて思ったりしていた。
しかし、今回の天皇賞・秋はそんな思いを奮わせるような熱いレースとなった。逃げるダイワスカーレット、追うウオッカ。その2頭の間には3歳王者のディープスカイ。1,2,3番人気の激しいデットヒートに馬券も忘れて興奮した。勝ったのはウオッカだったが、2着に敗れたダイワスカーレットも、3着のディープスカイも全く恥じることない競馬を見せてくれた。強い馬が強い競馬を見せてくれるだけで、ここまで競馬は面白いんだ。そう再認識させてくれたレースだった。
しかし、よくよく考えてみると昨年のチューリップ賞で初対戦だったウオッカとダイワスカーレットが、翌年の天皇賞・秋でワンツーを決めるなんて、どこの誰が予言できたであろうか。安定性に欠けるが、牡馬顔負け体つきで男勝りのレースをするウオッカと、どんなレースでも自分のレースにしてしまい、常に安定したレース運びをするダイワスカーレット。男勝りタイプと優等生タイプのライバル物語。そのまま小説でも書けそうなコテコテの展開だが、まさにその言葉がピッタリくる2頭である。
これで2頭の対戦成績はダイワスカーレットの3勝2敗。現時点では優等生タイプの方が結果を出している。この後、男勝りタイプのウオッカはどのような競馬を見せてくれるのか、この2頭からはまだまだ目が離せない。しかし残念なのは、現時点での予定ではこの2頭の対決がしばらくないということ。ダイワスカーレットに関しては年内引退の話もあり、もしかしたら今回が最後の対決になってしまうのかもしれない。
個人的には中山や京都コースでは、ウオッカはダイワスカーレットには勝てないと思う。ウオッカが勝てる舞台と言えば東京か阪神コースだと思っている。2頭の対戦成績が1勝1敗と五分なのが阪神コース。チューリップ賞や桜花賞と同じ舞台、阪神の1600Mでもう一度だけこの2頭の対決が見てみたい。この舞台ならどちらが得意などの優劣はないだろう。阪神マイルで頂上決戦なんかしてくれたら、これほど嬉しいことは無いが、現実的には難しいだろう。でも、諦め切れない。だってこの2頭の完全決着を見届けたいのだから。
ウオッカは来年再度海外遠征を目指しているとのこと。男勝りタイプは何と世界へ飛び出していった。日本代表馬として海外に行くには、何とかしてもう一度優等生タイプを倒してから行くべきではないだろうか。何とかもう一度この2頭の対決を見たい。そう、まだ決着は付いていないのだから。
競馬とは脈々と続く血のドラマでもある。きっと5年後にはこの2頭の子供たちが競馬場で走ることになるだろう。そしてその子供たちがまたライバル対決なんかしようものなら、それこそ若い競馬ファンに「この2頭のお母さんはなぁ…」なんて自慢げに話したい。若い競馬ファンはうざったい顔をするだろうが、そんなことお構いなし。競馬ってそういうもんだ。やっぱり競馬って面白い。
僅か2センチが明暗を分けた今回だったが、2頭の力差はそれほどまでにごく僅かだと言うことであろう。まだまだこの2頭のライバル対決は続く…いや、続いて欲しい。そんなことを考えながらトリガミだった馬券を見つめていた。
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2000m走って2cm…。
直線、2頭が併せてからのウオッカの気迫やダイワスカーレットの負けん気の強さ。きっと2頭ともめっちゃ楽しかったことでしょう。
安藤Jは併せたら負けない、今回もそう思いウオッカを見てタイミング計らい追ってます。
武Jは安藤Jが自分を見てムチを入れるのを知ってるに違いありません。しかしウオッカをひたすら信じ3角から気合いをいれつつ直線を追います。
ただただ感動しました。